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http://www.asahi.com/national/update/0928/TKY200509280242.html
中小企業診断士、社会保険労務士などの資格取得講座で全国に1000人以上の受講生を持つ財団法人・企業経営通信学院(本部・東京都、堀田政和理事長)が、各地の事務所職員や講師ら計100人以上に報酬や退職金などの未払いを抱えたまま今夏ごろに各事務所を一斉に閉鎖していたことが分かった。関係者によると、未払い総額は約5000万円にのぼるといい、東京労働局中央労働基準監督署は立ち入り検査を実施している。
受講生は全国で1000人以上で、文部科学省も「被害が多く、社会問題化しつつある」と重視。(1)講座運営が不適切(2)職員らに給与、退職金を払っていない――として同学院に改善命令を出し、来月初めに立ち入り検査を実施する予定だ。
同学院は中小企業診断士、社会保険労務士、行政書士など約70講座を開講(05年度)。東京、関西(大阪)、中部(名古屋)、仙台、中四国(広島)、九州(福岡)の6事務所に約50人の職員が勤務。約60人の講師に授業を委託している。
関係者によると、職員への給与の遅配が始まったのは昨年末。今年2月から7月末までの間はほとんど支給されず、東京事務所の元職員は「5月に2月分の給与の一部として職員に一律10万円が支払われたが、残りの給与120万円と退職金はいまだにもらっていない」と話す。
講師らへの報酬も昨春ごろから遅れ出し、4カ月〜1年間の報酬が未払い状態。「300万円以上も未払い金がある講師もいる」(関西事務所元職員)という。職員は5月ごろ、相次いで退職したが、大半が給料は未払いで退職金も支払われず、講師らの報酬も含めて不払い総額は5000万円にのぼる。
また、元職員によると、各事務所の家賃も数カ月間分、滞納したままで現在も一部未払いという。九州事務所の元職員は「講座で使う問題集の印刷を依頼した業者や宅配便業者らにも不払い金が残っている」と話す。
大阪でパソコン機器会社を経営していた堀田氏が03年に同学院の理事長に就任。同学院の元幹部は「3月から民間初の資格検定制度の運営に乗り出したが、協力企業や受験生が集まらず、一気に経営が行き詰まった」と説明する。
文科省によると、財団法人は基本財産と利息で安定経営するよう所管官庁に指導されており、毎年5月に財務内容と経営計画を報告する義務がある。しかし、同学院は報告が4カ月以上遅れるなどしており、「基本財産は現在、ゼロの状態で債務超過に陥っている」(同省生涯学習推進課)としている。