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ドル暴落論に対する一考察
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投稿者 Ddog 日時 2003 年 10 月 29 日 00:05:02:ZR5JcjFY1l.PQ

相場師の視点からすれば、アナリストや投資家、はては素人まで10人中9人が「ドルは暴落する」と、声高に主張すると、まあ円高のピークがそろそろ近いと考えるのが定石でしょう。
先日ワールドビジネスサテライト(WBS)でスティグリッツコロンビア大教授 榊原英資慶大教授 伊藤元重東大教授 の出演した特番を私も観ました。

3教授の主張るように、ドルは経済的要因では暴落しかねない。私も現在の状況からすれば、その主張は説得力があり、反論の余地がないだろう。

榊原教授と伊藤教授を「今は変節してスティグリッツ教授に同調している。彼らは世渡り上手な太鼓もちに過ぎず、彼らの書いた本は何の価値もない」との評価でした。養老孟司さんのベストセラー馬鹿の壁中に「君子豹変」についての記述があった。君子が豹変することは柔軟な発想ができる君子であり、一貫性に欠けることを非難しているのではないと書いてありました。とすれば、榊原教授 伊藤教授の変節をあまり非難すべきでないと、擁護しておく。

多くの無能な日本の経済学者、特に入閣しているT教授の入門書より私には両教授論文に価値を感じています。スティグリッツ教授のセイニアーリッジ政策を中央公論等で榊原論文として啓蒙した功績は大きい。単純に変節学者とすべきではない。丹羽教授あたりがいくらセイニアーリッジ政策を前から紹介していても、広く受け入れられなかった、影響力が違う。(私も榊原論文で丹羽教授の主張に賛同するようになった、それまでは胡散臭い理論と思っていた。)

さて、米政府は2003会計年度の財政赤字が過去最大の3742億ドルに達したと発表した。景気低迷・減税に伴う税収減とイラク戦費の歳出増が原因である。財政赤字と経常赤字が膨らんで双子の赤字への懸念も高まり、来年の大統領選の争点となることは間違いない。2004年度の財政赤字は5000億ドル必至との予測もあり、米国はドル安政策を一段と強める以外に景気の回復の道はないように見え、このところの円高ドル安の主要な要因とされています。

米ドルが暴落するとの主張が幅をきかせています、紙屑同然の価値しかないとの主張というか無要な恐怖感をただ煽る論文もあります。そういった極論に少し水をさしておきましょう。100年後はわかりませんが、少なくともドルが紙屑になる事だけはない。ただ来年の大統領選挙までは円高傾向であることには否定しません。

先のドバイのG7は国家戦略無き日本の底の浅さを改めて感じさせる会合でした。日本の主張する中国の不当為替政策が他のG7各国にも受け入れられそうな国際世論が形成されつつありとみて、人民元の切り上げ問題のボルテージを上げた途端、円高阻止の為替の介入問題も同じく問題にされ、「一層柔軟な為替相場」の適用を促す共同宣言になり、115円を大幅に割り込む結果となってしまった。間抜けな日本外交である。

一方中国は対照的に実に老獪である、日本と中国は巨額の対米貿易黒字で米国債を購入し、資金を米国へ還流しているが、中国は2002年と比べて20%以上の拡大している。現在中国の米国債保有額は日英に次いで3位だが間もなく2位になるのは間違いない。最近市場では中国が外貨準備をユーロにシフトさせ、人民元切り上げ圧力を強める米国に揺さぶりを掛けているとの見方が強く、実際にそうした動きも発生しているようだ。中国は「米国の巨額の経常赤字を穴埋めしている」と強く自負している。中国はその弱みを突いてきたのではないか?
中国のお家事情からして輸出主導の経済発展の為には是非ともペッグ制は維持したい。なんだかんだいっても中国はドルは買い続けなくてはならないのに、巧妙な脅しである。日本と違いこの狡猾な外交姿勢は見習うべきものがある、国家の存亡は奇麗事では済まされない。

私の相場観では、105円手前で円高は一端終息し、これ以上の調整は当面軽微だろうと思う。米国の景気回復は減税による個人消費が一時的な刺激要因によるところがあるので、景気の加速が続くのかどうか疑問に思うかたも多いだろう。しかし、米経済の成長見通しは引き続き極めて良好のようである。企業業績の回復などを踏まえ、景気はここに来て成長が加速している模様である。4−9月の個人消費の伸び率は同時期としては87年以来最も高い、さらに、ハイテク資本財への投資が主導して、設備投資とソフトウエア投資が最も伸び率の高い部門になっている。ナスダック指数も2000ポイントが射程にはいってきた。 米国では「雇用なき景気回復」どころか、「雇用減による景気回復、ジョブロスリカバリー」にもかかわらず生産性の伸びが依然として実質労働コストの増加につながっている。借金の伸びと減税が家計所得を押し上げているため、需要が近く減少に転じる恐れはほとんどないという状況である。米国の景気は確かに回復の徴候は高まってきた。

米国は最近ドル安策を打ち出す時に必ず強いドル政策の維持と為替レートの市場決定の二つの題目を唱えている。強いドルは建前で市場決定は本音である。今年の米国経常収支の赤字は一段と膨張し、名目国内総生産(GDP)比で5%を超える大量の数字である。これを埋めるのに今や海外から半分程度しかカバーできずドル下落の基本的背景となっている。もしこうした中で米国が日本中国の介入に難色を示し、米ドル安を迫ればドルは急落し、ドル安・株安・債券安のリスクを作ることになる。米国政府はドル安めいた発言を強く繰り返しているが来年の経常赤字・財政赤字を考えるとドル安懸念から米国債が売られ、長期金利の上昇が株売りを招くトリプル安は何としても避けたいというのが本音である。

結局G7以降顕著な米国の新たなドル安政策的発言は来年の大統領選挙でブッシュ再選のため、製造業の雇用を創出する幻想を与える為のポーズと考える方が自然である。

一方円サイドの日本はとどうかいうと、やはり今のところ円の先高観が強い。先週のニューズウィークでは「午前5時の日本経済」と様々な経済統計が超楽観的な数字になってきていると特集を組んでいる。後で述べるが、ハドソン研究所の日本復活予言本第2段超大国日本は完全復活する、英語タイトルは「A ROADMAP FOR JAPAN'S FUTURE」(第1弾 超大国日本は必ず甦る)など日本復活本が相次いで出版されたり、経済レポートの中には日経平均株価は超強気説日経平均3万円を言い出したレポートも見かけるようになった。

日本の景気回復は円高要因の話だが、この文章をお読みになっている多くの人の実感と乖離していると思う。楽観的な数字が日銀短観やGDP予測がでても、多数派を占めるの人々の実感は発表された数字に信憑性を感じ手配内と思う。もはや日本経済を一つの平均的経済として判断できなくなっていると考えたほうがいいでしょう。勝ち組みと負け組みといった単純な分け方ではないが、大企業と中小企業、製造業と非製造業、中央経済と地方経済に分けると、そこには大きな断層が存在する。都心に住む大手製造業のサラリーマンと、地方の小さな個人商店主とでは同じ景況感は共有できないだろう。かつての日本経済は一億総中流的なの平均的価値観景況感を共有できたが、多くの断層ができ、全体像を把握することができない。ここに、極端な日本の将来予測の悲観論と楽観論が存在する理由であろう。

ただ、事実として日本株はこのところ外人投資家が運用比率を高め日本株の買い増しは続く。株高→円高、円高→株高の循環は続くと思う。恐らく今回の円高局面のクライマックス局面は来年4−6月頃ではないか?来年の米国景気の持続性についてとやかく言う人達もいるが、弱気の見方の比率は弱く、景気は日米共腰折れ懸念は小さい。従って円高・ドル安が一方的に進む可能性は低い。95年の円高時は海外の投機筋が大量のドル買い予約を一気に整理して円急騰を招き79円台まで円は上昇した。現在は逆に円買い予約が過去最高水準まで積み上がっており、すでに日本企業の一部では95年を反面教師として保有外債の損失回避のドル売り予約を進めているところが多いと聞いている。従って95年の時のようなパニック的な円買いは起こりにくいとみられる。もしも来年4−6月中に95年の時のような円高が起これば円バッシングどころか、ドルバッシング的な動きにならざるを得ない。

90円台に突入すれば今度は米国からの要請で日米協調介入によってドルを買い支える動きが発生するとの見方もある。
当面私は景気やマーケットを強気のスタンスでとらえていこうと思うが、景気サイクルは90年代以降短期化している。モルガンスタンレーのレポートによれば来年第四四半期には在庫サイクルが景気の下降局面にはいると予測している。90年代以降景気の拡大時期は平均32ヶ月である、昨年春より景気の拡大期に入っているので来年夏までだが、昨年秋からこの春先までイラク攻撃にともなう地政学的リスクがあった分もう少し拡大期が持続するかもしれない。いずれにしても、円高要因は来年の大統領選挙までと考えるべきだろう。

それでは、来年秋以降どうなるか?そのヒントは、ハドソン研究所の日本復活予言本第2段「超大国日本は完全復活する」の中に記述されている。
ハドソン研究所とは、ご存知だと思うが現ブッシュ政権の政策ブレーンに多数の人材を送りこむシンクタンクである。(元NHKワシントン支局長の日高義樹氏もここの主任研究員で、ブッシュ政権発足以降日高氏の著作は無視できません。)日本と世界経済にとって最も問題になるのが日本のデフレであり、このデフレを終息させる手段として、日本に調整インフレ政策をさせ、リフレーションを起こしデフレを終息させるのが最善であると論じている。円安はとりフレは表裏一体であることから、まだまだ不安定要素が多いが多くの投資家やアナリストの判断とは逆に100円飛び台の米ドルは投資するタイミングとすれば魅力的な位置ではないかと自分は考えています。ハドソン研究所のブッシュ政権への影響力はいまのところ大きいと考えて間違いでないはずです。

もっともブッシュ政権の経済政策は完全野放しで、経済戦略がないのが経済戦略と揶揄され、スノー長官の発言など何の役にも立たないと断言している論者も散見される。この意見にある部分私も同意見です。


結論
以上の点から考えると、アナリストや素人がドルの暴落を盛んに煽り立ててはいるが 米国の為替政策の行方は多分に選挙対策の影響が大きいと考えるべきではなかろうか?結局、米国が現状とっている政策は来年の大統領選を最優先しての政策行動であり、極端なドル暴落説を信じるべきではない。

為替市場は時にジョージソロス師の言う内在的不安定性を示す事がある。通貨が一つの方向へ動き出すと市場にいるだれもがこのまま同じ方向へ進んでいくと信じる様になり、為替レートが短時間のうちに急激に変動する。

日本人にとって、たとえゼロ金利でも、デフレであるかぎりリスクが無いように見える円資産は今のところ魅力的で、よい投資先であるようにみえる。

しかし、デフレが終焉する時、インフレターゲット政策が実施されれば、目先が効く人間から株式金不動産など手当たり次第に実物資産に替え、インフレを切り抜けようととする動きをすると思う。そして、円そのものが売り叩かれるシナリオがそう遠く無い時期に用意されているかもしれないことを認識せねばならない。

蛇足
昨今のドル暴落説こそ米国の国家戦略のプロパガンダである可能性の方が高い。「超大国日本は完全復活する」の日本復活論を穿った見方をすれば、日本経済を復活させ再び富を蓄積させ、また蓄積した富を再び簒奪することも十分可能と考えているのではないか? これでは家畜同然の扱いやすい属国に成り果てた日本と米国が判断したのではないだろうか?
それとも、50年後の中国ロシアインドが超大国になるのを阻止する日米英同盟の始動と捉えるべきかもしれない。米国の国家戦略は健在だ、有人宇宙船の成功で、80年代日本の台頭を押さえたように、次の中国潰しは戦略論からすれば、いつ発動してもおかしくはない。

ちなみに先週号のバロンズの特集で2050年の経済大国という特集があった。
元ネタはゴールドマンサックスのレポートだそうだが、 GDPは中国44.5兆ドル 米国35.2兆ドル インド27.8兆ドル 日本6.7兆ドル ブラジル6.1兆ドル ロシア5.9兆ドル 英国3.6兆ドル 独3.6兆ドル 仏3.1兆ドル 伊2.1兆ドル だそうです。

蛇足の蛇足
1980年代始めのの予測では21世紀初頭の今頃、日本が世界一の超経済大国になり、世界を征服する陰謀が完結しているとの予測でした。上記の50年後の予想はまず絶対当たらないだろう。

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