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2007年の終わりにあたって言い残したこと―小沢一郎民主党代表の大連立構想と安全保障論の誤謬について(森田実の…)
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投稿者 クマのプーさん 日時 2007 年 12 月 31 日 17:30:26: twUjz/PjYItws
 

(回答先: 自衛隊のアフガン派遣、政府が「合憲」解釈(2007年12月22日 読売新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2007 年 12 月 31 日 17:06:24)

■2007.12.25(その1)
森田実の言わねばならぬ[814]

平和・自立・調和の日本をつくるために【600】
2007年の終わりにあたって言い残したこと〔その1〕――小沢一郎民主党代表の大連立構想と安全保障論の誤謬について《T》

「過ちて改めざる是を過ちと謂う」(孔子)

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[今年は7月29日の参院選後、全国各地から講演会の講師にお招きいただき、各地で大変親切にしていただきました。深く感謝します。地方の方々は本当に親切です。今年は忙しい毎日だったため、書き残したことが数々ありました。その一部を以下に書きます]

 政治指導者が過ちを犯すのは、往々にして、勝利した直後が多い。多くの場合、勝利に酔い、おごりが生ずるためである。油断もある。また、勝利した直後に「君側の奸」が跋扈し、指導者をおだて上げる。
 小沢一郎民主党代表は、2007年7月29日の参議院議員選挙に勝利するまでは、よくやったと思う。この点は高く評価すべきである。民主党が小泉構造改革が生み出した国民生活の破壊を選挙戦の中心の争点にしたのは、当然のこととはいえ、よいことだった。
 この結果、小沢民主党は勝利した。このことは正当に評価されるべきである。
 だが、参院選直後から小沢代表は乱心した。そして大きな過ちを犯した。
 参院選後、小沢代表は、参院選において自らが国民に公約した「国民生活中心の政治」を放棄し、重心を安全保障問題に移してしまった。安倍・福田自公連立政権と同じ土俵に乗ってしまったのである。まさに「殿ご乱心」である。
 その上、自らが長年国民に訴えてきた「政権交代可能な二大政党制の実現」の公約を投げ捨て、福田政権のもとで大連立政権をつくろうとした。小沢代表は驚くべき錯誤に陥ったのである。この錯乱は、民主党役員会の冷静な判断で阻止されたが、大連立の火種が消え失せたわけではない。小沢代表はその後も「大連立は正しい」と言い続けている。小沢民主党の乱れが収まらない。小沢代表はどうしたのだろうか。

 小沢一郎氏は独特の「国際安全保障理論」の持ち主であった。一言で言えば、「国連決議があれば自衛隊を海外に派遣すべし」という考え方である。この背景にあるのは、国連憲章と日本国憲法は一体であり、国連決議に従った自衛隊の海外派兵は憲法第9条に違反しない――との小沢氏の歪んだ国際安全保障理論である。
 その上で、小沢氏は憲法解釈の変更を求めている。50年以上つづいてきた専守防衛の憲法解釈を、政府の解釈変更によって自衛隊の海外派兵を可能にしようというのである。これもおそろしいほど歪んだ考え方である。50年以上もの長い間政府がとってきた憲法解釈の変更を、憲法改正を行わずにやろうとするのは「法の支配」への反乱に等しい。
 さらに、自衛隊の海外派兵を恒久的に可能にする新法を制定するために、大連立をしようというのである。小沢氏によれば、2007年11月初旬の福田首相との党首会談においてこの点について合意したということである。本当だとすれば由々しきことである。正当だとすると福田首相もおかしい。自衛隊に関する憲法解釈の変更を、福田首相と小沢代表の二人だけの密室の会談で決めてしまおうというのである。これほど乱暴で独裁的なやり方はない。
 民主党の役員会が小沢代表の「大連立構想」を拒絶したのは当然のことだった。もしも民主党の役員会が小沢代表の独断的行動を認めていたら、民主党全体が「国民の敵」になっていたであろう。そんなことになれば、民主党は崩壊したであろう。
 ところが、そのあとの民主党はひどかった。辞意を表明した小沢代表をほとんど全党あげて慰留したのである。この過ちのツケは大きい。小沢代表を続投させた結果、党の対立・分裂の芽を残してしまったのだ。小沢氏が民主党の代表をつづけているため、次の総選挙で民主党が敗北したとき、「大連立」は復活する。そこで民主党は分裂して崩壊してしまうおそれがある。[この項つづく]
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03930.HTML


■2007.12.26(その1)
森田実の言わねばならぬ[816]

平和・自立・調和の日本をつくるために【602】
2007年の終わりにあたって言い残したこと〔その1〕――小沢一郎民主党代表の大連立構想と安全保障論の誤謬について《U》

「戦争はその経験なき人々には甘美である」(ピンダロス、古代ギリシアの叙情詩人)
[このあとに、「だが経験した者は、戦争が近づくと心底大いに恐れるのだ」という言葉がつづく]

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 小沢一郎民主党代が『世界』2007年11月号(10月上旬発売)誌上に発表した一文「公開書簡/今こそ国際安全保障の原則を/自衛隊洋上給油活動――どう考えるべきか/川端清隆氏への手紙」は政界に大波乱をつくり出した。
 小沢一郎代表はこの『世界』論文をもって「大連立」への狼煙を上げたのだった。
 小沢氏は『世界』論文のなかでこう述べている。
「日本国憲法の理念通り、それはとりもなおさず国連憲章の理念通り、世界平和は国際社会みんなで力を合わせて守っていく…」――ここにおいて小沢氏は、日本国憲法と国連憲章とを同一のものとして印象づけようとしている。
 さらに小沢氏は、憲法第9条が国権の発動たる武力の行使を禁じていることを認めた上でこう述べている――「しかし、一方において日本国憲法は、世界の平和を希求し、国際社会で名誉ある地位を占めたいとの(憲法前文の)平和原則を強調した上で、「そのためには、国連を中心とした平和活動に積極的に参加しなければなりません。それが憲法の理念に適うものだ、と私は考えています」と述べている。
 ここには論理の飛躍がある。無理がある。強引さがある。
 憲法前文に示された平和への決意表明を、強引に「国連を中心とした平和活動への積極的参加」と結びつけようとしている。ここに無理と飛躍がある。
 憲法前文の「国際社会において名誉ある地位を占めたい」はいうなれば一種の決意表明であり、これをもって直ちに日本が「国連を中心とした平和活動に積極的に参加する」義務と責任を負っていると解釈するのは行き過ぎである。日本国憲法が制定された当時、日本はまだ国連に加盟していない。米軍を中心とする日本占領がいつ終わるかもまったく見当がつかない時期だった。「名誉ある地位」はあくまで日本国民のけなげな決意表明だった。小沢氏は1946年の憲法制定時の状況を知らないため、このような思い込みをしているのかもしれないが、思い込みが過ぎる。
小沢氏はこう述べる――「(私は)国連の活動に積極的に参加することは、たとえそれが結果的に武力の行使を含むものであっても、何ら憲法に抵触しない、むしろ憲法の理念に合致するという考えに立っています」。
 ここに小沢氏の歪んだ国際安全保障論の論拠がある。謬論の論拠がある。日本国憲法が武力行使を禁じていることを理解できないとすれば、この錯誤は深刻である。[この項つづく]
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03932.HTML

■2007.12.27(その2)
森田実の言わねばならぬ[820]

平和・自立・調和の日本をつくるために【606】
2007年の終わりにあたって言い残したこと〔その1〕――小沢一郎民主党代表の大連立構想と安全保障論の誤謬について《V》

「少数の賢者などいない。かつて存在した貴族政治はどれも、大事なところでは、いつもきまって少数の暴徒そっくりのふるまいをした」(G.K.チェスタトン『異端者の群れ』、1905年)

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 小沢一郎氏は『世界』論文でこう述べている。
「個々の国家が行使する自衛権と、国際社会全体で平和、治安を守るための国連活動とは、全く異質なものであり、次元が異なるのです。国連の平和活動は国家の主権である自衛権を超えたものです。したがって、国連の平和活動は、たとえそれが武力の行使を含むものであっても、日本国憲法に抵触しない、というのが私の憲法解釈です」。
 率直に言って、まったくの空理空論である。国家が軍隊を自国の領土・領海外へ派兵するとき、それが自国の自衛権の行使であろうと、国連活動としての派兵であろうと、それはその国家の責任において行う軍事行動である。国連活動に参加するか否かも、それぞれの国の政府の責任において行う国家としての主権行使である。ある国の軍隊が、自国の政府から離れて今の国連のもとで自衛権を超えるということは、現実にはあり得ない。小沢氏の考えは一種の妄想である。ほとんどナンセンスな空論である。
 それだけではない。「国連の平和活動は、たとえそれが武力行使を含むものであっても、日本国憲法に抵触しない」という小沢氏の憲法解釈は、おそろしいほどの謬論である。自衛隊の海外における武力行使は憲法第9条違反である。たとえそれが国連活動への協力の名でなされたものであっても、憲法違反である。

 小沢氏は、国連を美化して、国連総会または国連安保理事会の決議があれば、自衛隊を海外に派兵することは日本国憲法の違反にはならないと主張するが、小沢氏の考えの基礎にあるのは国連憲章に対する過度の信仰である。国連憲章を日本国憲法の上におくのは、国家運営の基本に反するものである。日本政府がまず第一義的に守るべきものは、日本国憲法なのだ。
 日本国の基本法は日本国憲法である。日本国憲法こそが日本の法体系の最高の法なのである。日本の自衛隊の国連協力活動を日本国憲法の適用外におくことは、日本の法体系の破壊である。日本の自衛隊が日本国憲法の拘束を受けないという事態は一瞬たりともあってはならないことである。
 日本の国際的安全保障活動の第一の基礎は、日本国憲法である。国連憲章と日米安保条約にもとづく自衛隊の活動は、日本国憲法の枠内でなければならない。国連憲章と日米安保条約を日本国憲法の上意におく考え方は、法の支配のもとで成り立っている民主国家の否定である。ここに小沢民主党代表の謬論の根源がある。
 日本国憲法を第一義的に尊重しつづけることこそが、日本が民主主義国家として生きつづけるための根本である。「国連の平和活動は国家の主権である自衛権を超えたものです」という小沢氏の考えは、国際政治の現実を無視した異常なほどの暴論である。国際協力の名目があろうとなかろうと、軍隊を海外に派兵して軍事行動を行うことは、その軍隊をもつ国の軍事行動である。この責任は、その軍隊を派兵した政府が負わなければならない。小沢氏の議論は低級な屁理屈にすぎない。民主党のなかに、この歪んだ小沢氏の論理を批判できる議員は一人もいないのだろうか。  
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03936.HTML


■2007.12.28(その2)
森田実の言わねばならぬ[824]

平和・自立・調和の日本をつくるために【610】
2007年の終わりにあたって言い残したこと〔その1〕――小沢一郎民主党代表の大連立構想と安全保障論の誤謬について《W》

「人に従うことを知らない者は良き指導者になり得ない」(アリストテレス)

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 小沢民主党代表は次のように述べている。
「(私は)国連の決議でオーソライズされた国連の平和活動に日本が参加することは、ISAFであれ何であれ、何ら憲法に抵触しないと言っているのです」。
 ISAFとは、アフガニスタンで活動している国際治安支援部隊のことである。
 さらに、こう述べている――「(民主党は)私が述べたような方針(「政権政策の基本方針」第三章)を決定しています」。
 ところが、ここにも小沢氏特有の飛躍がある。民主党はたしかに国連協力の方針は決めてはいるが、具体的にISAFに加わることまでは決めていないのではないか。「国連の決議でオーソライズされた国連の平和活動に日本が参加することは、ISAFであれ何であれ、何ら憲法に抵触しない」などという文章は「基本方針」のどこにあるのか。民主党は「ISAFへの参加が何ら憲法に抵触しない」と、いつ、どこで決めたのか。私が何人かの民主党の議員に聞いたところ、皆、「知らない」と言っていた。民主党の国会議員すら知らないような決定がどこにあるのか。
 小沢氏はさらにこう言い切っている――「今日のアフガンについては、私が政権を取って外交・防衛政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したいと思っています」。
 今、アフガニスタンは戦闘状況にある。ここに日本国政府が自衛隊を派兵することは、何を意味するか。戦争に加わることではないのか。日本国憲法第9条が禁止している戦争をすることだ。小沢民主党代表は、これを“私が政権を取ったらやる”と言っているのである。小沢民主党が政権をとったら、アフガニスタンに戦争をしに行くというのである。これでいいのか、と言いたい。

 民主党議員に問いたい。
 「私が政権を取って外交・防衛政策を決定する立場になれば、ISAFへの参加を実現したい」という小沢代表が、「大連立」工作に失敗し、辞意を表明したとき、民主党の国会議員はこぞって慰留した。
 これは、次の総選挙を小沢一郎代表のもとで戦い、勝利して小沢政権を樹立するということではないか。政権を取ったらアフガンに自衛隊を派兵して、憲法違反の戦争に参加することを宣言している小沢氏を民主党議員が支持していることは、米国のブッシュ戦争大統領が仕掛けたアフガニスタン戦争に自衛隊を参加させるのを認めることを意味する。
 民主党全議員に問いたい――民主党は憲法第9条を守る意思はないのか、と。
 私は、憲法第9条に反する海外の戦闘地帯への自衛隊の派兵には断固として反対する。たとえ今まで好意をもって付き合ってきた民主党議員でも、平和のためなら論戦を挑むし、批判もする。戦争だけは絶対にしてはならないのだ。(この項つづく) 
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03940.HTML

■2007.12.29(その2)
森田実の言わねばならぬ[827]

平和・自立・調和の日本をつくるために【613】
2007年の終わりにあたって言い残したこと〔その1〕――小沢一郎民主党代表の大連立構想と安全保障論の誤謬について《X・最終回》
小沢一郎氏のゆがんだ憲法観と戦争志向を許してならぬ

「最も正しき戦争よりも最も不正なる平和をとらん」(キケロ)

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 小沢一郎氏のゆがんだ憲法観を象徴している発言が『世界』論文の中にある。
《日本の国際社会への貢献、特に侵略あるいはテロに対する強制力の行使について、日本はこれまで、憲法を盾にとって一貫して消極姿勢をとってきました。私は、それは大きな過ちだと考えています。》
 そうだろうか。日本の国際協力は、そんなに消極的なものだったろうか。これは小沢氏の偏見である。経済協力の面での日本の国際貢献は、日本国民として誇るべきものではないのか。日本には平和憲法がある。平和憲法をもつ日本の国際貢献のやり方が、世界の中でもっと理解され尊重されるべきであると思う。
 最近は軍事面での国際協力が主流になっているのは、軍事大国アメリカの強い戦争志向が原因している。現代の戦争はアメリカが主導している。世界中が軍事大国アメリカに追従して、紛争の軍事的解決という間違った手段に引きずられてきたのだ。この時代を終わらせなければならない。軍事面での国際協力の時代から地球環境等を主なテーマとする平和的な国際協力の時代に変えていかなければならない。平和憲法をもつ日本らしい平和的な国際協力の方が、アメリカ型の軍事中心の協力よりもずっと良い国際協力である。
 小沢代表は表面上は「反米」のような姿勢を見せながら、じつは国連決議絶対主義の枠の中で米国政府とつながっているのである。国連決議絶対主義は危険である。国際紛争の解決を日本に押しつけるため、米、中、露、仏、英の国連常任理事国5カ国が談合して国連決議を行うことは十分にあり得る。そのとき、国連決議絶対主義者の小沢一郎氏が首相であれば米、中、露、仏、英5カ国の談合結果を呑まされるおそれが強い。日本が利用され弄ばれるおそれなし、としない。
 日本は国連安保常任理事国でないから、拒否権をもっていない。日本は国連決議を拒否できないのである。「拒否できない」日本が国連決議絶対主義の立場をとることはきわめて危険である。
 小沢代表の国連決議があれば武力行為も行うという「戦争志向」は危険である。民主党は平和主義に立つべきである。日本の政治が第一に尊重すべきは日本国憲法である。民主党はこの原則を守らなければならない。[完] 
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C03943.HTML


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