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フィスクに関する私見などを、もうちょっと
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投稿者 ファントムランチ 日時 2003 年 10 月 31 日 04:05:15:oswAM6lqBSCW6

(回答先: Re: ガンディー非暴力主義の継承が強調されなければならない時期を強調する。 投稿者 F 日時 2003 年 10 月 30 日 22:30:53)

Fさんへ、そして木村愛二さんへ、だいぶ遅れましたがちょっとコメントさせて下さい

>一方であくまでも見たこと聞いたことをそのままを書く、というジャーナルという言葉本来のスタイルにフィスクはこだわっているように思えます。

その通りだと思います。ただ私は戦争開始以後の欧米ジャーナリストに共通する風潮として、米英政府を強く批判する記事を書く場合、その論調とバランスを取る形で、同一の記事の中にフセイン政権やアラブに対して冷淡な内容や表現を敢えて盛り込み、記者として公平な基本姿勢を読者に示すということがあるのではないかと感じます。現在の日本で言えば、政府の北朝鮮政策を批判するにあたり、親北朝鮮派だというレッテルを貼られては誰も聞く耳を持たなくなるというような理由で、北朝鮮に対しても厳しいコメントを挟むというような。

英米にとって交戦中だった、または占領統治下で情勢が定まらないイラクに関して、とくに大手メディアでは記者やジャーナリストが批判記事を書くにあたり、そうした慎重な配慮が文面ににじみ出ているのをよく見かけました。そうした中でロバート・フィスクはかなり例外的なほど精力的な現地調査とストレートな権力批判を発信していたと思います。

「イラクのゲリラの新戦略・アメリカ人の真似をしろ」に関して、私が最初に筆致が力強くなった感じがすると書いたのは、Fさんの翻訳のせいではありません。たぶん10月中旬ごろからイラク情勢がいよいよ悪化していて混迷の度を深め、当初から現地の空気を肌で感じ、この戦争に批判的なリポートを書き続けてきたフィスクが、リポートにもその勢いを得て、かなり強い調子で英米の世論に向けて、今までの政策の非難と今後に向けてた警告を発したのだと感じたからです。

そのなかでアルジェリアの例を上げてラマダンの時期に云々という部分だけは、私自身はちょっとどうかなと感じたのです。暴力に対してというよりモスリムに対して誤解を生むかなと。ちょっと近ごろ欧米メディアに良くある書き方が現れたのかなと感じたわけです。また正直言うとフィスクの記事には事実調査の記事と情勢分析の記事があると思いますが、事実調査の記事ではまさに「現実の精緻な観察、自分で見ること、聞くこと」に徹していて、貴重な情報を提供してくれる数少ない優秀なジャーナリストであると思いますが、情勢分析の記事に関しては、鋭い洞察力で、「その通りだ、よく言ってくれた」と思うこともあれば、僭越ながら、もうちょっと詰めて欲しいと思うこともありました(例えばイスラエルがシリア領内を攻撃したときの記事などは、詳しくは書きませんが私でもそう思いました)。

しかしそれは先ほども触れたようなメディア上の暗黙の制限や、メディア文化、そして記者と読者の感受性の個人差などもありますからどんな場合も発生するズレです。我々はそこから得られるものを得ればよいわけで、別に不満もありませんし、そんな筋合いでもありません。ロバート・フィスクは他に比べ、クォリティーの高い記事をしかも数日おきに提供してくれる貴重な存在だと思います。彼の記事の根底に奥深い思想があるのかどうか、それがジャーナリストにとってどう必要なのかは分かりませんが、彼の記事からは一本筋の通った精神性や使命感が私には感じられます。そしてなにより彼の記事を読むことは単に好きなので、それはそれでいいと思っています。

 
>暴力礼賛の匂いがするならば、それはそのままイラクの状況を活写しているということではないでしょうか。

私は前のレスにも書いたようにフィスクは、「暗殺攻撃」や「米国への協力者殺害」などを是認するのではなく、逆説的にアメリカの暴力主義批判に転化させ、糾弾しているのだと思います。またこうしたイラクでの現在の惨状を英米に伝え、厭戦を促すために世論に発破をかけることを狙ったのでしょう。これから自衛隊を派遣しようという日本にとっても対岸の火ではなくなったわけで、日本の鈍感な世論に向けて、現地イラクの状態が如何に危険か、インパクトのある情報を広め、警告を発し続けるべきだと思います。そして同盟国だから派兵するのだというフィスクが批判したような「敵か味方か」の判断基準のみによる米国支持とイラク派兵そのものを理念的に見直すことが必要でしょう。それは「敵か味方か」の発想から行使される暴力の理論的矛盾を暴らすことに通じることになると思います。もしかしたら「思想」につながって行くかも知れません。

 
>...とはいっても、原文は客観的ながらペシミズムを漂わせるかすかな皮肉をもって流麗としたためる文体なのですが、

たしかにそうですね。「目撃者」の記事なんかはとてもそういう感じが出ています。私は前もって英文をZnetで読みましたが、Fさんの訳文にはその雰囲気がよく現れていると思います。

 
>私の和訳は少し力が入ってしまって、誤解を生じているかもしれません。

そんなことは無いです。原文に忠実な論調で訳されていると思います。私もそして木村愛二さんも英文に一応目を通し、その内容自体を取り上げてコメントしているのだと思います。

 
最後に「思想」とは、

辞書を引いてみると、

「哲学で、感覚経験に対して思考作用を働きかけ、また、想像力を加味して
生じた意識内容。また、統一された判断体系。」

だそうで、これを踏まえてイラク問題を考えますと、

当面の情況を通り抜けたとしても、「思想」という普遍的な理論体系が無ければ、
いつまでたっても対立や混沌は解消しない、

ということでしょうか。そのような意味に受け取りました。それでは。

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