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プロ野球選手会のストライキ支持!:問われているのは2リーグ制の維持ではない[かけはし]【左翼まで娯楽に口を出す時代】
http://www.asyura2.com/0406/idletalk11/msg/175.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 9 月 24 日 21:52:40:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 陰のドン=ナベツネ:楽天「挨拶をされたら突き放すわけにはいかん」ライブドア「あそこのせいですべてダメになった」[フライデ 投稿者 あっしら 日時 2004 年 9 月 24 日 21:29:18)


スト突入は当然経営者側が悪い

 日本プロ野球史上初めてのストライキが選手によって行われた。閉鎖的で「高慢」な経営者側を支持するものは誰もいない。九月二十日の六試合はどの球場も満員となった。スト支援の現われであろう。しかし問題はなに一つ解決していない。

 プロ野球の再編をめぐる日本プロ野球組織と労働組合・日本プロ野球選手会の代表者による協議・交渉委員会が九月十七日、四時間延長の十時間にも及ぶ協議が決裂し、選手会は十八日、十九日のストライキに突入した。この二日間で一、二軍の十七試合が中止となった。
 ここに至ってもプロ野球組織は「選手会が労働組合であっても、球団統合は経営事項、義務的団体交渉事項ではない。これを理由にストライキを行う違法かつ不法」とコメントしている。
 この選手会のストライキに対して読売新聞と報知新聞以外のマスコミは今回のストライキに対する調査を一切に発表している。それによると「スト突入を率直にどう思いますか」という問いに対して「これまでの流れから当然」という回答が七九%を占め、「スト突入を招いた原因はどちらにあるか」という質問に対しても「機構側が悪い」が八五%を占めた。
 UIゼンセン同盟、自動車総連、私鉄総連、連合までもスト支持を打ち出し、経団連の一部からも「ストを打つのは分からないでもない」と意見が出ている。唯一、読売新聞だけが連日社説まで使って「スト反対」を主張していただけである。

最初から一リーグ制構想を画策


 今回の出発点となったのは、パリーグの近鉄が赤字経営を理由にオリックスとの合併に踏み切ったことによるものであった。さらに九月八日、二十数年振りにオーナー会議に出席した西武の堤より、近鉄・オリックスの合併以外、二チームの合併計画が報告された。つまり来年以降パリーグは五ないし四チームとなる計画が明らかにされたことによるものである。
 以前からパリーグはセリーグとの交流戦を提案してきたが、収入減につながるとしてセリーグ球団の反対によって実現しなかった。
 だが今回は西武の堤、オリックスの宮内が巨人の渡辺前オーナーを巻き込んで、球団の減少、一リーグ制をちらつかせて交流戦をセリーグに認めさせ、できれば一リーグ制に移行させようとするねらいが背景にある。協議・交渉の場でも強行派はこの三球団に近鉄を加えた四球団である。つまり「人気球団巨人」との試合を実現することによって集客アップを計り、さらに対巨人戦一試合一億円を超すという「放映権」によって生き延びようというねらいである。巨人人気によってのみ支えられているセリーグの黒字分を、交流試合ないし一リーグ制によってパリーグの赤字の相殺をはかろうとしているのである。さらにこの機会に高騰傾向にあった選手の年俸についても、選手の側から自粛する雰囲気をつくり出そうというねらいもある。
 オーナー会議の結論は、二〇〇五年セリーグ六球団、パリーグ五球団、〇六年以降は親会社が経営危機にあるダイエーをロッテに吸収させ、セ・パ十球団にして一挙に一リーグ制を実現しようとしているのである。このオーナー会議、とくに三球団の意向が変わらない限り、プロ野球組織は選手会の意向に耳をかたむけないし、ライブドアや楽天が新規参入球団をつくろうとしても認めないであろう。根来コミッショナーがなにもせず辞任しようとする根拠もここにある。他のセリーグ球団も巨人のパリーグの移籍というどう喝の前に動けないのが現在の状況を反映している。

巨人の「球界の盟主」構造の限界


 バブルがはじけて以降、日本社会では銀行をはじめとする金融機関や大手企業の合併、再編が相次ぎ、中小・零細では倒産が連続してきた。この結果史上空前の失業率が続いた。しかもこの間、資本の攻撃に対して労働者は全く反撃を組織しえてこなかった。逆に資本側は「企業再建」のためにはなにをやってもいい気分をつくり出してきた。巨人の渡辺前オーナーの「経営路線に対して、……たかが選手会が」という発言は、この現実を如実に物語っている。ストライキに対する支持と好感は、多くの人がオーナー会議の「あり方」「傲慢さ」にこの十数年間の日本社会の歴史と推移をかい間見るからであろう。
 一九四九年に「太平洋野球連盟=パリーグ」が結成されて以降、当時百七十万人の観客動員であったものが、七〇年代後半には五百万人、九〇年代後半には一千万人を超え、セリーグに匹敵する動員力を持ち、プロ野球は「国民的スポーツ」として成長した。しかしプロ野球球団の親会社は一貫してプロ野球を「国民的スポーツ財産」として位置づけるどころか広告宣伝体としてしか扱ってこなかった。球団が黒字のうちはいいが、球団が赤字に転落すると、親会社の「広告費」として処理されてきた。ここにオーナー会議が「絶対的権威」を持つ構造が完成し、「閉鎖性」が確立したのである。さらに黒字をもたらすのが、「人気球団巨人」との対戦であったが故に、巨人が「球界の盟主」という位置がつくられたのである。今日、各球団の経営は公開されてはおらず、球団によっては観客動員数さえあいまいなのである。

私企業の「オモチャ」にメスを


 プロ野球は「国民的スポーツ財産」ではなく、「私企業のオモチャ」となり、オーナー会議は私企業の利益追求のための密室の調整機関になっているのである。日本においては私企業がプロ野球球団を持とうと社会人の実業団チームを持とうと同じ構造である。親企業が「広告費」の枠の中で維持できなくなればプロ球団では「売却」され、実業団では「解散」である。しかし巨人を盟主としてきたプロ野球は個々の「売却」では構造的赤字を解決できなくなった結果、チームを減らし一リーグ制に向かって進み始めたのである。それも人気下降気味の巨人にぶらさがる構造は本質的に全くかわっていない。こうしたあり方はVリーグをつくってかろうじて生き延びている「人気スポーツ」であったバレーボールにも共通している。
 逆に後発であるがJリーグをつくり、企業も巻き込みながら、地域フランチャイズ制を取り、一部と二部の入れ替え戦を取り入れながらチーム数を広げているサッカーと比較するとその差は歴然である。私はJリーグのあり方を全面的に支持するものではないが、野球人口が減り、テレビの視聴率が下がるのとは反対にサッカーの裾野が広がり、視聴率が上がるのはわかるような気がする。縮小する「巨人のパイ」を分けるだけのビジョンではプロ野球に明日があるわけはない。
 「一チーム」の閉鎖・縮小は選手八十人の問題にとどまらず、関連企業千人の雇用問題を必然化し、球団がある地域の商店街などを巻き込んで進む。したがって近鉄とオリックスが合併し一球団がなくなり、新規参入球団を認めないいまのプロ野球組織の意見をだれも支持しないのはあたり前である。
 あたかも「来年もセ・パ六球団での二リーグ制」だけが焦点化されているが、今日プロ野球の労使が問われているのは、「プロ野球」の再編をどう考え、どう変えていくかということである。

新しい時代に対応したスポーツへ


 スポーツへの関心は多様化し、すでに小・中学校でのスポーツ人口はサッカーにその座を奪われ、同じプロ野球でもアメリカのメジャーリーグの人気がどんどん拡大している。現在マスコミでは日本のプロ野球より「イチロー・松井」の登場の方が多くなっている。野球というスポーツで旧来通りの人気を維持しているのは「春・夏の甲子園」だけといっても過言ではない。巨人の年俸総額は五十億円に近づき、これに対抗しようと阪神、中日も三十億円の後半まで拡大している。唯一広島だけが二十七億円でこの流れに「抗して」いる。巨人の渡辺前オーナーの辞任問題に発展したドラフトの裏金問題は、巨人以外の球団でも広く行われていることはいまや公然の秘密となっている。
 FA権の短縮とドラフトの完全ウェーバー制の移行なしには、戦力が巨人にかたより、年俸高騰の一因となると多方面から言われながら、巨人の反対によって棚上げされるつづけている。メジャーリーグでは放映権や黒字分を各球団で分配しているが、日本では巨人が独占している。あらゆることが巨人の都合のいいように決定されきている。これが日本のプロ野球が衰退してきた一因でもある。
 ダイエーが福岡に球団を移し、日本ハムが札幌にフランチャイズを移して、一気に観客動員を増やしているが、プロ野球組織としてフランチャイズ問題を本気で取り上げようとはしていない。オリックスに至っては、神戸と大阪の「二つ」を持ち出す始末である。ファンの獲得、フランチャイズ制、会員制などによるすそ野の拡大を中心課題とするサッカーとは根本的な差がある。
 一九七九年西武が西武線の開発のために球団を持った時の「熱情」と西武線の再開発が終ったいまでは、その「熱」の入れようは明らかに違ってきている。西武が長野オリンピックに便乗して各地のプリンスホテルにつながる「オリンピック道路」を延ばしたのと、西武にとって球団経営は全く同じものなのである。
 私は選手会のストライキを支持するが、「盟主巨人」に主導され、西武のように球団を運営するプロ野球界のあり方に根本的なメスを入れない限りプロ野球の「地盤沈下」は続くだろうと断言する。(松原雄二)

http://www.jrcl.net/web/frame040927c.html

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