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れんだいこのカンテラ時評351【「ほんみち」と共産主義者の協働考】
http://www.asyura2.com/07/bd51/msg/315.html
投稿者 こげぱん 日時 2007 年 12 月 13 日 22:26:18: okIfuH5uFf.Lk
 

Re:れんだいこのカンテラ時評351 れんだいこ 2007/12/12 21:34

【「ほんみち」と共産主義者の協働考】

 れんだいこは今、「天理教教祖中山みきの研究」
http: //www.marino.ne.jp/~rendaico/nakayamamiyuki/
の書き換えに入っており、その余勢で分派分立の「ほんみち」の研究にも分け入った。村上氏の「ほんみち不敬事件」、梅原正紀氏の「ほんみち」、「天啓者の宗教ほんみち」を精読している。この過程で、「ほんみちと共産主義者の協働」に気がついたので、これを世に発表しておく。

 資料は上掲三書から取り寄せている。世の多くの強権著作権者は著作権違反だと云うのだろうが、れんだいこが気に入った文を紹介するのに何の憚りがあろう。時代は病んでおり、その病人が、本来真っ当な営為を権利違反だと指弾する変な正義がはびこっている。

 ジャスラックなぞその典型であるが、無許可で営業的に歌を歌う場所を提供するのならゼニを払えとヤクザ風のショバ代権利を振り回しており、マスコミご一統も似たり寄ったりの権利を主張しているので、併せて何をするにも窮屈な世の中に誘ってくれている。サヨがこれを後押ししており、変な正義が流行りだしている。誰も咎めないようなので、れんだいこが一言しておく。そったら馬鹿な理屈があって堪るか。

 もとへ。ほんみちと共産主義者の協働」の三例を掲げておく。ほかにも多々あるだろうが、入手次第に書き付けていくことにする。

 「ほんみちと共産主義者の協働考その1」、ほんみち幹部と服部之聡の逸話

 梅原正紀氏は、「天啓者の宗教ほんみち」の184−186Pで次のように記している。

 昭和3年の「ほんみち」への第一次弾圧事件で、東京・警視庁に勾留された「ほんみち」信徒とマルクス史学の立場にたつ歴史家の服部之聡が同じ監房で暮らしたことがあり、戦後になって服部がその追想記を書いている。

 発表されたのは「中央公論」の昭和27年八月号である。服部は、「ほんみち」信徒と監房で知り合ったことを、ごく限られた人々にしか話していなかった。彼の文章によれば、「思想とは無関係に信頼できるいわばうちわの人々」だけにしか語っていなかった。唯物論者が信仰者と意気投合した体験を話すと誤解を招くもとになりかねないと判断したからであろう。服部の眼に「ほんみち」信徒の姿はどのように映ったのだろうか。その文章を引用してみよう。

 服部之聡氏は次のように述べているとのことである。(いずれ原文に書き換えたいと思う。どなたか入手してくれないだろうか)

 意訳概要「私は、昭和3年5月だったろうか、9月だったような気もする。警視庁の監房に二十日あまりいたことがある。初めての経験で諸事印象深く残っているが天理教不敬事件の最高被疑者の一人と同房で暮らした。この天理教不敬事件は、どうなったのか後の始末は私も知らぬくらいで、記憶の良い人でも覚えている人は少ないだろう。なにしろ珍妙な不敬であった。

 私は獄中で、『泥海古記』の講義を受け、天理教の手振り(悪しきを払うて助けたまえ天理王の命(みこと)と歌いながらの手振り)を彼から教わった。監房の食事の後、弁当箸を太鼓のむちの代わりに用いて、まもなく私はその手振りを、彼と同様に上図に舞えるようになった。歌も全部覚えた。退屈すると口将棋も指したが、お互いにまるでヘボだつた。その監房は私にとって、たえて悪魔の座ではなかった。

 私の懐旧の念は、彼のおだやかな人柄と共に『泥海古記』に感銘したことにある。被疑者の話によれば、人類は動物から発達して猿を経て人間となったものであり、その見解に於いて彼は近代科学と、及びそれを信奉するマルクス学徒たる同房の隣人と完全に意見を同じくした。更に、天皇は『唐人』であり、日本の統治者となっているが、ほんものが出現したからには簒奪者の治世は終わり、『唐人の寝言』に終止符を打たなければならないと云う。傾聴に値する弁である」。

 この服部の追想記を読んだ宗教学者の山伏哲雄・東北大学教授は、「思想の科学、昭和46.1月号所収」の中で次のように述べている。

 「思想弾圧にもめげずに非妥協的に教理を説く新興信徒の剛直と心意気に対して、彼がまさに踊躍せんばかりに親愛感を吐露している状況が伺える」。

 梅原正紀氏は次のようにコメントしている。

 「マルクス主義者と宗教者との差異をこえて民衆にとって加害者であり、また加害装置である天皇と天皇制に戦いを挑む者の熱い共感が成立した歴史のひとこまが、服部の追想記に証言されているといえよう」。

 (引用以上)

 れんだいこは、「天皇制に対する」マルクス主義者とほんみちの協働よりも、マルクス主義者の服部氏が、中山みきの「元始まりの理話し」に滅法興味を覚え、共に手踊りしたことに微笑む。れんだいこの体験がひとりれんだいこだけのものではなく、その昔に服部氏も同じような興味を抱いたことをうれしく思う。

 「ほんみちと共産主義者の協働考その2」、ほんみち幹部・中山英雄と梯明秀、布施杜生、国領伍一郎の逸話。

 ほんみち幹部・中山英雄は、「ほんみち第一次、第二次不敬事件」で下獄し、この時幾人かのコミュニストと出会っている。昭和13.11月末から翌年の6月まで京都の下鴨署に留置され、人民戦線派の梯明秀と同房している。梯は、「ほんみち」信徒の家族が面会に来て、互いが励ましあう姿に接し、獄吏から「インテリの負けやな」と云われたことを後に好意的に述懐している。

 社会主義派弁護士として知られる布施辰治の三男の杜生とも同房し、布施は、中山の留置事由を知るにつけ「ほう、宗教の方もとうとうやりましたか」と賞賛され、肝胆相照らす親交を温めたと云う。中山は、拷問を受け痛々しい布施に偽装転向を勧めたが布施は断り、昭和19年に未決のまま獄死している。

 中山は、大阪刑務所で、京都の労働運動を指導し、後に党の中央委員として活躍した国領伍一郎と同房している。国領は網走刑務所から奈良刑務所を経て大阪刑務所に移送されており、既に健康を破壊され、重い胃潰瘍と肝臓炎を患っていた。そういう身でありながら、看守が年老いた囚人を苛めていたりすると怒鳴りつけ、庇う姿勢を貫いていた。中山は、国領の生き様に感動を覚えたと伝えている。その国領も昭和18.3月、獄死している。

 「ほんみちと共産主義者の協働考その3」、府中刑務所逸話。

 1945(昭和20).10.10日、、「GHQ」の10.4日の指令「政治犯を10月10日までに釈放せよ」に基き、東京の府中刑務所から徳田球一.志賀義雄ほか金天海、黒木重徳、西沢隆二、松本一三、山辺健太郎、今村英雄、須藤末 雄、広瀬梅次、石川篤、三田村四郎、金天海ら共産党員、他に、朝鮮独立運動家.李康勲、天理ほんみちの団野徳一、桑原幸作、三理三腹元の山本栄三郎の16名が釈放された。

 山辺健太郎の回想記「社会主義運動半生記」は次のように記している。

 「予防拘禁所で、偉いと思ったのは、まず天理教の人です。死刑を求刑されたのだと思うけど、どこ吹く風で悠々としていました。それから、在日朝鮮人運動の中心だった金天海です云々」。

 こうした史実は、マルクス主義者の方からは記さない気風が有るようで、思わぬ収穫であった。れんだいこに云わせれば、マルクス主義者の理論も一種の宗教的教義のようなもので、科学的何とかを冠すれば社会主義−共産主義になり、冠せねば宗教になるというご都合なものではなかろう。むしろ、何を云っているかより何を為しているのかを実践的に検証した方がよいのではなかろうか。

 れんだいこは在地型土着的な世界へ拓く日本主義共生思想を創造せんと営為しているので、この立場から見れば、戦前の天皇制批判運動に於いて理論的にも実践的にも勝っていたのは「ほんみち」の方ではなかったかと思っている。反権力的歴史学の多くは、マルクス主義の側からばかり記述しているが、いわゆる片手落ちで、幾ら読んでも資料以上の価値を有しない。

 時々筆者の観点が書き付けられているが貧弱なものであり、鵜呑みにすればするほど馬鹿に成る。れんだいこはそういう風に気づいているので、読めば読むほど為になる文献を探すなり創らねば気が治まらない。道は遠いが始めねばなお遠いから、何がしか営為し続けていこうと思う。

 2007.12.12日 れんだいこ拝

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れんだいこ 人生学院
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