★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 議論9 > 828.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
エジプトでは・・・
http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/828.html
投稿者 アラブ妻 日時 2003 年 4 月 10 日 23:22:23:

(回答先: イラク大衆は、宗教選択の自由さえ確保してくれるなら、親米政権を受容してしまうのではないか。 投稿者 文化的視点より 日時 2003 年 4 月 10 日 01:11:45)

こんばんは。エジプト人と結婚し、イスラムに改宗しております。
ただ、盲目的に改宗したわけではなく、6年間イスラムを私なりに勉強し、改宗しました。
湾岸地域とエジプトではかなり事情が異なりますが、ご参考になればと存じます。
ただし、個人的な意見です、念のため。

エジプトの政権は新米で、傀儡政権です。
独裁政権ですが、報道で伝えられるイラクよりは自由があります。
大統領のちょっとした悪口をいってもいいのですが、度を超すと
逮捕されます。(一生、釈放されないこともあります)

>米国でのイスラム教徒の生活スタイルなどは、かなり、厳格性を喪失している。礼拝などにもいかない。

米国のイスラム教徒を存じ上げませんが、礼拝をしないことが悪いのではありません。
いえ、悪いのですが(^^;)、たとえば、仕事と重なってしまった場合は仕事を優先し、
帰宅後まとめてやることも構わないとされています。
また、エジプトにはいくつも仕事を掛け持ちし、家族のために自分の宗教義務を犠牲にしている
お父さんたちもたくさんいます。
私は彼らをムスリムの鏡だと思っています。
(この方々を礼拝をしないからイスラム教徒として堕落しているとか言う人も実際いるのですが
イスラムの本質を見誤っていると個人的には思います)。

>イスラム教徒の人たちは、宗教の選択の自由を求めているのかいないのか。

正直言って、宗教の選択の自由など日本にいると現実的な話として受け止められるのですが、
エジプトの事情を思ったとき、空論というか、ぴんと来る話ではありません。

エジプトでは宗教警察はいません。
逆に、熱心にモスクに通ったりすると、捕まったりします(イスラム過激派の疑いをかけられる)。
そういう意味の信仰の自由はないかもしれません。
しかし、トルコ、チュニジアのほうがイスラムの弾圧は厳しいと聞いています。
なので、残念ですが、日本とか欧米のほうが信仰しやすいのです。
よく欧米人や日本人が、「そんなにイスラムがいいなら、イスラム諸国に住めばいい。
移民してくるのは欧米の文化に憧れているからだ」といったりしますが、
上記のような事情で、イスラム信仰には中東イスラム諸国はふさわしくないという、
大変残念な事情があります。

(昨今では日本のモスクにも公安が張っていたりして、不自由さがましています)

エジプトのムスリムたちは、女と遊ぼうが、売春をしようが、酒を飲もうが、ギャンブルをしようが、
とりあえず、ムスリムでいることを選ぶように思います。
ムスリムでありさえすれば、どんなに落ちぶれても救済されるチャンスがあると思っていると思います。
それはたぶん、少数派のキリスト教徒の人もそうなんじゃないかと思っています。

また、宗教を変えることは、家族との決別とか、自分の属しているコミュニティとの訣別をも意味します。
欧米のビザ取得のために、やむなくイスラムを捨てたとか、そういう話を聞くこともあります。

>宗教警察制度が無くなった場合、どの程度の割り合いで、回教徒として残るのだろうか。

法的に宗教儀礼の規制もなく、宗教警察のいないエジプトでは90%以上がムスリムです。
また不思議なことにエジプトでは高学歴、高収入の人のイスラム回帰現象が起きています。
女性がとても保守的な服装をしていたり(ヒマールと呼ばれる尼僧のような格好)、本当に良く見ます。
私の夫の姉も、現在、博士課程であり、数年後サウジアラビアへの派遣が決まっていますが、
尼僧のような格好をしています。2児の母であります。ハーフィズといわれるコーラン暗誦者です。

また、欧米への留学経験のあるムスリムが、帰国後、敬虔なムスリムに豹変すると言うこともよく指摘されています。
私の夫も、ヨーロッパ在住経験もあり、また日本在住経験もあるわけですが、イスラムに常に価値を置いています。

>信仰の自由,勝ち選択の自由が確保された場合、どの程度の数の人たちが、厳格な回教礼式にとどまるのか。

エジプトでは厳格な宗教儀礼を取る人は実際にはそれほど多くはいないように思います。
といいますのも、ひとつには、熱心にやりすぎると拘束されることがあるということと
(しかもエジプトの拘束は一生出てこられない可能性もあります)
信仰をもつことそのものに重きをおかれていると思います。
イスラムでは、信仰とそれを行動に移すこと(礼拝など)、双方を求められますが、
実際には、個人個人の問題なので、あまり他の人のことを指摘することもありませんし、
四角四面に厳格に行うことに疑問をはさむ人もいます。

例えば、妻子のいる男が、礼拝ばかりを熱心にしていて、仕事をするひまがないとします。
宗教儀礼は重んじていることになりますよね。
エジプトではこういう男性は軽蔑の対象になると思います。
男性のジハードのひとつは、妻子を養うことであり、仕事と礼拝が重なった場合は
おそらくかなり高い確率で仕事を優先します。
私の知るエジプト男性は、現地は給料が安いので、3つ、4つ仕事を掛け持ちしている人が多いです。

>イスラム教徒を結局はやめはしないだろうが、自由の持つ独特の軽快さの方へ欲求が流れるのでは無いか。

これはある意味で当たっているように思います。
特に10代など若い人々にはそういう欲求もあるかもしれません。
エジプトでも欧米の文化に憧れる若い人たちは多くいます。
彼氏が欲しいとか、彼女が欲しいとか、セクシーな服装をしたいとか、欧米の映画に憧れるわけです。
ただ、この人々がいつまでも若いわけではないので、結婚とか、出産とか何かの節目に
突然、敬虔なムスリムになるという場面を何度か目にしてきた私としては、
長い人生の中の、一時期の気の迷い、あるいは新鮮さへの傾斜、のように感じます。
そして、その自由を堪能し尽くしたあとで、やっぱりイスラムがいいとなっている人たちが
カイロなどでよくいる、高学歴な人たちであると思います。

>一般民衆のレベル、大衆レベルでは、もう覆水盆に戻らずの状態となるのではあるまいか。
宗教選択の自由を一度経験してしまうと、それ以前の状態にはとても戻れないのでは無いか。

よって、これは違うと思いますよ。
イスラム回帰現象について書かれている本をお読みになるといいと思います。

>回教の教えを弾圧しないという事を条件にすれば、アメリカ傀儡政権を大衆レベルは受容するのではないか。

これは、矛盾します。傀儡政権は、イスラムを弾圧します。
イスラムを弾圧しないのは、真のイスラム政権であり、
世俗政権、傀儡政権、イスラムを弾圧しないでは成り立たないと思います。

>人間が持つ自由への衝動は根源的で強力であるため、結局アメリカ軍の施政にむしろ好感を持つ可能性はないのか。

好感は持たないまでも、植民地時代とか、異国の為政者の下で我慢する庶民という構図が長いので、
上が変わってもどうでもいい、誰でもいい、と思う人はいるかもしれません。
でもそれは、自由への衝動とか、そんなポジティブなかんじではなく、弾圧に我慢する図といったほうが
当たっていると思いますが。

自由に関しても考え方が違うと思います。
責任の取れない自由などいらないと思うのですよ。(私の周りの人たちは)
今はイラク人は抑圧されていましたから、自由が手に入ったと思い、有頂天になるかもしれません。
ただ、その自由が普遍的に、もしなったとしたら、イスラムに回帰していくような気がします。
エジプトを見ているとそう思います。
あんなに誰にも強制されないのに、熱心な人が多くいるエジプト。
不思議ですけど、時間にルーズだったり、約束事にもいい加減だったりするのに、
イスラムの行事には,妙にオンタイムだったりするんです。
ああいうのって、DNAに刷り込まれてるんじゃないかって思うくらいです・・・。

エジプト政府は、長い間反政府テロ(イスラム過激派と報じられますが、反政府運動だと思います)に苦しんでいますが、イラクでもそういったことになるのでしょうね・・・・。

 次へ  前へ

議論9掲示板へ

フォローアップ:
  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。