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森田実氏:2003.4.9 「日本再生の道」研究――『老子』を知れば道は開ける[9]
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/379.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 09 日 23:34:23:


『森田実氏:2003.4.1 「日本再生の道」研究――『老子』を知れば道は開ける[1]』
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/182.html )に続くものです。

『森田実氏:2003.4.3 「日本再生の道」研究――『老子』を知れば道は開ける[3] 』
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/244.html

『森田実氏:2003.4.5 「日本再生の道」研究――『老子』を知れば道は開ける[5]』
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/300.html

『森田実氏:2003.4.7 「日本再生の道」研究――『老子』を知れば道は開ける[7] 』
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/327.html

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政治指導層の穏やかな世代交代が日本を救う
「功遂げ身を退くは、天の道なり」(老子)


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 この言葉の前に次の意の文章がある――「酒を満たした杯はいつまでも持ちこたえることができない。鋭利な刃物は折れやすい。財宝を蓄えればかならず狙われる。富貴になって慢心するのは災厄を招くもとだ」(『中国の思想Y/老子・列士』、徳間書店刊)

巨大な政治権力を手にした指導者にとって最もむずかしいのは「引退時期」の選択である。老子の教えを実行する指導者はきわめて少数だ。大多数の指導者は権力を手放そうとせず、頑張る。権力に執着するのである。しかし、世代交代がなければ政治は硬直化する。若ければよいというものではない。着実な世代交代が政治を活性化させる。

 4月6日(日)朝、フジテレビ「報道2001」に中曽根康弘元首相(84歳)が出演しているのを見た。いつまでも元気で活躍されているのはめでたいことである。これは一見よさそうに見える。だが、「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」の感は否めない。中曽根元首相がいつまでも張り切りつづけることによって、次の世代(とくに昭和1ケタ世代)の活躍の場が抑えられている。この世代の政治家は地味で控え目であるため、中曽根氏ほどには目立たないが、優れた人材が少なくない。これらの人材が十分に活躍できる場がない状況がつづくのは、日本にとって大きな損失である。
 中曽根氏と宮沢喜一氏の二人の元首相だけが、いつまでも突出して日本の指南役的立場を維持している。これはマスコミの不見識にも原因がある。中曽根、宮沢両元首相をいつまでも日本の指南役におこうとするのは大きな過ちである。

 今日の日本が直面している諸困難の根は、第二次大戦後の経済成長の成功そのものにある。日本は、敗戦直後の無の状況から立ち上がり、戦後復興と60年代の高度成長を達成し、70年代の二度の石油危機を克服し、80年代初期に経済大国化を実現した。しかし、この成功をもたらしたシステムがその後有効性を失った。それなのに日本は過去のシステムの維持にこだわった。これが90年代から今日に至る大失敗のもとである。
 80年代半ばまでの成功のあと、80年代後半のバブル経済、90年代からの長期不況――この失敗の原因は、成功体験の意識を新たな時代になっても変えることができなかった政治の硬直性にある。

 この成功と失敗の50年間を、国民とともに生きてきたのが昭和1ケタ前後の世代の政治家である。この世代は戦後ある時期までは国民の一人として国民とともに苦労を味わってきた。この世代は戦後日本をよく知っている。次の時代には何をどう改めなければならないかを知っている。だが、この世代の政治家が第一線で活動する機会はない。いつまでも引退しようとしないその前の世代の政治家がいるからである。
 中曽根氏が国会議員に初当選したのは昭和22年、宮沢氏がエリート官僚から国会議員になったのは昭和28年のことだった。中曽根、宮沢両氏は指導層の一員として戦後58年を生きてきた。言い換えれば一般の国民としての生活体験がない。意識の面で国民と遊離していた。80歳台の政治家は、いま日本で何が起きているのか、本当のことは分かっていない。
 ところが昭和1ケタ世代の政治家は、戦争を1兵卒としてまた学徒として体験し、敗戦直後はどん底のなかで働きつづけ、その後政治家の道を志した人たちである。この世代が高度経済成長時代を担った。

 昭和1ケタ世代は衆院に60名、参院に38名、合計98名が国会にいる。国会議員(727名)に占める比率は13%だ。このなかには数々の逸材がいる。ただし、この世代には控え目、地味、謙虚を尊ぶ傾向が強く、中曽根氏のように派手なパフォーマンスが得意でない。このためにマスコミにはあまり好かれない。
 マスコミとくにテレビは演技力のあるタレント型政治家を好む。マックスウェーバーの説く政治家の資質――情熱、洞察力、責任感――を基準にして政治家を評価するような気のきいたテレビマンはほとんどいない。テレビ局は視聴率至上主義である。国民はテレビに出演しない政治家のことはほとんど知らない。知名度が最大の価値となった高度情報化社会において、テレビは知名度と演技力を重視して出演者を決める。知名度が低い政治家は、いかに優れた政治能力を持っていても国民的リーダーになるのはむずかしい。テレビマンの不見識が謙虚で有能な指導者の登場を妨げている。

 引退の哲学――かつての日本人にはこれがあった。先人たちは次の世代に十分に働く場を与えるために、引退の時期を間違えないよう気を配った。明治世代の政治指導者は「引き際」をわきまえていた。
 だが大正世代になって「引退の哲学」を持たぬ指導者が増えた。中曽根氏が首相になってからもう30年以上が経つ。首相を辞めてから25年以上だ。この間、中曽根氏が指導力を維持しつづけてきた代償として、多くの優秀な後継者たちが十分な働き場所を得ることなく政治生命をすり減らした。宮沢氏の場合も同様だ。両氏は次の総選挙においても元首相の特権を行使して、比例区で衆議院議員の地位を維持しつづけようとしているように見える。両氏が老子の言う「天の道」に従って、潔く後輩に道を譲ることを望みたい。

 古い高度成長型の政治経済システムを終わらせ、新たな21世紀型システムを築くための大手術の仕事は、戦後58年間の歴史を体験した昭和1ケタ前後世代にやらせるのがよい。この世代こそ、古い時代に引導を渡し、終わらせ、次の時代の枠組みを創造する役割を担うべきである。この役割を果たしたら、直ちに「天の道」に従って引退しなければならない。
 より若い世代50代、40代、30代の政治家には、この大事業を達成する知恵も馬力もない。この世代の政治家は幼稚である。知識はあるが知恵がない。本当の苦労を知らない。まだ未熟である。もうしばらくは知恵と馬力のある70代、60代の政治家に働いてもらわなければならない。

 ついでに言えば、日本の首相の在任期間は2年で十分だ。事実上米国の従属国である日本の首相が長期政権を維持しようとするのは、日本にとって危険である。米国政府の支持を得るために日本の国益を犠牲にした中曽根内閣以後、日本の国富がどれだけ米国に移転したか――これを見れば、長期従米政権の危険性は明らかであろう。小泉内閣の2年間に、日本の国益がどれほど犠牲になったか。巨額の日本国民の富が米国のものになった。
 小泉首相は「天の道」に従って引退するのが日本国民のためである。小泉構造改革は日本国民にとっては百害あって一利なしである。 


http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0545.HTML

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