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「銀河鉄道の夜」は現世とあの世の往還の物語 宗教がテーマの傑作
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投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 6 月 25 日 19:33:09: mY9T/8MdR98ug
 

(回答先: 今回のやり取りでの核となるテーマこそ、「銀河鉄道の夜」にあった 投稿者 日 日時 2008 年 6 月 25 日 03:39:10)

横レス、失礼します。

この作品が宗教的背景を持っていることは明らかでしょう。

主人公のジョバンニは、どこまでもいける特別切符を持っている。宮沢賢治はこの切符を
鳥捕りの言葉を借りてこう語らせています。
「おや、こいつは大したもんですぜ。こいつはもう、ほんとうの天上へさえ行ける切符だ。
天上どこじゃない、どこでも勝手にあるける通行券です。こいつをお持ちになれぁ、なるほど、
こんな不完全な幻想第四次の銀河鉄道なんか、どこまででも行ける筈でさあ、あなた方大した
もんですね。」

「ほんとうの天上」とは極楽浄土を意味していることは、宮沢賢治のバックグラウンドを
知っている人なら当然そう解釈するはずです。

ですが他の登場人物達が持っている切符は、途中の駅で降りなければならない切符です。

「ほんとうの天上へ行ける切符」とは、あの世で成仏できることが約束されている、と解釈
できます。仏教では極楽浄土は十万億土のかなたにあるとされています。仏になれるなら
想像を絶するかなたにある浄土に行くことができ、輪廻転生の輪から抜け出すことができる
ことを意味します。

仏になれない凡夫は浄土には行けません。
途中で下車しなければならなかった人たちは、凡夫であり、輪廻の輪から抜けられず、
苦界である穢土(この世)に生まれ変わることになります。人に生まれ変われれば最高
ですが、そのようなことは奇跡に近いと仏教では説いています。

わたしの記憶に誤りがなければ、途中で降りた青年と姉弟はキリスト教徒だったはずです。
つまり、信仰する宗教が違うことで、途中で降りる駅が異なるということを示唆している
と解釈できます。このことは、浄土までの途中のどの駅までの切符を持っているかが、
その人の信仰の有無、正しい信仰(日蓮宗・法華経)か邪な信仰(それ以外の宗教)かを
反映したものだという見方もできます。さらには短い距離で降りた人と長い距離をへて降りた
人は、どのような生き物に転生するかが異なる、という解釈もできます。

この作品で宮沢賢治は、ジョバンニを信仰の理想を体現した者として描いています。
この世のすべての人たちを幸せにするという宗教上の理想をジョバンニに託しているのです。

宮沢賢治は浄土真宗の熱心な信者の家に生まれ、幼児から宗教的環境の中で育ちました。
そして法華経に出会い、法悦ともいって差し支えない感動を受けました。それ以降、彼の
法華経・日蓮宗信仰は強まりこそすれ弱まることはありませんでした。

このように宮沢賢治のバックグラウンドを知ることによって、単に作品そのもだけから
受けた印象とは異なる、彼がほんとうに主張したかったことが読み取れると思います。

彼の信仰をそのままの形で作品に表しても、受け入れられないことは彼自身よく知って
いたはずです。一見宗教とは無関係に思われることでも、そこには宗教的メッセージが
込められていることが分かります。ここでは、その正否を問題とはしません。

「銀河鉄道の夜」は彼の最高傑作の1つだと思います。


なお、わたしはいかなる特定の宗教を信仰しているものではありません。

 

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