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(回答先: アメリカ革命は「本来あるべき姿」ではなく「今のようにこれからも生きていく姿」をめざしたもの。 投稿者 あっしら 日時 2004 年 6 月 18 日 22:49:00)
毎度、御返書ありがとうございます。
＞「フランス革命」であれば「ロシア革命」とは言いませんが「清教徒革命」と比較するのが望＞ましく、「アメリカ革命」なら、「メキシコ革命」や「カナダ政体」と較べたほうが理に適っ＞ているのではないかと思っています。
＞「清教徒革命」には「フランス革命」と類似的な“失敗”がありますから、「清教徒革命」な＞るものが何ゆえ“伝統”と“自由”の英国で一旦は成功したのかを解き明かすことは、「フラ＞ンス革命」の“失敗”を解き明かす思惟に貢献するはずです。
『革命について』は、もともとアメリカ独立革命の研究をアレントが“依頼されて”執筆したものでありますから、アメリカ独立革命の成功を｢基準｣にしてほかの革命を失敗として判定するという手法は、致し方なかったように思われます。
アレントは古代ギリシャのポリスや共和制ローマの市民集会・元老院を理想としていたので、そうした政体の樹立をこそ革命判定の｢基準｣にしていました。だから、彼女の問題意識は、“どうして清教徒革命・フランス革命は失敗したか”ということよりは、“なぜアメリカ独立革命だけが成功したのか“ということに重点がおかれたのです。それが特殊な条件のもとになされたということは、彼女自身が認めていました。以下、補足として彼女の別の著作から2節を引用いたします。
☆「公的空間」を再興しようとした近代所革命の偉大さと悲劇（『過去と未来の間』より）
【フランス革命はローマの衣装を身に纏って歴史の舞台に登場したとはマルクスの言葉であるが、この言葉は近代の革命すべてを特徴づけるものでもあろう。近代の諸革命はローマ人の創設のパトスによって生気を吹き込まれていたことが看過されるならば、近代西洋の革命の偉大さも悲劇も正しく理解されないだろう。というのは、現在の世界の危機は何よりもまず政治的なものであり、周知の「西洋の没落｣は本質的には、宗教‐伝統‐権威のローマ的三位一体の没落と、それに伴ってローマに固有な政治の領域が崩壊したことを意味するというわたしの推測が正しいとすれば、近代の諸革命は、こうした基盤を修復することによって、断ち切られた伝統の糸を新しくし、そして、新しい政治体を創設することによって、あまたの世紀にわたって人間の事柄にそれなりの尊厳と偉大さを与えてきたものをもう一度取り戻そうとする、壮大な企てであるといえるからである】
☆アメリカ独立革命が成功した3つの要因(同上)
【アメリカ独立革命〔中略〕の成功の重要な要因は、暴力が多かれ少なかれ世紀の戦闘行為に限定されていたアメリカ革命の非暴力的な性格み求められるのは確かであろう（第1の要因)。また、建国の父たちはヨーロッパの国民国家の発展を未然に免れていたために、ローマ精神の本来の姿により忠実であり続けたのもその一因であろう(第2の要因)。おそらくいっそう重要なのは、創設の行為―すなわちアメリカ大陸の植民地化―が独立宣言に先行したため、合衆国憲法の制定は、政治体を新たにつくることに向かわずに、現存の勅許や協定を頼りとしながらすでに存在している政治体を追認し合法化すればよかったことである(第3の要因)。こうしたアメリカ革命の当事者たちは、マキアヴェリの言葉をかりれば、「物事の新しい秩序を創始する」努力を完全に免れることができたのである】（括弧内竹林の一愚人）
＞言ってしまえば、「本来あるべき姿」なる観念を持ち込んだ途端に、「フランス革命」も「ロ＞シア革命」も「清教徒革命」も、本来の意味での革命であるとの主張を容れるか、あんたらの＞「本来あるべき姿」は“真の本来あるべき姿ではない”、これこそが真の「本来あるべき姿」＞と反論するしかありません。
revolutionという言葉が名誉革命の時にはじめて使用されたということの意味は、清教徒革命によって乱された秩序が、王政復古によって回復された、ということではないでしょうか。だからその時に、“イギリスにとっては”「共和制」ではなく、｢立憲君主制｣が｢本来あるべき姿｣なのだ、ということが“歴史的事実”として確認されたのだと思います。
＞当時のフランスやロシアで近代的な中央集権国家をつくろうとしたら強権的な支配が必要であ＞り、それを政治的理想から躊躇すれば、国家の独立が脅かされていたであろうという認識です。
特に異存はありません。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。