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“電位差”や“平準化”についての若干の補足
http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/398.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 6 月 25 日 03:46:25:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: あっしらさんの「産業主義近代の終焉」について 投稿者 バルタン星人 日時 2004 年 6 月 24 日 19:29:15)


バルタン星人さん、どうもです。
お身体が完調かどうかはわかりませんが、投稿はできるところまで回復されたようで何よりです。

“電位差”や“平準化”の問題は、少しずつ説明していきたいと思っています。
(“平準化”は“電位差”が低下していくことを意味します)

「米国支配層(世界支配層)は「産業主義近代」の終焉が近いことを知っていて、その後の世界に向けて動いている。」( http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/395.html )で書いた生産性上昇問題も“電位差”に関わるものです。

優劣や先後がありながらいろんな国が相互関係性を維持しているからこそ“電位差”が生まれます。
ポイントは、「優」や「先」にあって貨幣的富の拡大をめざす人たちは、「劣」や「後」を利用してそれを達成しようとすることにあります。(これが“電位差”の利用です)

“電位差”がなくなるといってもまったくゼロになるわけではなく、“平準化”と言っても一人当たりの国民所得がある水準にみな収まるというわけでもありません。
「優」や「先」の位置に人たちが耐えられるレベルを超えたところで、“平準化”過程は終息し、“電位差”もほのゼロになります。(川の自然な流れではなく、堰で調整される流れとイメージしてください)

経済論理としては完全平準化まで可能ですが、現実問題としてはそこへ向かう変化傾向として捉えることで十分です。


>>「産業主義近代」は、産業資本的利潤がスムーズに得られない経済主体の増加や、
>>産業資本的利潤獲得競争が人々の生活を困窮に追い込む状況の深化によって終焉します。

>利潤率逓減化と絶対窮乏化のように聴こえますが..言うまでもなくどのように終焉
>するかが問題です。

利潤率逓減化は利潤の逓減でもなく、利潤の逓減は必ずしも窮乏化に向かわせるわけではありませんが、利潤が国民経済循環を阻害するようになると、「産業主義近代」への憧憬や支持基盤である豊かな生活への足取りが途絶えます。


>スカスカな構造主義的概念ではなく価値を価値たらしめる「有機的構成」あるいは
>「電位差」=ポテンシャル がゆるされるなら「生産力」といっても結構です。
>逆にあっしらさんの言う「電位差」が「資本と労働」が取り扱うことが出来ない
>土地、水、ヒト(自然)も含むかは伺いたいところです。俗物性のきわみですが
>「第2の予言」もその文脈で考えていました。

“電位差”は貨幣と財の流れを生じさせるポテンシャルで、土地・水・ヒト(自然)はそれらの従僕としてのみ含まれます。


>本当はこういう切り口は好みませんが「金融資本家」の「現世的欲望を断念し、神の
>国に宝を積む」貨幣的富の退蔵欲動というメタ・フィジカルな問題は「動機」として
>残るんじゃないかと。

「貨幣は価値の表徴ではあっても価値そのものではありません。今となっては物神性もなく、社会的分業(諸個人の分断)に支えられた統合記号とも言えるものです」は、経済論理を機能させる意味としての説明で、経済活動の背後に隠れている動機(目的性)にかかわる部分は捨象しています。

貨幣退蔵は、経済論理が生きている世界から貨幣を引き上げることですから、機能の考察対象としては捨象できます。


>>「電位差」が少なくなくなるというのは、すでに脱落したところは別として、諸国
>>民経済の経済状況が平準的になるということです。

>すでに脱落というところが気になりますが...

アフリカの相当数の国そして中南米のいくつかの国は、貿易収支黒字を稼ぎ出せる産業基盤もなければ、先進国から新規の製造拠点移転が行われない見通しもないので、平準化過程に乗れません。
(東欧は拡大EUでスペイン的成長が見込まれ、インドはその市場規模から外資進出が見込まれるので、平準化過程に入れる可能性が高い)


>たとえばA国にある希少金属がある。しかしA国では採掘して鉱石にする「ポテンシャ
>ルしかない。B国は鉱石から希少金属を抽出、精製、加工して電子デバイスにして携
>帯電話に組み込み新たなサービスを開始し、かつそれを享受し「価値」として実現す
>る「ポテンシャル」がある。
>たぶんB国は途中を全部すっとばして携帯電話を導入することはありえる。そうした
>テクノロジーを農業生産、鉄鋼、造船などすでにB国が放棄した産業分野の特化に利
>用するかもしれない。
>しかし、それまでではないでしょうか?

少し、話が飛びますがご容赦ください。

まず、中国やインドでさえ外資依存になっているように、今後経済成長を遂げる国は、自国資本ではなく、グロバーリズムを受け容れて外資に依存するところです。
逆に言えば、先進国のお眼鏡にかなわない国は脱落することになります。

人件費の安さで勝負できる分野は限られており、その分野だけではテイクオフにつなげることはできません。
なぜなら、財の価格が人件費のかたまりに近いわけですから、人々が食っていくことには貢献しますが、「現代的資本原始蓄積」にはほとんど貢献しないからです。

中国もベトナムも(さらには北朝鮮も)、かつての敵である米国に媚びを売って外資導入を増やそうと必死になっているのは、そのような経済論理がいちおうわかっているからです。

>(これを書いていて思い出したのがアミンの「従属理論」(不等価交換と価値法則)
>ですが、この交換が不等価か等価かについて比較生産論(労働価値)から詳細な検討
>がされていた様に思いましたが、私はこれまで書いたように交換はストリームであり、
>事実性として成立した交換はすべて等価交換と考えています。)

“電位差”がある世界の労働価値は一定ではないので、国境をまたぐ交易で労働価値説的な意味での等価交換云々は考慮外になります。
前回の英国とインドに綿シャツ生産における労働価値を考えればご理解いただけると思います。
労働時間も賃金も同じ(マルクス的に言えば労働価値量は同じ)でありながら、生産する綿シャツの量には雲泥の差が生じます。
これを私は、英国のほうが労働価値が高い(生産性が高いでも同じ)と呼んでいます。
(労働時間も賃金も同じなのに、より多くの財を生産するからです)


成立した交換はすべて等価交換であるとは言えないと思っています。今は、それが見えにくいいとしても、利潤なき経済状況になれば、非等価交換性が見えやすくなります。
(利潤を上げた企業は、労働価値超の価格で財を売ったことになり、赤字になった企業は、労働価値未満の価格で財を売ったことになります。赤字財政支出がそれを隠す役割はします)

このへんの話も機会があれば、少しずつ説明したいと思っています。

>「世界分業体制」からフルーオプション?の「電位差」を獲得するまでにはあっしら
>さんの過去レスにありましたが「開かれた国家社会主義」としてしかないわけですが、
>それを実現するためには国民国家としても政治的、軍事的ポテンシャルが必要だと
>(あっしらさんのいう「電位差」はそれも含む?)思いますし、中国にしてもそこま
>でいくかどうかわかりません。

軍事的ポテンシャルはあるに越したことはないと思っていますが、政治的ポテンシャルの必須性に較べればずっと低いと思っています。

中国経済の崩壊を気にしている人も多くいるようですが、それよりも日本経済の崩落を心配したほうがいいと言いたい。
なぜなら、中国経済が崩壊する可能性はあるが、それより先に日本経済が崩落したり、同時的に崩落する危険性のほうが高いからです。
(中国は政治的分裂さえ回避できれば、経済問題は、後追い修正も可能です。日本は、後追い修正の余地がどんどん減っていっています)


>資本は国境を越える可動性を持っていますが労働力の(EUの枠内はともかく)不可動
>性という問題は消えませんから完全な平準化は困難ではないでしょうか?

労働力の移動制限性は、製造拠点の移動によってカバーできます。
それから生じる微分的な変化の積分で、完全標準化も論理的には可能です。

わずかずつですが、製造拠点がなくなった国(A)の水準が下がり、製造拠点がきた国(B)の水準が上がる。
それが、産業連関的にそれぞれの国の他に影響を与える。そのため、A、Bの水準変化傾向はさらに進む。
それが、さらに製造拠点の移転を促す。
(ドイツを考えたらわかりますが、製造拠点の移転で国内需要が低迷すると、それに対応して販売価格を下げようとするため、人件費コストが低いところにさらに移転が進んでしまう)

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