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西洋世界は物質主義というより「物質とスピリチュアリティー」の分離的対立
http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/195.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 6 月 08 日 15:49:37:

(回答先: Re: あっしらさん、如往さん、ちがうちがうちがう! 投稿者 えくぼ 日時 2003 年 6 月 07 日 09:22:12)


えくぼさん、こんばんわ。

貴重なご提示ありがとうございます。

北米先住民の生存様式や価値観は、ぽつりぽつりと出ている書籍や阿修羅サイトの投稿を通じて窺い知る範囲ですが、宇宙的霊性と自然や生身(有限的肉体)性を調和的に融合させたものではないかと考え関心を持っています。

「materializm(物質主義) vs spirituality(スピリチュアリティー)」という対立軸を設定することは現実認識として意義があると思っていますが、そのような西洋世界的切り口で裁断することには違和感を覚えます。

西洋世界は、スピリチュアリティーを理解できないのではなく、スピリチュアリティーと物質を対立的要素として分離させていることに隘路があると見ています。
そして、そのような世界観は、歴史的に見れば、ごく狭い領域で浸透したものであり、「近代」になって世界化したということができます。

西洋世界は、哲学的にもイデア−リアル・主−客といった二元論が伝統的です。(近代でも合理論と経験論という“不毛”な対立もあります)

キリスト教神学においては、異端とされながらも、宇宙観を基礎とした霊魂と肉体の二元論が13世紀まで隆盛を誇っていました。(福音書そのものにも二元論を誘発するものがあります)
能動的信仰者である修道士やフリーメイソンは、正統派のそれではなく、異端の二元論的宇宙観に近いものに引き寄せられていたというのが実態です。

二元論を否定するわけではありませんが、不浄な肉体から始まって悪魔的な可視的世界といった観念が生じ、脱俗的共同体や階層的教団における“完成者”というエリートを生み出す土壌になっていたと思っています。
“不浄なる部分”をできるだけ身から削り落とし、生存に必要なその部分を他者に代行してもらうことで秘儀や奥義を極めて「永遠の生」を得るというかたちは、外部に迷惑をかけないのならどうぞご勝手にとしか言いようがないものです。
(スピリチュアリティーを見つけ出し、自己のものにできるという考えは理解できますが、その手法が知や秘儀だというところがギリシア−近代の流れを彷彿とさせます。それでも、支配−隷属の関係を要としたカソリックの信仰形態よりは好ましく思っています)

北米先住民が、スピリチュアリティーと生身(物質)性を生存様式のなかでどのように融合させているかを知ることができればと思っています。
(スピリチュアリティー自体が、観念的に練り上げられたキリスト教のそれとは大きく異なり、どちらかと言えば縄文的なものに近いと思っています)

>アナキズムですが、これも北米先住民(特に東部系)の政治文化の勉強から立ち上
>がったんです。彼らは「権力」=「強制契機」という概念を持たない、政治文化だっ
>たんです。

不勉強なので、アナーキズムが北米先住民からどの程度のものを取り入れているかはわかりません。

ルソーが北米先住民の影響を受けたことは聞き及んでいますが、プルードンは、ルソーの「社会契約論」に触発されたとはいえ、その危険性(抽象的な関係性と自己譲渡性)や無効性(契約をしない自由の正当性)ゆえに批判しています。プルードンは、フランス革命前の共同体構造を基礎に王−貴族制を取っ払った発展形態を考えていたようです。

バクーニンやクロポトキンは、祖国ロシアのミール共同体の相互扶助性を基礎に理論を構築しています。(ロシアの精神風土は西洋世界よりもアジア世界に近いものです。それが、日本のインテリにロシア文学への親近感をもたらした要因だと思っています。ロシア人が日本人と同じように近代的自我を確立しにくい所以でもあります)

シュティルナーは、ヘーゲル左派の流れを汲むものですから、絶対的自我という観念を拠り所に理論を展開しています。

アナーキズムは、総じて、近代的民主主義や「法の支配」について懐疑的な姿勢を見せています。

自分の言葉だけで説明し、マルキシズムやアナーキズムなどを持ち出さないほうがいいとも思っています、みなさんとある程度共有できる考え方を基礎に議論するのもいいことかなと思っています。
北米先住民や縄文の世界観や価値観がそのような共通的了解の対象になっていないのは残念です。

マルキシズムは近代主義そのものですが、アナーキズムには、国家権力や経済システムという強大な力が内外から襲うかたちで現実化された「近代」をなんとか跳ね返したいという思いを汲み取ることができます。


>これが白人にはさっぱりわかんないわけ。デカルトモデルの世界観、機械主義的還元
>主義の物資主義の世界観だからね。だから、万人平等ということまでは取り込めたけ
>ど、人間も動物も木も、風も、星もすべてspiritとして対等なんだあ、ってことはど
>うにも感受性が追いつかないわけ。瞑想したこと無い文明だからね。瞑想するとわか
>るのよそんなことね。でも白人さんはぜんぜんそんな感じをつかめないわけよ、瞑想
>の技法なんてないんだからね。

カルヴァン派であるピューリタンが北米先住民のスピリチュアリティーを理解するのは困難だっただろうとは推測できます。(因果論を否定的に捉える予定説のピューリタンがデカルトモデルの世界観を持っていたとは思いませんが...)

白人とは?という話になりますが、コーカサスを故地とする人たちと考えると、欧州に定住する前は遊牧的な生存様式ですから男性優位や戦闘をいとわない価値観が醸成されたことは理解できます。
故地がどこかは知りませんが、先住のケルト人は、ケルト神話に見られるように、実にスピリチュアリティーに富んだ価値観を育んでいます。

ケルト的価値観は“魔女狩り”などを通じて抑え込まれ、近代史のなかで民族的スピリチュアリティーを高らかに掲げたゲルマン的価値観も、二つの欧州大戦を通じて否定されました。

貴族や聖職者そして学者といった支配階層は、自身が頭の中に作り上げた観念が阻害するため、北米先住民のスピリチュアリティーを理解できないとしても、“無学”の白人農民は理解できるだろうと推測します。(瞑想ではなく、自然とのかかわりの生活体験ではぐくまれた心情で)

教育過程やメディアを通じて近代的な世界観や価値観を獲得している現代の非支配層に属する多くの人たちも、北米先住民のスピリチュアリティーを理解できなくなっているかもしれません。
ギリシア哲学やユダヤーキリスト教の流れから離れ、ケルト共同体やゲルマン共同体が持っていた価値観を残滓からでも再構築すれば、北米先住民のスピリチュアリティーの理解も可能ではないかと思っています。
(これは、現在の日本人にも投げかけられた課題です)


>彼ら権力エリートが目指しているのは徹底した独裁だよ。現状の民主主義すら、維持
>する気はまったくないんだよ。目指すは超少数のエリート権力体制以外の何物でもな
>い。米憲法に宣言されている、万人平等の思想は風前の灯火なんだよ。物質主義の病
>理が頂点に達しているってこと。わかってよね。

不謹慎な言い方になりますが、この期(「近代」の終焉過程)に及んだら、目に見えるかたちで「超少数のエリート権力体制」を志向して欲しいと思っています。
そのような現実を目の当たりにして、人々がどう考えどう行動するかが見えるからです。

しかし、狡猾で知略には長けている世界支配層が、そのような危険を犯すとは思えません。

権力エリートは、現状の虚構ないし信仰対象の民主主義をベースにした独裁を目指している(実現している)と考えています。
剥き出しの支配−隷属の関係や独裁は、余計で面倒な軋轢を生み出すだけで、効率的な独裁にとっては不利益です。
語り口が微妙に違う複数の政治勢力を選択肢として提示し、自分たちが選択した者たちが政治権力を動かしているという幻想を人々に与えるほうが独裁を合理的に進められ、国策を誤っても、究極的責任は自分たちを選択した主権者=国民にあると居直ることができます。

「米憲法に宣言されている、万人平等の思想」は、法の適用という抽象的な平等概念ですから、虚構の民主制度を維持するためにも、消失させることはないと考えています。


「超少数のエリート権力体制」が生まれるとしたら、不満を増大させた非支配層の熱望によるものだろうと思っています。
それも支配層のシナリオとしてそうなる可能性が大ですが、権力エリートが押し付けるのではなく、非支配層の多数派が熱狂的に“帝政”や“一党独裁”を迎え入れるかたちで実現されるはずです。

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