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70年安保闘争世代は唯物弁証法をどう受けとめていたか。
http://www.asyura2.com/0510/dispute22/msg/815.html
投稿者 如往 日時 2006 年 3 月 03 日 02:35:33: yYpAQC0AqSUqI
 

(回答先: Re: 唯物弁証法は、人類史、世界史に対する一つの見方 投稿者 南青山 日時 2006 年 3 月 01 日 13:02:09)


 南青山さん、こんにちは、横レスにて失礼します。尚、健奘さんには割り込みになりお詫びいたします。


 一聯の健奘さんとの応答において、私の想いの7割近くを、しかも平明に南青山さんが語ってくれたと感じています。そこで、健奘さんはどう受けとめられるか計り知れませんが、70安保闘争を控えて全共闘運動の渦中にいた世代がどんな意識であったのか補足してみたいと考えます。

 当時の私や周囲の人達の多くが、サラリーマン予備軍を自覚するのと同時に、大雑把に言えば心ならずも閉鎖的な人生ゲームに参入していくことを是とした者と、賃金奴隷と云う頗る今日的な隷属の状態からの解放を希求し試行していこうとする者とに分かれていったように想います。そして、後者にとって唯物弁証法は世界認識にあたっての斬新な視座を与えるものであり、また近代経済社会において生産活動の中核を成す労働者にとっては、主体性を確保していこうとする場合のメルクマールを提供するものだったのです。さらに、“資本”のもつFunctionの解明を試みたマルクスの理論は労働者達を呪縛し翻弄し続ける“敵”の本質や振る舞いを捉える上で重要な意味を持っていました。

 唯物弁証法の有効性について過去形で表現してはいますが、かかる体系的な視座及び媒介概念のもつ価値は今日でも全く色褪せてはいないと思っています。私は三木清や務台理作の著作によって唯物弁証法を知りましたが、螺旋状の構造をもつといったメタファーさえも、総体的には線形的で予定調和的な展開に想えて当初は得心がゆきませんでした。しかし、少なくとも自身のポジショニングが労働者や被支配層にありと自認する人達にとっては、おそらく二つと無い解放の論理や抵抗の正当性を構成する論理であることに変わりはなかったでしょう。
 唯物弁証法(マルクス主義)を解放の原理であると喝破した人物として、日本でもよく知られていたのは社会心理学者のエリッヒ・フロムではないでしょうか。彼はまた『自由からの逃走』によって人間は主体的に歴史を担うべきであると、逆説的に人々の自覚を促してもいます。けれども、私自身もあの時代状況を眼前にした、あるいは渦中にあっての感応が認識の中核部分を成していたことからも、唯物弁証法が世界認識へと導くものとして如何に自分達を魅了したのかを時代性や立場を異にする人達に具に伝えることの困難性を意識せざるを得ません。

 自然界において下部構造が上部構造を規定していることは食物連鎖の関係を見れば明白な事実です。しかし、今日、人類は自らを家畜化するところまでその人工化の極致に踏み込みつつありますし、それはまた幻想としての上部構造が均質化した下部構造を支配するという虚構(人工的構造物)を現出させることにもなりました。家畜達は労することなく餌にありつけることと引き換えに、最早自分達の生殺与奪の権を握っている存在にまで考えを及ぼそうとしなくなっているかのようです。旧ソビエト連邦社会の現状は国家社会主義が人々に隷従を強いるものと同様のことだとして批判した自由主義者F・ハイエクならばこの状況をどう捉えどんな処方箋を提示するのか大へん興味がありますが、ハイエクと同様に、一方の唯物弁証法を講じる側も人類の自己家畜化をくいとめるべき解決策を見出すことができずにいると想われます。
 しかしながら、こうした困難な状況に立ち向おうとする場合にも、自らを問題解決の当事者と位置づけることと同時に自分がどの構造に属する存在か再確認することが最初の手続きになるでしょうし、加えて唯物弁証法の研究は少なからず人間の思想的営為の端緒を与えるものになると思量します。

 また、会いましょう。

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