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現実を動かし変える力が人間の内面から発することについて(本来はTORAさんの投稿へのレスですが)
http://www.asyura2.com/0406/bd37/msg/789.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2004 年 11 月 09 日 11:04:06:SO0fHq1bYvRzo
 

現実を動かし変える力が人間の内面から発することについて(本来はTORAさんの投稿へのレスですが)


●この文章は、本来なら下記のTORAさんの投稿へのレスとして準備したのですが、戦争版は余りにも進行が早いため、こちらで新規に投稿します。

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http://www.asyura2.com/0411/war62/msg/664.html
投稿者 TORA 日時 2004 年 11 月 08 日 15:50:26:
愚かな疑似宗教が世界の最強国アメリカを支配する。米国の福音派は9・11が堕落に対する天罰ととらえた
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●『株式日記と経済展望』は私も阿修羅同様に興味深く訪れている日本語サイトの一つです。もちろん『株式日記と経済展望』の主筆(投稿者のTORAさんご本人なのかどうかは存じませんが)は民族派を自認しておられ、浮き草みたいにバルセロナに流れ着いた根っから個人主義の風来坊である私などとは全く異なるタイプの人のようで、逆にそれだけに私のような人間が興味を引かれる点をお持ちなのでしょう。

『株式日記と経済展望』ではしばしば米国の狂信的なキリスト教の問題を正面から取り上げています。阿修羅の他の投稿子諸氏も宗教問題を取り上げることがあるのですが、自らが逆に宗教的になっているような場合もあり、参考にはさせてもらってもあまり突っ込んで読みたいとは思わないケースがたびたびです。

しかし私は宗教(および擬似宗教的な運動)は政治や経済などと同様、いや場合によってはもっと重要な、現実を動かす要因ではないか、と思っており、現在、本当に真摯な分析と対応が必要なテーマではないか、と感じています。


●私は童子丸開の名で雑誌『真相の深層』に寄稿しておりますが、この雑誌の夏号「連載 聖なるマフィア――オプス・デイの素顔を暴く(その1)」の『序章:「もう一つの現代史」を彩るカルト集団』で次のように書きました。(p49〜50)

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【『真相の深層』より、引用開始】

最後に、人間の内面から出てくる力と方向性が、現実を動かし支配する側面を持つことを、無視してはならない、と思う。
 左翼的、進歩主義的なものの見方からすると、宗教は「体制補完物」、被支配者に擬似的な救済を与えて支配体制を補完する「麻薬」に過ぎない。確かにこの観点からでは、常に宗教は「保守的」「反動的」「右翼的」であり、また早晩滅びるべき迷妄に過ぎない。
 ところがオプス・デイは始めから社会的エリート・知識人・支配階層の集団なのだ。彼らが政治的な変化に絡む場合は決まって「上からのクーデター」の様相を呈する。この点はそういった宗教観からでは全く相手にできない性質のものである。
また現実主義的な観点からは人間の持つ「内面の働き」などはほとんど無視されるだろう。人間の内面は、外面、つまり現実的な物事の量や動きなどの一種の関数とみなされ、世界を調べ分析する際には実数値として評価可能な変数のみが取り上げられる。したがって容易に明確な形をとらず非論理的な性格の強い人間の内面は、現在の言論界ではほぼ相手にされないだろう。宗教など、この観点からはせいぜい組織形態や資金の流れなどの合理的に把握しやすいものだけが問題とされ、人間の内面にあるものが外を動かしていくメカニズムなどは関心の対象にはなりにくい。そればかりか、人間の意志的な面を強調する見方は「陰謀論」として退けられる傾向すらあるようだ。
しかし世の中は良くも悪くも人間が作るものである。現実が人間を理想へと導くと同時に理想が現実を動かし、現実が人間を狂気へと駆り立てるのと同時に狂気が現実を推し進めていく、という面もまた正当に取り扱われるべきだ、と私は思う。人間が利害関係だけで動く、つまり人間の内面が外部にあるものの単なる関数である、とする考え方こそが、近代の支配的な超国家的集団がばら撒いた迷妄、現代の人間のために用意された「知的なワナ」の一面を持っている、と思う。
私は幸か不幸か社会的エリートになったことがないので想像する他はないが、この世の支配的な階層こそ、圧倒的な現実の圧力に拮抗しさらにそれを作り変えていくほどの内面の力を維持するために、宗教(あるいはそれに類する精神的支柱)を必要とするのではないか。その中心が神であろうが、悪魔であろうが、鰯の頭であろうが。研ぎ澄まされた観察力、冷徹な計算や一貫した合理精神と同時に、自らの行動を「神聖なるもの」とする狂信的なまでの目的意識が無ければ、決して自らを維持できないだろう。
人間の内面から出て来る力と方向性を軽く見た場合、オプス・デイのような宗教集団のあり方と機能を見誤るばかりか、それに対抗する手段を見出すことも不可能になるだろう、と思う。この点もまた、現代史を考える際に見過ごされてきた重要な側面ではなかったのだろうか。

【引用終わり】

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私がたまたまスペインという国に住んでいるため、スペインからでてきたオプス・デイというカトリック系カルト集団(実際にローマ教皇を操りCIAやFBI、P2などと手を組んで欧州や南北アメリカなどで様々な政治謀略を仕掛けている)の調査と分析に真正面から取っ組んでしまうはめになったわけですが、つくづく感じることは、「反対派」にも「賛成派」にも、どれほどタブーが多いか、ということです。

特に「反対派」の人々(主に左翼の立場)は、この教団の政治的・経済的な側面を強調しても、人間の内面に与える影響とそこから発する現実を動かす力については、常に話題にすること自体を避け続けているように感じます。そしてこのような態度は、すべての宗教(あるいは擬似宗教的運動)に対しても当てはまることでしょう。

上に引用した部分では『人間が利害関係だけで動く、つまり人間の内面が外部にあるものの単なる関数である、とする考え方こそが、近代の支配的な超国家的集団がばら撒いた迷妄、現代の人間のために用意された「知的なワナ」の一面を持っている、と思う』と申しましたが、上記のような人々の態度は、一見どれほど「科学的」な体裁を施していても、私に言わせれば「ワナにはまった似非科学」にしか思えません。私はこれも一種の擬似宗教ではないかと思っています。


●この点に関しては、形を変えて私の次の阿修羅投稿で次のように書いております。

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http://www.asyura2.com/0406/bd37/msg/286.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2004 年 10 月 01 日 09:35:49:
スペインは米国の謀略テロ被害者第1号だった:メイン号事件から9.11へ
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【前略】

したがって、先ほど述べたように「何が真実か」は、その出来事と、その前後に続く一連の物事との間に貫かれる「ある意図」を検出することによってもまた、明らかにされる可能性がある、と私は思う。歴史を一枚の織物として、物理的・地理的要因を「横糸」とすれば、人間(注意!歴史の登場人物および歴史を記述する人物の双方!)の主体的な意図が「縦糸」、というように見て、その双方の「糸」の表面と裏面でのつながりを見抜いていく中で「何が真実か」が発見可能ではないか、と思う。

このような見方に関して、専門的に歴史を研究される方から厳しいご批判を受けることは覚悟しているが、「歴史」があくまでも人間の歴史であり、「歴史の記述」があくまでも人間の思考の産物である以上、以上のように考えざるを得ない。19世紀段階の自然科学を中途半端に真似しただけの「普遍的で客観的な歴史的事実」など、「天地開闢6千年」のキリスト教原理主義の歴史観同様、私とは無縁である。

【後略】

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●また、これも私の阿修羅投稿ですが、

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http://www.asyura2.com/0406/bd37/msg/541.html
投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2004 年 10 月 20 日 08:04:45
「スペイン内戦」の幻想と傷と癒し
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の中で、スペイン国内の民族主義に関して、次のように書きました。

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【前略】

マラガィュは、フランコ政権によって殺された者たちと同時に、これらの反共和派の非軍人たちもまた一緒に記念されるべきである、と語ったのです。これは、10月12日の式典での二人の老兵士と同様に、スペイン中を驚かせました。

中央政府首相サパテロはクンパニィスの名誉を称え、この墓参に副首相であるマリア・テレサ・フェルナンデス・デ・ラ・ベガが献花に訪れました。彼女はクンパニィスのような独裁政権下で処刑された人々に対する判決を無効にするための法案を作る中央政府の約束を表明しました。何と驚いたことに、今までこのような判決が「有罪」として生きていた、つまり国家としての正式な名誉回復作業がなされていなかったのです。
http://www.abc.es/abc/pg041016/prensa/noticias/Nacional/Politica/200410/16/NAC-NAC-027.asp

今の所、マラガィュのこの発言自体に対する公式の反応は出ていないようです。しかしカタルーニャ民族主義政党(右派)であるCiU(集中と連合)や左派のカタルーニャ左翼共和党は、中央政府と社会労働者党の行動に対して、この「殉教者」の名誉を横取りしようとしている、と強く非難しました。
http://www.abc.es/abc/pg041016/prensa/noticias/Nacional/Politica/200410/16/NAC-NAC-033.asp

彼ら民族主義者たちにとっては、クンパニィスは、フランコ独裁に対してというよりも、あくまでもスペインに対して戦いスペインに殺害された「民族主義の殉教者」、つまり「カタルーニャ神話」の中の神々の一人でなければならないのです。だからマドリッドの中央政府の「名誉回復」など必要ないし、逆にあってもらっては困るわけです。

【後略】

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スペイン内戦(1936〜39)は、ファシズムとスターリニズムという二つの擬似宗教による代理戦争の様相が濃かったわけですが、そこにはさらに、スペインの中の少数民族であるカタルーニャやバスクでの民族主義という別の要素も混じっていました。

私はカタルーニャの歴史や文化は大好きで、虜になっている、といっても良いほどなのですが、しかし民族主義者たちの大はしゃぎには時々うんざりさせられます。どんなヘボ作家でも頓馬な建築家でも、とにかくカタルーニャ人であれば賞賛の対象になる、それに異議をさしはさむことは許されないわけで、典型的な擬似宗教でしょう。だから「神話」とか「殉教者」が必要(!)なのです。

『株式日記と経済展望』の主筆氏には申し訳ないのですが、日本でも「民族主義者」といえば、私が知っている限りはやっぱりこの手合いで、たとえば三島由紀夫などは「殉教者」なのでしょう。私としては、ちょっと遠ざけておきたい擬似宗教としか思えないわけです。この擬似宗教もやはり乗り越えていかなければならない対象だ、と私は思っています。


●ただ困ったことに、人間の内発的な意図、特に宗教的な感性や情熱などが外的な世界を現実に動かして変えていくメカニズムについては、有効な分析手段がまだ発見されていないように思います。これは近代科学が、「単なる迷妄でありいずれは滅びるはずのもの」とみなして、宗教(および宗教的心性)と真摯に取り組むことをひたすら避けて無視してきた結果です。これは明らかに「間違っている」と言えるでしょう。

従って、宗教(および擬似宗教的な運動)とそれを人間の内側から支える心性については、同様の問題意識を持つ様々な立場の多くの人々による長く苦しい追究と工夫によって、有効な解明の手段が作られていかなければならないでしょう。

乗り越えるためにはまず知らねばならない、その秘密が周知のものとなることによってそれを無力化することができる、と私は考えています。

その意味で、米国の福音主義の問題を重要視して正面から取り上げる『株式日記と経済展望』には敬意を表します。と同時に、これが単に「日本民族主義」の枠内にとどまらず、宗教(および擬似宗教的な運動)とそれを人間の内側から支える心性についての有効な分析手段の発見につながる動きとなっていくことを期待したいと思っております。様々な立場からの検討が必要なことではないか、と考えているからです。

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