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「ゲーム開発の民主化」進む北米・GDC08報告 − IT-PLUS
http://www.asyura2.com/07/it10/msg/347.html
投稿者 kaname 日時 2008 年 3 月 01 日 10:44:46: 3X28X40b0xN.U
 

(回答先: いよいよ「家庭用ゲーム機」もオープン・プラットフォームに − ITpro 「ベーマガ世代には言うまでもないことだろう」 投稿者 kaname 日時 2008 年 2 月 28 日 09:40:17)

「ゲーム開発の民主化」進む北米・GDC08報告(1)

 世界最大のゲーム開発者向けイベント「ゲーム開発者会議(GDC)08」が2月18日から22日まで米サンフランシスコで開催された。ゲームの国際見本市「E3」の縮小の影響からビジネスの場としても機能の集中が始まり、全体の参加者数は1万8000人にもなった。(新清士のゲームスクランブル)

 例年通り400以上の講演が行われたが、好調な欧米のゲーム産業の状況を反映してか、全体的に雰囲気は明るく、アメリカの景気後退の影響はまだ感じられなかった。欧州のほか、韓国・中国といったアジア地域からの参加者も多く、来年以降も勢力を増していくだろうと予想される。

 新型ハードの「Wii」や「Xbox360」「プレイステーション3(PS3)」の普及が進み、ソフトが大きな収益を出せる収穫期に入った。今後何年かにわたるビジネスの方向性が明確に見えてきたなかで、次の一手をどう打つかが今年の大きなテーマになっていた。

 特にPS3やXbox360向けのゲームタイトルの開発手法が、各社ともかなり具体的な形で固まってきつつある。Wiiについても、任天堂の行った複数のセッションから、どういう方向性に舵を取ろうとしているのかが具体的に見えてきた(これについてはGDC報告の2回目以降で紹介する予定)。

 もう一つの大きな動きが、サービスを中心とした新しいゲームの可能性の模索である。ゲーム専用機のパッケージソフトを販売するという基本的なビジネスモデル以外に、どのような可能性があるのか。今回はマイクロソフトの基調講演で発表が行われた「ゲームの民主化」戦略を中心に、アマチュア開発者を取り込もうとする動きの背景を探る。

■アマチュア開発者向けの自由な開発と流通の仕組み

 今年のGDCの大きなテーマの一つは、ユーザーを巻き込みゲーム開発の活動自体に巻き込んでしまう仕組みをいかにして設計して整備していくのかということであった。ユーザー作成コンテンツ(User Created Contents、UCC)や消費者生成型メディア(Consumer Generated Media、CGM)といった言葉の意味は定着し、それらの言葉では単純にまとめることが難しいような多様性が発生しつつある。

 今回、ハードウエアメーカーの基調講演はマイクロソフトのみだったが、重要な発表があった。Xbox360のアマチュアゲーム開発者向けに無料で提供されているゲーム開発環境「XNA Games Studio Express(XNAGS)」で開発したゲームを全世界のユーザーに流通させる仕組み「Xbox LIVE Community Games」である。

 このサービスは、年間9800円の会費を支払うと加入できる「XNAゲームクリエイターズクラブ」に属しているユーザーが、自分で開発したゲームを全世界のユーザーに自由に流通させるための仕組みである。

 XNAGSは、2006年12月にスタートしたサービスだったが、これまで作成したゲームの実行データをそのまま配布する方法は事実上なかった。できないわけではなかったが、非常に手間がかかり、知識のない一般のユーザーにはほぼ不可能だった。

 マイクロソフトは、すでに「Dream Build Play」というコンテストを主催し、そこで高い評価を得たタイトルにはパブリッシング契約を用意するというサービスを始めている。ただ、これまでの実績としては、200タイトル以上の応募がありながら実際に契約したのは4タイトルに限られている。

 そのため、自由に配布する仕組みはユーザーから強く求められていたが、マイクロソフトとしては慎重に制限していた。

 その理由は明白である。無料のユーザー製のゲームが多数出回ることで、既存のパッケージを使ったビジネスモデルを崩壊させてしまうリスクを取りたくないということだ。また、過剰な暴力や性表現を含む問題があるコンテンツの登場や、他社の既存コンテンツを二次利用するようなゲームが出回るといった法的な問題もマイクロソフトとしては避けたい。

 すでに、「セカンドライフ」などの開発環境を持つ仮想空間やゲームに付属している開発ツールを利用してゲームを改造できる「Mod」で起きているトラブルを企業として回避しつつ、ユーザーが参加できる仕組みをどう作るかが重要なポイントとして設計されている。

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ゲーム開発と流通の民主化について話すクリス・サッチェル氏

 ユーザーは投稿時に暴力性や血など問題になりやすいポイントについて、自己申告で評価をつけて投稿する。著作権を侵害していないかといった問題が審査された後、コミュニティーによってその自己申告が正しいかどうかが評価され、パスするとインターネットサービスであるXbox Liveを通じて、すべてのユーザーに対して配信可能となる。

 マイクロソフトのクリス・サッチェル氏(チーフXNAアーキテクト)はこの仕組みを「ゲームプラットフォームの民主化」と呼んだ。民主化(Democratizing)は、特定のメーカーだけでなく、個々のユーザーに開発の機会を拡張するというものだ。もちろん、民主化とはいっても、マイクロソフトのビジネスモデルで認められる範囲においてという限定条件付きであることはいうまでもない。

■「イノベーションの民主化」戦略

http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000029022008

「ゲーム開発の民主化」進む北米・GDC08報告(1) デジタル家電&エンタメ-最新ニュース:IT-PLUS

■「イノベーションの民主化」戦略


 この「民主化」という言葉は、05年に書かれたマサチューセッツ工科大学(MIT)のエリック・フォン・ヒッペル教授の書籍「民主化するイノベーションの時代(原題を直訳すると、イノベーションの民主化)」(ファーストプレス)から影響を受けていると思われる。この言葉は、この基調講演だけでなく、他のサービスについての講演でも登場しているが、マイクロソフトは流行しかけているキーワードをいち早く自社の戦略のなかに取り込んだ格好だ。

 コンピューターとインターネット回線網の劇的な発達と低価格化によって、イノベーションのスピードが加速化している。また、企業が単独でイノベーションを起こすのではなく、ユーザーを開発プロセスに巻き込んでいくことでより強力なイノベーションが短い期間で出現するという実証研究が行われている。

 ゲーム産業の例としては、ツールキットをユーザーに積極的に提供していく戦略を取ることで大きな成果を上げた「Mod」の研究例が紹介されている(Modについては「ゲーム業界のユーザー参加型コンテンツ『Mod』が流行る理由」を参照)。

 マイクロソフトのXNAGSは、このModのモデルをゲーム開発全体に拡張する仕組みであり、最後の弱点であった流通の仕組みにまで踏み込んできた。また、現状においてはPS3やWiiで同様の仕組みは提供されておらず、他のハードとの有力な差別化手段になる。

 米国では4月からベータサービスが始まるが、他の地域では年内となっている。ゲームの内容が適切かどうかを判断する評価の仕組みは、各地域・国ごとに違っており、実際に運用してみて理解を得られるかどうか様子を見ようという意図が感じられる。アマチュア開発者の作る無料ゲームをすべて評価するというのは非現実的であるからだ。

 GDCではコミュニティーが開発したというゲームのデモも行われていたが、ブラックユーモアとはいえ血が飛び出したりするようなゲームが多い。日本でそのままリリースして問題がないと言えるかどうかは微妙な面がある。

 それでも、アマチュア開発者がたった一人でも、「全世界」に対していきなりビジネスができる可能性が実際に出てきた意味は大きい。

 すでにこのXNAGS向けの三次元のゲームエンジンを開発するベンチャー企業も登場しており、GDCにブースを初出展していた。またXNAGSは世界400以上の大学のカリキュラムで採用されたとの発表も行われており、周辺ビジネスも活発化してくることが感じられる。

■レベルアップするアマチュア・独立系開発者

 「民主化」の動きはマイクロソフトだけではない。GDCでここ数年言われているのが、アマチュア開発者や独立系ゲーム開発者のスキルレベルの上昇である。会期中に「インディペンデントゲームフェスティバル」というコンテストの結果が発表され、そこで受賞したタイトルが競うようにしてパブリッシャーに買い取られて商品化されるという光景が繰り返されている。

 今年受賞したタイトルもかなりレベルが高く、日本の関係者からも感嘆の言葉が多く聞かれた。最新の技術的流行である物理計算を利用して新しいゲームデザインを切り開いている作品が少なくない。

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大賞を受賞した「Crayon Physics Deluxe」のフィンランド人の作者

 今年大賞を受賞した「Crayon Physics Deluxe(クレヨン物理デラックス)」は、画面上に落書きのような物を書くと、それがそのままゲーム内のオブジェクトに変化し、実際にゲーム内に影響を与えるという仕組みを持っている。すでにパブリッシャーに買い取られているようだ。

 また、いくつかの部門賞を受賞した「World of Goo」も同じく物理計算を利用している。黒い粒の建築資材を使って、塔や橋を建設しながらゲームを進めていくパズル的なゲームだ。これは、3年前にカーネギーメロン大学で行われた毎週1本のゲームをリリースするという「実験的ゲームプレープロジェクト」に参加し、2年前のGDCで高い評価を集めていた学生が始めたベンチャー企業によって開発された(「直感に従い4カ月で50作を開発――実験が示したゲームの可能性」を参照)。

 どちらのゲームも、ゲームデザインとツールの融合をゲーム的にうまく利用している。コンテストを通じて、既存のゲームとは一線を画すような新しいゲームが次々と出てくる。

■民主化が北米ゲーム産業を底上げ

 「ゲームの民主化」の手段はマイクロソフトがすべての選択肢ではなく、複数存在する。アマチュアゲーム開発者はその中から自分にあった開発環境を選択するが、最終的にはビジネスにできる可能性を十分に持っている。一度可能性が見えれば、積極的な投資が促されるビジネス環境が年々厚みを増しているように見える。

 アマチュアや独立系であることは苦労も多いことではあるが、GDCでは将来の展望への輝きを持って語られることが多い。大手企業の好調さだけではなく、そういうところからも北米のゲーム産業が活況ぶりが感じられる。

 一方、現在の日本のアマチュア開発者向けには、同様の仕組みがほとんど存在していない。ゲーム産業の厚みという点では、じわじわと差ができていると思われる面がある。東京ゲームショウ時に発表される「日本ゲーム大賞」にもインディ部門はあるが、携帯電話向けゲーム以外で受賞したタイトルが商品化されたケースを知らない。

 Wiiや「ニンテンドーDS」向けのタイトル開発において、日本のゲームデザインの独自性があれば世界に通用するのではないかという考え方もある。しかし、私自身は状況はそれほど甘くないと思っている。GDCを通じて見えてくるのは、北米ではさまざまな分野のゲームでゲームデザインのイノベーションが幅を持って起きているということだ。コンテスト一つ見ても、競争はレベルを上げ激しくなってきている。

 それが結果として北米のゲーム産業の力を底上げし、日本企業の競争力が相対的に下がってくるのは時間の問題であると容易に予見できる。

 日本からマイクロソフトの仕組みを通じて、全世界に打って出る成功例が出るか、もしくは、東京ゲームショウがそういう機能の強化を進められるか。どちらにしても、アマチュア開発者を適切に育てる仕組みが日本にも早急に求められるのではないかと感じている。

 来週は、大規模化が進むゲーム開発の実情について述べる。

Independent Games Festival公式ページ
http://www.igf.com/

各ノミネートタイトルの紹介は「FINALISTS & WINNERS」から

http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000029022008&cp=2

※コメント:

アメリカ的だ。

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