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日本のIT政策公約がダメな理由−IT-PLUS「ハンナラ党の政権公約はすごい。未来永劫、韓国に追いつくことはできない」
http://www.asyura2.com/07/asia10/msg/365.html
投稿者 kaname 日時 2008 年 2 月 18 日 17:17:25: 3X28X40b0xN.U
 

お隣の韓国では今月25日にイ・ミョンバク氏が新大統領に就任する。新政権がどういう政策を打ち出すのかを探るには、同氏の所属政党であるハンナラ党が昨年12月に発表した政権公約(マニフェスト)が参考になるが、その中身に目を通してみたところ、驚いた。ICT(情報通信)・コンテンツ政策が目指す方向性が、あまりにも正しいからである。日本の政策との「格差」は明らかで、日本は大丈夫かと改めて心配になる。 (岸博幸の「メディア業界」改造計画)

■「デザイン」重視を掲げたハンナラ党の政策公約

 実際、ハンナラ党の政策公約はすごい。経済政策全般についても、7%の経済成長率、300万人の新規雇用創出、予算20兆ウォン節減と均衡財政など、政策目標を具体的な数字で提示し、その実現のための政策が詳述され、「マニフェスト」として理想的な体裁を整えている。日本の政党の抽象的で美辞麗句ばかりを並べたマニフェストもどきとは大きな違いである。

そのマニフェストの中でも、ICT・コンテンツ政策が目指す方向が大胆かつ非常に正しいものとなっていることに注目すべきである。政策公約の目次から関連する部分を抜粋すると、「ソフトパワーの強い国」という大目標を掲げたうえで、中項目と小項目として以下を列挙している。

・世界最強のデジタル国家へ(世界最強の「デジタルKOREA」の建設)
・大韓民国を文化ブランドに
 ――創造文化大国の実現
 ――文化圏の拡大
 ―― 「Designed in Korea」素敵な韓国
 ―― アジア文化ハブ「文化創作発電所」の建設

 この部分を読んで個人的に非常に共感した。まず、政策の目標として「ソフトパワーの強化」を明示的に掲げたことが素晴らしい。これには2つの観点が含まれているのではないだろうか。第1に、国土と人口が小さい韓国が経済力のみで繁栄を続けるには限界があるので、グローバル化が急速に進む現段階で「他国を引きつける力」であるソフトパワーの強化を目指す。第2に、すでに韓国の通信・放送のインフラは世界最先端レベルにあるので、その次のステップとして、そこを流れるコンテンツに注力して、情報発信力を強化する。

 そして、ソフトパワーの最大の源泉である文化を強化するという戦略は正しいし、デザインという要素に言及していることも素晴らしい。iPodの成功から明らかなように、デザインの重要性は高まっており、プロダクトデザインから社会システムを考えるソーシャル・デザインまで、世界的に「デザイン」という言葉がキーワードになりつつあることを踏まえているのであろう。

■見劣りする日本の政権公約

それと比べて情けないのが、日本の政治の側が考える政策のレベルの低さである。ハンナラ党の政権公約と比較するため、昨年の参院選挙の際の自民党の政権公約からICT・コンテンツ政策の関連部分を抜粋する。そこには「成長力を強化するために」という大目標の下、以下の政策目標が羅列されている。

・世界トップクラスのコンテンツ産業の育成、感性価値創造の推進
・知的財産戦略の展開
・情報通信(ICT)産業の国際競争力強化
・ICTを活用した生産性の向上
・ICTによる住みやすい社会の建設
・通信・放送分野における改革の推進
・テレワークの推進

 ハンナラ党が掲げた「ソフトパワーの強化」は、経済力がピークを超え人口減少も進む日本がアジアと世界で生き残るために韓国よりも先に掲げるべき政策課題だったのに、ここにはそうした戦略性を感じさせる表現はない。さらに言えば、ハンナラ党の公約と比較すると明らかなように、省庁縦割りの延長のように政策目標が細切れとなっており、目標の内容自体も古臭い個別産業育成や部分課題を羅列する色合いが強い。

■日韓の政策に「格差」が生じた理由

 ではなぜ日本と韓国の政権政党のマニフェストの間で、少なくともICT・コンテンツ政策のレベルでこのような「格差」が生じてしまったのだろうか。個人的には、政党が知恵を借りた先の違いが大きいと思っている。

 ハンナラ党は政策公約を作成する際に400人もの学者と専門家の力を借りたそうである。この人数からして、当然政策分野ごとに専門家を集めて侃々諤々の議論を繰り返したのであろう。一方自民党の政権公約は明らかに官僚の知恵がベースとなっていると思われる。官僚であった自分の経験から、また政権公約の表現ぶりから間違いないであろう。

 このことを取り上げて、安っぽい官僚叩きを主張する気は全くない。むしろ官僚はかわいそうなのである。様々な雑用に忙殺され、民間との接触は厳しく制限されるため、最先端の動きから後れるのはやむを得ないし、そもそも官僚は立場上、政治の意思が示されない限りドラスティックな政策を講じられないのだから。

 一方で韓国では、ハンナラ党の政策公約以外にも、地方放送局などの反発にも関わらずIPTVの全国放送を認可したり、情報通信部の解体と政府組織の再編を検討したりするなど、ICT・コンテンツ関連で大胆な政策を連発している。それらにも専門家の知恵が活かされているのだろう。日本としても、技術進歩などの環境変化が早い分野については、政治の側も官僚にばかり頼らず、民間の専門家など幅広い知恵を取り入れるべきではないだろうか。

 その意味では、今年秋の可能性がある衆議院選挙に向けた与党のマニフェスト作りはよい試金石だ。ハンナラ党の政策公約という格好のお手本があるにもかかわらず、ふたたび官僚の作文の域を出ない政策しか掲げられないようでは、ICT・コンテンツ政策の領域で未来永劫(えいごう)韓国に追いつくことはできないであろう。

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT12000018022008

関連記事:

主要政党が相次ぎマニフェスト − 韓国大統領選「400人の専門家が180回以上の討論を経て制作。240ページ。完売。」
http://www.asyura2.com/07/asia10/msg/114.html

マニフェストの写真 − K_Studies
http://www.asyura2.com/07/asia10/msg/149.html

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