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Re: 私も質問です:「小泉的破壊」の具体的な内容は何ですか?それによって、どのようなメリットがありますか?
http://www.asyura.com/0306/idletalk2/msg/1351.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 9 月 08 日 23:43:53:Mo7ApAlflbQ6s

(回答先: 私も質問です:「小泉的破壊」の具体的な内容は何ですか?それによって、どのようなメリットがありますか? 投稿者 エイドリアン 日時 2003 年 9 月 08 日 21:05:48)


エイドリアンさん、こんばんわ。


質問1.「小泉的破壊」の具体的な内容は何ですか?

A1:

端的には、何をさておき国民がより良き生活をおくるために糧(お金)を得る場であるはずの国民経済を、“才覚”がある者が利益を得る場であることに変えて行くことで、利益を得る場としてもダメにしてしまうことです。

国民全体が生活条件を高められる制度を敷くことで、“才覚”ある者の収入や利益も拡大できるという経済論理を忘れ去っています。
“才覚”ある者の収入や利益の拡大を優先する制度を敷けば、国民経済が縮小し、得られる利益も縮小していくという肝心な理屈が見えていません。

“才覚”ある者の収入や利益の拡大を優先する制度を敷くことでその他大勢の生活条件も後追い的にでも上昇するという経済論理が有効なら「小泉改革」を破壊的な政策といって指弾することはしませんが、「小泉改革」は、それを通じて経済を活性化させると謳っている“才覚”ある者の収入や利益の拡大まで阻害するものなのです。

戦後から80年初頭までは、国民全体の生活条件を向上させることを重要なテーマとして国策が進められ、勤労者が智恵を出し合って国際競争力で優れた製品を生産していくことこそがそれを実現する道だと考えていました。

税制・米価政策・国際資本取引規制政策・赤字財政支出などを通じて、勤労に励めば苦しいながらも生活条件を改善させることができるという制度が敷かれ、そのなかで貧富の差が生じるのは構わないという考えがベースになっていました。
もちろん、そのような政策が実効性をもったのは、米国を中心とした国際融資・技術移転・輸出受け入れを条件に、生産性を高めながら名目GDPも拡大していくことができたからですが、国内に国民全体の所得を高める政策が実施されていなければ、あのような高度経済成長は達成されなかったはずです。(これは、当時の西ドイツについても言えることです)

82年の中曽根内閣により米国のレーガノミックス及び英国のサッチャリズムの持ち込みがなされ、「戦後の総決算」を掛け声として、“才覚”ある者の収入や利益の拡大を優先する制度が志向され、金融取引を通じての利益獲得を当然視したり奨励する価値観が醸成されていきました。
このような政策と価値観が徐々に強まったのが、ここ20年間の日本の歩みです。

それが、バブルの形成と崩壊につながり、バブル崩壊後に長々と続いている経済不況から脱出する政策の現実化も阻害していると考えています。
国民多数派に回したお金は企業に戻ってくるものであり、そのような循環こそが個別企業や国民経済の利益に適うという論理が見えなくなってしまっています。

「小泉改革」は、国民経済を限定的な者が利益を得られる場という性格をさらに強めることで、多くの国民の生活を困窮化させるとともに利益が得られる者の数も減らしてしまう国民経済破壊政策です。


(田中角栄内閣が進めた地価本位的政策はここでは触れませんが、それがバブル形成を促進する一つの要因になったことは間違いありません。また、日本経済の長期的不振の大きな要因である銀行危機問題にまつわる陰謀もここでは触れません)

質問2.「人々の価値観が変わる」のは、具体的にどのような内容的変化を指しますか?
A2:

まずは、小泉的構造改革が国民多数に安寧をもたらす政策ではないという認識が広まることです。

小泉首相は、「改革なくして成長なし」と叫ぶだけで、「小泉改革」がどのような道筋で国民経済を改善するのかという論理を示していませんが、「小泉改革」を支持する人たちがそれなりの理論的根拠を示しているので、その妥当性を問う動きが大きくなると思っています。

その論議を通じて、国民経済は何のためにあるのか、“才覚”ある者が収入や利益の拡大を達成するために必要な条件は何かということが浮かび上がってくると期待しています。
現状の日本は、悪いといっても欧米諸国ほどではなく、多くの人が我慢できる程度のものです。
そのような状況では、財政支出でうまくいかなった90年代中盤の記憶もあり、他に納得できる選択肢も見当たらないなか、ある割合の人が、メディアや知識人がそれしかないと言っている「小泉改革」に期待してみようかという気持ちになるのは理解できます。

自分は大丈夫だと考えていた人たちの生活基盤が崩れれば崩れるほど「小泉改革」に対して疑念が抱かれるようになり、他の選択肢を模索する動きが強まるはずです。
(個人主義的価値観が優勢になっていますし、ひとのことを考えている余裕はありませんから、残念ですが、自分の身に火の粉が降りかかってこなければ、真剣に考えないという人もけっこういるでしょう)

理性を働かせて先行きを読める能力を持っていながら、現実が災厄に見舞われるまで気がつかないというのは無念ですが、それも致し方ないと思っています。

★ 参照書き込み

論理的な説明は端折っていますので、管理人さんがまとめてくれた『あっしらさん主要投稿全リスト』( http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/864.html )を少しずつ参照していただければ幸いです。

そのなかの「匿名希望氏との経済・財政問題をめぐる応答集」・【世界経済を認識する基礎】・【世界経済のゆくえ】をお読みいただければ、ここで書いた内容の論拠をご理解いただけると思っています。


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