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森田実氏:2003.4.10 「日本再生の道」研究――『老子』を知れば道は開ける[10]
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/396.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 10 日 23:29:21:

(回答先: 森田実氏:2003.4.9 「日本再生の道」研究――『老子』を知れば道は開ける[9] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 09 日 23:34:23)


平和を願うことを罪悪視する最近の異常な風潮を憂う


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「人民を愛し国を治めるについて、無為を守っているだろうか。……事物の理を究めるにあたって、知の限界をわきまえているだろうか。『道』は万物を生み、万物を養う。万物を現象させながらもその現象を固定させず、存在させながらも功を誇らず、完成させながらも支配しない。これが『道』の底知れぬ徳である」(老子)[『中国の思想W/老子・列子』(奥平拓・大林益夫訳)、徳間書店刊、より引用]

 老子哲学の根本にある「無為」とは、「何物とも対立せず、何物に対しても争わない、己れを固執せず、みずからの功を誇らず、ひっそりとして静かに、ゆったりとしてただあるがまま」(福永光司『老子』、朝日新聞社刊)という意味である。

 最近、政界とマスコミのなかに、平和を願うことがあたかも罪悪であるかのように扱う異常な空気が生まれている。非常に危険である。
 4月8日、新聞1面トップには「米軍、大統領宮殿を占拠」(朝日、毎日)、「バグダッド中心部制圧」(読売)、「米英、首都中枢を制圧」(日経)、「米軍、宮殿占拠」(産経)、「バグダッド中枢制圧」(東京)の大見出しが躍った。前日の4月7日のテレビは、米軍がイラク大統領の宮殿を制圧した模様を繰り返し放映した。
 最近、テレビは朝から晩までどころか、終日24時間、イラクにおける米軍の軍事行動ばかり報道しつづけている。世界にとって大変重大な事柄なので報道するのは当然だが、この報道の中身が問題である。報道する人に人間としての深みが感じられないのである。このため、国民の意識の面で戦争を罪悪と見られない傾向が強まっている。戦争が当たり前の現実になってきているのだ。戦争が人間にとってどんなに苦しく、辛く、悲しいものか、という意識を持たないまま、人々は戦争を受け入れ馴れていく。

 「文明のおかげで人間の残虐さは醜悪になった」――ドストエフスキーが1864年に書いた『地下室の手記』のなかの一節だ。米英軍の最新技術兵器が容赦なくイラク国民の上に浴びせられ、罪なきイラクの老若男女の生命が奪われている。ラムズフェルド米国防長官の冷たいおごった態度だけが目立つ。
 イラク戦争が始まった頃は米英軍の非人道的軍事行動を咎める人もテレビに出ていたが、最近は米英軍の批判者はマスコミからほとんど排除されてしまった。人道主義の主張者はテレビから姿を消した。ブッシュ米大統領の従順なサーバントと化した小泉首相の支持率が上昇するような異常現象が起きている。

 「人間は従順な動物である。どんなことにも馴れてしまう存在である」――これもドストエフスキーの言葉。政治とマスコミが、戦争を肯定する風潮を広げ、国民の常識を非常識に変えようとしている。まことに恐ろしいことである。
 戦後、日本、米国、英国に数々の政治指導者が登場した。米国の大統領、英国の首相のことはニュースで知るだけだが、日本の首相のなかには直接会った人が何人かいる。直接見ただけの人もいる。これらの過去の政治指導者と比べて、現在の小泉首相、ブッシュ大統領、ブレア首相には際立った特色がある。一言で言えば「冷たさ」である。この3人ほど「温かさ」に欠けた政治指導者は過去にはいなかったように思う。政治トップの「冷たさ」がマスコミに伝染し、各界の指導層に広がっている。東京の指導層の間には恐ろしいほど歪んだ冷酷な意識が拡大している。
 3月初めのことだった。3月末までコメンテイターを努めていた某テレビ局のニュース番組(今はない)で、イラクへの軍事攻撃を急ぐ米国政府の姿勢を批判するため、「兵力に訴える前に、まず百種の和解策を試みよ」という米国の法学者ケント(1763〜1847)の言葉をボードに書いたところ、スタッフから「森田さん、この言葉を使う時に〃サダム・フセイン支持で言うのではない〃と言ってください」と言われ、大変驚いた。
 私は即座に拒否したが、上司から私の発言に注意するように言われていた節が感じられた。「平和を叫ぶ者はサダム・フセインの支持者」という米国防総省の指導者と同じ歪んだ意識が日本のテレビ局の上層部に伝播している。ケントの言葉は高潔なものである。すべての政治指導者が心すべき理念である。
 私はただ当たり前の常識を言おうとしたが、これを素直に理解しない歪んだ空気がテレビ局内にあることを思い知らされた。政府の側からなんらかの働きかけがあったのかもしれない――そんな感じを受けた。

 小泉首相は「人民を愛し国を治めるについて、無為を守っているだろうか」――否である。人民を愛さず、日本の国益を顧みることなく、政権の延命のためにブッシュ政権に追従しつづけているのが小泉政権である。このような政権を嬉々として支えているエリート官僚、エリートテレビマン、そして首相の周辺でゴマをすりつづける御用学者――彼らこそ国を滅ぼす悪徳の士である。『老子』の「無為」哲学を学んで反省してもらいたいと思う。小泉首相は余計なことをすべきではない。
 老子は「玄徳」を説く。「玄徳」とは、「玄(いみ)じき聖人(ひじりびと)の徳」(福永光司訳)、「もっとも深遠な『徳』」(坂出祥伸・武田英男訳)である。  

http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0546.HTML

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