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アメリカ軍国主義――地球の環境と平和の破壊(2)TUP速報346号
http://www.asyura2.com/0406/war57/msg/1241.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 7 月 31 日 22:24:22:dfhdU2/i2Qkk2
 

TUP速報346号 アメリカ軍国主義(2) 04年7月31日

◆アメリカ軍国主義――地球の環境と平和の破壊(2)
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日本在住の研究家、リチャード・ウィルコックス氏による米軍基地問題に関す
る論文です。アメリカの地球規模の戦略、それが引き起こす人類に対する脅威
と環境破壊の可能性について、わかりやすくまとめてあります。
ウィルコックス氏が論述している「戦争と環境破壊」というテーマは、行き詰
まっている反戦運動を切り拓いてゆく上でも、広く取り上げられるべき課題で
す。訳文を3回にわたってご紹介します。その第2回目です。

転載・翻訳許諾済み  TUPメンバー/菅原 秀
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*(訳注)本論文の原文はAPAスタイル(アメリカ心理学会書式)で書かれて
いるので(ミラー2003年)などという表記は、原書の出版年ではない。ウェ
ブ・サイトまたは図書の年号を示している。(引用図書、ウェブ一覧は、3回目
の最後に添付予定)
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3、環境への負荷 日本の場合

3―1 政治的背景

 日本はアメリカ帝国同盟システムの中の従属的なパートナーである。200
1年の日本の軍事費は385億ドルで世界第4位。アメリカの軍事費は280
0億ドル、ロシアが439億ドル、フランスが400億ドルであった。(「ワ
ールド・ミリタリー・マーケットプレイス」2002年)

菅孝行(2002年)は「小泉政権のもと、日本はまっしぐらに軍国主義に突
き進んでいる」と警告している。日本がかつて犯した驚くべき戦争犯罪の記録
から考えて、現在の兆候は脅威であり、日本の支配層である保守派のうち、極
右部分に潜在している固有のファシズムを、アメリカが鼓舞しているからであ
る。「まっしぐら」に血の海につき進もうとしている今世紀の状況は、狂った
人々によって行われているのではなく、第二次世界大戦直後からたんねんに練
られてきた計画なのである。戦後日本の平和文化の中で、じっと時を待ち機を
うかがってきた日本の支配層は今日、次のような状況を求めている。「軍事力
の自由な活性化」「再軍備を確実にするための法的、政治的、社会的後ろ盾の
醸成」「日本内外で、反政府派、抵抗派、邪魔なグループを懲罰、追放、報復
するための社会システムの醸成」である。

 最近の、アフガニスタンやイラクのような国家を潜在的な驚異だとして先制
攻撃するアメリカの政策が日本が画策する「戦争、治安、国家などへの敵を撲
滅するための単純なイデオロギーの宣伝」を強化しているのである。

 この再軍備政策の要素のひとつとして、90年代なかばから国会を通過して
いる一連の法律がある。1999年に通過した「周辺事態に際して我が国の平
和及び安全を確保するための措置に関する法律」、さらに「組織的犯罪処罰法
」「住民基本台帳法」「国旗および国歌に関する法律」などである。これらの
法律は国家権力を増強し、国民の自由を制約する意味合いを持っている。日本
共産党の機関紙は、11月の選挙によって、右翼である自由民主党(ほとんど
邪魔されることなく過去50年間権力を掌握してきた)と、ややタカ派色の薄
い民主党が、日本が誇ってきた社会安全ネットを統制のできない軍拡の道に突
き落とす傾向が強まるだろうと報道している。日本共産党は、これら2つの政
党は対社会的には反体政党として存在しているものの、実際のところ2つの政
党は日本で最も力の強い経済エリート団体である経団連によって強力に支えら
れていると注意を喚起している。日本共産党はアメリカと日本の軍隊のイラク
派兵に反対し、アメリカのイラクでの戦争は「侵略」であり、「もし日本が自
衛隊をイラクに派兵すれば、日本は破滅への道に進む」と警告した数少ない政
治政党である。(「侵略戦争」2003年、「誰が被告人か」2003年)

 再軍備への鍵は、日本の平和憲法の改正であり、国際間の戦争への日本の関
与を禁止している厄介な第9条を思い切ってなくすことである。第9条は「日
本国民は・・・国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は・・
・永久にこれを放棄する。・・・陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない
」と明確に宣言している。しかしこの文言は、1951年を皮切りに、必要以
上の軍事拡張によって、おびやかされ続けてきた。

  今日、日本には武装した24万人の男女が存在している。ここ5年間は毎
年500億ドルを費やし、予算規模からみれば少なくともアメリカに続く第2
位の軍隊を保有している(ロシアはもはや近代軍を保持する能力を失っている
)。しかも日本は憲法に「国の交戦権は、これを認めない」との条文を持って
いるのにもかからず、これら軍備を保有しているのである。(ビクトリア20
03年)

 小泉内閣の官房長官である福田康夫は、あえて核兵器に対する日本の立場を
再考し、核貯蔵施設を認めるよううながしている。(ビクトリア)右翼である
東京知事の石原慎太郎もまた差別的発言と軍に関する発言がよく取りざたされ
る人物であるが、大衆からの支持を集め続けている。つまり大衆の外交政策へ
の大幅な無知と、中国と北朝鮮による脅威の拡大解釈をあおっての支持である
。例えば、

 在米国日本国大使館公使・広報文化センター所長、阿川尚之は、北朝鮮の「
政権交代」を行うという考えを、朝鮮半島の核危機回避の「最終的解決」だと
して公表している。
(ショロック2003年)

 ショロックは朝鮮問題の専門家であるジョン・フェファーを引き合いに出し
、「北朝鮮攻撃という恐ろしい事態だけが、日本が培ってきた平和主義を根こ
そぎなぎたおすことができる」との信念を紹介している。したがって、日本に
駐留する米軍の活動を制限するための当面の緊急対応策がないのである。米軍
は、日本の美しい海岸線をアジア大陸から攻撃するであろう数多くの略奪者た
ちから守ってくれる存在と考えられているのである。北朝鮮が(公式に)認め
、1970年代の日本人拉致に関する謝罪をしたという事実は、北朝鮮の持ち
前の犯罪性を証明したものだとして、うんざりするほどメディアによって繰り
返し報道され続けてきた。

一方、日本が太平洋戦争時代に数百万人の朝鮮人とアジアの同胞に対して強制
労働を課し、殺害したことについては、その残忍さが人類史上比類のないもの
であるにもかかわらず、詳細はよく知られておらず、大部分の日本人からは無
視されている。(シークレイブとシーグレイブ、2003年。浅野、2003
年)。こうした偽善性には、開いた口がふさがらない。


3―2 「巨大不動空母」沖縄

第二次世界大戦の太平洋地域に関する権威ある歴史家のダワー(2003年)
は、次のように書いている。

 沖縄と韓国の占領――は、日本本土の占領政策を統括したのと同じアメリカ
の「連合国最高司令官」(ダグラス・マッカーサー)の指揮のもとで実施された。
しかし、もっとも示唆と刺激に富む第3の例は、1931年に満州で始まり、
まもなく中国の万里の長城以南へ、やがて東南アジアへと拡大した旧日本の
占領政策にほかならない。日本本土に関しては占領当初から真摯な“民主化”
政策を実施したアメリカも、安全保障問題が当面の最優先課題となれば、民主
主義に背を向けてしまうことを教えてくれる点で、沖縄と韓国の占領事例は示
唆に富む。日本最南端の沖縄は、軍事戦略家たちがアジア大陸の沖合いに浮か
ぶ浮沈空母を望んだため、ただちに巨大な米軍基地に改編された。日本占領は
1952年4月に公式に終結したが、沖縄では1970年代初期に施政権が日
本に返還されるまで、アメリカによる植民地統治が継続した。その後も、広大
でグロテスクな米軍基地群が存続している。(井上利男訳2003年)

     日本は、2003年度にはアメリカ政府に対して、米軍の日本駐留
のための経費をおよそ60億ドル支払っている。米国防省(DoD)によれば
日本には39,691人の兵士が駐留している。最近の報告書で米国防省は日
本の「受入国貢献」はあらゆる同名国の中でもっとも寛大であるとほめたたえ
ている。「日本はアメリカの上位25の同盟国による総額以上を支払っており、
第2位の貢献国家ドイツの4.5倍を支払っている」(「日本の支払い」2
003年)

   驚くべきことでもないが、沖縄はアメリカと日本本土の双方から搾取さ
れ続けてきた。

  沖縄は、日本とは異質の文化を持つ地域であり、1879年、日本が強制
的に併合、本土の人々および当局によって長く行政上や社会的な差別を受けて
きた。日本の新聞はこの基地を支えるための支払いを「思いやり予算」と呼ん
でいる。海外政策の展開ができない貧乏なアメリカに同情してという意味であ
る。日本での米軍について地位協定は、アメリカは配備に要するあらゆる経費
を支払うと記述している(地位協定第24条)。しかし1978年以降、「思
いやり予算」が開始されて以来、日本政府はその半分以上の経費を支払い続け
ているのである。アメリカに対してこれほど気前のよい「受入国」はどこにも
ない。(ジョンソン2003年)

 米軍基地の冷戦下の状況に加えて、沖縄とグアムからフィリピンにいたる南
太平洋の他の地域は、長いこと米空軍と米海軍への戦略的な位置を提供してき
た。アメリカ市場のための天然資源を守り、潜在的競争相手に脅威を与えるた
めである。ガーソン(1991年)はグアムの米軍基地は単に「最適な農地、
漁場、飲料水」を占領するために設けられただけであることを報告している。
(19ページ)

 日本にはおよそ105カ所の大小の米軍施設が存在している。少なくとも1
986年以来、横浜近辺にある逗子市の不幸な住民たちは、米軍と日本政府が
取り決めた米軍住宅の建設と「東京・横浜メガポリスに残っている数少ない緑
地である」池子の森の保全に関して戦い続けている。(19ページ)

「池子地域の米軍住宅ユニットの建設は1993年に開始された。そのとき日
本政府は逗子市との間に合意を交わした。さらに住宅ユニット建設を追加する
ことはないというものだった」(「市長の辞職を」2003年)

 昨年政府は米軍に対する住宅の追加建設を決定し、新しい決定は1993年
の合意を犯すものではないと主張した。しかし逗子市長は、政府は「この件に
関して当局責任者と会合の設定をして欲しいとの私の度重なる要請を鼻であし
らい続けた」と反論している。

逗子市市民の大多数は米軍住宅の建設に反対であるが、政府はその声に耳を貸
さず、自分たちに都合のいいように規則を変え、民主的に選ばれた地元政治家
たちの声をも無視している。

 もうひとつの軍が環境へ与える脅威の例がある。自然生態が豊富な三宅島を
軍事基地として利用しようとしている件である。三宅島は野鳥保護区として知
られるが、現在、米軍は戦闘機パイロットのための夜間着陸訓練滑走路に転換
することを求めている。この件では国際的な激しい怒りが巻き起こらない限り
、計画への疑問が生じ、妥結にいたることは難しいだろう。(ガーソンとバー
チャード、20ページ)

 米軍基地周辺に住む住民の大きな心配は、基地から発生する膨大な量の有害
廃棄物であろう。

 受入国の科学者が米軍基地に出入りするのは極めて難しいので、発生するで
あろう環境破壊を調査するのは難しい。米国内で米軍が発生させる有害廃棄物
の量は40万トンであり、その大部分は不法投棄物である。海外の米軍基地が
ひどい汚染源であるとしても驚くべきことではない。酸化物、弾薬廃棄物、有
機溶剤、化学兵器、産廃汚泥、そしてPCB(ポリ塩化ビフェニル)が米軍基
地をとりまく環境に放出されている。これらの廃棄物は地下水、汚染土壌など
を通じて「移動」し、人間と動物の環境に脅威を与える。(20ページ)

 従来からの汚染に加えて、軍事用語で核兵器扱いの不手際による「ブローク
ン・アロー(折れた矢)」と呼ばれる汚染もある。「1968年、沖縄沖40
マイル海域を航行中の米艦船タイコンデロガの側舷から、搭載されていた水爆
が紛失した。この件の詳細と、恐らく水圧によって水爆の覆いが破壊され放射
性プルトニウムが飛散したであろう事実は、20年以上に渡って国家機密にさ
れていた(20−21ページ)。すでに報道された核兵器取り扱いの不手際に
よる事故に加えて、いったいどれだけの事件が隠蔽され、私たちの地球の大洋
と空を汚染しているのだろうか。


3−3 劣化ウラン

 1995年と1996年沖縄県で、毒性と放射性が極めて高い劣化ウラン(
DU)兵器の違法な試射が行われた。1520発の劣化ウラン弾が航空機から
、沖縄北方、久米島西方にある小島に発射されたのである。(「核政策」20
03年、宇井2003年)*訳注:鳥島米軍射撃場のこと。

 これは日本の原子力発電に関する規制法の侵害である。外務省はこの情報を
沖縄県および沖縄県民に伝えず、人々はワシントン・タイムズの記事によって
知ったのである。(宇井、2003年)

 米軍は最初、責任を否定し、1997年にいたるまで違法行為の事実を無視
し続けた。やっと謝ったかと思えば、次のような言い訳をした。「環境に対す
る一切の負荷はない」。その後のいい加減な清掃作戦では、1パーセントの不
発弾が回収されたに過ぎない。(「核政策」)。
シシンとウィルキンソン(2001年)は、2000年に発生した次のような
事件について書いている。

沖縄の民間廃棄物処理場で、劣化ウラン弾の薬きょうが発見された。業者が米
軍から回収してきたものであった。米軍担当者は、「この薬きょうは鳥島で発
射されたものではなく、補湾岸戦争時に使用されたものであると思われる。劣
化ウラン弾は今でも嘉手納、沖縄の主な空軍基地と弾薬庫、横須賀に停泊する
海軍艦艇、および東京近辺の主要海軍基地に保管されている。これら施設には
『ファランクス』と呼ばれる劣化ウラン弾発射用の銃が装備されている」と語
っている。

米軍と日本政府は、鳥島およびその他の地域の環境への危険性についての適切
な説明をしていない。実際のところ「なぜ共犯者たちが事実を隠蔽したままに
しているかについては、劣化ウラン弾を廃絶しようとしている日本の市民グル
ープの努力とは別個ものである」といえよう。

この問題の別な側面は、「日本は直接ではないにしても、劣化ウラン兵器の製
造にかかわっているかも知れない」という点である。日本は50カ所の核プラ
ントを操業しており、核エネルギーの主要生産国である。アメリカとフランス
は濃縮ウランの二大主要生産国であり、日本がその顧客である。原子力発電所
の燃料として「日本のウランが濃縮されれば、劣化ウランの燃え殻が残留する
。この燃え殻は日本には返却されず、濃縮作業を行った国に残ることとなる」
(シシンとウィルキンソン、2001年)

したがって日本の原子力産業は直接、劣化ウラン残留物の集積に寄与している
ことになる。劣化ウラン残留物の一部から、アメリカとフランスによって劣化
ウラン兵器が製造されているかも知れないのである。


  3−4 環境を守るために戦う宇井純
  
  基地によって引き起こされる環境汚染と破壊は、米軍が広い意味で、自国
内および海外で環境規制法から除外されるための努力をしていることからもう
かがえる。(第4章参照)

 沖縄の実例が、環境に関する人種差別と階級差別を明確にあらわしている。
これは米国と日本が不平等な同盟関係にあることによるものである。その関係
によって日本のエリートが共犯者として利益を得ている。

 1970年以来、宇井純(2003年)は、産業汚染に対して戦ってきた日
本で最もよく知られた人物である。私が引用する宇井の手による英文の報告は
、沖縄の米軍基地の環境汚染問題についてもっとも詳細に記述されているもの
である。

 宇井は日本での環境科学を批判する分野での先覚者である。日本列島本島の
本州では、東京大学工学部で一般大衆に対して極めて平易な講義を行った。(
東大では、産業界の暗部に光をあてていたことから、在職の身分がなかった)
そして、沖縄に移ってからの16年間は「沖縄環境ネットワーク(OEN)」
のメンバーと一緒に働いている。宇井が沖縄に移住したのは、沖縄には「日本
の五大汚染河川のうち3つがあるから」であり、彼の専門家としての知識が地
元の基地反対市民グループよって買われたからである。(宇井、2003年)

 アメリカ軍事帝国は、日本の最貧県沖縄に繁栄をもたらさなかった。実際の
ところ、そこに駐留する米軍によって「日本最悪の水質汚染」が引き起こされ
ていた。米軍は「沖縄本島の一等地の19%であるおよそ23,700ヘクタ
ール」を占拠している。(ジョンソン、2003年)

 宇井は詳述する。
 
 全体像は実に明快である。日本の国土のわずか0.6パーセントである沖縄
には、米軍基地の70パーセント以上が存在する。もし米軍基地が均等に配置
されるとすれば、沖縄にはおよそ全体の0.6パーセントの基地が存在するこ
とになるのだが、100倍もの割合で集中しているのである。

 沖縄の政治的経済は、日本政府がアメリカから受け取る沖縄の貸借金に依拠
している。前述した1995年のレイプ事件のような危機が発生すれば、日本
政府は公共事業プロジェクトに資金を投入して反対の批判を押さえ込む。この
解決法は、沖縄に仕事を創出し同時に、政治家たちが経済的な無駄遣いと環境
破壊をともなう悪名高い「土建国家」の友人たちに甘い汁を吸わせるための建
設契約を提供するという二重の目的にかなう。日本全体がこのシステムによっ
て、政界のトップ、官僚、建設会社、そして組織犯罪シンジケートである「ヤ
クザ」に利益をもたらす。(ケール、2001年。マコーマック、2002年

 基地が存在することによるこの無責任なシステムは社会的問題をひきおこす
だけでなく、沖縄の亜熱帯のサンゴ礁と原生林の破壊をももたらす。「補償」
の一部である巨大建設事業は、沖縄の小さくて脆弱な、そして特有の環境には
不適切である。米軍基地によって直接ひきおこされる政治的経済による破壊的
な「開発事業」。この事業に戦いをいどむためには、宇井や「沖縄環境ネット
ワーク」などの活動家は、自分たちの時間のほとんどを使った努力を強いられ
る。
 宇井は基地そのものがひきおこしている問題に関与することはとても難しい
と指摘する。時折、環境問題が基地の外の地域社会に漏れた場合だけ、無視す
ることが難しくなる。たとえば「事故により石油廃棄物が基地の外に漏れた場
合」などである。

 化学合成物質が外部の環境に漏れた危険性が判明して10年以上経ったとし
ても、米軍基地からの汚染土壌のデータがないのである。これは明白に、地域
の活動家がこうした問題に対処することを助長しないために、情報を与えない
ようにする日本政府側のせいである。日本政府側は引き伸ばしを行い、無能力、
無関心であると同時に、責任に耐えるという勇気が欠如しているのである。

 宇井は最大の問題は米軍と日本政府との不平等な関係であると指摘する。米
軍側が優勢な立場にあるからである。
 
 宇井が指摘する以下の要点が、沖縄の米軍基地の政治的経済の実態について
あますところなく伝えている。

(1)「米軍基地で何が起きているか」というデータがなく、「水銀、カドミ
ウム、ヒ素、PCBなどの有害物質の高度な集中」を含有する土壌のデータが
ない。
(2)大量の未使用弾薬が、武装部隊が訓練を行っている福地ダム周辺の森に
投棄されている。「ダムは沖縄本島への大部分の水を供給している」ために、
弾薬から溶け出して一般住民の飲料水に含まれる有害物質に核物質が含まれて
いる可能性がある。米軍と日本政府が沖縄住民の健康に無関心であることは明
確である。
(3)宇井は、汚染地域の調査には「サンプル採取のための高度な経験」が必
要なとこを指摘しており、沖縄県庁に返還すべき基地が汚染されているかどう
かを見極めるための適切な地図を入手する必要がある。しかし、米軍はこうし
たことに協力しておらず、調査員による汚染地域の特定を難しいものにしてい
る。その理由は明確である。「汚染した土地の返還については、地位協定の第
4条第1項に明快に規定されており、以前の状態に回復する責任はアメリカに
はないのである。第4条はまさに一方的なものであり、疑いもなく日本側にと
って不利なものとなっている。
(4)「汚染があった場合、日本政府は除去のための費用を負わなければなら
ない。もちろん、環境汚染に関する経験上、汚染除去と土地の原状回復は容易
なものではないことが知られている。もしそれを認めずに、あるいは過小評価
すれば」外務省は予算を節約できるのである。
(5)しかしながら、「日本共産党は日米地位協定の問題に関して、経験に基
づいた調査を行った。調査結果は日米地位協定をひとつひとつ批判する形式で
出版された。この調査では第4条と汚染の関係について、ほとんど注目されて
いない」宇井は、この調査はそのプロセスで不幸なミスを犯していると指摘し
ている。
(6)1999年にアメリカと日本が合意した共同声明である「環境原則」に
は沖縄の基本環境規制が包含されていない。驚くべきことに、環境局と環境委
員会はともにこの共同声明の存在を知らなかった。米軍基地の汚染について言
及していない沖縄環境法が、窃盗を犯すものを罰するために、罰則規定を盛り
込まなかったのである。
(7)「1973年の環境に関する日米共同委員会の公式声明」は外務省によ
って30年間も公開されないままだった。この文書を日本の学者が閲覧するこ
とは可能だったのだろうか。米軍基地の汚染を知るために「閲覧の要求とその
結果の発表、および見本の取得は可能であった」。この文書は意図的に秘密に
されたのだろうか、それとも宇井が指摘するように外務省の「責任感の欠如」
によるものだろうか。どちらにしても、その惨憺たる結果は同じことである。
(8)お互いの経験を比較検討するために、「沖縄環境ネットワーク」はフィ
リピン、ベトナム、そして韓国のNGOを招いてワークショップを開いている
。現在、韓国は日本と同様の不平等な地位協定で苦しんでいる。それに対して
フィリピンは1990年の閉鎖によって一時中断したのち、刷新された米軍基
地を再び駐留させる受入国となっている。こうしたネットワーク作りは、基地
の政治的経済を理解するうえで重要である。たとえば宇井は「ダイオキシンを
含む枯葉剤であるエージェント・オレンジはベトナム戦争のときに大きな問題
を引き起こしたが、沖縄から移送されており、噴霧されたベトナム人と噴霧し
たアメリカ兵の双方に、深刻な障害をおよぼした。沖縄のどこにどのようにし
て枯葉剤が貯蔵されていたか、その状況次第では、今日も強いダイオキシン汚
染が存在している可能性が高い。
(9)悲しい事実は、日本の保守政党は自分たちの利益にかなうことから、た
とえ公共福利を害するとしても、米軍の受け入れを喜んでいることである。も
ちろん「不平等な一方的な地位協定について再交渉すべきであるとの強い要請
も日本側にはある。今までの外務大臣と外務省官僚の中では、元外務大臣の田
中真紀子だけがこの件を考慮するという反応を見せただけである」田中氏は国
会の長老たちのネットワークの汚染を告発しようとして自民党から追い出され
ている。


3−5 核廃絶!

  宇井が書いているように、30年前に開始されねばならなかった米軍基地
の汚染問題への取組みは、沖縄環境ネットワークなどのNGOの努力によって
少しずつ進展している。その間、横浜のピースデポのようなNGOが、アメリ
カの「核の傘」は危険であり、日本国憲法第9条の侵害であり、事実「核の磁
石」として機能していると批判している。イラク戦争が示しているように、占
領に対する報復という暴力が米軍兵士とアメリカの同盟軍に襲いかかっている。
日本の米軍基地は都市部の人口密集地に位置することが多い。もしこうした報
復が米軍基地や日本の市民に対してなされることになれば、その結果は悲惨な
ものとなるであろう。

 こうした不確定要素に対応するためにビースデポは(「レポート・カード」
2002年。梅林、2003年)日米軍事同盟に関して次のような要求をして
いる。

「核の傘に依拠することをやめよう。東北アジアに非核地帯を創設しよう。ア
メリカとロシアに軍縮の圧力をかけよう。包括的な核実験禁止条約を創出しよ
う」

 これらに加えて、「韓国、北朝鮮および日本が、非核地帯を形成する」とい
うことも呼びかけている。

 この提案は、「数万の日本人と10万の朝鮮民族が主に朝鮮半島から移住さ
せられ、ヒロシマ、ナガサキの原爆被災者になった」たことにより多くの人々
が「惨禍の苦しみを痛感した」この東北アジア地域の歴史を、細心の注意を払
って理解することによるものである。ピースデポは2002年にジュネーブで
開催された核不拡散条約再検討会議に提案書を提出することのできた最初の日
本のNGOとなった。残念なことに、アメリカと日本のタカ派が北朝鮮を悪魔
化したことから、東北アジア非核地帯を創出するプロセスは妨げられた。こう
した不安定な状態の中でもピースデポは、東北アジア地域に「平和をもたらす
具体的な構想」を「各国政府代表が出席する場で」提出することができたこと
は「きわめて画期的なことだ」と考えている。ピースデポの立場は、1996
年に国際司法裁判所が世界の核保有国は「核軍縮のための交渉を行い、解決す
るための義務を負う」という声明を出したことにより、裏づけされている。

 加えて「ノー核兵器オキナワ!組織委員会」は最近、国連安保理議長に手紙
を送った(「ノー核兵器」2003年)。彼らが要請したのは、国連の武器査
察団がイラクでの仕事を終了したので、今度は沖縄で「米軍基地のいずれかに
大量破壊兵器、とりわけ核兵器が貯蔵されているか否かを確定する」ことであ
る。彼らはこの手紙の中で、ブッシュ政権がイラクの武器査察を要求したずう
ずうしい偽善的政策に言及し、アメリカ政府こそが世界最大の大量破壊兵器保
持者であると述べている。彼らがあげた要点の一部は以下の通りである。

 大量破壊兵器のうち、最も破壊力があるのは核兵器である。 日本に返還さ
れる前、沖縄の軍基地に核兵器が配置されていたことは周知の事実である。日
本政府の「非核三原則」では、核兵器を日本国の領土に持ち込むことは禁止さ
れている。にもかかわらず、アメリカ政府は一貫して、核兵器を沖縄から撤去
したかどうか明言をさけており、核兵器がなくなっていると信じる沖縄の人は
ほとんどいない。人類史上最悪の大量破壊兵器を実際に使用したのは、アメリ
カ合衆国だけである。


3−6 騒音問題

 米軍の活動が引き起こす中でとりわけ迷惑なのは、騒音であり、さらに日本
各地の基地で行われている危険な肝試しの「低空飛行」や「夜間飛行」の任務
などである。
   
ウィルキンソン(2001年)は次のように報告している。

 初期の事故の記録は1987年8月、低空飛行の任務についていた航空機が
奈良県でケーブルを破壊した。幸いなことのそのケーブルは丸太を引っ張るた
めのものだった。1995年8月、低空飛行中の航空機が頭上を通過したため
、女性が馬から投げ出され脊椎を損傷した。それ以来、衝突事故が続いている
が、地元住民に障害を与える事故は起きていない(パイロットの死亡事故はあ
るものの)。これらのフライトは日本の47都道府県のうち26の県で定期的
に継続されており、その影響は拡大している。1995年から1999年の間
にジェット機の低空飛行によって窓が割れた件数は42件に上る。しかし、政
府は地域住民の不安解消に関しては極めて消極的な態度を見せている。

 一般の人々の強い不満は、米空軍基地を抱える5市の市長がアメリカに対し
、自分たち市の空域で、危険かつ騒音を出す夜間飛行を停止するよう要望した
文書を発表したことによく現れている。ウィルキンソンは「米軍の傲慢さに対
する反対の声は高まっていると思える。韓国と日本では、地位協定に対する反
対の声が強い」と考えている。

 しかし、反動的な教育システムと主要メディアが国民の思考能力に与える大
きな影響により、批評家の一部は草の根民主主義と、近い将来の米軍基地の撤
去について悲観的になっている。

 反動的なプロパガンダはうまくいっており、日本の学生や労働者による米軍
基地反対の大きなデモを探し出すのはとても難しいだろう。唯一、南の島、沖
縄だけに米軍基地反対活動を見出すことができるのみである。わが国のとても
脆弱な労働組合と学生組織は、支配者階級が国民をコントロールすることを許
容しているのである。

 私から言わせれば、将軍が支配する江戸が終焉し、西欧を学ぶ明治時代が始
まった1968年以来、日本は政治的な変化をほとんど行っていない。(浅野
、2003年)

 浅野の悲観主義に対して、多くの若者が日本をより自由な社会にしようと、
文化を変える試みを行っている。これは19世紀の日本人の卑屈的な態度を克
服する前向きの動きである。しかし浅野の指摘は正確である。2003年のイ
ラク戦争に反対して立ち上がった最大の反戦デモの規模は4万人あまりであっ
た。一般的には、1億2700万人の人口を持つこの国の、東京での平和運動
の中心になっているのは5千人あまりでしかない。多くの日本人は戦争には反
対だと言うものの、自分たちの政府が軍国主義に向かおうとするのを軌道修正
しょうとして、実質的に戦いをいどむ者は少数である。

(続く)

翻訳・菅原 秀/TUPメンバー

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