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なぜ売買春してはいけないのか
http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/117.html
投稿者 下半身 日時 2003 年 6 月 01 日 18:34:20:TYe6Fo7hpu4II

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  教養大学 第155号 発行:永井俊哉 http://nagaitosiya.com

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《目次》

☆ 名称変更のお知らせ
☆ 今月のレクチャー「なぜ売買春してはいけないのか」
☆ 関連バックナンバー紹介
☆ 参考文献
☆ 圧縮ファイルのダウンロードについて
☆ 今月の新刊書紹介
☆ 発行者へのメールの書き方


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☆ 名称変更のお知らせ


本誌は、2000年9月以来、「教養大学」という名称を用いてきましたが、正式
の大学でないのに、「…大学」という名称を用いることは、学校教育法第83条
の2に抵触する恐れがあるとのことです。ある読者さんの指摘で初めて知りま
した。

各自治体が認可も受けずに設立している「市民大学」とか「老人大学」とかを
見ればわかるように、この法律は厳守されていないようです。ただ、将来、私
のメルマガに登録すれば、私から学位がもらえると勘違いする「被害者」が出
ないとも限らない(そんな人、本当にいるのかな?)ので、今後、「教養大
学」という名称は使わないことにします。

それで、新しい名称をどうするかなのですが、メールマガジンの名称としては、
7月に出版する予定の本のタイトルと同じ「縦横無尽の知的冒険」を、サイト
の名称としては、ドメイン名と同じ「永井俊哉ドットコム」を、使うことにし
ます。

名前が変わっても、中身は変わりませんので、今後もよろしくお願いします。
あと、次回から、「縦横無尽の知的冒険」というメルマガが来ても、スパムと
勘違いして、メルマガ発行機関に苦情を言ったりしないでくださいね。


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☆ 今月のレクチャー


なぜ売買春してはいけないのか


現在日本では、売買春は法律で禁止されている。そして、多くの男たちは、
「買春は悪だ」と、少なくとも頭では理解している。体が言うことを聞くかど
うかは別として。では、この長く信じられてきた価値観に根拠はあるのか。は
たして、「誰にも迷惑をかけずに、お互い自由意志で合意してやっているのだ
から、なーんにも悪くないじゃん」と開き直る売買春肯定論者の主張を、説得
力ある理由を挙げて論破することは可能だろうか。いくつか候補を挙げて、そ
の妥当性を検討してみよう。

まず、売買春というよりも、売買春を含めたフリーセックス一般が抱えている
問題点から。

(1)売買春は、性病を蔓延させ、非嫡出子を産み出すので悪い

もしも、セックスが夫婦間でしか行われないのであれば、性病は配偶者にしか
感染せず、それ以上広がらない。これに対して、売買春がオープンに行われる
場合、不特定多数の客を相手にする売春婦がスーパー・スプレッダーとなって、
性病を蔓延させることがしばしばある。また、未婚女性が売春をする場合、避
妊に失敗して非嫡出子(婚外子)を産むリスクがある。最初に思いつく「合理
的な」理由はこんなところだ。

だが、こうした理由で売買春を法的に禁止することはできない。法律で売買春
を禁止しても、アングラマーケットで売買春がはびこるだけである。それなら
ば、公的機関が売春宿を経営した方が、性病予防や避妊用具の着用などが徹底
されるので望ましいということになる。少なくとも、性病や避妊についての知
識のない女子高生が、ふらふらと路上で援交オヤジを探す場合よりも安全であ
る。また、暴力団などに流れていた金を、公共の利益のために使うことができ
るというメリットもある。

戦前の日本では、こうした理由から、公娼制度が作られた。にもかかわらず、
戦後、公娼制度が廃止され、売春防止法が施行され、今日に至るまで「公営吉
原」を作ろうという動きが政府に出てこないほどに売買春が忌み嫌われている
のはなぜなのか。将来、着用を感じさせないほど薄くて、しかも絶対に破れる
ことがない究極のコンドームが発明されて普及し、性病問題と妊娠問題が解決
されたとしても、たぶん売買春が悪だという価値観が変わることはないだろう。
それはなぜか。

ここで、「買春」という言葉を聞いただけで、目をつり上げるフェミニストに
登場してもらって、御説を拝聴しよう。まずは、いかにもフェミニスト的な理
由から見ていこう。

(2)買春は、男の女に対する経済的優位の象徴だから許せない

たしかに、男が女より平均的に収入が高いからこそ、男は高値で女を買うこと
ができる。ただ、売買春で男女間の経済格差が広がるわけではなくて、むしろ
逆に小さくなるのだから、この命題からは、男女の経済格差を是正すべしとい
う当為が帰結しても、買春を禁止すべしという当為は帰結しない。

(3)買春は、女を男へと隷従させる性的奴隷制度だからけしからん

「性的奴隷」というのも、フェミニストたちがよく使うレトリックであるが、
売春婦を奴隷扱いすることは奴隷制度に対する根本的な誤解である。奴隷は、
24時間365日自由を持たないが、売春婦が自由を持たないのは、勤務時間中だ
けである。発展途上国には、性的奴隷に近い女たちがいるが、これは売買春と
いうよりも人身売買であるから、別の問題である。ともあれ、日本の売春婦の
ように、生活のためにやむをえずではなくて、ブランド物を買うためとかプチ
家出のためとかの理由で、時間の一部を売春に当てて金を稼ぐことは、いかな
る意味でも奴隷的ではない。もしも日本の売春婦が奴隷なら、すべての労働者
は、勤務時間中自由を失っているのだから、顧客の奴隷ということになってし
まう。

結局のところ、フェミニストたちの攻撃の矛先は、買春の原因となっている男
女の経済格差に向けられていて、女の売春行為そのものに対しては、フェミニ
ストは意外と寛容であったりもする。実際、あるフェミニストは、女は売春し
てもよいが、男の買春は悪だなどと言っている。これは、「片手で拍手しろ」
と言っているのも同然ではないのか。買い手を否定して、どうやって売れと言
うのか。

ここで、フェミニストよりも、もっとピュアに売春を憎むロマンチストに登場
してもらって、御説を拝聴しよう。

(4)売春は、愛がない金目当てのセックスだから卑劣だ

なるほどロマンチックだ。では、若い美人が、遺産目当てに、本当は愛してい
ない年寄りの金持ちと結婚することは、卑劣な売買春として法的に禁止すべき
なのか。これは極端な例だが、それにしても、経済的なことを考えずに、愛だ
けで結婚するカップルがどれだけいるだろうか。専業主婦志望の女性は、相手
がハンサムかどうかよりも、収入が多いかどうか、あるいは学歴が高くて将来
出世しそうかどうかということを重視するのではないのか。売春婦の中にも、
趣味と実益を兼ねている人がいて、相手が好みのタイプだと、「ラッキー!」
とか言って、愛のこもったセックスをすることもあるのではないのか。こうし
たことを考えると、専業主婦は終身雇用の専属社員で、売春婦はパートタイム
の派遣社員という就業形態の違いはあっても、ともに「セックスでメシを食
う」という点では変わりがないということになる。いずれにせよ、愛があるか
ないかでは、合法的な専業主婦と非合法の売春婦を区別することはできない。

(5)売春は、体を物のように売るので、非人間的な職業だ

これもロマンチストがよく口にするせりふだ。(3)と似ているように見える
が、(5)が性と人格の分離を批判しているのに対して、(3)は人格までが
性とともに売られることを批判しているのだから、立場が違う。では(5)は
正しいか。答えは否だ。(5)を主張する人は、「商品=財」という誤解をし
ている。サービス業を考えればわかるように、物の移譲がなくても交換は成り
立つ。しばしば売春のことを「体を売る」と表現するが、臓器売買のように、
文字通り肉体の切り売りをしているわけではない。たんに肉体を用いたサービ
スを売っているだけである。そして、言うまでもなく、肉体労働自体は悪くな
い。では、売春は、客の肉体に触るから、汚らわしい肉体労働なのか。そうで
はない。マッサージ師は、売春婦と同様に、客の体に手で触れて、客に肉体的
な快楽を与え、それで金を稼いでいるが、売春業のように「醜業」扱いされて
いない。マッサージ業との違いを強調するならば、(5)は次の段階に移行す
る。

(6)売春は、客の性器と接触する肉体労働なので、猥褻で穢れた職業だ

なにやら中世以来の触穢思想を髣髴とさせる差別的言説だが、もしこうした触
穢思想を応用するならば、医師や看護婦(看護士)も「猥褻で穢れた職業」と
いうことになってしまう。例えば、看護婦は、盲腸切除手術を受ける男性患者
のパンツを下ろし、片手で男のあそこをつまみ上げ、ジョリジョリと陰毛を
剃ったりするではないか。もっとも、ある看護婦の話によると、男性患者の陰
毛を剃る時には、まず腹部の方の毛から剃り始め、そして、剃っているうちに、
陰茎が起き上がり、腹部を覆うようになると、次にそれまで隠れていた部分の
毛を剃り、かくして終始陰茎に手を触れることなく、すべての陰毛を剃るとの
ことである。実に手際のよい職人技だ。但し、これは、魅力的なナースさんで
ないと使えないテクニックだが。

ついついマニアな話をしてしまった。細かい描写を省くが、これ以外にも、乳
がんの検査と称して男性の医師が女性患者の乳房をもんだり、産婦人科の医師
がヴァギナに手で触れたりなど、医療現場では、風俗店もどきの接触行為が行
われている。私は行ったことがないのでよく知らないが、イメクラのメニュー
に「剃毛プレー」とか「乳がん診断プレー」とかあっても不思議ではない。に
もかかわらず、誰も医師や看護婦(看護士)を「猥褻で穢れた職業」とは言わ
ない。だから、売春と医療行為を区別するためには、(6)は、「売春は、性
的快楽を与えるために客の性器と接触する肉体労働なので、猥褻で穢れた職業
だ」と書き換えられなければならないが、これは、「売春は、売春なので、猥
褻で穢れた職業だ」というのも同然で、なんら理由を示したことにならない。

以上、売買春を悪とみなす様々な説を検討したが、いずれも説得力に欠けてい
る。売春婦をすると経歴に汚点を残すとか、周囲から白い目で見られて精神的
な傷を負うなど、世間が売春を悪とみなすことによる二次的な弊害を指摘する
人もいるが、もちろん、それらは、売春が悪であることの一次的な理由にはな
らない。たまねぎの皮をむくように、一枚一枚見せかけの理由を剥いでいった
結果、最後に残るコア、売買春に対する抵抗の最後の砦は何なのか。私がたど
り着いた結論は、こうである。

(7)売買春の合法化は、セックスの希少価値を損なうので問題がある。

売買春の報酬は、他の職業で素人の女性が受け取る賃金よりも破格に高い。こ
れは、セックスの希少価値が高いからであって、有用性価値が高いからではな
い。その証拠に、援助交際がブームになった時、素人の女子高生の方がベテラ
ン売春婦よりも高値で売れた。なぜ、ベテラン売春婦とは違って、セックス・
テクニックが皆無で、ただマグロやっているだけの、しかも体が未熟でおいし
くない素人の女子高生が高く売れるかといえば、それは多くのオヤジが、「素
人の女子高生は処女だ」と信じているからである。現在、オヤジたちは、これ
が幻想に過ぎないことに気がつき、「本当の処女」を求めて女子中学生を漁り
始めている。オヤジが、これだけ処女にこだわるのは、言うまでもなく、経験
者よりも処女の方が、希少価値が高いからだ。

もしも売買春が合法化され、売春婦になることが経歴上のスティグマでなくな
ると、現在よりも多くの女性が売買春市場に参入して供給過剰となり、売春料
金は、通常のマッサージ料金と同じ水準にまで暴落するだろう。これは、麻薬
を合法化すると、麻薬の価格が通常の薬の水準にまで暴落するのと同じことで
ある。将来、(1)から(6)で指摘した問題が解決されたとしても、すなわ
ち、コンドームの技術革新のおかげで、性病が蔓延したり、非嫡出子が続出し
たりしなくなったとしても、男女の経済格差が縮まって、フェミニストたちが
おとなしくなったとしても、売春婦に対する社会的偏見がなくなったとしても、
否、むしろこうした売買春へのあらゆる障害がなくなればなくなるほど、そし
て素人が気軽に売春できるようになればなるほど、セックスの希少価値がなく
なるので、(7)の問題は深刻になる。

規制緩和による価格破壊で打撃を受けるのは、売春婦だけではない。同じく
「セックスでメシを食っている」専業主婦もデフレの危機に晒される。いつで
も、安く、簡単に女を買うことができるようになれば、男たちは、もはや性的
快楽のためだけに結婚する必要はなくなる。そうなれば、専業主婦志願の女性
たちは大量に売れ残ることになる。では、女性たちが買春合法化反対を叫ぶの
は、日本の稲作農家が、米の輸入自由化に反対する場合と同じで、規制緩和に
よって業界の既得権益が侵されることを恐れているからなのだろうか。

規制緩和で専業主婦が減るだけなら、何も問題はないし、むしろ女性の自立と
いう観点からは望ましいと考える人もいるだろう。だが、セックスの希少価値
が下がることによる弊害はこれだけにとどまらない。売買春を合法化しても、
婚外交渉を肯定しない限り、既婚の男女は売買春ができない。結婚してしまう
と、未婚の時のように、いつでも、安く、簡単に女を買う「セックス・オン・
デマンド」が享受できなくなるということになれば、「子供も欲しいが、それ
以上にいろいろな女と一生遊び続けたい」という選好を持つ男たちは、結婚し
なくなる。そうすれば、そうした男が作るであろう子供の分だけ人口が減少す
る。戦前の日本では、妻が夫の買春を容認したために、公娼制度を作っても、
あまり独身者を増やすことにはならなかったが、現在のように、妻が夫の不倫
に寛容でなくなると、そういうわけにはいかない。

キリスト教徒が、売春だけでなく、オナニーや避妊や同性愛を禁止するのは、
生殖を目的としない、性的快楽だけを求めた非本来的な性行為は、「産めよ、
殖えよ、地に満てよ」という神の人間に対する祝福に違反するからだと考える
ことができる。キリスト教に限らず、性道徳の背景には、人口増加を善とする
思想がある。婚前交渉を肯定して、結婚しなくても愛があればセックスができ
るようになれば、あるいは、売買春を肯定して、結婚しなくても金さえあれば
セックスができるようになれば、結婚するカップルが減り、それは結果として
少子化を促進してしまう。

では、売買春がお金を媒介としない婚前交渉よりも嫌われるのはなぜか。それ
は、相思相愛の婚前交渉は、物々交換一般と同様に、「私が欲望する商品の所
有者が、私が所有する商品を欲望している」という欲望の偶然的な二重の一致
を必要とするために、成立が困難であるが、貨幣というコミュニケーション・
メディアが媒介すれば、片想いでも簡単に交換が成立する、つまり、売買春は、
婚前交渉よりも成立が簡単で、それだけセックスの希少価値をより大きく下げ
るからだ。

私の結論は、売買春の合法化は人口増加を抑制し、種の存続を危うくする(あ
るいは少なくともそう信じられている)から非難されるというものだ。もちろ
ん、私たちは、本当に人口の減少が望ましくないのかどうかを疑わなければな
らない。日本をはじめとする先進国では、少子化が社会問題となっているが、
発展途上国では、人口増加は悩みの種である。そうした国々に対しては、人口
抑制政策の一環として、売買春を未婚の男女に限り合法化してみてはどうだろ
うかと提案したくなるが、発展途上国ほど、性病予防や避妊が不徹底なので、
売買春の合法化は、性病の蔓延や意図せざる出産の増加をもたらしてしまう。
ここに売買春合法化が直面するディレンマがある。


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☆ 関連バックナンバー紹介


◎ なぜ人は性器を隠すのか
http://www.nagaitosiya.com/lecture/0148.htm

私たち人間は、自分の性器が他者、とりわけ異性の他者に見られることに強い
羞恥心を感じる。植物は、自分の性器である花を、それこそ「はなばなしく」
誇示し、動物も、自分の性器の露出を恥ずかしいとも何とも思っていない。な
ぜ人間だけが恥ずかしそうに自分の性器を隠さなければならないのか。…


◎ 交換としての結婚
http://www.nagaitosiya.com/lecture/0083.htm

前近代社会においては、結婚は家父長間での女性の交換であった。では、現在
行われているように、個人としての男女が、自らの意思で行う恋愛結婚は、ど
のような意味で交換なのだろうか。…


◎ 結婚制度は将来どうなるのか
http://www.nagaitosiya.com/lecture/0030.htm

今日我々は、男女が個人的に自由恋愛を通して結婚することをあたりまえと考
えているが、前近代社会では、個人レベルの恋愛と社会レベルの結婚は、次元
が異なるとみなされていた。これに対して、市場経済を特徴とする近代工業社
会では、個人レベルの恋愛と社会レベルの結婚が一体となった。これはなぜな
のか。…


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☆ 参考文献


◎ 買売春解体新書―近代の性規範からいかに抜け出すか
SEXUAL RIGHTS PROJECT (編集)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4806804185/n08-22/ref=nosim


SEXUAL RIGHTS PROJECTが企画・主催した連続セミナー「風俗産業を考える」
の講演内容をまとめたもの。前半は、援助交際をめぐる上野千鶴子と宮台真司
との対談。コミュニケーション・スキルがなくて、買春によってしかセックス
できない男を「性的弱者」と位置づける宮台に対して、上野は、性欲を満たし
たければ、マスターベーションしろと言う。『噂の真相』という雑誌が上野と
宮台の関係をほのめかす記事を書いたそうだが、この対談を読んでいると、上
野が、熟女好みの宮台を誘惑しているような印象を受ける。後半では、藤井誠
二のレポートが面白い。


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☆ 圧縮ファイルのダウンロードについて


メールマガジンでは、圧縮ファイル・ダウンロードのサービスが3月末で終了
することをあらかじめ通知していましたが、ウェッブサイトでは、通知するこ
とを忘れていました。4月以降、知らずにメルマガに登録した読者に対してお
詫びすると同時に、次回の7月1日までに、最新版の圧縮ファイルがダウンロー
ドできるようにします。


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☆ 今月の新刊書紹介


◎ パスワード
ジャン ボードリヤール (著) 2003年3月出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757100906/n08-22/ref=nosim


ジャン・ボードリヤール、20世紀のフランスが、というより世界が生んだ大い
なる知性の一人である。1960年代末から70年代にかけ、『物の体系』『消費社
会の神話と構造』などの著作を世に問い、物を物理的存在としてではなく、記
号として消費してゆく現代社会の構造を分析した。その後はシミュレーション
論などで注目され、また、湾岸戦争や米同時多発テロに際し挑戦的な論考を発
表。近年は写真家としてベネチア・ビエンナーレにも出品するなど、つねに独
特のスタンスで社会を見つめ、対峙してきた思想家である。その思索の精華が
1冊にまとめてつづられるという。信奉者ならずとも、気になる書物であるこ
とは間違いない。

本書は「モノ」「象徴交換」「誘惑」「ヴァーチャル」「運命」「終末」など、
ボードリヤールの哲学を支えるさまざまな単語を、かれ自身がもう一度語りな
おす、という形式を取る。ビデオ作品が基になっているというが、映像の単な
る活字化ではなく、きわめて研ぎ澄まされた言葉の集合体になっている。これ
自体、ひとつの哲学書であるといっていい。

各章はおおむね数ページのうちに収まっており、1冊の分量も多くはない。
「入門」には最適だろう。とはいえ、安易な自作解説を期待してはならない。
コンパクトにまとめられたからといって、それであっさり分かってしまうほど
ボードリヤールは親切でもないし、浅薄でもないのだ。そこにあるのは明快な
用語説明などではなく、いわばことばの洪水である。「人間はすでに精神的、
文化的なクローン」「世界という宿命的な幻想」「終末の不在」…尖鋭的で、
過激ともいえるレトリックと逆説の迸りに読者は改めて飲みこまれるだろう。
この本ではじめてボードリヤールにまみえる人はなおさらだ。

だが、哲学とは本来そうしたものではなかろうか。翻弄され、押し流された先
につかみとるのでなければ、それはただの情報であろう。思想めかした情報が
幅をきかせる新世紀にあって、本書が突きつけるものはいっそう大きく、深い。

(Amazon.co.jp の書評から)


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☆ 私にメールを書くには


メールアドレスは以下のように公開用と非公開用の二つあるので、目的に応じ
て、どちらか一方を利用してください。

◎ public@nagaitosiya.com

学問的な質問をするなど、メルマガやウェッブ上にメールの内容を公開しても
かまわない時は、このメールアドレスを使ってください。実名を掲載して欲し
くない時には、ハンドル(筆名)を書き添えてください。掲載するかどうかは、
私が判断します。

◎ private@nagaitosiya.com

私への仕事の依頼など、メールの内容を公開されると困るプライベートなメー
ルの場合は、このメールアドレスを使ってください。このメールアドレスで学
問的な質問をしても、お答えいたしませんので、あらかじめ御承知お願いしま
す。

◎ 質問の際の注意事項

1.私のコンテンツに関する質問にのみ答えます。
2.質問対象となるページのURLまたはメルマガの号数を明記してください。
3.質問対象となるページが複数の時は、ページごとにメールを分けて
  質問してください。
4.引用箇所は、山括弧“>”を付けずに、「」記号で囲んでください。
5.なるべく、段落内で改行しないようにしてください。


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☆ 注意事項


◎ このメルマガは転載自由です。今回のテーマに興味を持っていそうな友人
にこのメルマガを紹介してくれればありがたいのですが、他人のメールアドレ
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くできます。但し、転載/引用する際には、http://nagaitosiya.com で始まる
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せん。登録と解除は、トラブル防止のために、自分自身でおこなってください。
メールアドレスを変更した場合にも、自分で、旧メールを解除した後、新メー
ルで登録し直してください。


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☆『教養大学』は、以下のシステムにおいて発行されています。
解除と登録は、以下の各サイトで直接できます。

◎ まぐまぐ
http://www.mag2.com/m/0000044252.htm
◎ メルマガ天国
http://melten.com/m/657.html
◎ カプライト
http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/751.html
◎ メロンパン
http://www.melonpan.net/mag.php?000338
◎ Macky!
http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=culture
◎ E-Magazine
http://www.emaga.com/info/culture.html
◎ Melma
http://www.melma.com/mag/76/m00001576/
◎ Tiara(まぐまぐと統合される予定)
http://www.tiaraonline.com/magazine/magdetail.asp?MAGID=m101056


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