国産牛肉買い上げ事業を巡る牛肉偽装事件で、逮捕された名古屋市の食肉卸「フジチク」元社長・藤村芳治容疑者（６２）側が、焼却処分すべき申請肉を農水省に無断で肉骨粉にしていたことが１０日、わかった。

　同省側は、こうした行為を追認し、計２０億円を超える助成金を支給していた。フジチクグループは対象外の輸入肉などを申請していたことが明らかになっており、愛知県警は、フジチク側が焼却施設での不正発覚を恐れ、関係の深い業者を使って肉骨粉処理した疑いがあると判断。同省が追認した経緯についても詳しく調べる。

　同省によると、同事業は２００１年１０月、肉を市場から一時隔離する「保管事業」として始まり、同１２月、焼却処分する「処分事業」に切り替わった。

　ところが、フジチクグループの申請窓口だった愛知県同和食肉事業協同組合（愛知同食）は、申請を受け付けた肉を、藤村容疑者と関係が深い愛知県の「愛知化成事業協業組合」（愛知化成）に搬入。愛知化成発行の証明書によると、２００２年１月１０日―２１日に３９４トン、同年１１月１２日―翌月６日に８５２トンが肉骨粉処理された。

　このうち、９８％の１２２１トンはフジチクグループの申請分だが、その中の約５００トンは架空申請との疑いが持たれており、愛知化成が処理したという肉骨粉の量について、県警で確認を急いでいる。

　同省は同年５月、実施要領を変更し、肉骨粉処理の証明書だけで助成金の支給を認めた。同省食肉鶏卵課は「証明書が提出されており、適正に処理されたと判断した」と説明している。

(2004/11/10/14:59　読売新聞　無断転載禁止)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041110i308.htm

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