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被統治者に真実の像を結ばせないこと
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投稿者 リーマン 日時 2003 年 12 月 26 日 08:04:45:FagqpUDXKcu9o
 

すみちゃんが教えなかった明治時代(補講その4)です


被統治者に真実の像を結ばせないこと

以前中曽根がアメリカから用済みになったとして下ろされたときのすみちゃんの感想文に対して、私は同じような構図の中で処分された人として、坂本竜馬・大久保利通・伊藤博文の名前をあげました。
すみちゃんは、坂本と伊藤については即座に同意してくれましたが、大久保についてはありえることとしながらも一定の留保をつけられました。私にもその感覚はわかります。私も確かな根拠を持って言っているわけではありません。
今日は、私が何故あえてイギリスに処分された人の中に大久保も入れたのか、というあたりを書きたいと思います。

薩摩と長州の手を握らせておこした戊辰戦争は、今でもCIAがアフリカ・中南米でよくやっているような軍事クーデターと類似した構図があったことをまず前提におきます。
鳥羽伏見の戦いが起きる1年まえぐらから、西郷とアーネストサトウの接触ははげしくなっていますが、サトウが西郷に早く軍事行動を起こす様にけしかけたり、西郷がのらりくらりと交わしたり、といったような駆け引きがあったようです。
勿論西郷はサトウ(イギリス)の魂胆を見抜いていたのでしょう。前回も述べましたとおり、西郷は、表面はあくまでイギリスの言う事を聞くフリをして戦いを起こしながら、勝と打ち合わせて最終的には国内が長い間の内乱状態となることを回避し、イギリスの「日本人同士を憎ませ・戦わせることによって利益をえる」というイギリス人得意のDivide and Rule戦法の裏をかきました。

私は、このときの当時のイギリス人関係者達の気持ちを感じることができます。

「我々が遠隔操作で新しく作った日本という国を今後コントロールして行くにあたって、西郷という人間は邪魔だ。いつか彼は処分されなければならない。」〜と。

新しく日本が出来て間もなく、明治政府はヨーロッパに使節団を派遣する事となります。ここでもDivide and Ruleの原理に基づき、革命政府の主要な人物を二つに分けることとなりますが、このような判断を明治政府にさせる際にも、イギリスはかげながら関与していたと思います。
このようにグループを二つに割る事により一種の派閥が生まれ、将来その派閥を戦わせることによって、イギリスが事態の推移をコントロールしやすくなる余地が生まれる(革命家集団が一致団結してイギリスに反抗されることは避けなければならない)とともに、同時に派閥同士が仲たがいする際に、イギリスにとって邪魔な人間を処分することもやりやすくなるからです。(西郷はそうやって、イギリスが自然な形で自分達を追いこもうとしている事も、岸壁から使節団を見送りながら十分わかっていたでしょう。)

ちなみにこのヨーロッパ使節団は、「当初条約改正を目的としていたが、現地に実際に行ってみてそれが事実上不可能である事を知り、目的は西洋視察に切りかえられた。」ということになっています。
これも悪い冗談だと思います。彼ら革命集団がそんなに頭が悪いはずはありません。
では本当の理由はなんだったのでしょうか?私は、新国家設立の挨拶回り、もっと有体にいえば、イギリス女王に「ご挨拶」に行くことが目的だったのではないか、という気がしています。
彼ら自身全員がそのような目的を明確に理解していたかどうかは分かりませんが、トップ数人は少なくとも自覚していたことでしょう。でもそんなことを公にすることはできません。

明治政府の、表面上の「建て前」と裏の「本音」の乖離は既にこの頃から明確に始まっていたことになります。

彼らの留守中にいわゆる朝鮮問題が発生し、西郷が代表として朝鮮に行くことになります。このとき彼がいわゆる「征韓論」を唱えたということが真っ赤な嘘であることは、たしかすみちゃんが以前触れていたと記憶していますので、省略します。(尚、この朝鮮問題の発生原因も裏を調べると以外な事実が出てくるかもしれないと思っています。(北朝鮮不審船と同じような構図があるかもしれません。))

イギリスは、洋行組に命じて西郷渡韓を阻止しようとさせます。イギリスは何故阻止したかったのでしょうか?
私は「西郷が朝鮮政府に真の欧米(特にイギリス)の意図を伝え、水面下で手を握り合うことを阻止したかったから」ではないか、と推測しています。イギリスとしては、いわば江戸城明け渡しで裏をかかれたことの二の舞を避けるため、というのが本来の目的だったのだろうと思います。ここで明確に西郷路線とイギリス路線の対立の構図が明確となり、その意図するものが衝突することがはっきりしてきました。

日本人と隣国の朝鮮人とは憎みあうように仕向けなければならない(Divide and Rule)、というイギリスの基本方針は、この頃から明確に意識されていた事になります。

それでは、イギリスは誰に西郷を始末させれば良いのでしょうか?
あなただったらどうしますか?
イギリスは、若い頃からの革命の同士である大久保に始末させることを選択しました。より上位にある者が、下位者の誰かを始末するときに、自ら手を下さず、昔一番中の良かった人間にやらせ、その忠誠心を確認する、というのは、古来からどこでも行なわれてきたことであり、またイギリス人の好む手法でもあります。類似のシナリオは今でも劇や映画等で良く出てくるのではないでしょうか?
「昔の友人を裏切れ!それがおまえが生きていく為の唯一の道なのだ。」。そのように仕向けることは、統治者として一種の快感が伴います。二人の心の中の葛藤を理解できるからこそ、より一層興趣は盛り上がる、という支配者イギリス人がいかにも好みそうなシテゥエーションです。

友を裏切って葬り去ったとたん、「ご苦労さんだった。ということは君の出番もこれで終わりだっていうことだ。」というせりふで、「ズドン」と始末されてしまう、というのも、これまた三流映画お決まりのセリフですよね。

以上、幕末から西南戦争までのシナリオは、イギリスを主導としてある程度事前に書かれていたものだったようです。主目的は、「第一に西郷の始末。合わせて、最終的にはイギリスに弓を引きそうな人間的力量をもつ大久保も始末し、よりイギリスのいう事を聞きそうな連中(大隈・伊藤)グループへ主導権を移行させる。」ことだったと思います。

ここまで書いてくれば、「なあんだ。このシナリオって、例えば「イラクのバース党がクーデターで政権を取り、上位者が死んでCIA本命のフセインに実権が移っていく」といったシナリオにそっくりじゃん。」ということに気づかれる方も多いのではないか、と思います。

ところで、西郷は何故「征韓論」という汚名を着せられたのでしょうか?
それは、被統治者(日本国民)に西郷が本当にやろうとしていた事を理解させてはならなかったからです。西郷の本質を理解されてしまう事は統治者(含:イギリス)にとって危険なことなのです。
そこで、彼らは、国民が西郷という人間像をきちんと理解できないようにするために「征韓論者」という偽のレッテル(仮面)を貼ります。しかし、一方で、彼が明治維新の際に行った事績を未だ実感として覚えて生きている人は多い。そこで、もうひとつの仮面「彼は敬天愛人を唱えた仁者だった。」という仮面を与えます。

今でも、一般の日本人は、「征韓論」と「仁者」という二つのマジックワードに惑わされ、西郷に関するひとつの明確な「像」を結ぶことを妨げられているようです。もしこのトリックに気づく人間は、同時に明治維新の勝利者側の裏の事跡を見破ることになってしまいます。

悪者・悪人のイメージと仁者・聖人のイメージの両方の仮面(十字架?)をかぶらされて葬られた有名な人として「聖徳太子(蘇我一族)」が挙げられます。彼は一方では、蘇我一族の象徴(入鹿や馬子等の人格の一部を象徴的にとりあげたものと推測しています。)として聖者としての称号を与えられる一方で、蘇我の大悪人というレッテルを同時に与えられました。これも後の時代に蘇我氏の事跡が正しく伝わらず、後代の人々に像が正しく結ばれないように仕組まれたトリックの一種だと思います。

これに関しては、前回述べた「自分が自分の像を正しく理解する事が強さにつながる」こととは逆のことを当該統治者は試みている、とも評価できます。自分が葬り去った偉大な統治者の正しい姿を認識させることは、被統治者にある種の力を与えてしまうことに繋がりかねません。統治者は、被統治者をたぶらかさなければならないのです。(最近の例でいえば、田中角栄がこれに該当するかもしれません。)

ちょっと話は脱線しますが、この手口は男が女をくどく際にも使われることがあります。
「私の今度の彼ってとても不思議な人なの。何故って、いつも私をぐんぐん引っ張っていって、なんだか怖いって思うときがあるかと思えば、突然涙ぐんじゃったりしてカワイイって思っちゃったりもするの。今までの人と違っていて、なんだかつかみ所のない人なの。。。。」
相手をたぶらかそうとする場合は、こちら側の具体的な像を結ばせない、ということがひとつのポイントになるようです。(ビジネス上の契約の際にも使えます。)


我々が西郷の本当の事跡を理解できていない、ということは、明治政府の本当の姿を理解できていない、こととほぼ同義です。

このことが、我々日本人が、我々の姿の等身大をなかなか理解できないひとつの大きな原因になっていることは、間違いないように思われるのです。


以上今回も,証拠・根拠のない「イギリス人から見た日本史」でした。

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