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日本国憲法の制定経緯(4)
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投稿者 TORA 日時 2003 年 7 月 06 日 12:03:13:

(回答先: 小山常美著「日本国憲法無効論」(草思社、平成十四年十一月)を読む。 [週刊日本新聞] 投稿者 乃 日時 2003 年 7 月 06 日 00:42:37)

○中山会長 中村鋭一君。
○中村(鋭)委員 きょうは参考人の古関先生、御苦労さまでございます。
 早速質問させていただきますけれども、私は、昭和二十年の八月十五日には
十五歳でございました。滋賀県の中学校の旧制の四年生でございましたが、進
駐軍がやってまいりまして、カービン銃を持った兵隊さんが交差点に立ちまし
て、大津の航空隊の後に進駐軍が入りまして、大津キャンプですね。それで、
どこへ行きましてもオフリミットという看板が立っておりまして、ルーテナン
トゼネラル・アイケルバーガー、オフリミットばかり目につきました。
 そういう状況の中で、アメリカが来て、とうとうたるアメリカニズムの流れ
ですね。
ジープの後ろを追っかけまして、ギブ・ミー・チョコレート、ギブ・ミー・シ
ガレットと言って、キャメルだとかハーシーのチョコレートを投げてもらって、
コーラを飲んでいるアメリカ兵を見て、スマートで格好いいなと思いました。
 一方では、つい数カ月前までは我々は、鬼畜米英、まさに先生おっしゃった
とおりですね。出てこいニミッツ、マッカーサー、出てくりゃ地獄へ逆落とし、
こういう歌を歌っておりました。そのマッカーサーが最高司令官としてやって
きたのですね。
 そういう状況の中で、英文の草稿が渡され、そうしてこれを翻訳しなさいよ、
こう言われたら、先ほど中川委員がおっしゃったように、これはどう見たって
押しつけをはるかに超えた、占領政策の一環としてのバイ・オーダー・オブ・
ゼネラル・マッカーサーだ、こう我々日本人が思ったとしても、これは無理か
らぬところですね。
 結果を言っているんじゃないのです。結果、でき上がった憲法がよかったか
悪かったか、それは時代が検証をいたします。まさにそのために憲法調査会が
あるわけでございますけれども、成立の過程を見れば、これはまさに進駐軍の
命令により、我々に無理やり与えられた憲法の草稿であったと言わざるを得な
いと思うんですが、先生、その点いかがでございますか。
○古関参考人 先ほども幾つか申し上げておりますが、先生が御経験になられ
たような雰囲気の中で、この案でいけと言われれば、それはバイ・オーダー・
オブ・ゼネラル・マッカーサーである、わかりますけれども、しかし私が、私
は先生より大分若いということもありますが、それはともかくとして、日本政
府、具体的に言えば外務省文書ですが、外務省文書あるいはGHQ側の記録等
々を読んでも、決してこれはマッカーサーの命令だぞとは言っていないわけで
す。そこはかなりGHQもやはり気にしていて、日本側の文書からもそこはあ
るんですけれども、決してこれを押しつけるものではない、フォーストするも
のではないということは断っているわけです。
 断っているからこそ、その後、法制局の例えば入江さんとか佐藤さんを中心
にした日本案は、GHQ案と異なっていたわけですね。異なっていたからこそ、
その後三十時間にも及ぶ議論をしなければならなかったわけで、命令ではいは
いはいとやれば、そんな長い時間議論をする必要はなかったと私は思うのです。
○中村(鋭)委員 先生、私は事実、命令であったかとかいうことを言ってい
るのじゃないのです。当時生きていた我々からすれば、そのような印象を持っ
ても仕方がなかったということを言っているわけですね。
 現実に、それが占領政策の一環としてというようなことは、これはそのよう
な記録がはっきり残っているわけでもありませんからあれですが、当時の時代
背景の中で、我々敗戦をした日本人からすれば、あの憲法そのものは、アメリ
カの非常に強制力を持った力によって、いわばまさに先生がおっしゃったとお
り、フォーストですよ、強いられた憲法であったという理解を当時の我々がし
て、今五十有余年を経て、さらにその印象が深まりつつあるということは無理
からぬということを先生に御理解をお願い申し上げたい、こう思うのです。
 先生は、終戦のときは二歳ですよね。まことに失礼ではありますが、先生が
今一人の学徒として、スチューデントとして憲法を研究していらっしゃる、こ
れすべて、一言一句余さず、先生はまさに机の上であらゆる文献を渉猟して勉
強になったわけですね。当時の時代背景がどういうものであったか、我々が八
月十五日にどういう感懐を持ったか。大きな町は全部空襲に遭って、そこから
我々立ち上がってきたのです。そういうことは、まことに失礼ながら、先生は
一切御存じない。先生が成人されたときは、もはや戦後ではないという、まさ
に日本が民主国家として、経済大国として世界じゅうにその名を知られてきた、
そういう中でお育ちになり、その中で先生は御研究になったわけでございます。
 ですから、私は再度申し上げますが、現実にその中にあって新憲法を手にし
て、今日五十有余年を経た私が抱いておる感懐と、先生が御勉強なさった憲法
というものには、やはり気持ちの上で相当な乖離があるということは御理解を
お願い申し上げたい、こう思うのであります。
 先生、ここにこういう言葉があるのです。「人間の作品で、完全なものは存
在しない。時代の流れのなかで、成典化憲法の不完全さがあらわになるのは、
避けられない。さらに、時代の経過は、憲法が適合しなければならない社会に
変化をもたらすであろう。それゆえ、憲法を改正するという現実的な方法を定
めておくことは、絶対に必要なのである」、これはアメリカ独立宣言の起草者
であります第三代アメリカ大統領のトーマス・ジェファーソンの言葉でありま
すが、先生この言葉を、今私申し上げましたが、お聞きになりまして、どうい
う印象をお持ちになりますか。
○古関参考人 御指摘いただきましたように、確かに私は、一人の人間として
戦争体験を持っておりません。また、日本国憲法がつくられたときのことなど
は、全くと言っていいほどわかりません。であるからこそ、私は制定過程を学
んできたとも言えます。知らないからこそ知りたいと思うところに学問がつく
られ、文化がつくられるわけであり、そのことを通じて、第三者に対して伝達
が可能になり得ると思います。
 自分の体験と感情を絶対化し、あなたは若いからとか言われてしまいますと、
私はお答えのしようがないわけでございます。
 さらには……(中村(鋭)委員「今のジェファーソンの言葉」と呼ぶ)ちょ
っとお待ちください。そればかりでなく、今のようにおっしゃられると僕は物
すごくつらいのは、さっきも申し上げたことですけれども、文化を異にしたり
歴史を異にしている人たちと、この社会はともにどう生きていくのかというこ
とを考えなければいけないわけでして、今のようにおっしゃられて、みずから
の印象とか感情とかですべてを決してしまうとすれば、もう対話が、何かお答
えのしようがないといいますか、なぜ僕はここにいるのだろうという気持ちに
なります。
 これ以上はちょっとやめます。
○中村(鋭)委員 先生、もう余りそれは気にしないでください。これは私の
体験に基づいて申し上げたので、別にあなたの言っていることは体験の裏打ち
がないからだめだと言っているわけではないのです。私には私のそういう体験
に裏打ちされた経験、体験というものがありますよ、先生はその体験はござい
ませんね、しかし先生は十二分に御勉強をなさっているのですから、そのこと
は私はとやかく言うつもりは一切ございません。ただ、私がそのような印象を
持ったという点について、御理解をお願い申し上げているのです。あなたを責
めているわけでも何でもございませんので、その点はひとつよろしくお願いを
申し上げておきたい。
 先生、ジェファーソンの言葉についてはお答えがございませんでしたので、
ちょっと申し上げますけれども、今倉田さんもお尋ねになりました。私も、こ
こにあるのですよ。今改正の必要はないということを、これは雑誌ですか新聞
ですか、おっしゃっておいでなのですけれども、しかし、中を読んでみると、
やはり改正すべき点は幾つもあるということを先生自身がおっしゃっているわ
けでございますね。であれば、今改正する必要はどこにもないということをわ
ざわざタイトルにうたわれることもなかった、こう思うのです。その言葉、表
現そのものに絶対矛盾があるように私は思うのでございますが、先生、それは
いかがでしょうか。
○古関参考人 先ほども申し上げましたように、私は本日、出席依頼のテーマ
として、日本国憲法制定の経緯について陳述しなさいという、してほしいとい
うのですか、しなさいというのですか、そういうことで参っておりますので、
そのことを中心にお話をし、先生方の御議論に何らかのお役に立てればうれし
いと思って参りましたので、何か急に結論で、改正するのがいいのか悪いのか
というふうに迫られると、僕自身は、確かにこういう仕事をしておりますので、
いろいろなところに自分の意見を書いたりしていますけれども、本日は、私は
自分の意見を申し述べるという立場で来ていないというふうに理解をいたして
おります。
 それは、この出席依頼との関連でいえば、そういう場ではないと思ったから
参っておるわけであります。私は、とても政治家の皆さんのように立派なこと
を言える人間ではなく、何月何日にだれはどうしていて、どういう文書が残っ
ております、ここから考えればこうですということをここで申し上げているに
すぎないわけであって、あえて申し上げれば、私が役に立ちたいことは、私の
意見を聞いていただきたいというふうに申し上げておるつもりでは全くなくて、
事実を検証するとこういうふうになります、こういう組み立て方が可能でござ
いますと言うために私はここに呼ばれているというふうに考えております。
 以上です。
○中村(鋭)委員 もう一つお尋ねしたいことがあったのですが、先生がその
ようにおっしゃいましたので、もうやめます。
 やめますが、この資料は、私どものところへ届いた資料に基づいて私はお尋
ねしているのですよ。ここに、「現憲法に改正すべき点があっても、いま改正
する必然性はどこにもない」、こういう見出しがあります。私がいただいた資
料です。ですから、テーマはなるほど、憲法が押しつけか否かということにつ
いて先生は陳述をなさる、そういうことでありましょうけれども、別にこれは
テーマを限定して、我々が先生にこれだけは聞いてもよろしい、これは聞いて
はいけないというふうに言われているわけではございませんので、お尋ねをし
たわけでございます。
 本来ならば、いただいた資料の中に先生が、「主権者「国民」とは誰だろう
か」ということで、国民、人民そして市民という言葉がありますけれども、先
生のいわゆる国家観、国民観、これについても言及している。この辺でちょっ
とじっくりとお話をお伺いしたい、こう思ったのでございますけれども、先生、
これもちょっとあれですか、お尋ねするには先生御自身は適当でないとお思い
になりますか。お尋ねしてもよろしゅうございますか。
○古関参考人 先ほどちょっとお話ししたことですが、国民という日本語を日
本国憲法で選んだ、もう少し言い方をかえれば、明治憲法では臣民という言葉
を選んでいるわけですけれども、なぜ日本国民であるのか。
 特に、GHQ側のつくった案の英語も、国民という場合はピープルを使って
います。
日本国民という場合はジャパニーズピープルを使っております。日本国憲法の
英訳版というのがありまして、それは、どうも法務省の仮訳であって、正式の
英訳はないと言われておるようです、むしろこれは私が先生方に伺いたいとこ
ろでもあるんですが。しかし、例えば「各国の憲法」なんという世界の憲法を
だっと並べたものがありますけれども、コンスティテューションズ・オブ・ネ
ーションズというのがありますが、その資料集なんかではこの法務省の仮訳が
使われていて、それは全部、日本国民という場合にはジャパニーズピープルと
いう言葉になっています。
 それで、ピープルと国民がどんな意味を持つのか、それがGHQとの間でど
ういう議論をされてきたのか等々のことは調べましたので、お話しすることが
できるんですが、ちょっと時間がかなりになってしまうので、ここでは、日本
国憲法の制定過程との関係で非常に関連のある言葉であるということだけを申
し上げさせていただきます。
○中村(鋭)委員 先生、どうもありがとうございました。
 時間がありませんので、これは先生自身がお書きになった言葉でありますが、
「「国民」とは、天皇と私たちの関係をあいまいにし、外国人を国籍によって
排除する言葉として登場した、ということができよう。」と先生は書いていら
っしゃいますね。
「言葉は思想の表現である。」これは結びの言葉になっておりますが、私は、
まさに言葉は思想の表現でありますから、だからこそ、このように「「国民」
とは、天皇と私たちの関係をあいまいにし、外国人を国籍によって排除する言
葉として登場した」ということにつきましては、まさに言葉が思想の表現であ
るならば、私はこの表現は間違いであるというオブジェクションを申し上げ、
なおかつ、もう一遍、先生、トーマス・ジェファーソンの言葉をできればかみ
しめていただければ大変幸いでございます。
 失礼の段はお許しを願いまして、これで先生に対する質問を終わらせていた
だきます。ありがとうございました。

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