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参考:【「ロードマップ」は成功しない 】パレスチナの信託統治を検討せよ ―「ロードマップ」以降の解決策は何か [フォーリン・アフェアーズ]
http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/780.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 7 月 03 日 22:42:16:

(回答先: パレスチナは統一指導部の下、パレスチナ国家の目標を世界に知らしめよ 投稿者 sinken 日時 2003 年 7 月 03 日 20:37:03)


A Trusteeship for Palestine?

マーチン・インディク/元駐イスラエル米大使

 自爆テロと軍事的報復作戦の悪循環によって、イスラエルとパレスチナは奈落の底へと突き落とされつつある。新たに表明された「ロードマップ」和平案も、いずれ失敗するのは目に見えている。

  和平を阻む最大のジレンマは「パレスチナ側に責任ある交渉パートナーを誕生させ、パレスチナ治安部隊がうまく任務を果たせるようにしない限り、イスラエル側の責任ある対応も引き出せない」という点にある。必要なのは、ロードマップではなく、このジレンマを唯一うまく断ち切れる「信託統治」のための見取り図だ。イラク戦争によってワシントンが得た新たな影響力を中東和平の実現に向けて生かすためにも、ロードマップ崩壊後の信託統治案をいまから準備しておく必要がある。

<目次>
・「ロードマップ」は成功しない 公開中
・パレスチナの信託統治の見取り図
・信託統治と国際舞台の役割
・関係勢力の懸念にどう対処するか
・最終地位合意に向けて
・アメリカの決意を示せ

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「ロードマップ」は成功しない

 第二次インティファーダ(民衆蜂起)が起きてからすでに四年が経過しようとしている。血塗られたイスラエル・パレスチナ抗争史のなかでも特に熾烈な今回の暴力の応酬によって、すでにイスラエルとパレスチナは疲れ果てている。それでも紛争には出口が見えない。パレスチナの自爆テロとイスラエルの軍事報復作戦がつくり出す悪循環によって、いまや双方は奈落の底へと突き落とされつつある。

 一方、ジョージ・W・ブッシュ大統領の見立てどおり、イラクのサダム・フセイン政権の崩壊によって、中東和平に向けた大きな機会が生まれている。自分たちが次のアメリカのターゲットにされるのではないかと恐れるイランとシリアは、ハマスやパレスチナ・イスラム聖戦(PIJ)など、紛争を大いに煽ってきたテロ組織への支援を手控えようとしている。加えて、アメリカの後見の下で新生イラク政府が誕生すれば、アラブ世界のパワーバランスは、イスラエル・パレスチナ和平を支持しているエジプト、ヨルダン、サウジアラビアなど、アラブ穏健諸国へと傾斜していくだろう。

 サダムというテロ組織のパトロンの一人がいなくなり、過激路線をとるテロ支援国がおとなしくなれば、パレスチナ社会にとっても、テロ路線は魅力的選択肢ではなくなる。自分たちの大義や立場にとってもテロ路線が破壊的であることをパレスチナ側もすでに認識しつつある。

 多くの民間人を自爆テロによって失っているイスラエルも、経済危機が深刻化し、予備役にも戦争疲れが目立ってきている。先の見えない紛争から抜け出すために、イスラエルもイラク戦争の波及効果に乗じた魔法の杖のひとふりを期待している。

 ブッシュ大統領がこの外交的機会を生かし、アラブ・イスラエル和平を試みれば、持論である「二国家解決策」を中心とするコンセンサスを関係勢力間で築けるだろう(訳注:二国家解決策とは、イスラエルが一九六七年以前の国境線へと撤退し、パレスチナ国家の樹立を認めて共存していく、という選択肢のこと)。ブッシュ大統領が二国家解決策を最初に口にしたのは二〇〇一年の十一月。「安全を確保したイスラエルとともに、平和に暮らせる、独立したパレスチナ国家を樹立する」というビジョンを表明した大統領は、二〇〇二年六月にも、そうしたパレスチナは民主国家でなければならないとつけ加え、そのビジョンに深みを持たせた。イスラエルのシャロン首相も、イスラエル、パレスチナの民衆の大多数も、こうしたブッシュのビジョンを支持し、国際コミュニティーもこの考えに信頼をよせている。

 だが問題がある。このビジョンを実現するための効果的なメカニズムを大統領が持っていないことだ。たしかに大統領は、イスラエル、パレスチナの平和に向けた「ロードマップ」和平へのコミットメントを示している(訳注:「ロードマップ」和平案は、二〇〇五年までにイスラエルと平和的に共存できるパレスチナ国家を樹立するとともに、イスラエルとアラブ諸国間の関係を正常化して、地域的な平和を推進することを提案している)。ロードマップは、パレスチナを改革し、暴力主義に終止符を打ち、イスラエル国防軍(IDF)を撤退させ、入植活動を凍結し、暫定的な国境線を持つパレスチナ国家樹立に向けた暫定合意交渉を行うことを提案している。だが今回のロードマップも、テネット停戦案やミッチェル報告などの失敗に終わった過去の試み同様に、中東和平に向けたイスラエル・パレスチナ間の妥協を「相互主義的」に積み重ねていくアプローチを採用している。当然、失敗する可能性は高い。

 パレスチナに、暴力路線をとるテロ組織や武装集団を牽制できるような信頼できる制度が存在しないことが、そもそも最大の問題なのだ。そうした制度がなければ、IDFは撤退しようとはしないだろう。テロ行為をやめさせるために再占領したパレスチナの都市や町から出ていくことはない。「ロードマップが思い描く構想を推進するパートナーの役を果たせる主体がパレスチナには存在しない」。これこそ、和平に対する最大の障害であることを認識する必要がある。

 通称アブ・マーゼンとして知られるマフムード・アッバスが自治政府首相に任命されたことは朗報だ。しかし、アラファトは自分の権力を維持し、アッバスを陥れるためなら、なし得るすべてのことを試みるだろう。また、イスラエルに新たに誕生した中道・右派連立政権も、シャロン首相の政治行動を枠にはめようとするに違いない。イスラエルの指導者は、こうした困難な政治状況ゆえに、ロードマップの実施に必要な、詳細に関する交渉をできるだけ先送りしようとするだろう。

 パレスチナ側には、テロ組織を粉砕しようとする意思と能力を持つ治安部隊も、合意をとりまとめられるような信頼できる政治指導者もいない。一方、イスラエル政府も、現在の政治環境からみて、和平に向けた役割を柔軟にこなしていくのは難しい。とすれば、ロードマップが成功する見込みはあまりない。さらに悪いのは、ロードマップの実施に失敗すれば、その後、ブッシュ政権が、イスラエル・パレスチナ問題からは距離を置き、状況を放置しようとするかもしれないことだ。

 実際、アメリカでは大統領選挙が視野に入ってきているし、経済にもてこ入れの必要がある。そうでなくても、ワシントンは山積する外交課題で手いっぱいの状態にある。こうした政治環境下では、イスラエル・パレスチナ問題から距離を置く路線へと立ち返ろうとする誘惑はワシントンにとって抗しがたいものになるかもしれない。だがそのような路線は、悪いだけでなく、間違っている。

 イラクの政権交代には膨大な資源を投入し、一方で、イスラエル・パレスチナ間の暴力の沈静化にほとんど努力しないとすれば、イスラム世界全体での反米感情をますます高めてしまう。(パレスチナとの緊張した関係が続けば)イスラエルの経済再生も望めなくなる。そして、自爆テロと報復攻撃の悪循環による人的犠牲が、パレスチナ人とイスラエル人の生活に暗く、憂鬱な影を落とし続ける。そのような事態を放置すれば、ワシントンがこの地域で得た新たな影響力を中東和平に向けて行使する機会も失われてしまう。

 幸い、イラク戦争の成功によって得たアメリカの影響力をイスラエル・パレスチナ和平に生かすためのすぐれた方法がある。それに必要なのは、パレスチナの「信託統治」のための見取り図である。道のりはより険しくなるが、そこにあるのは直線道路だ。信託統治というアプローチは現大統領が考えている構想よりも野心的だし、むしろ、彼の父親が第一次湾岸戦争後に試みた、より大がかりな中東和平構想に近い。

 当時と同じような試みをするには、パレスチナの信託統治のための国際合意を形成しなければならない。信託統治は大がかりなプロジェクトだが、ロードマップとは違って、パレスチナに責任ある態度をとる政治パートナーを誕生させ、治安維持能力を形づくることもできる。そうなれば、イスラエル側の前向きな対応を引き出せるようになる。

 この数十年にわたって、アメリカは、「イスラエル・パレスチナ問題を解決する責任は紛争の当事者にある」という立場をとってきた。ワシントンの高官たちは、「アメリカその他の外部勢力にとっての妥当な役割は、当事者が直接交渉によってまとめた合意の実施を助けることにある」と考えてきた。しかし、いまや状況は変化している。直接交渉によって結実したオスロ合意は崩壊し、双方の力だけでは断ち切れない暴力の悪循環に陥っている。巧みな国際的介入がなければ、イスラエル人とパレスチナ人の犠牲者は増え続け、社会環境も悪化し続ける。イスラム世界におけるアメリカに対する不満と怒りも増幅され、今後のイスラエル経済の繁栄にも暗雲が立ちこめるようになる。

 東ティモール、コソボで信託統治枠組みが用いられ、すぐれた成果を上げていることに目を向ける必要がある。秩序の崩壊に続いて極度の社会混乱に陥ったこれらの地域は、外部の介入を必要としていた。また、ブッシュ政権はこうした介入概念を具体化しようと、サダム政権崩壊後のイラクにおいて、民衆がより代議的・民主的な新統治制度を確立できるような政治・警察枠組みを構築しようとしている。アメリカに十分な政治的意思があれば、イスラエル・パレスチナ紛争にも信託統治概念をうまく適用できるはずだ。

*全文はフォーリン・アフェアーズ日本語版6月号でご覧になれます。

Copyright 2003 by the Council on Foreign Relations, Inc. and Foreign Affairs, Japan


http://www.foreignaffairsj.co.jp/intro/0306indyk.htm

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