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ジャーナリストが去れば、イラク国民の苦悩の目撃者がいなくなる[ラ・リベルテ/media@francophonie]
http://www.asyura2.com/0411/war65/msg/785.html
投稿者 なるほど 日時 2005 年 1 月 09 日 23:41:10:dfhdU2/i2Qkk2
 

記者の安全と報道の必要性

Le silence de Florence Aubenas est angoissant
フロランス・オブナの沈黙に不安高まる

1月8日付け ラ・リベルテ Antoine Menusier(パリ)
元記事はこちら http://www1.laliberte.ch/news_international.cfm?id=156727

イラクでリベラシオン紙の女性記者、フロランス・オブナさんがイラク人ガイドとともに水曜(5日)から消息を絶っています。それに続いてシラク大統領がジャーナリストがイラクに行かないよう「強く勧告する」と発言し、論議を呼んでいます。これに関し、イラクにおける報道状況などにも触れたリベルテの記事を2本ご紹介します。


オブナさんの消息不明については状況はまだ明らかではなく、リベラシオン側も慎重な姿勢をとっていますが、金曜日(7日)、イラク人ジャーナリスト2名(うち1名はAFPの特派員)がオブナさんらを誘拐したと主張する3人の覆面の男と接触したと発表しました。


(翻訳はじめ)
「リベラシオン」の敏腕記者で43歳のフロランス・オブナが、イラクでの取材中に消息を絶った。オブナはイラク人のガイド兼通訳、フセイン・ハヌン・アル・サアディと同行していたが、彼の消息も同様に不明である。フランスの日刊紙リベラシオンのオブナ特派員は水曜日以来パリに連絡していない。オブナの同僚、ドミニク・シモノは誘拐とは思っていないが、「彼女は連絡の大切さを良く解っている人です」と心配する。「いつもなら、フロランス・オブナは毎日朝晩編集局に電話連絡しています」

クリスチアン・シェノとジョルジュ・マルブリュノの解放の数日前である12月16日にオブナはバグダッドに到着した。投宿先はアル・マンスール・ホテルだった。オブナ記者のイラクでの取材テーマは2つあった。ひとつは1月30日に予定されているイラク国政選挙に立候補した女性候補者についてで、もうひとつはファルージャの避難民についてだった。水曜日の朝、彼女はガイドと共にバグダッドのとある地区を目指して車で出発したらしい。その場所が彼女のルポルタージュのテーマのどちらかと関係しているかどうかは判っていない。

「最高の記者」

「フロランスのことを、とてつもない危険すら顧みないいかれた記者だとは絶対に思って欲しくありません」とドミニク・シモノは語る。「非常に丁寧な仕事をする徹底的なプロでした。私にとっては、彼女は『リベ』で最高の記者です」
オブナがバグダッドに発つ絶対的な必要性はあったのだろうか?また彼女を出発させるべきだったのだろうか?これらの疑問は回避できない。だが問いに答えることは不可能だ。それが彼女の選択だった。ドミニク・シモノは「彼女はホテルの部屋から出ずに紛争の記事を書くような記者ではありませんでした」と説明する。
その通りだ。裕福な家庭の出身でありながら政治的には左派の意見を持っているフロランス・オブナは、勇気と献身を備えた記者である。ひとつのテーマに取り組む時、彼女はいつも徹底的だった。オブナはルワンダ、旧ザイール、アルジェリア、コソヴォなどの紛争の現場に常に赴いた。そして今回はイラクだ。彼女の署名記事は、「リベ」と提携している本紙(リベルテ)にも頻繁に掲載されている。
アフリカの大湖地方の森の中で、彼女は数々の惨劇を目のあたりにした。生きて帰ることができなかったかもしれなかった。ドミニク・シモノは「一度は武装集団に48時間拘束されて酷い目に遭いました。また別の時は銃撃され、屍体の下に隠れて難を逃れました」と語る。

外交官の父

その同じ情熱の炎で、オブナは2004年夏、ウトロー裁判を追っていた(訳註:当ブログ内「ウトロー事件、不可解な結末」参照)。子どもに対する性的暴行で19人の被告人が裁判にかけられた。オブナは被告人の何人かと対話を重ねて関係を深め、この司法の過失事件に関する本の編集を企画していた。この本は春に予定されている控訴審の開廷前に出版される。
ドミニク・シモノは昨日、「リベラシオン」編集部に外交官であるフロランス・オブナの父と、兄弟の訪問を受けた。オブナは独身で子どももいない。シモノは「彼女は見かけほど硬派ではありませんでした」と言葉を濁す。「人間嫌いなところがありましたが、信じられないほど活発な知性を持っており、非常に慎重でした。でも同時に、非常におどけたところもありました。とても手ごわい女になることもできました」。問題が彼女一人に関わることなら、シモノはすぐさまバグダッドに飛び立っただろう。「しかし事をややこしくする恐れがあり、バグダッドには行けませんでした」とシモノは語る。

「自分の仕事をしているだけ」

ジャック・シラク大統領は、昨日メディア関係者にイラクに行かないよう呼びかけた。「現場に記者が一人もいなくなったら、リスクは減ります。私たちは人の命を危険に晒しているのです。これは分別のあることではありません…。あなた方は、我々が払わざるを得なかった努力の大きさをご存じない。包括的に、国家にとって非常に大きな負担でした」
「リベラシオン」の編集局長。アントワーヌ・ド・ゴドマーは公式声明の中でこう反論した。「シラクとフランス政府が我々にイラクに行くことを止めさせようとする時、彼らは自分の仕事をしているわけだ。それが彼らの役割なのだ。しかしその言い分に我々が耳を貸せば、紛争地帯には記者が一人もいなくなってしまい、世界中が盲人のような状態に陥ってしまう」
同紙の経営部は、昨日召集されていた編集部の株主総会を中止した。「リベラシオン」の社員は、新株主としてエドゥアルド・ド・ロトシルドを迎えるか否かについて投票する予定だった。社内投票は1月11日に予定されていたが、20日に延期された。
(翻訳おわり)



Sans journalistes, il n'y a plus de temoins de la souffrance du peuple irakien
ジャーナリストが去れば、イラク国民の苦悩の目撃者がいなくなる
1月8日付け ラ・リベルテ Magalie Goumaz
元記事はこちら http://www1.laliberte.ch/news_international.cfm?id=156727

(翻訳はじめ)
民主主義の最初のテストとなる選挙まで数週間に迫った現在、イラクには外国人ジャーナリストの姿が見えなくなった。治安の悪化と誘拐の危険が、報道の使命の重みを凌駕している。この国政選挙はイラクにとって決定的な重要性をもつものであり、ブッシュが1月末の実施に固執してから非常に激しく批判されているが、記者がいなければ一体誰がこの選挙の目撃証人となるのだろうか?そしてとりわけ、いったい誰が、イラク人の苦悩と、アメリカの介入によって引き起こされたカオス状態について証言できるというのだろうか?
8月末のジョルジュ・マルブリュノとクリスチアン・シェノの誘拐は、たとえアメリカの介入に反対していたフランスですら、イラクで増加している人質誘拐事件からは逃れられないことを示す最初の兆候であった。新たな事件に直面して、ジャック・シラクさえもが今日行われたフランス・メディア関係者の新年会の挨拶で「政府はイラクにジャーナリストを送らないよう強く要請する」と発言した。

アラブ人記者

現在のところ、イラクには唯一フランス・プレス通信社(AFP)のみがバグダッド事務所にフランス人記者一名を確保し続けている。電話取材に答えてくれたこのAFPの特派員は、イラクに留まり続けるかどうか、またどのような状況下で仕事をしているのかについて一言も話そうとしなかった。安全対策のためだ。いっぽうAP通信のほうは、アラブ系ジャーナリストを使って仕事をしている。つまり、AP通信のフランス語の短信は、英語から翻訳されたものなのだ。米国と英国のメディアは軍隊に付属する形で特派員を送っている。アラブ圏の各紙と民間テレビ局の特派員も同様にイラクに残っている。
数日後にはペンタゴンが派遣兵士の数を増員して、2003年3月にイラクに介入した数よりも多い総員15万人に達するというのに、これが現地の報道の状況なのだ。それに対し、イラク側の武装勢力の総規模は20万人と見られている。つまり、米軍の撤退も、ブッシュのイラク民主化計画の実現も、まだまだ程遠いということだ。

ジャック・シラクの恐れ

昨日朝のジャック・シラクの発言(上の記事参照)は「国境なき記者団」の事務局長、ロベール・メナールの激怒を買った。2003年3月の紛争開始以来、31名の特派員が殺害され、11名が誘拐された。「しかし報道機関はおのれの仕事を継続しなければならず、しかもその仕事は現場でしかできないのです」とメナールは反論する。メナールは「バグダッドに記者を派遣するかしないかを決定するのは各新聞の編集部の仕事です。大統領の仕事ではありません」と続け、シラクはただ単に政府が新たな人質事件の責任を引き受けなければならないのが怖いのだろうと語った。
その上でロベール・メナールは強調した。「イラクに行くジャーナリストはその危険性をよく認識しています。彼らは無用な危険は冒さず、極度に慎重で、各編集部と話し合いの上数多くの安全対策をとっています。私たちには彼らが必要なのです。アジアの津波の悲劇に際し、もし報道がまったくなければ、これほど多くの寄付が寄せられたでしょうか?イラクに目撃証人としてのジャーナリストが一人もいなくなれば、それはイラクを地図から抹殺するのと同じことになります。真っ黒なテレビ画面しかなくなるんですよ!」
国境なき記者団の事務局長はまた、イラクで発生している事件の一次ソースに基づかない報道を危惧する。「私たちは、この戦争について、単にアラブやアメリカの視点ではなく、ヨーロッパの視点を必要としているんです!」
しかし昨日、クリスチアン・シェノと共に報道関係者の新年会に出席したジョルジュ・マルブリュノは、現在イラクに行くことはあまりにも大きすぎる危険に身を晒すことになると考えている。「ホテルの部屋から一歩も出ることができないのに、それが本当の報道と言えるでしょうか?」
フロランス・オブナの失踪とフランス国内で始まった論議にもかかわらず、フランス政府は、フランス2(テレビ局)が番組「補足調査(Complement d'enquete)」のための取材チームをバグダッドに派遣することを禁止はしなかった。番組のテーマはマルブリュノとシェノの誘拐事件だ。
(翻訳おわり)

http://blog.livedoor.jp/media_francophonie/archives/12018360.html
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