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人間機械は消費が極端に少ないので、代わって人間が消費してやらなくては経済は成り立たない
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投稿者 最大多数の最大幸福 日時 2006 年 5 月 14 日 23:04:02: d1qFhv8SE.fbw
 

(回答先: 「人間機械・労働人口論」  安達謙治郎 投稿者 最大多数の最大幸福 日時 2006 年 5 月 14 日 20:27:15)

事実上の労働者=人間機械

  ノーバート・ウィーナーによると、ゼンマイ仕掛けの「操り人形」は一つのパターンにしたがって踊るが、それは前もって定められたパターンであって、そのさい人形の過去の動作は、その未来の動作パターンと事実上何の関係性ももたない。操り人形は、目が見えず・口がきけず・耳が聞こえないものであり、その動作をきまりきったパターンからほんのわずかでも変えることはできない。

これに対して、人間機械・ロボットは、人間の感覚機能の一部、目・耳・鼻・皮膚などの機能をそなえていて、環境の変化に応じて人間が判断するように動きを変えることができる。つまり、ある選択肢で人間がとるのと同じレべルの行動をおこなうことができる。このことは、ロボットは人間の労働機能の部分に取って代わるものであり、ロボットは、形こそ人間にはみえないが、事実上の労働者である。

ロボットは漫画などで昔から活躍していてよく知られているが、現代の実際のロボットについては、どこでどのように使われ、どのような働きをしているかを認識している人は少ない(注ー)。ロボットは三十五年ほど前に産声をあげ、Wねずみ算W的な相乗効果で、現代社会でその威力をふるっているのである。

 この人間機械が生産性を上げると、人間はこのぶん生産しなくてよい。しかし、人間機械は消費が極端に少ない(減価償却費のみ)ので、代わって人間が消費してやらなくては経済は成り立たない(注2)。

 そこで、人々の欲しいものがゆきわたって、消費者ニーズがなくなる前に、後述するように、労働時間を短縮して余暇(消費時間)を拡大することで新たなニーズをふやさなけばならない。ロボットによって、リストラではなく労働時間の短縮をもたらすのである。

 こうした環境でこそ、ロボットを私たちの豊かな生活に生かすことができるのである。この原則をすべての国民が理解しなければならない日がもうすでにやってきている。

    電卓も人間機械

 1999年2月23日、米国ワシントン郊外のメディア博物館・ニュージアムが、20世紀の百大ニュースの投票結果を発表したが、本国での発明にもかかわらずトランジスタの名前は上位には見当たらない。

 しかし 、『西遊記』のなかで活躍する孫悟空は、自分の毛を引き抜いて一吹きすることで沢山の分身をつくりだした。またアラジンは魔法のランプをこすって召し使いを呼び出し希望をかなえるーこれと似たようなことが、いまこの社会で進行しているのである。それがトランジスタ・半導体・ IC の発明による「人間機械・ロボット」の存在である。

 まず身近なものは電卓であろう。いまでは景品としてタダでもらうこともあるこの計算機は、1955年真空管で作られた( IBM650)ときの値段は20万ドル、重さ5650ポンド(約2.8トン)もした。その消費電力たるや17.7KVA であった。もし、真空管の時代が現代までつづいていたとしたら、この製品の価格やサイズは数分の一か数十分の一かにはなったかもしれないが、今の電卓までに小さくて高性能、低価格にはならないことは容易に想像できよう。

この電卓もロボットである。

「そろばん」と比べてみるとそれが分かる。そろばんの足し算、あるいは掛け算などの計算は、ある法則に従って「人間が計算して」玉をはじいて答えを出す。一方、電卓は、ある数値に別の数値をどうせよと命令をだすと「機械が自分で計算して」答えをだす。つまり、「計算する人間の頭脳」をこの電卓はもっている。

 もうひとつ、銀行の窓口に置かれてある ATM (現金自動支払預入装置)をみてみよう。このロボットは、預金残高を計算してお金の出し入れを管理するとともに、現金の入出金を銀行員に代わっておこなっている。そこには計算する人も現金を扱う人もいない。このATM は頭脳ばかりでなく目と感覚をもっていて、人間がおこなうような現金の出し入れ動作を、みずから“道具を使って”おこなっている。

 こうした、同じ情報なら人間と同じ答えを計算して出す機械がロボットである。この「計算して答えを出す行為」が、人間の頭脳と同じ働きであるので「人間機械」といわれるわけである。

    安価・高性能・半永的頭脳

 トランジスタの発明によって小さくて、安価で高性能、ができるようになった。この頭脳(注 3 )は驚くほど安い。半永久的な耐久性をもっ「頭脳」数百円から数万円程度である。この頭脳に動作の計算を記憶させ、入出カの回路をつけたのが実質的なロボットの頭であり、手足となる道具・機械を組み合わせて、オートメーションの生産ラインを制御するわけである。

 頭脳に動作の計算を記憶させるとは、 ROM をプログラミングすることである。このプログラミングは孫悟空の分身作りに似ていて、莫大な経費をかけてアプリケーション・ソフトを開発したとしても、自動車や電化製品など多くの製品に同じものを組み込むことによって、その費用はわずかなものとなる。もちろん、手足となる道具や機械の価格も、ちょうど何枚もの合わせ鏡で映してながめるように、将来に向かって限りなく廉価になっていくはずである。

    人間機械と風力発電

  最近、あちこちで風力発電がはじまっている。450キロワットから1000キロワット位の出力で、つねに最適な条件で風をうけられるように、プロペラの羽の角度などをロボット制御している。

もしこの制御ロボットが真空管の時代のままなら、そのロボットのコストやメインテナンスの経費は莫大になる。そして、電力会社に発電した電気を売るために必要な電力変換装置のコストも、真空管式となると莫大な費用となり、これでは風力発電は経済的に効力をもたない「負」の発電となってしまう。

  トランジスタ・半導体・ IC の発明によって可能となった、小型・安価・高信頼性・半永久という人間機械なしには、この優美なフォルムをもった風力発電の実用化はできなかったといっても過言ではない。ここでも「黒子の奴隷」=ロボットが二十四時間休みなく働いている。

一般の人たちはもちろん学生すら、自分の身の回りで活躍しているロボットをそれと認識してはいない(注4)。学校でロボットについて基本のところを教えていないからである。メカ的な面を専門教育で学ぶだけというのが現状で、大学生でもなかなかロボットを黒子の奴隷であるとイメージできてはいない。スーパーマーケットでのレジスターやバーコードをロボットと認識できる人もほとんどいない。

学校教育で人間機械・ロボットとはどういうものかを教え、どういう社会に自分たちが生きているのかを認識させることが重要である。

 

(注 1 )アラジンは、魔法のランプを周りにわからないようにこっそり隠してつかったと書かれてある。そして、国民に慕われる王様になって物語は終わる。

(注 2 )減価償却費と光熱費がロボットのW生活費Wとなるが、ロボットは自律しているわけではなく、直接あるいは間接に命令をおくっている人間が必ずいる。したがって、その人間の生活とリンクさせる必要がでてくる。

(注 3 )これは「中央演算装置 CPU 」「プログラム ROM 」「データ RAM 」「入出力 T / O」の四つで構成されている。電卓からパソコンまですべてのコンピュータは基本的にはこのようになっている。

(注 4 )ロボットのイメージは漫画の影響で、人間の形をしたものと認識されている。しかし、手足はなくても立派に生活している人がいるように、姿かたちは人間の定義の一つにすぎない。“人間は通信(情報)のやりとりをする生物である ” という定義に異論はないが、無機質の機械も通信(情報)のやりとりをおこなえるようになったのである。ロボットは人間になりえないが、限定された人間の行動をまねすることができるので、限りなく人間に近づくだろう。

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