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現代改憲動向と私たちの未来(後半)/愛敬浩二/月刊保団連 2005 6月号
http://www.asyura2.com/0502/senkyo9/msg/1006.html
投稿者 NJ 日時 2005 年 6 月 14 日 00:02:03: QZEFwNzGXHdaQ

(回答先: 現代改憲動向と私たちの未来/愛敬浩二/月刊保団連 2005 6月号 投稿者 NJ 日時 2005 年 6 月 13 日 03:51:27)

*衆議院憲法調査会最終報告書は改憲の明確な方向性を打ち出せなかった。しかし、このことは、改憲派の「思惑」が不明確であることを意味しない。米軍の軍事行動と一体化する形での自衛隊海外派兵体制の構築こそ、改憲派の9条改憲の目的である。また、ただでさえ貧弱な社会保障をさらに弱体化させるための25条改憲も、改憲派は目論んでいる。ならば、憲法を護るということは、このような未来を拒否し、「私たちの未来」を構想することである。

現代改憲動向と私たちの未来(後半)

「私たちの未来」のために

「60年近くも前の日本国憲法を後生大事に守っている、『護憲派』の連中は頭が固くて時代遅れだ」。改憲派の中には、こんなことを言いたがる人もいる。でも、立ち止まって考えてみよう。私たちは本当に、改憲派が連れて行こうとしている「未来の日本」に住みたいのだろうか、と。
経済のグローバル化に伴う産業構造と雇用形態の変化にともなって、フリーターのような不安定雇用が増大した結果、年収300万円を稼ぐことさえ難しい人々が増加していると指摘される。また、自殺者も激増しており、1998年以前は年間2万人台前半で推移していたのが、98年に3万人を超え、2003年は3万4000人という過去最多の数字を記録した。こんな状況の下で経済界の改憲構想が実現した場合、国民各人が本当に「幸福」になれるのか。ぜひ真剣に考えてみて欲しい。
自由の問題についても考えてみよう。「戦前の日本では、軍事という価値が・・・基本的に日本社会の最高の価値を占めていたはずです。・・・第9条の存在は、そういう社会の価値体系を逆転させたということに、大きな意味があったのです」と樋口陽一氏は述べている(同著『個人と国家』集英社新書)。個人の多様性を承認する立憲主義国家にとって「批判の自由」はその生命線である。戦前日本が狂信的な戦争に邁進していったのも、「批判の自由」があまりに僅少だったことの必然的な帰結である。戦後日本は「普通の立憲主義国家」になるために、「普通の国」からの飛躍、すなわち、非武装平和主義を必要とした。この「逆説」には何度でも立ち戻ってみる価値がある。改憲議論が高まる現在の日本は同時に、イラク派兵に反対するビラを自衛官官舎に配っただけで逮捕され、75日も勾留される社会であり、卒業式で「日の丸・君が代」の強制を批判する記事を配ったら、「威圧業務妨害罪」で起訴されかねない社会である。「自由の下支えとしての憲法9条」という見方は、ますます重要性を増しているといえるのではないだろうか。
私は、「批判の自由」のない社会に住みたいとは思わない。また、貧富の差が拡大し、「勝ち組」と「負け組」へと市民が階層的に分断される社会に住みたいとも思わない。そして、日本がその方向に行くのかどうか、現在がその正念場だと私は診断している。だからこそ、「私たちの未来」のために、現代改憲に反対すべきだと私は考える。
「でも、私に何ができるというのか」。そう自問する人もいるだろう。1994年の政治改革の「成果」として、自民・民主の保守二大政党制が形成されつつある。少なくとも、議会政治のレベルでは、改憲に反対する共産党や社民党は弱小勢力になってしまった。「もう何をしても、手遅れなのではないか」。そんな風に考えてしまう人さえいる。しかし、冷静になって考えてみよう。改憲派の「思惑」が明確でシリアスなものであるにもかかわらず、衆議院の憲法調査会で改憲の方向を明確化できないでいる。「政権交代」を目下の最大の課題とする民主党が、改憲問題でそうそう安易に自民党と握手できないからである。けれども、もし改憲問題が重要な政治的争点でなくなってしまえば、すなわち、市民社会のレベルで改憲に反対する声が弱くなってしまえば、民主党は自民党と握手することがずっと容易になるだろう。
渡辺治氏の表現を借りるならば、「市民社会が議会を包囲する」必要がある。そして、私たち一人ひとりが現代の政治的状況を冷静に分析しつつ、想像力を駆使して「私たちの未来」を真剣に考えるならば、そのことも決して不可能ではないだろう。私はそう信じている。

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