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佐藤一斎「言志四録」と山田方谷「理財論」
http://www.asyura2.com/0403/hasan35/msg/638.html
投稿者 たくげん 日時 2004 年 6 月 29 日 13:43:10:ZeS7i/LK.kz92
 

(回答先: Reそれって完全に電波じゃん(あほらし 投稿者 NEVADA 日時 2004 年 6 月 28 日 16:37:15)


佐藤一斎「言志四録」と山田方谷「理財論」
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佐藤一斎は、陽明学の先賢ですが、最近では小泉純一郎が引用して少し有名になりました。しかし小泉の知識は、見識・胆識にまでは至らなかったようです。もっと深く学んで欲しいと思います。

  「少くして学べば、即ち壮にして成す有り、
   壮にして学べば、即ち老いて衰えず、
   老いて学べば、即ち死して朽ちず」

 
 この「言志四録」は幕末から明治にかけて、多くの日本人に計り知れない影響を与えた書物ですが、西郷南州(隆盛)なども「言志四録抄」という抜書まで自分で作って愛読しております。
「言志四録」は、先生の年代を追っての読書録・感想文を分類した物で、最初に「言志録」、中年になって「言志後録」、晩年になって「言志晩録」、最後には「言志耋録(テツロク)」、あわせて四録のことをいいます。

 これを書きました佐藤一斎という人は、なかなかの人物で、学者としてでなく、教育者としても、又哲人としても、実にスケールの大きい人物で、知識や地位にとらわれない、自由な裕(ゆた)かな人でありました。当時幕府は朱子学を国教、つまり官学に定め、特に松平定信が政権を執ってからは、「異学の禁」と称して、朱子学と相容れない思想・学問を禁断したのであります。一斎はその官学の大本山・昌平黌黌の、いわば大学総長になった人でありますから、勿論表向きはどこまでも朱子学でありましたが、然し決して派閥に拘泥するようなことはありませんでした。だから当時は、人呼んで「陽朱陰王の学風(表面は朱子学、裏面は陽明学)」などと評しておりました。

 この一斎先生も若い頃には相当な乱暴者で、よく、良い気持ちになってふらふらとかえってくる吉原通いの侍共を、途中で待ち伏せしては、これを叩き伏せたりして喜んでいたと云います。それが十九才の時に、しみじみと聖賢の書を読んで翻然として前非を悔い、真剣に学問の道に入ったというのですから、人間としてもなかなか面白い正確で、興味深い人物であったわけです。そうして剣道はもとより、弓術、馬術、槍術と、とにかく武芸百般ことごとくやったという強者でもあります。
 
 この一斎先生の塾に、一時佐久間象山と山田方谷(ホウコク)の二人が同宿していたことがあります。
この二人は、毎晩塾生が寝静まる頃になると、激論を戦わせたそうですが、なにしろ象山といえば、鼻っ柱が強くてとくと苦の見識を持ち、なかなか人に屈しない人物でしたし、方谷亦然りで、あの戊辰戦争の傑人で、人を人とも思わなかったあの越後の河井継之助が、たった一人方谷先生だけには頭を下げ続けたというくらいの人物です。この二人が議論するのですから喧しいどころの話ではない。塾生達も困って一斎先生に説諭を願いたいとと申し出た。一斎先生は「誰か?」というので、「佐久間と山田でございます」と答えたところ、先生しばらく考えておられて「そうか、あの二人か。それなら我慢せい。」といわれたといいます。こういう逸話にもその人の片鱗が伺われるというもので、包容力も大きい人でありました。

私が一番気に入っている文は下記の言葉です。漢文は省略します。

凡そ遭う所の患難変故(カンナンヘンコ)、
屈辱讒謗(クツジョクザンボウ)、払逆(フツギャク)の事は、
皆天の吾が才を老(ネ)らしむ所以にして、
砥礪切磋(シレイセッサ)の地に非ざるは莫(ナ)し。
君子は当(マサ)に之に処する所以を慮るべし。
徒(イタズラ)に之を免れんと欲するは不可なり。

一体遭う所の患難変故(非常の出来事)や屈辱讒謗、或いは払逆(さからう)のことは、自分の気持ちにもとり逆らうというようなことは、みな天が吾が才を練らしむ所以である。「砥礪切磋の地に非ざるは莫し」。砥は砥石、礪は粗砥、切は着る、磋はヤスリ。いろいろな目に遭うのが好い。いろいろの苦労ををするが好い。吾が才を練達ならしむる所以でないものはない。そうしてどうこれに処してゆくか、という事が学問・修行であって、いたずらに之を逃れようと思うのは不可である。


(注 釈)
 佐久間象山は云わずとしてれた、日本という国を国際的に卓見していた人物で、その見識は当時の学者の中でも他を圧しています。彼は1842年藩主真田幸貫が海防掛老中になると、顧問として海外事情の研究を命ぜられ、海防問題に専心、伊豆韮山代官江川坦庵に入門し西洋兵学を学び、藩主に「海防八策」を提出した。また外国書読解の必要を痛感し、黒川良安についてオランダ語を学び、オランダの百科辞書等によって、新しい知識を身につけ、1850年、深川藩邸で砲学の教授を始め、勝海舟、吉田松陰、橋本左内、河井継之助ら、多くの有能な人材を門下に集めた。嘉永6(1853)年、ペリー来航に際し「急務十条」を老中阿部正弘に提出し、下田開港に反対し横浜開港を主張。その後公武合体論と開国進取論の立場から皇族、公卿、諸侯の間を奔走したが、孝明天皇の彦根動座を画策したことが原因となり、7月11日三条木屋町筋において尊攘派の手により暗殺されました。

 一方、山田方谷(ホウコク)は備中松山藩(いまの岡山県高梁市)の財政を建て直し、藩主・板倉勝静の名補佐役として全国に名前を馳せました。いまだにその功績は「財政の巨人」として、実務的な経世済民を実行した賢人として大きな業績があります。備中松山藩は俗に五万石といわれていましたが、実態は一万九千三百石で藩の借財が10万両もありました。今で云えば100億円になりますが、在任中の8年間で10万両を全額返済し、なおかつ蓄財10万両をつくった手腕は他を圧倒しています。明治新政府に大蔵省に懇請されましたが断り、教育者として一生を終えました。ちなみに二松学舎大學の創設者・三島中洲は方谷の一番弟子です。
彼の「理財論」は現在日本国家の難局に当たり、時宜読むに値しますのでぜひ、ご一読ください。

いま盟主と賢相とが誠によく此に省み、
一日超然として財利の外の卓立し、
出入盈縮(シュツニュウエイシュツ)は之を一二の有司に委し、
時に其の大数と会するに過ぎずして、
義理を明らかにして以て人心を正し、
浮華を芟(ニギワ)し、以て風俗を敦(アツ)くし、
貧賂(ドンロ)を禁じて以て官吏を清くし、
撫字(ブジ)を務めて以て民物を贍(ニギワ)し、
古道を尚(タット)び以て文教を興し、
士気を奮って以て武備を張れば、
綱紀是に於いてか整い、政令是に於いてか明らかに、
経国の大法は修まらざるなくして、財用の途もまた従って通ず。
英明特達の人に非ざるよりは、其れ孰(イヅ)れかよく之を誠にせん。

賢明な君主と、優秀な大臣が本気で過去の歴史に学び、この道理を吾が物として、大局観のもと、超然として目先の経済活動を俯瞰、把握する位置に立ち、収入と支出は、信頼の置ける一名ないし二名の役人に任せ、自分自身は根幹の数字だけを承知するだけに止めることとし、自ら行う事は物事の正しい道理をはっきりさせて、人々の心を正しく導き、浮ついた心を刈り取って、人情細やかに、かつ賄賂を禁止することで役人達の身辺を清潔にさせ、一般大衆には細々とした配慮をして、明るい希望を持たせ、古来からの道義を学び、学問・教育を盛んにするよう努力することである。
 役人達のやる気を奮い起こさせ、軍備面の体制充実をはかる必要がある。そうなれば、国中に緊張感がみなぎり、国家の基本は正しくなり、法令も明確になる。国家の基本となる原理原則が隅々まで行き渡って、国家が安定しない筈がない。経済を隆盛にする方法も、自ずから発見される物である。
 しかしこの任に当たる者は、先賢の明があり、リーダーシップにすぐれた大人物でなければならない。「誠」の一字を腹中におさめ、正直かつ身を捨てて 率先遂行しなければ、達成できるものではない。
 
 
 長文におつきあいいただきまして、ありがとうございました。

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コメント
 
1. 2017年4月02日 03:45:26 : kobMJpPvPc : OCM2SndsGAg[6]
LIN★RINGのブログ

老去、佳境に入る

2009-01-20 12:00:00
http://ameblo.jp/rin-anju/entry-10195199110.html


少(わか)くして学べば、壮にして為すあり。

壮にして学べば、老いて衰えず。

老いて学べば、死して朽ちず。


このブログでも何度もご紹介しております佐藤一斎『言志四録』の一節です。

この一節を座右の銘としている人は、けっこう多いようです。(・ω・)b

人気があるのですね。(*^-^)b

多くの人が『脳の老化』に感心がある証かもしれません。

そういえば、任天堂DSの売上を押し上げたのが「脳トレ」でしたね。

昨日は44歳にして『ボレロ』を踊りきるシルヴィ・ギエムをご紹介いたしました。

極限まで鍛え上げられた鋼の肉体。

鍛錬次第であそこまで出来るのですね。


脳も同じなのでしょう。

(略)



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