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米国が優っている“経済力”が金の公的保有量しかない:話が金につながっていくわけ
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投稿者 あっしら 日時 2004 年 8 月 18 日 16:47:56:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: Re: お金の裏打ちについて 投稿者 ピカリン 日時 2004 年 8 月 18 日 08:16:07)


ピカリンさん、どうもです。

貨幣(通貨)は人々の活動力(=活動成果)を交換するための媒介物ですから、お金の裏打ちは、モノではなく人々の活動力です。


>お金の裏打ちを、いまさらに金に求める理由はなぜなのでしょうか?

結論を先に書けば、現在の米国が他に優っている“経済力”が金の公的保有量しかないからだと思います。


世界経済をざっと見れば、農産物をとりあえずおくと、日本や中国を中心としたアジア諸国とドイツといった民生品の「供給国」、米国・フランス・ロシアといった軍需品の「供給国」、中東・アフリカ諸国・ロシアなどがエネルギー源や原材料の「供給国」のように区分できます。

それぞれが「供給国」でありながら「需要国」でもありますが、経済成長を阻害する供給と需要のアンバランスを米国が“世界の需要者”として埋めているという状況です。

“世界の需要者”である米国は、5000億ドル(約55兆円)もの貿易収支赤字からわかるように膨大な「供給力=活動力不足」状態にあり、供給力不足を外国からのファイナンスで埋めてきました。

米国の政治的・経済的力を基盤としている世界支配層は、“新世界秩序”が確立するまでは米国の政治的・経済的力に依存しなければならないと考えているはずです。

米国連邦政府の債務は7兆ドル(約770兆円)で利払いが3000億ドル(約33兆円)ほどあります。
さらに、米国連邦債務は、日本のように60年償還ではなく30年償還ですから、元本返済も毎年2000億ドル(約22兆円)近くに達しています。
連邦債務の履行に毎年5000億ドル(55兆円)が必要なわけです。

利払いと元本返済分が米国内にとどまって国内の経済取引に使われるのならそれほど問題はありませんが、連邦債務の40%ほどが外国人の債権ですから、2000億ドル(22兆円)は国外に流出しています。
日本政府が昨年米国に金融した金額は20.4兆円ほどですから、それでちょうど連邦政府債務の履行で国外に流出する金額を埋めたとも言えます。

米国の純対外債務は2兆5千億ドルで、日本が保有している米国債が2兆1千億ドルですから、米国の純対外債務も日本がほぼ埋めていると言えます。(米国の民間部門は純対外債権で、連邦政府の債務がそれを打ち消してさらに赤字(純債務)にしている)

現在の世界経済構造と米国の税制が続く限り、米国連邦債務は毎年4千億円ずつ増加していくはずです。(利払いと元本償還が26億ドル(約2860億円)ずつ増加する勘定)
米国が貿易収支や財政を均衡する(できる)とは考えれませんから、積もり積もった政府債務、とりわけ対外債務をなんとかしたいと考えるのは自然です。

「ドル安」も債務を実質的に削減できる手法ですが、これまでの歴史を顧みればわかるように、「ドル安」はさらなる債務の増加につながるのみならず、米国の国際金融活動を不利なものにする一方で日本など「自国通貨高」の国際金融活動を有利にします。
(日本が米国の資産を買いまくった80年代後半から90年代初頭を思い出せばわかります)
このことから、「ドル安」は、刹那的な債務削減策であっても中長期的には債務を増大させ、さらに、米国の“国益”である国際金融活動を阻害するものという判断から避けたい政策です。

だからといって明示的なデフォルト宣言は米国の“権威失墜”につながりますから、“新世界秩序”が確立しているのならそれでもかまいませんが、その途上にあるのなら不都合です。

“新世界秩序”も当初は金本位制的国債通貨制度のほうがスムーズですから、その前段階としてドルの金本位制的変更を行うと同時に、積み上がった債務を大幅に削減する政策は、米国支配層にとっては合理的なものです。


>それまで、そんな風に金の価格が決められていることをしりませんでしたが、それほ
>どまでに、金に固執する理由はなんでしょうか?(ダイヤとか、ウランとか、そう
>いったものを占有するのと同じ感覚なのでしょうか?)

お金の機能が「交換手段」だけであれば金の裏打ちといったことが俎上にのぼることはないでしょうが、お金には「蓄蔵手段」という“重要な機能”があります。

現在のお金はドルにしろ円にしろユーロにしろ、「蓄蔵」したお金が将来どれほどの価値を持っているかについて何ら保証はありません。
(この間の日本は10年前に「蓄蔵」したお金(日本円)の価値が逆に高まっていますが、60年代だったら、10年前に「蓄蔵」したお金(日本円)の価値は半分以下になっていました)

対象のお金を「蓄蔵」している人(国際金融家などの大金持ち)は、お金が有する「交換手段」よりも「蓄蔵手段」にこだわっているので、お金の価値が保存され続けることを望みます。

そうであっても、それがなぜ金につながるかということは、金が持っている物理的特性・稀少性・非消費性にあります。
非消費性というのは、原油やウランのように供給(生産)活動に使われてなくなってしまう比率が金の場合小さい。(工業用や装飾品で使われるが、それから回収することも可能)
稀少性は、これまで人類が産出された金の量が14万3千トン(50mプール3杯分)であることからわかります。(海中や地中深くから採掘するとコスト的に見合わない)

金の物理的特性は、精錬溶解して均質な塊にでき分割も可能だということです。
小さなコインでも、100Kgバーでも、量が違うだけで物理的特性(質)は変わりありません。

ダイヤは、デビアスを中心とした国際カルテルで価格が維持されていることはともかく、均質性がありません。
カラット数が同じでも、色や傷などで価格に10倍以上も差が生まれます。
ダイヤの価値は個々の石の物理的特性に依存していますから、ダイヤ○○カラットがXXドルといった表現はできません。これでは、一般的な価値基準である貨幣の裏打ちとしては使えないということになります。

消費されてしまったり、物理的特性として均質性と分割性が確保できないものは、貨幣の裏打ちとしては使えない(使いにくい)ということです。

話は飛びますが、お金から「蓄蔵手段性」をなくしてしまうことが近代的支配構造を突き崩し鍵だと考えています。


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