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南部から中西部に移動させられた英軍部隊ブラック・ウォチ(Falluja, April 2004 - the book)
http://www.asyura2.com/0411/war62/msg/556.html
投稿者 Kotetu 日時 2004 年 11 月 07 日 01:36:04:yWKbgBUfNLcrc
 

(回答先: ブラック・ウォッチ兵士インタビュー(Falluja, April 2004 - the book) 投稿者 Kotetu 日時 2004 年 11 月 06 日 20:51:18)

 最後段のコメント「■ Black Watchの配っているパンフレット」は、いかにも侵略軍らしい。我が自衛隊も、これをやっているのであろう。

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南部から中西部に移動させられた英軍部隊,ブラック・ウォッチ
英軍で,自爆攻撃による初の死者が出ました。以下,バスラにいた英軍が中西部に向かった経緯なども含め。

英軍はこれまでバスラを拠点として南部各都市に駐留していましたが,米軍がファルージャなど中西部各都市への大規模な攻撃を予定し始めた段階で,米側の要請に英国政府が応じるというかたちで,南部の英軍が支援に赴くこととなりました。これには英国の国会でも強い反発がありましたが,結局は米国の要請を受け入れることとなりました。

具体的には,ファルージャへの攻撃に行くために米軍が離れる場所(イスカンダリヤ:バグダードの南西50キロくらいのところ)に,英軍が入る,ということになります。バスラからの移動の際,200台近くの軍用車両が通過していた橋が崩壊し,兵士1人が死亡するという事故がありましたが(BBC NEWS),移動は既に完了しています。

移動先の任務は,物資配給などではなく,パトロール活動です。

10月30日付けのScotsman記事によると,彼らが入ったCamp Dogwoodは,軍隊内部のスラングでCamp Incomingと呼ばれているそうです。


With gallows humour typical of soldiers on the frontline, the name relates to the insurgents' unsettling habit of lobbing mortars at them.

反乱者たちが迫撃砲を打ちこんでくるため,前線流の強烈なユーモアで,この基地はCamp Incomingと呼ばれている。


移動した部隊は,通称Black Watch regimentといいます。このレジメントの起源は1715年のジャコバイトの乱のときまでさかのぼり,日本の高校の世界史の授業で習う数多くの戦争(ナポレオン戦争から第2次世界大戦まで)において,欧州で前線に立ってきたそうです。Black Watchという名称は,この部隊がスコットランドのハイランド地方の治安安定に当たった(watchした)ことと,制服が濃い色のタータンだったことに由来しています。(参考:BBC NEWS, Profile: Black Watch)

普段はドイツの英軍基地にいる彼らは,2003年4月の「砂漠のネズミ」作戦(バスラ侵攻)のミッションの後,2004年6月に物資配送など平和維持のミッションで再度バスラに派兵されました(BBC NEWS記事)。期間は6ヶ月,つまり,今度のクリスマス直前に終わることになっていました。

英国にいる家族たちは「またイラクに送られると聞き非常に心配しているばかりでなく,クリスマスには英国に戻ってくるはずだったのに,今からバグダード(イスカンダリヤはバグダード近郊)に行けとは」と憤慨。27歳のGary Buchanan伍長,25歳のCraig Buchanan伍長の兄弟のお父さん,Jamesさんは,次のように述べています。


"Let's not kid ourselves. My sons were due to be on leave. They have been told they will not get leave. And why? It's because they will be redeployed into Baghdad.

"Any chance of a Christmas reunion is out the window. They are not only not coming home, they are going to be sent into a very volatile area. What is about to be done is the equivalent of invading the Vatican City in Rome. Falluja is an important holy place and the soldiers are putting themselves in the firing line."

「冗談ではない。息子たちは休暇に入るはずだったじゃないか。それが,休暇はなしだと告げられた。その理由が,バグダードに配置換えになるからだという。クリスマスを家族揃って過ごせる可能性などまずありえない。帰郷ができないばかりか,極めて不安定な地域に送られる。これから行なわれようとしているのは,ローマのヴァチカンを侵略するようなことだ。ファルージャは重要な神聖な場所だ。兵士たちは前線に身を置くことになる。」

---- The Herald, Hoon confirms Black Watch mission into Sunni hotspot, 22 October 2004


Black Watchをイスカンダリヤに送ることを決定した英国のフーン国防相は,次のように述べています。


"We share with the Iraqi interim government and with our coalition partners a common goal of creating a secure and stable Iraq, where men, women and children in towns like Falluja can feel safe from foreign terrorists, from the kidnappers who murdered Ken Bigley and from other criminals,"

我々の目的は,イラク暫定政府や連合国のパートナー各国のゴールと一致している。すなわち,安全で安定したイラクをつくること,ファルージャのような街の男性も女性も子供たちも,外国のテロリストたちやケン・ビグリーさんを殺害した拉致犯,そのほかの犯罪者たちの脅威を感じないような場所をつくることである。

---- BBC News, Hoon confirms Iraq troop movement, 21 October 2004


またフーン国防相は「中西部での任務は何ヶ月単位で考えるものではなく,週単位のもの」と言い,ブレア首相は「Black Watchはクリスマスには英国に戻す」と明言しています。(Ibid)(また,現地に入ってから数度の迫撃砲攻撃を受けたあとで,フーン国防相は「Black Watchは30日以内にバスラの基地に戻す」と発言しています。)

そうではなく,英国が米国のためにここまでやること自体が問題とされるのが当然なのですが(UNでもNATOでもない,coalitionと自己定義した集団において),いくつかの記事を見る限りは,議論は「Black Watchのクリスマス」に集中しているように感じられます。

ともあれ,特段軍事的知識がなくても,「週単位」ではなく「月単位」の計画を前提として動いているであろうことは,推測されます。すなわち,単純にBlack Watchを引き上げるのではなく,いずれかの英軍部隊と交替をさせるのであろう,ということですが,この点については,10月24日のBBC記事など,The Queen's Dragoon Guards というウェールズ本拠の部隊(the Welsh Cavalry)がBlack Watchに合流するという記事がいくつかあります。このウェールズのドラゴン部隊(ドラゴンはウェールズの象徴)も,Black Watch同様に,普段はドイツの英軍基地にいるのだそうです。

さて,10月29日にCamp Dogwoodに入った英軍には,さっそく迫撃砲が4発プレゼントされました(BBC記事,10月30日)。バスラの英軍への攻撃も激しくなっているとのことです(ibid)。11月1日にもまた迫撃砲(今度は6発)がプレゼントされました(BBC記事,11月1日)。3日にも基地に迫撃砲攻撃がありました(BBC記事,11月3日)。

英国の首相官邸は,「1月の選挙前にこのような攻撃があることは“予測済み”だ Downing Street said such attacks were "expected" ahead of January's election」とコメントしています(ibid)。

そこに4日の自爆攻撃が発生しました。イラクで自爆攻撃によって英軍が死者を出したのは,初めてです。


Three Black Watch soldiers have been killed and eight injured in a suicide attack in Iraq.
A vehicle was detonated at a Black Watch checkpoint, followed by mortar fire at around 1300 local time, Armed Forces Minister Adam Ingram said.

An Iraqi translator also died. Six of the injured are already back at base.

The 850-strong force has been attacked repeatedly since it arrived at Camp Dogwood, 20 miles from Baghdad, on Friday, after a request from the US.

The latest attack brings to 73 the number of UK military personnel deaths in Iraq.

The remaining two injured soldiers are expected to be released from hospital on Friday.

イラクで自爆攻撃があり,Black Watchの兵士3人が死亡,8人が負傷した。

現地時間13:00ごろ,1台の車両がBlack Watchの検問所で爆発し,それに続いて迫撃砲が発射された,とアダム・イングラムArmed Forces Minister*が述べた。

(3人の兵士のほかに)イラク人通訳も1人死亡した。負傷したうちの6人は既に基地に戻っている。残る2人の負傷者は今週金曜日にも退院の見こみである。

850人強から成るこの部隊は,米国からの要請に応じてバグダードから20マイルのところにあるキャンプ・ドッグウッドに金曜日(29日)に到着して以降,繰り返し攻撃を受けている。

今回の攻撃で,イラクで死亡した英軍の死者数は73となった。
---- BBC News, Suicide attack kills UK soldiers, 4 November 2004


亡くなった3人の兵士のお名前は,まずは家族(遺族)に伝えられ,メディアに出たのはしばらくしてからです。

そのお名前を報じるBBCの記事に,「兵隊さんと仲良くしよう」とでもいうような絵柄のパンフレットを掲げるBlack Watchの兵士の写真が出ています。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/3984575.stm

ベレー帽につけられている赤いふわふわした羽が,Black Watchのトレードマークです。パンフレットに印刷されている旗(青に白の×)は聖アンドリューの旗で,スコットランドのnational flagです。また,図案化された赤いライオンはスコットランド王室の紋章です。

同じ記事に,Camp Dogwoodのエリアの地図が載っています。ファルージャとはユーフラテス川でつながっています。

イングラムArmed Forces Minister*は,兵士たちの死について次のように述べていると,BBCは報道しています。


After offering his own condolences, Mr Ingram said: "We always knew there were risks involved in this engagement."

お悔やみの言葉を述べたあと,イングラム氏は「今回の着任にはリスクがあることはずっと認識していた」と述べた。

---- BBC News, Suicide attack kills UK soldiers, 4 November 2004


5日金曜日の英国の新聞の一面は,このニュースとアラファト氏の容態とブッシュ再選だそうです(BBC NEWS,「本日の新聞」のコーナー)。


In Picturesを見ると,各紙こんな感じです:

Daily Express(エロとスポーツ・芸能ばっかりのタブロイド)
→BOMBER KILLS 3 BLACK WATCH HEROES
# 関係ないけど,フレデリック・フォーサイスがExpressに連載開始するそうです。

Daily Mail(芸能と王室ネタが得意なタブロイド)
→AMBUSH IN THE TRIANGLE OF DEATH
# 紙面の一番上の部分にある赤い造花は,もうすぐ迎えるRemenbrance Day(戦死者追悼の日)のシンボルです。

Daily Mirror(反戦を主張し続けているタブロイド。ただし編集長は今年初夏に「偽造写真」をつかまされて解任。)
→BLACK DAY

Daily Telegraph(保守党系ブロードシート)
→Three Black Watch Killed

Financial Times(経済紙)
→Three British Soldiers Die in Iraq Attack
# トップ記事はアラファト氏の容態。BWの記事は1面の一番下。経済紙ですね。。。

Guardian(ニュー・レイバー支持とオールド・レイバー風味がしのぎをけずるブロードシート)
→Suicide bomber kills Black Watch soldiers

Independent(反戦のスタンスから支持されるブロードシート:でも版型はタブロイド)
→'We sent them into a dangerous area'

Sun(ルパート・マードック組のエロ&スポーツ中心の好戦的タブロイド)
→BLACK WATCH MOURN HEROES
# 注意:裸同然の女性の写真がでかでかと出ています。

Times(ルパート・マードック組のブロードシート)
→Iraq suicide bomber kills three men of Black Watch


4月の「ファルージャ」の目撃者のひとりである英国人,ジョー・ワイルディングさんは,10月19日に,配置転換されることになる英軍兵士に向けて公開書簡を書いています。


バグダードに行けば、英軍兵士は南部でよりも大きな犠牲を出し、米国の判断ミスと残虐行為が引き起こす蜂起の矛先を向けられるでしょう。皆さんが殺されたとき、手足を失ったとき、劣化ウラン兵器の毒で汚染されたとき、英国政府が皆さんや皆さんの家族を助けはしないでしょう。

皆さんは、行かないで下さい。ファルージャに暮らすイラクの普通の人々に対して確実に犯されることになる残虐行為の共犯者にはならないで下さい。事態を悪化させるだけの出鱈目な攻撃のために、自分の身をさらなる危険にさらさないで下さい。

(翻訳は益岡賢さん)


ワイルディングさんは書いていないけれど,私が読んだ英国のメディアの記事のなかには,いくつか,はっきりと「標的になる will[could, could] be targeted」という表現を使っているものもありました。

おそらくは「不安を煽るな」という抗議も寄せられているであろうと思いつつ,それらの記事を読んでいたのは,わずか1週間か10日前のことでした。

トニー・ブレアの手は,もうずっと長いこと血まみれでした。その手がまた,新たな血に染まりました――今度は自国民の血に。

米国の大統領選挙はあんな結果となりました。

英国は来年,2005年5月に総選挙が予定されています。(事態の変化に伴い,前倒しも囁かれているけれども。)

*注:
英国では閣僚としてカウントされる「大臣」と称されるのはSecretary of Stateで(外務省,国防省など),ministerはPrime Ministerを除いては,「なんとか次官」といったような肩書きです。それの日本語表記を調べるのをさぼって,ここでは原語のままで表記してあります。こういった話は,例えばこちらさん(←英語)などが参考になります。

投稿者:いけだ


コメント(1)| Track back(0) | 2004-11-05 19:41:02


コメント
■ Black Watchの配っているパンフレット
5日配信のthe Wrap (the Guardianのメール配信ニュース:有料)で,BWが配っているパンフレット(「フライヤー」との表記もあり)についての説明がありました。デイリー・テレグラフ記事からの引用だと思います。

それによると……

英軍兵士はBWの兵士がイラクの女の子2人に微笑みかける絵とスコットランドの旗が印刷されたフライヤーを配っている。そこにはアラビア語で「まず自己紹介させてください。私はBWレジメントのスコットランド人兵士です。みなさんにお願いがあります。私たちがここにいることに反対する人たちのことは,無視してください。……彼らがあなた方に何をしてくれたというんですか。あなた方の息子たちを奪い,あなた方がお住まいのこのエリアに,悲しみをもたらしただけではありませんか。」

しかしある将校たちは,「怒り狂った教師」(後の代名詞より,女性)から猛烈な抗議にあった――あなた方はいっそう多くのテロリストをこの地域に招き,私の生徒たちの生命を危険にさらしているではないか,と。
いけだ
(2004-11-06 01:31:22)
http://humphrey.blogtribe.org/entry-5231a3176b90512ec9a4b4228c9a846e.html

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