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【今さら小泉・竹中改革を否定し、転向する人たち】野口悠紀雄「日銀引き受けで25兆円支出増」という思考実験【ダイヤモンド】
http://www.asyura2.com/08/hasan60/msg/716.html
投稿者 ブッダの弟子 日時 2008 年 12 月 21 日 01:07:38: WrVq5GKL9DWTY
 

詳細はサイトで
http://diamond.jp/series/noguchi_economy/10002/


「日銀引き受けで25兆円支出増」という思考実験――パンドラの箱を開ける

 アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、12月16日に事実上のゼロ金利を決定した。いまや、日米金利差は逆転してしまった。したがって、日銀が金利引き下げを行なっても、格別の効果は期待できない。
 ところで、「現在の日本の状況はケインズ経済学によって理解できる」と前回述べた。ケインズ経済学が提唱する経済政策は、財政拡大だ。それは、現在の日本で意味があるだろうか?
 これからの日本で生じるのは、輸出という外生的需要の急縮小だ。それに対抗して財政支出を拡大し、経済全体の有効需要の落ち込みを回避するのは、当然ありうる政策である。
 私はこれまで、財政拡大という考えには否定的だった。それは、以下で述べるような「無駄遣いの大盤振る舞い」になることが、現在の日本の政治環境の下では明らかだからである。
 しかし、いまは、発想を転換させる必要があるかもしれないと考えている。その理由はいくつかある。

 第1に、これから予想される需要の落ち込みがあまりに大きいため、無駄を心配するのは適切でないかもしれないからだ。放置して大量の失業と遊休設備を発生させるよりは、無駄があってもそれらを活用するほうがよいかもしれない。映画「七人の侍」のなかで、村の古老が「首を切られるかもしれないときに髭の心配をしてどうする」と言う場面がある。いま日本が置かれているのは、そうした状態かもしれない。

 第2に、ひょっとして財政拡大をうまく活用し、都市インフラの整備を進めることができるなら、日本社会を転換させることができるかもしれない。それは大変難しいことではあるが、不可能ではない。金融緩和と円安方向の経済政策は、輸出産業にとって有利な政策である。それに対して財政拡大によるインフラ整備は、国民生活を豊かにする。そして、日本の産業構造を輸出産業中心のものから、脱却させるだろう。そうした「日本経済大転換」構想は、少なくとも考えてみる価値はあると言えるだろう。

 第3に、財政拡大の可能性を頭から否定して目を向けないでいても、現実の政治の世界でその方向がなし崩し的に行なわれる可能性は強い。そうなれば、財政拡大の望ましくない側面だけが実現してしまう危険がある。それよりは、可能性を虚心坦懐に検討し、そこにいかなる問題があるかを具体的に探ることのほうが重要であろう。

 ただし、以下に述べる政策(とくに、日銀引き受け国債発行)が、多大の副作用を伴う劇薬であることは事実である。それは、日本社会を破壊してしまう危険性をも持っている。だから、私はこれを必ずしも望ましいものとは考えていない。ましてや、ただちに行なうべきものとは考えていない。以下に述べることは、一種の思考実験であると理解していただきたい。

 まず問題になるのは、規模だ。すでに、2兆円の定額給付金の支給が決まっている。しかし、今後に予想される有効需要の落ち込みは、輸出だけでも 10兆円程度のオーダーになる可能性がある。それに設備投資の落ち込みが加わるので、これまで日本経済が経験したことがない規模の需要縮小が生じる。GDPの0.4%でしかない2兆円程度では、まったく不十分である。

 意味がある政策のためには、GDPの数%、つまり10兆円を超える規模の拡大が必要である。たとえば、「GDPの5%に当たる25兆円程度を3年間で支出する」ということが考えられる。

 形態としては、減税や給付金では貯蓄に回る可能性が強いので、有効需要創出の観点から言えば、直接の政府支出が必要だ。

 すると問題になるのは、財源だ。今年度すでに、法人税を中心として急激な税収の落ち込みがある。税収欠陥は7兆円を超えると考えられている。その結果、今年度も国債発行額が30兆円を超えるのは、すでに不可避である。09年度の国債発行額も35兆円程度になるだろう。これに加えて毎年8兆円程度の財政拡大を行なえば、国債発行額は40兆円を超える。こうした拡大は無理だというのが普通の考えだろう。

 しかし、国債増発は不可能ではない。市場消化では不可能かもしれないが、日銀が引き受ければよい。

 もちろん、日銀引き受けの国債発行は、財政法で禁止されている。しかし、この規定は、国会の議決によって回避することが可能だ。したがって、財政法改正という面倒な手続きを経なくても、日銀引き受けの国債発行は可能である。参議院が否決したら衆議院で再議決すればよい。

「増大した国債残高が償還できなくなる」という意見があるだろうが、通貨増発による国債発行でインフレが起これば、国債の実質残高は減少する。したがって、国債残高は、これまでの累積分も含めて、雲散霧消する。年金のインフレスライド条項を停止すれば、年金財政問題も解決する。これこそ、「究極の財政再建策」と言えるものであり、財政当局が喉から手が出るほど望んでいるものだ。なお、これは、戦後の日本で実際に起きたことである。

 言うまでもないことであるが、日銀引き受けの国債発行は、封印されていたパンドラの箱をあけることだ。だから、中から何が飛び出してくるか、わからない。飛び出してくる悪魔のうち最も恐るべきものは、言うまでもなくインフレだ。財政法で日銀引き受け国債発行が禁止されているのも、戦後の経験に基づいてこれを防止するためだ。

 これまで日本で行なわれた量的緩和措置は金融面に限ったものだったので、インフレをもたらさなかった。しかし、通貨増発による財政拡大は、有効需要の拡大を伴っているので、インフレをもたらす危険が十分にある。ただし、それは支出の規模にもよる。仮に輸出減を補うだけの拡大にとどまれば、有効需要がネットで増加することにはならないから、インフレは起こらないか、軽微に留まるだろう。

 なお、こうした事態が生じた場合、資金の海外逃避が起こる可能性がある。すると、円安が進行するだろう。ただし、それは国内インフレに応じて購買力平価を一定に保つためのものなので、実質為替レートは変化しない。つまり、これによって輸出産業の競争力が増すわけではない。

 資本逃避を防ぐため、為替管理を強化することも考えられる。そうなれば円安方向の動きは生じず、国内インフレの分だけ実質為替レートが円高になるだろう。これは、輸出産業の競争力を低下させ、日本の産業構造を転換させる。

 もう1つ問題となるのは、「いかなる支出を行なうか」である。ただし、有効需要拡大が目的なら、これは、二義的な問題と見なされる。「どんな内容の支出であれ、国民経済計算上の有効需要となること」が必要なのだ。だから、極端なことを言えば、穴を掘って埋め返すだけの公共事業であってもよい。それが雇用を吸収し、経済全体の生産を増加させるなら、それで政策は成功ということになる。

 この点は、日本の政治家が必ずしも理解していないことのようだ。定額給付金の決定にあたって、所得制限を課すか否がが問題となった。結局は事務手続き的に問題があるために見送りとなったものの、「金持ちが給付金を受けるのは望ましくない」という常識論は、強く残存しているようである。

 しかし、これは、有効需要拡大策と救貧策を混同した考えだ。有効需要拡大が目的であれば、所得制限をかけるべきではない。むしろ重要なのは、「貯蓄されないこと、支出されるにしても輸入品の増大を招かないこと」である(輸入が増えれば、日本経済の有効需要は拡大しない)。他方で、救貧が目的なのであれば、生活保護の拡充を行なうべきであり、定額給付金のような一律の施策は望ましくない。今回の定額給付金の最大の問題は、そもそも政策の目的がはっきりしないことであった。

 もちろん、財政支出拡大に伴う望ましからぬ副作用は、いくらでも指摘できる。当然予想されるのは、無駄の著しい拡大だ。「どんな支出でもとにかく有効需要を拡大すればよい」ということになれば、たぶん真っ先に行われるのは、山の中の道路のような不要不急の公共事業であろう。用地買収等の手続きが必要ないため、手っ取り早く事業に取り掛かれるからだ。さらに、過剰能力をかかえる事業者が地域に存在するため、ただちに事業を開始することができるからである。

 内需拡大によって国民生活を豊かにする経済政策は、1980年代の「前川レポート」の時代から必要だったことだ。21世紀になっても、依然としてそうだった。本当に必要だったのは、公共事業を圧縮することではなく、逆に着実に内需を拡大してゆくことだったのだ。日本では、住環境も、都市のインフラストラクチャーも、いまだに不十分なままである。下水道が整備されていない地域もいまだに首都圏にすら存在するし、鉄道が平面交差で「開かずの踏み切り」になっている地点も多い。本来は日本の経済力をこうした方向に振り向けて生活を豊かにすべきだったのだ。そのようなことが可能だったにもかかわらず、現実にはなされなかった。

 そして、金融緩和と円安誘導を行ない、輸出産業による景気回復を実現しようとした。この政策は、たしかに輸出関連産業の利益を拡大させ、株価を引き上げ、かくして「戦後最長の景気回復」を実現した。しかし、豊かになったのは輸出関連産業だけで、景気回復の利益は、一般の日本人を豊かにしなかった。そして、それがいま破綻しようとしている。

 仮にすでに述べたような事情で、財政拡大政策によって実質円レートが増価すれば、輸出産業はほぼ壊滅するだろう。かくして日本の産業構造は大転換し、内需主導型のものに変わることになる。

 現在でも、都市のインフラストラクチャー整備として、行なうべきことは多い。たとえば、下水道が引かれている場合でも処理能力が低いため、家庭でディスポーザーを使うことができない(1960年代末にアメリカに留学したとき、日米の生活水準の差として何よりも印象的だったのは、アメリカの家庭で、生ゴミをディスポーザーで処理していることだった)。また、都市の上空を醜くしている電線や電話線を地中に埋設し、テレビを地上波からケーブルに切り替えて住宅街の見苦しいアンテナ群をなくすことも必要だ。

 しかし、本当に必要なそうした方向に資源を振り向けるためには、政治による配分機能が的確に機能しなければならない。財政拡大は「諸刃の剣」なのであり、うまく使えれば大きな効果が得られる半面で、下手に使えば社会を破壊してしまう。ここで述べたような政策を実行しコントロールできる政治家がいるか否かが、最大の問題だ。


コメント

>>
財政拡大は「諸刃の剣」なのであり、うまく使えれば大きな効果が得られる半面で、下手に使えば社会を破壊してしまう。
<<

小泉・竹中構造改革で社会が破壊されましたが何か。中谷厳と同じく野口悠紀雄、名前を聞いた事あるので、少し調べてみた。


「何を今更・・・」以外評する言葉なし 08年12月18日
http://nuhyakueco06.blog56.fc2.com/?q=%CC%EE%B8%FD%CD%AA%B5%AA%CD%BA

野口悠紀雄氏のマクロ経済学不在はお馴染みのことだが、まさか本人が認めるとは・・・。
 それは「野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む 100年の1度の危機に、ケインズはよみがえるか」という文章です。
 野口氏は、なぜマクロ経済学不在だったのか、こう説明している。 私は、「マクロ経済学はくだらない」と考えていた。マクロ経済理論では、需要の変動が経済活動に影響を与えるというのだが、仮にそうしたことがあったとしても、小さな変動しかありえないだろう。経済活動の基本を決めるのは、供給側の要因であるに違いない。つまり、生産能力、労働者の状況、技術などである。 もし野口氏の言うように本当に役に立たなければならば、マクロ経済学自体とうの昔に忘れ去られているだろう。この文章を読んで「何を今更」と以外評する言葉が見つからなかった。野口氏の日本経済論や経済政策論は、マクロ経済学を用いなかったためにずさん(経済学の初学者がよく陥る勘違いなど)で、ネットを中心に経済学がある程度分かる人間や専門家からにバカにされ続けた。失われた20年にしろ、アメリカ発金融危機という重大な出来事がありながら、なぜ今まで「マクロ経済学がくだらない」と思っていたか理解できない。そして野口氏今なぜマクロ経済学の有用性を認めたのか、詳しい説明がないので、本人以外には訳が分からないのである。
 それでも池田信夫氏のような「未だにマクロ経済政策は無効である」という石頭の構造改革主義(清算主義者)よりは百倍ましだ。


ホリエモン、中谷巌、野口悠紀雄 08-12-16
http://d.hatena.ne.jp/kmori58/20081216/p2

「税金も払わない人にまで給付するな」と言っていたホリエモンが180度反転してるのでワラタ。

一方中谷巌がコーゾーカイカクを悔い改めた本を出すとか(見出しをみるかぎりでは逆にあぶない方向に向かってるような気がするけど…ユダヤ陰謀論とか言い出しかねない)。

また、あの超整理法の人までが「はじめてマクロ経済政策の必要性が理解できた」*1と言いだした。やはりこれは未曾有の事態なんだろう。しかし野口のマクロ経済学への無関心は、ジョエル・スポルスキのそれと似ていておもしろい。一般に工学畑の人はマクロ経済学を軽視する傾向があるんだろうか?

でも池田先生は死ぬまで「コーゾーカイカクすべし、できればゾンビ企業を潰すために利上げ汁」と超然としていてほしいです。池田先生がゼロ金利にしろなどと言いだしたら、テレ東がアニメ番組を中止して緊急特番を始めるぐらいの事態に匹敵する。世の中にショックを与えないためにも、最後までゾンビゾンビと唱えていてください。


「超」整理日記 『週刊ダイヤモンド』連載 07/2/24
http://essays.noguchi.co.jp/archives/28

産業構造の改革抜きに経済問題は解決しない(笑)←追記

国会論戦における経済問題に関しての対立は、格差是正vs成長ということになりそうだ。これに関して、本稿は次の点を指摘したい。それは、「従来型の産業構造が続く限り、格差是正策によっても、成長促進策によっても、問題は解決できない」ということだ。

さて、代表質問などを聞くと、民主党は、小泉改革による弱者切り捨て、地方切り捨て路線によって、格差が拡大したとしている。「小泉純一郎内閣の6年間に、日本は世界で最も格差のある社会になった」という小沢一郎代表の言葉が、それを代表している。

それから演繹されるのは、低生産性部門保護策の拡充とばらまき福祉の復活だ。これは民主党だけでなく、自民党の大多数の人びとの考えでもある。

これに対して、政府は、問題の根源は成長率の低下にあり、成長率を底上げすることによってさまざまな問題が解決できるとしている。つまり、「成長がすべて」路線だ。

この立場は、次のように言う。企業業績が向上すれば、いずれ賃上げに反映されるだろう。そして、経済成長で税収が増加すれば、格別の増税を行なわなくても財政収支は改善し、財政再建が実現できるだろう。だから、金融緩和を継続し、円安を維持する。そして、法人税率を軽減すべきだ。日本経済団体連合会に代表される大企業グループは、賃上げへの反映には否定的だが、成長促進策は支持している。

どちらにも共通している基本姿勢は、従来の産業構造を変えようとしないことだ。そのうえ、成長率かさ上げで対処するか、それとも従来型の格差是正策で対処するか、の違いがあるだけである。どちらも、手術を伴う構造改革ではなく、痛み止めの対症療法ですまそうとしている。では、これによって問題は解決されるのだろうか?


ここまで読んで、竹中平蔵信者なのが良く分かったので、転載以上。

ちゃんとこの人間の今までの言動を見てきた人は、変節に呆れているようです。考えを変えただけマシだ、というのは分かります。だが、おまえが言うなって事じゃないでしょうか。180度くらい考えが変わったのに、よくもノウノウとしていられるものだ。需要を全く無視した、抽象的カイカクカルト教信者が。


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【間違いを素直に認められないのは科学者ではない】 中谷巌、率直に反省する「小泉改革の大罪と日本の不幸」 【喜八ログ】08 年 12 月 16 日
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静岡新聞、日経BPに続き中日新聞が本格的に、政府が財政難で内需拡大政策ができないという主張に疑問を呈す 08 年 12 月 14 日
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2008122002000231.html  

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