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いよいよ「家庭用ゲーム機」もオープン・プラットフォームに − ITpro 「ベーマガ世代には言うまでもないことだろう」
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投稿者 kaname 日時 2008 年 2 月 28 日 09:40:17: 3X28X40b0xN.U
 

 「PlayStation」や「Xbox 360」,「Wii」といった家庭用ゲーム機は,IT業界で珍しい極めて閉鎖的な(クローズド)プラットフォームである。UNIXやWindowsのようなオープン・プラットフォームのように,自由にアプリケーションを開発したり動作させたりできない。しかしいよいよ,家庭用ゲーム機もオープンになろうとしている。

 現行の家庭用ゲーム機の中で,最もオープンなプラットフォームになろうとしているのが,マイクロソフトの「Xbox 360」だ。マイクロソフトは2008年2月21日,「Xbox 360」のオンライン・サービス「Xbox Liveマーケットプレイス」で,一般のユーザーが制作した「Xbox 360用の自作ゲーム・タイトル」を,他のユーザーがダウンロードできるようにすると発表したからだ(関連記事:マイクロソフト,Xbox 360で「ユーザー自作ゲーム」のダウンロードが可能に)。マイクロソフトが「家庭用ゲーム機として史上初の試み」と自賛するように,これは極めて画期的な取り組みといえる。

 現在の家庭用ゲーム機では,ユーザーやベンダーが自由にアプリケーション(ゲーム・タイトル)を開発したり配布したりすることはできない。これは家庭用ゲーム機というビジネスが「ハードウエアの販売」だけでなく,「ゲーム・タイトルを開発したサード・パーティからのロイヤリティ収入」からも成り立っているからである。

 家庭用ゲーム機のサード・パーティがハードウエア・ベンダーに支払う費用は多岐に渡る。まずはゲーム・タイトル開発のための専用開発ツールが必要だし,ゲーム・タイトルを収録したメディアの製造をハードウエア・ベンダーに委託したり,ハードウエア・ベンダーに対して1枚当たりいくらかのロイヤリティを支払ったりしなくてはならない。家庭用ゲーム機では,ハードウエア・ベンダーが定めた工程で製造されたメディアでなければゲームを起動できない。開発ツールさえあればゲームが販売できるわけではない。

 このように家庭用ゲーム機は,公開情報に基づいてアプリケーションを開発して自由に使用できる「オープン・システム」とは全く異質の,極めてクローズドなプラットフォームである。そのような中でマイクロソフトの施策は,かなり異色のものである。

開発環境を無償化したマイクロソフト

 まずマイクロソフトは2006年12月に,Xbox 360用とWindows用のゲーム・タイトルが開発できる「XNA Game Studio」という開発ツールを無償で公開した。これは,「XNA Framework」という「.NET Frameworkのゲーム版」の上で動作するゲームを,「C#」で開発できるというツールだ。大手のゲーム・タイトル・メーカーが利用するツールとは異なる「簡易版」だが,Xbox 360上で動作するプログラムを自由に開発できるという点で,画期的なツールだった。

 もっとも現状では,XNA Game Studioで開発したゲームを,開発者以外がXbox 360で動作させるためには面倒な手続きが必要だ。なぜなら,XNA Game Studioで開発したXbox 360用ゲームは,ソースコードの配布のみが可能で,実行形式のプログラムを配布できなかったからだ。

 開発者以外のユーザーがXNA Game Studioで開発したゲームをプレイするには,ソースコードを手に入れて,それをXNA Game Studioでコンパイルし,パソコンからLAN経由でXbox 360にコピーする必要があった。そして,ゲームをパソコンからXbox 360にコピーする機能は,「XNA Creators Club」という有償サービスに加入しないと利用できなかった。

これは「ゲーム版のYouTube/ニコニコ動画」

 しかし今回の発表によって2008年内に,XNA Game Studioでユーザーが自作したゲームは,「Xbox Liveマーケットプレイス」を通じて,他のユーザーに配布できるようになる。前述のような複雑な手続きは不要だ。公開されたゲームを他のユーザーが評価するようなシステムも実装されるという。マイクロソフトの担当者は「これはゲーム版のYouTubeでありニコニコ動画だ」と語るが,まさにそうだろう。在野のクリエータは,無償の開発ツールで開発したゲームを,全世界に1000万人以上存在するXbox 360のオンライン・ユーザーに向けてお披露目できるのだ。

 過去,在野のゲーム・クリエータを発掘するという動きが,家庭用ゲーム機業界になかったわけではない。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は1995年以来,「ゲームやろうぜ!」というクリエータ発掘企画を継続して実施している。これは,SCEが学生などに開発機材や開発資金を提供してゲームを開発させるというものだ。

 しかし音楽業界で例えるなら,SCEの取り組みは「レコード会社のオーディション」であり,ゲーム・クリエータはSCEに認められて初めてデビューできる。それに対してXbox 360での取り組みは,マイクロソフトから独立した立場のゲーム・クリエータが,流通チャネル(Xbox Liveマーケットプレイス)だけを利用して,ゲームを直接発表できる。音楽業界で例えるなら,「インディーズ」である。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080225/294708/

いよいよ「家庭用ゲーム機」もオープン・プラットフォームに:ITpro

クリエータに対価を支払えるシステムがある

 記者は,マイクロソフトの取り組みには,在野のゲーム・クリエータにとって非常に大きなチャンスがあると感じている。なぜならXbox Liveマーケットプレイスには,YouTubeやニコニコ動画にはまだない「強み」があるからだ。

 それは,Xbox Liveマーケットプレイスに,「クリエータに対価を支払える仕組み」が存在することだ。Xbox Liveマーケットプレイスでは既に,様々なコンテンツが有償で販売されている。日本で特に売れているのは「ゲーム内キャラクタに着せる服」といった「ゲームの追加アイテム」だそうだが,それ以外にも1980年代にゲーム・センターで人気を呼んだオールド・ゲームや,前世代のXbox用ゲーム・タイトルなどが販売されているし,北米ではHD(高精細)映画のレンタルなども始まっている。

 Xbox Liveマーケットプレイスでは,クレジット・カードを持たない若年層でも安心してオンライン・ショッピングが可能である。これは,Xbox Liveマーケットプレイスでの支払いに使う「マイクロソフト・ポイント」が,クレジット・カード以外にも,ゲーム店や電気店で販売しているプリペイド・カードで購入が可能だからだ。Xbox Liveマーケットプレイスは,非常に優れた「決済システム」でもあるのだ。

 マイクロソフトは現在,Xbox Liveマーケットプレイスにおける「自作ゲームの販売」を,あくまで「検討中」としかしていない。しかし,もしインディーズのゲーム・クリエータが,Xbox Liveマーケットプレイスで収入を得られれば,彼らにとって大きな助けになるだろう。

極めてマイクロソフトらしい取り組み

 開発環境やアプリケーション配布のオープン化は,極めてマイクロソフトらしい取り組みだと言えるだろう。そもそも,家庭用ゲーム機が無かった頃,ゲームとは極めてオープンなものであり,それを支えていたのが他でもないマイクロソフト自身だったからだ。

 これは,30代以上の「ベーマガ世代」なITpro読者の皆さんには,言うまでもないことだろう。念のために説明すると,「ベーマガ」とは1980年代に全盛期を迎えたパソコン雑誌「マイコンBASICマガジン」(電波新聞社)である。同誌のメイン・コンテンツは,BASICで開発されたゲームの「ソースコード」(リスト)で,これらのゲームは読者が投稿したものであった。

 お小遣いの乏しい当時の中高生は,同誌に掲載されたリストを競って打ち込み,ゲームに励んだらしい。「らしい」というのは,ベーマガを購読していた1986〜88年当時,筆者はまだ小学4〜6年生だったからだ。英語も分からなければ,テン・キーも無いMSXパソコンしか持たない小学生に,当時の既に肥大化したBASICゲームのリストを打ち込むのは容易ではなかった。正直に言うと,筆者はベーマガ掲載リストを1度たりとて実行できたことがない。結局,小学生にしてプログラムに苦手意識を抱いた筆者は,プログラミング経験皆無で今に至っている。

 話が猛烈に脇にそれたが,インターネットが普及していない1980年代,学生にとってパソコンとは「家庭用ゲーム機」に他ならず,パソコンという名の家庭用ゲーム機は,公開ソースコードがゴロゴロあるという,極めてオープンなプラットフォームだった。それを支えていたのは,「マイクロソフトBASIC」であり「MSX」である。マイクロソフトが2000年代に入って,家庭用ゲーム機を「再び」オープン化したのは,極めて自然な流れに感じている。

 マイクロソフトがXbox 360をオープン化した目的は,ゲーム・タイトルを増やすことでプラットフォームとしての魅力を高めることにあるという。これは正にWindowsがたどってきた道であり,マイクロソフトらしい言い分だ。同社によれば,2008年末までに,Xbox 360向けゲーム・タイトルの総数は1000本を超える見込みだという。

在野クリエータが世界で勝負する日

 現在日本には,多種多様なゲーム・クリエータが在野に存在している。ネットや秋葉原の店頭,「コミックマーケット」のようなコンテンツ即売会などを調べてみれば,その多彩さに驚くはずだ。「同人誌」になぞらえて「同人ゲーム」と呼ばれる。同人ゲームのプラットフォームはWindowsが多いが,その中にはマンガやアニメになったり,家庭用ゲーム機に移植されたりと,商用コンテンツに昇格したものもある。

 しかし現在,同人ゲームの販路は,秋葉原のマニア向け店舗や,即売会,決済に難のあるネット通販などに限られているのが実情だ。日本だけで十万人以上,世界で見ると数百万人以上が参加しているXbox Liveマーケットプレイスが販路になれば,在野のゲーム・クリエータが,一気に世界に羽ばたけるのではないかと感じている。

 今後,日本の人口が減り続けることを考えれば,成長の場は海外市場に求めるしかない。残念ながら,海外で成功している日本のソフトウエア企業は,ゲーム・メーカーにほぼ限られている。ならば,より多くのゲーム・クリエータに海外で活躍してもらうことが,日本のためなのではないだろうか。現在,在野のゲーム・クリエータが活躍できる環境が,さらに整いつつある。在野のゲーム・クリエータが世界で羽ばたく日と,この流れがXbox 360以外でも生まれる日が来ることを,今は願っている。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080225/294708/?P=2&ST=ittrend

※コメント:

ボクはベーマガが500円から510円へ値上げする頃から読み始めた「最後のベーマガ世代」だ。N88ベーシックが終演し、Cかビジュアルベーシックへ、どちらかへ移行しなければならん、というあたりである。30個くらいゲームを作った記憶がある。その意味では、考え深い。

もっとも、オープンソースといったって「MS規格対応のゲームを作る開発環境が整った」に過ぎない。かつてソニー出井が言っていたような「PS3はマイクロソフトなど他のネットワークとも連結すべし」という発想には現時点では到達していない。

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