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復党問題より 今、郵便局は、競争激化 戦々恐々―「東京新聞」 特報
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 12 月 01 日 17:23:29: 2nLReFHhGZ7P6
 

復党問題より 今、郵便局は
競争激化 戦々恐々

 郵政民営化といって最近話題になるのは、造反議員の自民党復党問題という政局絡みの話ばかりだ。国民そっちのけのこんなばか騒ぎをよそに、郵政民営化は来年10月の実施に向かって突き進んでいる。民営化に伴う利用者の不安は解消されたのか。そして今、郵便局で働く人はどういう状況に置かれているのか。 (浅井正智)

 「政府は『サービスは低下させない』と言っているが、信じきれない。ここみたいな山村では、郵便屋さんは市街地とは全く違う役割をもった大切な存在であることを分かっているのか」

 山梨、神奈川両県と境を接し、豊かな自然に囲まれる東京都檜原村。人口三千人のこの村に住む無職丸山二郎さん(60)は、前途に不安を隠さない。

 心配の種は、地元・檜原郵便局の集配業務の廃止が計画されていることだ。日本郵政公社が六月、郵便局の再編計画の一環として、全国千四十八郵便局で集配業務を廃止することを明らかにした。檜原郵便局はその一つに入れられた。実施されれば、集配は十五キロほど離れたあきる野局に統合される。

■『郵便屋さん懸け橋だったのに』

 総面積の93%が林野で占められ、平地が少ない同村では、急峻(きゅうしゅん)な斜面に集落が点在している。バス通りはあるが、通りから奥まった家には新聞販売店も宅配に来てはくれない。実は新聞はいったん郵便局に持ち込まれ、郵便物といっしょに配達してもらっている。

 問題なのは悪天候や冬季に坂道が凍結する日だ。丸山さんは言う。「バイクが上って来られないとき、郵便屋さんはバイクから降りて歩いて配達してくれる。遅くなっても何とかその日のうちに届いていた。集配が十五キロ離れた場所で行われるようになったら、同じサービスを維持できるのか。郵政公社側は『ちゃんと人を配置するので大丈夫』とは言うが…」

 昨年十月、郵政民営化関連法案が可決、成立した際、参院は郵便局が長年提供してきたサービスの「現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう、万全を期すること」とする付帯決議を採択した。サービスを下げないのは、大前提なのだ。

 丸山さんから見れば、その“公約”も眉唾(まゆつば)ものなのだが、心配なのは利便性の低下だけではない。丸山さんは続ける。

 「村内には独居老人も多い。そんな人の中には個人的に親しい郵便屋さんに、必要なものを町で買ってきてもらい、配達のとき渡してもらうこともある。郵便屋さんは私たちにとっては心の懸け橋であり、郵便屋さんを通じて外の人たちとつながっていると感じてきた。何よりもつらいのは、民営化によって目に見えるサービスが低下するだけでなく、目に見えない精神的なつながりが断たれてしまうことだ」

 全国を見ると、集配業務の廃止は来年十月の民営化を前にすでに部分的に実施に移されており、その数は廃止が計画された千四十八局中、半数を超える六百二十局あまりに上る。

 十月上旬に集配業務がなくなった大分県豊後高田市の田染郵便局。「業務が統合された郵便局は七、八キロ先で、さほど離れていないためか、郵便物が遅くなったという話は聞かない」と地元住民は言う。

 しかし、郵政職員OBらでつくる「郵政労働者のいのちと健康を守る人権ネット」の代表で、自ら三十年間、郵便局員として勤務した三浦芳則氏は「問題が起こりそうな檜原村のようなところでは実施が後回しにされている」と指摘する。

 統廃合は来年三月まで段階的に続けられる。「計画通りに統廃合が実施された場合、サービス低下が一気に噴き出す可能性がある」と三浦氏は話した。

■局員は合理化トヨタ式

 一方、郵便局で働いている人たちはどういう状況に置かれているのか。民間の運輸業者との競争に勝ち抜くために郵政公社ではこの数年来、合理化に大ナタを振るってきた。

 その象徴とも言うべきものが、トヨタ自動車の生産管理方式を取り入れたJPS(ジャパン・ポスト・システム)だ。二〇〇三年に埼玉県の越谷郵便局で始まり、現在では全国の普通郵便局の大半で導入されている。

 「だれがどのくらいの速さで郵便物の仕分けができたのかを競わせ、結果を一覧表にして張り出す。そのために人間関係がギスギスし、これまで以上に心労がかかるようになった」

■仕分け遅いと『訓練道場』行き

 都内の郵便局勤務の男性職員(57)によると、スピードが標準以下の職員には「訓練道場」と称する日勤教育が待っているという。

 床にはテープが張られた。「このテープに沿って歩けば、最短の歩数で仕事ができるという理屈」(男性職員)からだ。立ったり座ったりする時間も無駄ということで、職場からは椅子(いす)が撤去された。職場には、八年前には百十−百二十人の職員がいたが、今では五十人前後にまで減らされた。

 「郵便業務は人の力に頼る仕事だ。人減らしがあまりに急激なため、徹夜でも仕分けできない郵便物が残ってしまい、その結果、配達の遅れが出ている。このやり方だと、一カ月先の年賀状の配達では、これまでにない大混乱が起こる可能性がある」

 合理化の一環として職員を悩ませているものとして不透明な人事評価がある。

 評価は接遇の仕方や服務規律を守っているかなど十項目からなる。最初に職員が自己評価を行い、「◎」「〇」「△」のいずれかを選ぶ。さらに上司の評価を受け、A、B、Cランクに振り分けられるという。

 中部地方の郵便局で働く男性職員(56)は「明らかな事実誤認や些細(ささい)なミスを口実にしているものがあり恣意(しい)性を感じる。成績が悪いと昇給をカットされるので大きなストレスになっている」と訴えた。

 日本郵政公社がこのほど明らかにしたところによると、来年三月に早期退職制度による退職を希望している職員が約一万人で、今年三月(約四千三百人)の約二・三倍に達している。

 「民営化が実施されれば、仕事は目に見えてきつくなる。それが早期退職者の急増を促しているのは間違いない」と前出の都内の郵便局職員はみる。

 それでも郵政公社は困らない。郵政民営化に詳しいジャーナリストの藤田和恵氏は「早期退職者が出れば、ゆうメイトと呼ばれる、雇用が不安定な非常勤職員で埋めれば足りるし、その方が人件費削減になる。ゆうメイトは都合のいい調整弁にされている」と話す。

 エコノミストの松原聡氏は「郵政三事業(郵便、貯金、保険)は民間企業とすでに競合している。これまでは公社だったことで優位に立っていたが、これからはさらに厳しい競争にさらされることを考えれば、敗北を意味する大幅なサービス低下が起こるとは考えられない」と民営化を肯定的にとらえる。

 藤田氏はこれに真っ向から反論する。

 「民営化自体を絶対悪とは思わないが、郵政公社がやっている人件費削減と不採算部門の切り捨ては激しすぎる。造反組議員が復党することで、反対の声はさらに弱まるだろう。民営化という名目で労働破壊が進んでおり、その影響は誤配や遅配などサービス低下に行き着くはずだ」

<デスクメモ> 昨年四月の尼崎JR脱線事故で、運転ミスをした運転士は何度も懲罰的な「日勤教育」を受けていた。民営化の先輩を見習ったわけなのか、郵便局にも似たような「訓練道場」があるというから、びっくりする。「競争力を付ける」とは、こういうことだろうか。郵便局の将来が急に心配になってきた。 (充)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20061201/mng_____tokuho__000.shtml

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