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衰退国家にデフォルトの悪夢
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投稿者 M 日時 2003 年 5 月 28 日 20:24:23:

債務デフレの悪循環を断たなければ、
5年後に日本は債務不履行に陥るおそれも

アダム・ポーゼン(米国際経済研究所上級研究員)

 日本経済は深刻な状況にあると、日本人は耳にタコができるほど聞かされてきた。しかし日本は今も豊かであり、危機もまだ起きていない。
 それでも、誰もが日本経済を心配するのはなぜか。一つには、世界第2の経済大国が凋落すれば世界各国の足を引っ張ることになるからだ。過去の栄光に比べて、この10年ほどの落ち込みがひどいという事情もある。だが一番の理由は、日本が財政崩壊への道をひた走っていることだろう。
 「債務デフレ」と経済の停滞、赤字財政が続いている以上、日本が遠くない将来に、高齢化社会のコストと増え続ける債務を負担できなくなるのは目に見えている。
 債務デフレは悪循環だ。価格の低下と収入減に直面して、企業も個人も債務の返済に行き詰まり、破産か資産の投げ売りかの選択を迫られる。それが株価や不動産価格のさらなる下落を招き、銀行の与信能力は底を突き、さらに破綻する企業が増える。だからいくら不良債権を処理しても、新たな不良債権が増えていく。
 こうして銀行の自己資本は減る一方、倒産を避けるためには不良債権をひたすら隠し、新規融資を減らすしかないのが現状だ。その結果が貸し渋りで、これが需要を、そして物価を一段と押し下げる。銀行の隠し不良債権は、今や100兆円を超えると推定される。
 一方、景気の低迷は政府の税収を減らし、公共事業や社会的支出のニーズを増す。結果は財政赤字の拡大である。91年以来、日本の実質成長率は年平均0.9%にすぎず、すでに公的債務はGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)の145%を超えている。2002年度は153%になる見込みであり、もはや危機に対応できる余力は残っていない。

このままでは返済不能に

 一国の政府が負担できる公的債務のレベルは、三つの要因で決まる。政府が国内で課税できる収入と資産の額、政府に課せられる支払い利息、そしていずれは返済しなければならない借り入れ元本だ。
 この場合、日本政府がGDP比145%の公的債務に耐えるのは、ベルギーやイタリアの政府がGDP比120%の債務に耐えるよりもやさしい。国内の預金残高は日本のほうがはるかに多く、支払い利息(国債の利回り)ははるかに低いからだ。
 それでも高齢化社会の到来で、日本政府の支出は今後急速に増える。それに伴って債務も増え、資金調達コストの上昇は一段と大きな負担になるだろう。日本の公的債務は、まだ大騒ぎするほどの水準ではないが、数年後には深刻な問題になりうる。
 このままでは、民間の不良債権も政府の公的債務も増える一方で、5〜7年後には日本政府が債務不履行(デフォルト)に陥る可能性もある。そして銀行預金のペイオフや、年金の支給額削減が起きる。
 もちろん、そうと知れば資産を海外に移す人も多くなる。結果として国内の資金量は減り、危機は一段と増幅される。

経済の免疫力は老人並み

 こうした危機の到来を、日本政府は綱渡り的に、だが予想以上に長く防いできた。年度末になると政府は資金注入のさまざまな金融操作を行ってきたし、日本の預金者は行儀がいいから将来を憂えて預金引き出しに殺到することもなかった。この調子なら、政府による債務不履行宣言という最悪の事態を迎えるまで、日本は危機を回避できるかもしれない。
 だが、日本経済の免疫力は老人並みに弱っている。アメリカを含む海外の株価の暴落やドル安の進行で、対米輸出が落ち込めば、それが致命傷になるかもしれない。北朝鮮がさらに攻撃的な行動に出る可能性、石油価格の高止まり、あるいは生命保険会社の破綻も考えられる。これらの懸念要素の同時多発もありうる。
 いずれの場合も、政府は株や不動産の買い支えに出る。だが税収が減り、金融システムの支援に金がかかる状況では、政府の懐にも余裕はない。乱発された国債の格付けは下がり、金利は上がり、民間の設備投資は激減する。低利の国債を大量にかかえ込んだ銀行は、国有化されるより先に破綻する。
 そうとわかれば、日本の預金者も資産を現金化し、あるいは海外に持ち出そうとするだろう。日本経済の資金不足は一段と深刻化する。1ドル=150円台まで円安が進み、アメリカや東南アジア諸国との貿易摩擦が再燃し、国際関係にも微妙な影響が出る。そして日本の景気が冷え込めば、世界経済の成長にもブレーキがかかる。

包括的な取り組みが必要

 日本の債務デフレに警鐘を鳴らす人たちは、過去の金融危機から学んだ解決策を提案している。不良債権を処理し、破綻した銀行はつぶし、残りの銀行には公的資金を注入したうえで民間に売り渡し、凍結されていた資産を市場に戻せ、である。
 だが債務デフレには二つの面があり、破綻した銀行や企業を閉鎖する過程では失業者も出る。銀行改革だけでは不十分で、労働力と資本の再配分に伴う衝撃を和らげるためのマクロ経済的な環境整備が必要だ。金融システムの浄化と同時に、積極的な金融緩和と的確な財政刺激が必要になる。
 数年前なら、こうした施策の実行も容易だったかもしれない。だがデフレが定着して債務がふくらみ、世界経済が減速している今は、もっと改革を急ぐ必要がある。
 もし政府が本気で銀行の改革に取り組み、日銀と財務省がしかるべきマクロ経済的支援を半年以内に実施すれば、日本の株価と不動産価格は底を打ち、上昇に転じるだろう。1年か1年半で、政府は国有化した銀行の再民営化に着手できるだろうし、収支の改善で失業者の再雇用も進むはずだ。
 だが、そのためには日本がもっと海外からの投資に、とりわけ金融業への投資に門戸を開く必要がある。外国資本を「ハゲタカ」呼ばわりする日本人もいるが、かつては日本資本の攻勢がアメリカの自動車産業をよみがえらせたのだ。また同じことが起これば、日本のデフレも終わるだろう。
(筆者は日本の経済政策などが専門。編著に『日本の金融危機――米国の経験と日本への教訓』など)


新札が窮乏生活を強いる?
2004年度に発行される新紙幣のうち5000円札の肖像となるのが、女性初の職業作家、樋口一葉だ。紙幣一新のねらいは偽造防止のためだが、政府や産業界は新紙幣特需を期待している。だが一葉は、たぐいまれな才能をもちながら、薄命で貧困だったことでも知られている。政府が国民に窮乏生活を強いることを暗示しているのだろうか。


日本をむしばむ悪循環
Q イラク戦争後の混乱で石油危機が訪れれば、日本のデフレはどうなるのか。
A 以前のようにインフレになる可能性は少ない。景気が低迷する現状では、企業は原油価格が上がる分、賃金を下げたり、リストラしたりするからだ。収入が減ると消費者の需要は低下、結局はデフレが続く。こうした悪循環が、あと5年は続くとみる専門家もいる。

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