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“財政均衡”の重要性及び財政投融資の不良債権について [NJさんへ]
http://www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/790.html
投稿者 あっしら 日時 2005 年 8 月 29 日 02:38:47: Mo7ApAlflbQ6s
 


NJさんの『財政投融資の不良債権、というのがまだよくわかりません。』( http://www.asyura2.com/0505/dispute21/msg/786.html )へのレスです。

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NJさん、どうもです。


【NJさん】
「ここまで読んで、不良債権とか、財政危機、とかこの数年(マスコミに)騒がれていること、って大したことじゃないはずだなあ、という感想です。だって、いざとなれば、日銀に国債を買ってもらって、「国債サイクル」を繋げば良いわけだし、60年かけて、穏やかなインフレを継続する政策を取りながら、ボチボチ、ボチボチ、返していけばいい訳だし。足りないところは、明示的でない国債や財投債のなかで、資金を融通すればいいわけで、じゃ、この財政危機騒動は、なんだったのかしらん。」


[あっしら]
庶民は「財政危機」なんか気にするなと言っていますが、現在のように、赤字国債が一般会計歳出の半分近くを占め、歳入が2年分の国債費にしか満たない財政状況を異常と考え正すべきだと思っている「財政均衡論者」です(笑。

現在の日本が日銀の国債買い支えまで動員してムチャクチャな財政政策を採っていられるのは、日本が世界最強の産業国家だからに他なりません。
(そうでなければ、90年後半のロシアや中南米諸国のようにハイパーインフレになります)

毎年35兆円を超える赤字財政支出を日銀の支援を受けながら維持してもなお「デフレ不況」が続いているというのは、日本が高い生産性と国際競争力を誇る産業国家であるが故です。
それは同時に、経済活動を通じて獲得した利益(付加価値の一部)が、固定資本形成や消費に使われず、株式を含む金融取引に使われる“余剰通貨”になっていることを意味します。

ざっと言えば、日銀が買い支えていない20兆円ほどの赤字国債は、固定資本形成や消費に自主的には使われないためにわざわざ政府は借り入れをして代わりに使われているとか、固定資本形成や消費に自主的に使われないことで陥っている税収不足を補填するために政府が借り入れせざるを得なくなっているものです。

お金が偏って淀んでいるために流通しない現状を政府が借り入れをしてなんとか補っているのが日本です。
このような財政政策がこの10年間で中央政府の債務を500兆円も積み増しし、いわゆる「財政危機」と呼ばれる現実を生み出しました。
そして、「財政危機」の叫び声は、ただでさえ余裕のない低中所得者の公的負担増政策を正当化する呪文となっています。

現在やここ数年という期間で考えれば、「財政危機」はこれまで説明した方法で国民経済に打撃的な悪影響を与えずに対応することができます。
しかし、10年という期間で考えても、日本がこれから先も最強の産業国家であり続けるという保証はありません。
国際経常収支の黒字は10年後も維持されていると予測しますが、貿易収支は赤字に転化していると予測します。これは、日本国内の供給力が日本国内の需要を下回ってしまう「供給力不足」を意味します。
中国など諸外国との競争を脇に置いても、定年退職者が増加し年金受給者が増えることも「供給力不足」の要因です。(供給活動に従事する人が減少する一方で生活する人はそれほど減少しないからです)

そして、日本は、自国通貨ドルが国際決済手段であり主要な準備通貨である米国とは違って、原油など主要な商品を買うためにドルを稼がなければならない国家です。

明確に何年後と予測することはできませんが、「供給力不足」状態で現在のような財政政策が採られ続ければ、需要が旺盛なために起きるのではなく、供給が不足するために起きるインフレが起きかねません。
年金生活者や生活扶助受給者が多ければ、インフレに対応するために赤字国債を増発してでも給付金額を増やさなければならないため、さらにインフレが進むという悪循環に陥ります。
(そのときは日本企業も生産拠点を中国などに移転している可能性が高いので、企業は、国内で供給力を増加させるより外国の生産拠点から商品を輸入する方策を選ぶはずです)

米国を上回るインフレの継続は円の対ドルレートを下げることになるので、さらにインフレに拍車がかかり、貿易収支の赤字も増大することになります。
(米国の場合は、自国通貨が国際決済通貨という“セーフティネット”があるので救われていますが、このような経済事象はこの20年間の米国経済の歩みでもあります)

日本企業が自己利益にこだわれば、海外から得た収益(経常収支の黒字源)を日本円に転換せず海外で外貨のまま保有する可能性もあります。
こうなると輸入決済も思うようにならず、政府が外貨建て国債を発行して国際決済資金を調達する事態にもなりかねません。
(外貨で借り入れをすればその外貨で利払いや元本返済をしなければなりませんから、国民生活が窮乏化しても輸出で外貨を稼ぐことを強いられるようになります)


「デフレ不況」を放置したままいつかはインフレに転化するだろうと期待するような政策や小泉改革のように輸出のみが頼りでそれを除けばデフレが深化する政策を採り続ければ、日本は、産業国家の面影だけを残す疲弊した国家となり国民生活は惨憺たるものになってしまいます。(日本の国際優良企業は、このような日本に起きる惨状を避けて利益を獲得することもできます)

“財政規律”を保たなければならないのは、債務不履行になるとか「国債サイクル」が維持できなくなるという問題ではなく、日本が産業国家としてある水準まで衰弱したときにそれに鞭打つような経済状況を招くことを避けるためです。

現在は需要を大きく上回る供給力があるから供給活動の裏付けがない財政支出を巨額に行ってもデフレ状況が続いていますが、「供給力不足」になったときに供給活動の裏付けがない財政支出を巨額に行えばハイパーインフレになってしまいます。

国際優良企業と違ってあまり逃げ場がない大多数の日本人は、世界史的な視点も確保しつつ、子どもの時代もそこそこの生活ができるためにこの時点からどのような政策を採るべきかをじっくり考える必要があります。
市場原理主義(自由競争社会)でもケインズ主義(政府債務依存社会)でもない政策で、国民経済をうまく循環させていくことを考えなければなりません。


【NJさん】
「企業に賃金アップを迫る政策って、あるんですか。」


[あっしら]
労働組合の力といっても、所属企業の存続が賃上げに優先する時代ですから、労働運動では賃上げは難しいでしょう。
(競争相手がいるなかで自分が所属する企業に無理な賃上げをさせれば、所属企業が赤字に陥り競争相手を利するだけで終わってしまう可能性もあります)

10年以上も続いている「デフレ不況」のなかで賃金アップができる企業は限られています。
また、公的負担増や「年金不安」があるなかでは、賃金アップ分がなかなか消費や住宅購入に回りません。

政府は、まず、低中所得者減税を行い、年金給付率維持(60%水準)を確約する政策をとる必要があります。そして、財政支出を田中長野県知事(新党日本代表)が言っているように、土地や鉄鋼・セメントの購入を押さえ人的活動により多く回す政策を採らなければなりません。(鉄鋼やセメントは輸入原料を除けば人的活動に支出することになりますが、土地の購入は既に“余剰資金”を持っている人にお金を回すことになる場合が多いからです)

トヨタを筆頭とした優良企業が先行するかたちで賃上げし、そのお金が消費に回ることで他の企業の収益がアップし、その収益を原資に賃上げが行われるという循環しかないと思っています。
このような循環は、先陣を切ったトヨタの自動車への需要増加ないし高級志向というかたちでトヨタ自身の利益にもなります。

トヨタの会長であり日本経団連の会長でもある奥田氏は、米国の自動車メーカーGMやフォードが苦境に陥っていることを受けて「北米でのトヨタ車の価格を上げてもいい」といった発言をしています。
これは、米国の自動車分野トヨタがシェアを伸ばし存在感が増すことで“トヨタ叩き”になることを避けたいという思いの現われだと思っています。
ふだん自由競争や自己責任を語っている人であっても、自分(自社)の利益が長期的に最大化する策を考え、“管理競争”や“弱者救済”も辞さないということを示すものです。

70年代までの日本は、実質はともかく、国民全体が豊かになることが国是であるべき思潮が主流を占めていました。(お金でお金で儲けるような人も多くいましたが、それを勝ち誇ったように世間に晒す行為は顰蹙モノだった時代です)

現在のような自由主義的市場原理的思潮は、80年代後半から徐々に浸透し、90年代末頃から主流になったものです。

ですから、価値観や国家政策は変わり得るし、ある層がそれを行おうとすればけっこう短い期間で変わることもあります。

国民経済においては、お金は供給活動主体のところに流れるものです。
自社が支払った賃金は、自社に直接戻ってくるわけではありませんが、他の企業に流れることで自社に戻ってきます。
たとえ賃金の一部が海外で使われたとしても、それが輸入代金となって自社に戻ってくる可能性があります。

自由競争とは、競争力や営業努力で自社及び他社が支払った賃金をどれだけ多く自分のものにするのかという競争です。(自分が支払った賃金さえも回収できない企業はしばらくして消え去ることになります。機械類を買う行為も、購入先にとっては自社の賃金の回収です)

いかに競争力があっても、自社及び他社が支払った賃金を超えて回収することはできません。(その例外が輸出ですが、これも世界経済レベルで考えれば、自社及び他社が支払った賃金を超えて回収することはできません)

いや赤字財政支出があるじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、これは、利息を支払わなければならないので、自社の公的負担増に直接つながらないとしても、国民の公的負担増につながるので、自社及び他社が支払った賃金から回収できる金額を減少させることになります。


長々と書きましたが、「企業に賃金アップを迫る政策」は、このような経済論理を理解させることが第一義だと思っています。
そうでなく政治的圧力でその実施を迫れば、生産拠点のみならず本社まで海外に移転して負担増から逃れようとする企業も出てきます。

トヨタでさえ売上の40%は日本国内向けです。
日本国籍の企業は国際化しているところであっても、日本経済の影響を強く受けています。日本経済が良好であってこそ、海外での展開も思うようにできます。
(恨み言は書きたくありませんが、現在の名だたる輸出優良企業は、戦後日本で長年にわたって国策の優遇を受けたところです。国策と“自助努力”の両輪で現在があるわけですから、国民経済全体を考えても罰はあたらないはず(笑))


優良企業は競争力が強いからこそ優良企業なわけですから、自分のところが実行したことで増加する総需要の取り分も多いのです。


財務省官僚や経済学者なら、私の拙い説得よりもずっとうまい説得ができるはずです。
そう思っているので、財務省官僚がシナリオを書いている低中所得者公的負担増が笑って拒否しようと主張しています(笑)

【NJさん】
「財投の改革の目玉は、預託金を債券化して運用することと、特殊法人に財投債を発行させて市場からも資金調達させること、だったが、これで償還期限が国債並に引き延ばされる効果があった以外、マクロ的にはさしたることもない、ということなのですね?」


[あっしら]
財投の改革は、これまで財務省理財局の預託金や郵政・年金資金の運用先に限られていたものが財務不全や運用難に陥っている金融機関の利得源にもなったということを除けば、マクロ経済的な意味はないと思っています。


【NJさん】
「財政投融資の不良債権、とはどういうものですか?利用者のいない高速道路や、入居者のいない公団住宅、がそれに当たりますか?民間で不良債権といえば、地上げして買い取った土地の評価額が値崩れしたものや、売れない会員権を大量に抱えたゴルフ場や、リゾート開発、のことかな、と思っていたんですが、そんなものは独立行政法人にはなさそうだし。」


[あっしら]
財政投融資の不良債権化は、基本的に長期のデフレによって生じたと考えています。

政治的な判断で追い貸しをした中小企業金融公庫などの不良債権はその典型です。

道路公団は、補修・営業・利払いなど事業そのものを継続することには問題がありませんが、財投などからの借入金28兆円ほどの元本返済に問題があると思っています。

道路公団の利払い費は4千7百億円ほどですが、元本返済は毎年1兆円弱になります。

道路公団の利払い後の利益は14億円です。
キャッシュフロー的には、新規借り入れをしない限り、利払い後の利益から元本を返済しなければなりません。
利益が14億円ということは、とても約定通り(最長でも30年で返済)に債務が履行できる財務状況ではないことを意味します。
道路公団がかたちだけでも債務を履行するためには、元本返済資金を新たに借り入れしなければならないはずです。(債務は道路や建物さらにはファミリー会社向け投資になっているので、それらを売却すれば返済は可能ですが事業は継続できません)

道路公団の債務問題は、道路公団自身のせいではなく、高速道路建設が“政治マター”であることに由来します。(談合云々はここでは除外します)

道路公団の債務も、80年代までのインフレが続いていたら、負担が大きく軽減されたはずです。
インフレであれば通行料も値上げできるわけですから、同じ資産を使って得る収益が増大します。
そして、28兆円の債務も、時期が違うそれぞれの借り入れの実質価値合計が15兆円といったものになっていたはずです。
(インフレが続けば、道路公団が保有する高速道路網も新たに建設する資金は膨らんでいくことを考えてもらえばわかりやすいと思います。インフレが続けば過去の借金は負担が楽になります)

あれこれ問題視されている住宅所有も、土地神話があるなかで、現金・預金で持っているより不動産に投資しておいたほうが有利という判断があったかもしれません。
これも、今なお続く地価下落により逆に損失になったわけです。


公団住宅も、借り入れして住宅を建設したときは、家賃は右肩上がりに上昇していき、売却価格も上昇するはずという“信念”があったはずです。
それが現実になっていれば、債務の問題は大きく軽減していました。


政府・地方公共団体の債務も、インフレが続いていれば、税収が増大する一方で過去の債務は固定ですから、負担が軽減されていました。


もちろん、「デフレ不況」は天災ではなく人災ですから、それを克服できなかった(しなかった)政府のすべての責任です。

【NJさん】
「投資コストに見合った利益は見込めなくても、本四架橋や衛星打ち上げのように、必要があれば予算はつきそうですが。この改革で、預託金が不良債権化している事業がどれかを明示しなくても良くなったこと以外の具体的効果は、、特殊法人の人件費の削減による新たな財政投融資の減少ですか? 」

[あっしら]
必要があって予算を付けても、それが赤字国債の発行で賄われるのなら、財投資金に問題が生じないだけで政府部門の債務が増加することに変わりはありません。

「財投改革」の主目的は政府部門債務の国債への一本化だと捉えています。

特殊法人の人件費削減は、資金調達方法の問題ではなく、政治の判断で行える問題です。
もちろん、特殊法人幹部が、財投機関債で市場から資金を調達しなければならなくなったことで、人件費を抑制しなければならないと考える可能性はあります。


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