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現状のイラクは「ベトナム」よりも過酷な条件
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投稿者 あっしら 日時 2003 年 7 月 09 日 22:14:22:

(回答先: 海外派兵するなら交戦権を認めてあげないと。まず、その前に憲法改正が必要ですが。 投稿者 ジャック・どんどん 日時 2003 年 7 月 09 日 02:05:50)


ジャック・どんどんさん、こんばんわ。


イラク特措法(案)は、宣戦布告もなければ降伏という手続きもないまま、実態としてイラクを武力制圧している米英軍をサポートするためのものです。
(米国政権が戦争は終結したと言っているだけで、戦争が終結したかどうかも定かではありません)

政府はUN安保理決議第1483号を根拠に自衛隊及び文官を派遣しようとしていますが、第1483号決議は、米英政権がイラクを軍事制圧してしまったのだから、米英政権が戦時国際法に則りイラクの秩序とイラク人の生活条件を維持すべき(してもいい)で、できるだけ早くイラクの国家主権を回復しろというものでしかありません。
(イラクのクウェート侵攻と較べればわかるようにふざけた決議ですが、それが国際政治の現実です)

軍事行動を起こし制圧しているという現実をやむなく追認したというレベルのもので、加盟国全体に「人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行うこと」を求めたわけではありません。
日本は、UNからある種の義務とある意味でのお墨付きを得た米英をサポートするだけであり、UNから求められて派遣するわけではありません。

そのような経緯で上程されたイラク特措法は、否応なくイラクに対する軍事行動の合法性や正当性を問わなければならない法律なのです。


>自衛隊を海外派兵する場合、きちんと法的に交戦権を認めてあげないといけません。
>さもないと、自衛・正当防衛のために敵兵を殺した場合、殺人罪で起訴されて刑事事
>件として裁かれてしまいます。戦闘行為中に敵兵を殺して殺人罪に問われてしまっ
>て、軍隊といえるんでしょうか。交戦権を認めるためには、その前に、憲法改正を国
>民自らノ判断でしなければなりませんが。

今回のイラク派兵の場合、イラク政府及びイラク軍が機能していないと見られるので、交戦権が認められていても対応は複雑になります。
(交戦権は国際的な武力紛争の一環として戦闘を行なう権利ですから、なんらかの相手政府の存在が前提です)

イラクでは米軍に対する攻撃が連日続いていますが、それをイラク側の交戦権の発現と捉えることはできません。
不思議と言うか、巧妙と言うか、攻撃を仕掛けているイラク側勢力は明確な政治的目標さえ示していません。
(米英軍の存在が気に入らないから攻撃しているのだろうという推測はできますが、それによってどういう政治目的を達成しようとしているか不明ですから、ゲリラ攻撃だとかテロ攻撃だといった呼び方もできません)

イラク問題では「ベトナム化」といった声も聞こえていますが、南ベトナムの場合は、南ベトナム政府と南ベトナム政府軍が存在し、南ベトナムで明確な政治目標を掲げる南ベトナム解放戦線とそれを支援する北ベトナムがあり、現在のイラクとはまったく違う状況でした。
ベトナムの米軍にはサイゴンなどの“安全地域”と南ベトナム政府軍という“楯”があったのですが、イラクでは敵意を抱く人々の真っ只中に置かれストレートに攻撃を受ける状況にあります。
(アフガニスタンは、カルザイ政権や北部同盟があり、イラクよりは南ベトナムに近い状況と言えます)

端的に言えば、イラクは、軍事的に制圧しそれを通じて安全を確保しようとする勢力にとって、ベトナムやアフガニスタン以上に過酷な条件を背負っていることになります。

小泉政権は、米国がなんとかするだろうという甘い期待で自衛隊や文官を派遣するのでしょうが、まともな思考力がある政治家であれば派遣を断念する“案件”する。


長い前置きになりましたが、殺人罪は、国際的に非難されるような殺害を公務中に起こさない限り、日本政府(検察)が罪を問うことはないでしょう。(公務以外の殺人は別の問題です)

日本政府は、武力行使を「正当防衛」と「緊急避難」に限定することで可罰性を避けようとしていますが、「正当防衛」や「緊急避難」であっても殺人罪の構成要件を満たすので、法理論的に言えば、不起訴処分もしくは殺人罪で起訴され裁判を通じて罰が免除される(刑が軽減される)ことになります。

攻撃規定を明確に定めていれば、それに準拠した公務中の殺人である限り、「正当行為」として殺人罪そのものに問われなくなります。

日本政府が罪を問わなくても、占領統治機構が罪を問うことやイラク人などが国際的な裁判機構に訴える可能性もあります。

さらに言えば、現状のイラクを考えると、ファルージャの住民殺害が一つの引き金になったように、「正当防衛」・「緊急避難」・「正当行為」と考えて行なった攻撃であっても、“同害報復”に結びつくことが多いにあり得ます。(イラクは“同害報復”観念を持つ人が多い国です)
それに対抗すれば、さらに攻撃が増加することになります。

今後、ある範囲のイラク人が、出てゆきそうにもないので、自分たちの領土に武装して入り込んでいる者を撃退すると考えれば、派遣された自衛隊員は存在していることで攻撃の標的になります。
(政府が機能していない状況で国民の自決権を持ち出されたら、法理論で対抗することは困難ですから、剥き出しの力による解決しかありません)


日本政府は、国内法や国際法も通用しない戦争よりも対応が困難な地域に武装公務員(自衛隊員)を派遣しようとしていると考えたほうがいいと思っています。


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