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「暴力」を貨幣の担保とするかぎり「合成の誤謬」を解消できない
http://www.asyura2.com/0401/dispute16/msg/749.html
投稿者 まっくす 日時 2004 年 3 月 30 日 04:10:31:1gyEqZlfbcB1s
 

(回答先: 「“貨幣”の力を信じる心性」と「“生きた存在”の力を信じる心性」 投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 28 日 15:37:21)


あっしらさん、こんばんは。

あっしらさんの「長壁問題」に関する投稿を踏まえて、貨幣の担保(信用力)問題を前回とは異なる観点から論じてみたいと思います。

「地獄への道には善意が敷き詰められている」とあっしらさんが表現されているとおり、人類の社会化された「善意」は不幸な衝突の歴史を繰り返してきました。ここでは、この桎梏を「政治的」に解釈せず、「技術的」に解釈してみたいと思います。行論の便宜として「合成の誤謬」という概念を拡大利用してみます。


■基本テーゼ
1.現代の社会化された「善意」はすべて「合成の誤謬」を逃れ得ない。
2.貨幣は「暴力」に担保されている。
3.「善意」が「暴力」を乗りこえるためには貨幣の担保を「ひと」に変える以外ない。
4.テーゼ3は「技術的」に実現可能である。


いわずもがなかもしれませんが、「合成の誤謬」は経済用語です。経済主体各自が合理的(正当)にふるまっているにもかかわらず、全体として事態を悪化させる困った状態を指します。

たとえば、バブル崩壊後のデフレ経済のもとで、債務を減らしたい政府が緊縮財政政策をとり、その傍らで債務を抱える企業がせっせと借金を返済している場合、経済全体でお金のフローがますます停滞し、デフレをより深刻化させます。

このような状況では家計の消費も多くが貯蓄へ回り、ますますフローが枯渇していきます(金持ちのみに有利な状況です)。経済主体である政府、企業、家計のふるまいは、おのおのが(別に利己心からではなく)経済合理的なのですが、各自の行動が「合成」されて、デフレの常態化という「誤謬」に至るわけです。


今回の「長壁問題」にも、同じ概念が応用できます。先の例のデフレに当たる状態は、今日の中東情勢で、目標は不当な戦争の停止ということになります。殺戮行為は人道に照らして非道であり、対テロであろうとなかろうと大量殺戮=戦争を撲滅したいという問題意識は万人に通底するものです。その意味で、長壁さん個人の憤りに発する反戦の主張は、デフレ下で借金を返済する企業や、生活を守るため消費を抑える家計と同じく正当なものです。


戦争の問題に限らず、世の中には諸種の問題が満ちており、それを告発し是正しようという声があふれかえっています。すべては「善意」に基づいていると言って過言でありません。平和運動しかり、環境運動しかり、慈善活動しかり・・・


人類はいまのところ、これらの「善意」を一挙に実現する手段を持っていません。政治?それは利害の調整のことです。利害は何によって調整されるかといえば、力関係です。力とは何かと言えば、財力であり武力です。

したがって財力(お金)と武力(暴力)を持つものが世界の主流を形成します。この冷酷な現実は、歴史教科書の教えに反して、いまだに人権や主権在民が一種の「お題目」に過ぎないことを示しています。民主主義は多数決の形成に手間ひまがかかり、非常にまどろっこしい制度なので、気の短い人たちは手っ取り早い手段に飛びつきます。こうして気の短い人たちの「善意」が、政治、平和、環境、宗教・・・・・と百家争鳴、咲き乱れることで、全体として「合成の誤謬」が形成され、お金と暴力を行使できる権力を最も利する事態に至ります。

違う言い方をすれば、現代の世界は「目的と結果が相反する」方向へ構造(システム)化されています。そのように高度にシステム化された世の中で、「善意」を実現しようとするなら、長壁さんたちは根気よく、庶民の側に本当の意味での力を奪取しなければなりません。「善意」から人々の「気づき」をうながし、それを「意識化」すること、すなわち「意識改革」ははじめの一歩ではあっても、あとは自動的にどうなるという風にはできていません。「意識改革」なら過去に宗教がさんざんやりつくしてきました。


問題はもっと「技術的」なところに存在するのではないでしょうか?「技術」の裏づけを持たない「善意」は現代において無責任なのだと思います。

問題の急所はやはり貨幣の問題へ落とし込まれるはずです。さきほど、権力の基盤として財力(お金)と武力(暴力)を上げましたが、もっと煎じ詰めれば、現代のパワーは「暴力を根源としている」ということを意味します。そうでないように見えるとすれば、リベラリズム、自由競争、主権在民・・・そうした理念のリップサービスがもたらした錯覚に過ぎません(だからといって、すべてがまやかしだと極論するつもりはあなく、結果としてそうなっているという意味です)。

ソ連の共産主義は一見、暴力を担保としない「技術的努力」をしたように見えます。しかし、スターリンを持ち出すまでもなく、暴力は相変わらずあの社会を規定していました。ソ連の最大の誤謬は、資本(お金)の威力をなめすぎた点にあると思います。計画経済でいくら資源や所得を平等に分配しても、お金とはそもそも「差異」からしか生まれてきません。つまり、相対的に貧しい国を「生産」しないかぎり延命できないようになっています。

資本制一色の高度にシステム化された世界にあって、庶民の側にパワーを奪い返すとしたら、民主主義を「逆利用」するしかありません。庶民のコンセンサスによって、暴力の補完装置として機能しているお金の「性質」を変える方策です。根気のいる作業かもしれませんが、庶民に納得してもらう以外のショートカットは存在し得ないでしょう。

いまのお金は庶民の「思い」にこたえず、つねに「安全」を求めて動きます。損が怖い(=プラス方向へ誘導されるように設計されている)からです。そのため、お金は「武力」によって担保されている国々へと集中していきます。この現代的な経済法則を変更しない限り、永遠に南北問題は解消しないばかりか、あらゆる社会化された「善意」は「暴力」の前に屈することになるでしょう。

我々の希望は、ひとえに、お金が「技術的」に変更可能な媒体である点に存すると考えられるのです。

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