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「亡国」とは...
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/668.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 12 月 08 日 23:58:56:Mo7ApAlflbQ6s


マルハナバチさん、遅くなりました。
他の事案でバタバタしていたこともありましたが、問い掛けにどう応えるのかで踏ん切りがつかなかったことも延び延びになった原因です。
(いつでもいいよ、というやさしい言葉にも甘えて...)


あっしら:
「大きな声では言いたくないのですが、残念ながら、日本は亡国すると思っています。
膨大な犠牲と大きな破壊を被った大東亜戦争は“敗戦してそれでよかった”というものになっていますが、そのようなものでは済まないとんでもない状況になると予感しています。」

マルハナバチさん:
「オイルショックよりもえぐい程度の艱難は経るかもしれないと覚悟していたんですが「亡国」と表現されるほど厳しいご認識とは想いもしませんでした。亡国とはいったいどういう事態を意味するのでしょうか。
あっしらさんご自身も経験はされていない状況かと想うのですが、具体的にどのような状況と想起すれば当たっているでしょうか。」

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まず、「大きな声では言いたくない」理由から説明させてもらいます。

第一に、まだ間に合うからです。
あと2、3年のうちに舵を切り替えれば「亡国」から逃れることができると思っています。
そして、どういうように舵を取ればいいかをこの間書き続けているつもりです。それなのに、「亡国」についてあれこれ書くのはどうも気が進みません。


第二に、悪夢を現実に考える必要はないと思うからです。
手が打てる段階なのに、打つ手がなくなった先にある悪夢をあれこれ現実として思い悩むことはたいして意味がないと考えています。
太田龍氏など陰謀論者による家畜化論や奴隷論は、まったく意味がないとは言いませんが、“敵”を強大なものと妄想させると同時に“自分”を無力な存在だと思わせる危険性があります。


第三に、「亡国」状況を考えるのは自分自身がイヤだからです。
「亡国」について書こうとすれば、貧弱な思考力を駆使してあれこれイメージを膨らませなければなりません。
その過程で思い描く内容は心地いいものではありません。


と、いったことを前提に、「亡国」について簡単に説明します。

「亡国」であっても、日本という名称が付いた国家は存続します。

「亡国」とは、国家社会が統合や一体性を失ってしまうことだと考えています。

近代は、(経済的)社会と(政治的)国家が分裂していることが特質で、個人主義的で自由主義的に利益の獲得を競いながら活動する社会を国家機構が強制力や社会政策でなんとか統合性を維持するという構造になっています。

(共産主義国家では、強制力や社会政策による統合性の維持が先行し、諸個人は国家を維持する活動力として割り当てられる存在として扱われます。『世界経済支配層(国際金融家)が「社会主義(産業国有化)政策」に向かうわけ』( http://www.asyura2.com/0311/senkyo1/msg/769.html )で書いたように、これも近代の一形態です)

「亡国」に近い経験は先の戦争での敗戦でしょう。

しかし、敗戦は、上述の意味での「亡国」ではなかったと考えています。
だからこそ、様々な価値観に立脚する政治勢力のほとんどが「あれでよかったのだ」という総括で済ますことができたはずです。

大東亜戦争には様々な評価がありますが、国民国家としての日本が、戦争を遂行するため、強い統合性と一体性を維持していたことは確かだと思っています。
戦後の経済的困窮のなかで家族や自分が生き延びるために他者を省みないところまで追い詰められる状況もありましたが、経済の復興とともに統合性と一体性が回復し、それが高度経済成長にもつながっていきました。
敗戦によって国民国家日本の統合や一体性が失われることはなかったという見方です。

(高度経済成長の終焉でもあったオイルショックも、不足が懸念される物への殺到(過剰確保)があったくらいで、艱難と言えるほどではなかったと思っています)


戦前・戦中・戦後混乱期・高度成長期・オイルショックのいつでも、経済社会は、国家機構とつながった優位者と身一つをよすがに糊口をしのぐ劣位者で構成され、それを虚構の説明で“共同体”(=国家)であると思わせてきたのですが、そう思わせることができる現実があったことも確かです。
国家は一蓮托生の共同体であるという観念が、冗談ホイホイと馬鹿にされるのではなく、一定の共感をもって多くの人に受け入れられる現実でもあったと思っています。

占領国ないし支配国米国は日本の国家機構のその上に君臨するものですから、そのような存在があっても、日本という国家の統合や一体性に影響を与えるわけではありません。
戦後日本が失ったのは支配層や国家機構の独立主権性であって、国民の統合や一体性ではありません。
それどころか、敗戦後からバブル崩壊まで、米国の対日政策が国家的統合を支えてきたとも言えます。
米国に支えられた戦後復興がなければ、経済社会の分裂がそのまま噴出して統合を失っていたか、強権的な国家(共産主義や国家主義)として統合を維持することになったはずです。


バブル崩壊の日本を「第2の敗戦」と呼ぶ人もいますが、「亡国」という観点から言えば、先の戦争の敗戦より現在のほうが深刻な状況だと思っています。

敗戦は精神的にも物質的にも一気の瓦解をもたらし、1年ほどの悪化期間を経た後は、将来に希望が持てるようになりました。敗戦混乱期はほぼ5年で解消され、その後は頑張れば隣近所や同僚が揃って生活が豊かになっていきました。

90年以降の日本は13年間も希望が見えない状況が続き、ここ数年は、改革の名のもとに希望どころか不安をひしひしと感じざるを得ない現実に投げ込まれています。
多くの人が、なんとか隣近所や同僚から脱落しないようにと頑張っている状況です。

日本は、バブル崩壊後だらだらと長い“敗戦”の真っ只中にあるとも言えます。
このだらだらと長い“敗戦”では、人々の価値観を変え国家の存在意義を変容させる過程が同時進行し、自由主義と市場原理主義を基礎にした金融利得尊重の価値観がじわじわと浸透しています。
(戦後混乱期のように家族と自分がなんとか生き延びるために切羽詰って不法行為をやるというものではなく、個人的利益を増やすために他者から吸い上げる行為が合法のお墨付きのもとでできる、そして、それができる人こそが優秀という考えが、日本の復活のために必要という理屈に保護されて浸透しています)

経済的事由で自殺している人が2万人近くいたり、ホームレスが13万人いるという現実は政治的にほぼ無視されているのが現在の日本です。
(言葉にはしないものの、経済的困った人は死んでもらったほうがいいとか、社会的落伍者は目に付かないところで邪魔にならないようひっそりに生きて勝手に死んでいって欲しいという本音が見え隠れしています)
若年者の失業率が15%から20%という問題も、それが社会秩序にどれほどの影響を与え、今後の日本にどれほど深刻な影響を与えるかということもまともに論議されていません。


“敗戦”が激発のかたちになっていないのは、今なお維持されている貿易収支の黒字が支えになっているからです。

貿易収支が赤字に転換し失業率が10%を超え若年者の失業率が30%といった社会状況と新自由主義的価値観及び「構造改革」が結びついた日本がどのような姿を晒すことになるのかを考えると、それは「亡国」だなと思わざるを得ません。

新自由主義的価値観の現実化を是とする国家機構は、落伍者を邪魔者とみなし、引退した年金受給者を疎ましい存在だと考え、国策に異議を唱える人たちを破壊分子として強権的に押さえ込もうとするはずです。

さらに、「亡国」に関わる問題として、米英の「対イスラム戦争」に本格参戦する可能性を指摘することができます。

先の戦争では、将兵も日本の大義を信じて戦い、国民も彼らの戦いを支えるために必死に踏ん張りました。
しかし、「対イスラム戦争」に大義を信じて参戦できる自衛隊員はほとんどいないはずです。そして、国民の8割は戦争に反対し自衛隊の派兵にも反対しています。

不謹慎でおかしな言い方ですが、イラクなどで死んでしまった人はそれまでですが、イラクで戦闘を経験し、“敵”を殺したり自分の手足を失った人は日本に帰ってきます。
そう、ベトナム戦争後のアメリカ社会の分裂が日本でも起きる可能性が高いと思っています。(ベトナム戦争には共産主義を押さえ込むというそれなりの大義がありました)
米国の傭兵とした参戦した韓国のベトナム戦争後に近いものかもしれません。(韓国の場合も、経済的問題や南北問題で参戦は仕方がない考えが大勢でしたから、それ以上の軋轢を生むはずです)

「対イスラム戦争」は10年というオーダーで続くはずです。そして、いったん参戦したら、もうやめますとは言えない日米関係があります。

経済のさらなる悪化と戦争帰還兵の増加が同時進行する日本になる可能性さえあるのです。

それがどういう日本を現出させることになるかは、想像力豊かなマルハナバチさんにお任せします(笑)

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