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インド、中国、発展途上国、さらには韓、台、香港、シンガポールも、本格的に近代化することはあり得ない。米、ロは混乱に向かう
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投稿者 TORA 日時 2008 年 5 月 21 日 15:37:49: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu168.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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インド、中国、発展途上国、さらには韓、台、香港、シンガポールも、
本格的に近代化することはあり得ない。米、ロは混乱に向かうだろう。

2008年5月21日 水曜日

◆『衰亡の法則』 馬野周二:著
http://item.rakuten.co.jp/book/127383/

◆文明は衰亡する

以上の考察から、文明は次のような性質を持つことが現れてくる。

@各領域の文明は盛衰の波形を示す。

A東西に分岐はしていても、第T、U、V文明とも、それぞれ時期的に同期している。すなわちこの大陸の文明の波は、図3のような引き続く波として理解される。それはあたかもユーラシア大陸という池があり、その一角(西南アジア)で起こった波が、同心円状に周辺に波及していったようなものである。池底の状況によって波の断面は変わってくるが、進行速度は変わらない。つまりT、U、Vの文明段階に属する各文明は、同時期に興隆し、そして衰亡する。

B距離的に遠く離れてはいても、これら三つの文明は、その根本の性格において同一である。見ず知らずの西ヨーロッパと日本は、第皿文明として同時に発起し、同様な歴史を辿るという宿命を持っているということだ。不思議とも見られようが、事実は正しくそうなっている。このことは図3を見れぱ誰しも得心するはずである。

新人はたかだか三万五千年前に出現したことはすでに述ぺたところである。おそらく彼らは一カ所で発生し、ユーラシア大陸を拡散していったのであろう。そうとすれほ今日まで僅かに千数百世代の短い時間にすぎない。西南アジアから文明が拡散し始めてからであれぱ三百世代にすぎない。

ヨーロッバと日本の文明が同時的で同質的なのは、このように見れぱ当たり前とも言えよう。朝鮮・日本とガリア・ゲルマニアは、第U文明の大帝国、シナとローマの辺境であった。ガリアも朝鮮も軍事征服され、政治支配されている。時期も大して違っているわげではない。両者とも全面的にシナ、ローマ文明を強制的に注入された。日本とゲルマニアは、シナ、ローマ文明を自発的に受け入れた。

一つの領域での社会進化のクライテリアには、国家の出現と法典の成立がある。ローマ、シナ帝国の政治、社会の影響を受げた古代王制が出現したのも、両者同様であるし、ヨーロッパのランゴバルド法典、日本での十七条憲法の成立時期は正確に一致している(両者ともAD七〇八).その後両者は酷似した封建制度に移行した。ヨーロヅバと日本の封建制は他の文明には見られないもので、それは小領域に分散した地形と、第皿文明という世界文明史上の段階を共有していることによる。

封建制から近世、近代に移ってくる状況も両者平行している。中世を断絶した一つの重要な契機が、鉄砲の発明という技術革新であったとするたらば、それが導入(AD一五四三)されるや忽ち爆発的に拡がり、杜会を変えてしまったのは、ヨーロッパと日本だげの特別な現象であった。ポルトガルから日本までの長いユーラシア大陸の下腹、すたわち第T、U文明の地域においては、鉄砲が単たる珍器に止まった原因は、この文明史観によって明瞭に理解される。

鉄砲の本格的受容には、それを大量に生産しうる冶金技術と、十分な需要がなけれぱならない。ヨーロッバと日本は、丁度その文明段階に、東西独立して、しかも同期して、到達していた。これは決して偶然の一致ではなく、世界史のブログラム通りの事態なのである。

.当時の社会状態は日本もヨーロッバもよく似ていた。海外進出も同じであるし、ある面ではむしろ日本の方がより近世的であったろう。戦国時代後期の日本は、たとえぽ軍事技術のハード、ソフト面で、ヨーロッバを逢かに引き離していた.イギリス、オランダはまだ後れていた。鎖国がなかったならぱ、日本の近代化はきわめて速やかであったろうし、その結果はヨーロッバのそれとほとんど同じものとなっていたであろう。

文芸の面でも平行性が著しい。政治形態は非常に違っていたげれども。明治以来西洋化したというが、それは西洋化であるよりも、二百年以上足踏みしていた近代化が急遠に進んだということである。むしろ鎖国がなけれぽずっと早くそこに到達していたであろう状態へ、急激に近づいたにすぎない。

二百六十年の鎖国は百年のキャッチアップの時間を要求したのであり、今後は日本の方がヨーロッバよりも先行するという構図が現われてくる。というのは、日本の歴史を見ると、その進行速度がむしろヨーロッパよりも速ややかであったからだ。さらにこの歴史観によれぱ、インド、中国、発展途上国、さらには韓、台、香港、シンガポールも、本格的に近代化することはあり得ない。したがってこれらは将来とも日本の従属的地位に止まる。

福沢諭吉は明治初年、「脱亜入欧」を称えたが、日本は初めから東アジアの欧州なのであって、何も今さら<入欧>する必要はなかったのである。

読者は以上述べたような世界史の見方を納得されるだろうか。今それを知る由はないが、この文明史観から導き出される現実政治への指針をお目にかげて、本章が私の空疎な歴史遊びの押し付けではなく、現実への応用のための理論であることを納得して戴こう。

今日の米、ソの政治的、軍事的、経済的行動が、どんな原理にもとづいて行なわれているのかを理解し、これから先、これらの国がどうなっていくのかを論理的に予測しようとするのである。そのためには先ず如上の歴史観によって、米・ソがどのように理解されるのかを見ることから取り掛らねばならない。

◆文明史段階から見た米・ソ

図-3に示されるように、第T、U、V文明は、それぞれ時期を異にした段階である。ユーラシア大陸の内奥に農耕が入り、人口が増えてき、文明が伝わってきたのは第V文明の地方よりもずっと後れていた。モスクワ公国はAD一四八○年に始まり、ロシァ帝国の成立はAD一四七二年である。イヴァン法令集が現われたのがAD一四九七年であるから、これはヨーロッバ、日本に後れること八百年である。

ロシアには早くから蒙古が侵入支配した。これはローマの植民地として文明化したガリアと似た歴史ではあるが、文明度の低い蒙古に永く支配されたことは、この地域の文明的発展を遅らせ、歪曲した。この蒙古権力支配の影響は今日も深く残存している。

一方アメリカも、植民が始まってから四百年、独立してから二百年しか経っていない若い国である。但し、この国の住民は、すでに進んでいた第皿文明の国からの移民が作り上げたもので、ロシアの場合のように一から始めたのではない。しかしその点を除げぱ、この二つの国は特性を共有し、文明の本質を同じくしている。

すなわち地球上最大の平原であり、大資源を蔵し、文明の辺境であったにもかかわらず、近年に至って急速に開発され、大人口を有するに至った。しかも第二次大戦後は他にぬきん出た超大国となっていて、その政治的、軍事的パーフォーマンスは酷似している。

このような広漢とした大平原は、工業化以前、十八世紀までの農業技術によっては十分に開発することが困難であり、まとまった力のある政治領域として成立することは難しかったと思われる。ところがヨーロッバ、すなわち第皿文明において折よく産業革命が起き、これがアメリカに、そして半世紀後にはロシアに波及したために、技術化された農業、そして工業がこの大領域に根づき、この超巨大な平原が十分に開発されることに至った。百二十年前のアメリカ南北戦争は、工業化した北部が、粗放な奴隷制農業段階に止まっていた南部を、軍事力によって強制的に併合、統一した社会変化であった。

この事情はソ連でも同様であって、スターリンによる工業化、農業の集団化というのは、先行した都市部のヘゲモニーのもとに農村を組み込もうとする「南北」戦争であったと思われる。それゆえに、ロシアの南軍、富農層はこれに低抗し、二千万人もが殺されたとも言われている。この意味では、スターリンは八十年後に現われたリンカーンであった。

この二国は今日では大工業化していて、外見上ヨーロッパ型の社会を作っているために、われわれは不用意に彼らをわれわれと同じ第皿文明に属していると考えてしまう。しかし、本論に展開した論理からすれぱ、彼らは別の文明カテゴリーに属する領域なのであって、第皿文明の諸国が今文明の成熟期にあるとすれぱ、なお遙かに後れた段階にいる。彼らの国家的バーフォーマンス、あるいは社会のダィナミックスは、この点を理解しなげれぱ分析できないであろう。この問題については次章で検討する。

もともと第皿文明が生み出した科学技術が、この巨大領域に入ったからには、ここにおける物質とエネルギーの集積が超巨大なものとなることは当然であった。問題はこの力がわれわれにどう働くのかということである。米・ソが、アレキサンダー大王やアメリカに侵入したスペイン人のように、第皿文明圏に侵入し、われわれの文明は間もなく衰亡するのか、あるいは米・ソが何らかの原因で什れてしまうのか、これはすでに明日に迫った問題である。本書の歴史論理はそれに解答を与えるだろうか。

◆工業化病に罹患する新大陸社会

いずれの世界文明も、前代旧文明の上に後代新文明が附加されてでき上っている。そこで第W文明であるアメリカとロシアは、第皿文明が生み出した新文明の上に建設されるのは当然である。第皿文明が新たに附加したものは何か。それは科学技術文明である。アメリカは新大陸と呼ぱれる。その歴史の新しさと大平原を持つことから、ロシアもまた新大陸と言えよう。この新大陸に科学技術文明を含む旧文明が伝わるとどうなるか。前に述べた米・ソの南北戦争が起こる。

新大陸におげる南とは何か。それは旧文明の基層、まだ科学技術を含まない頃に伝わってきた文明の上に立つ領域であり社会である。北とは科学技術文明の洗礼を受げた領域のことである。第皿文明世界は、それ自身の内部から科学・技術が起こった。

したがって、それは自然な進化の過程で、コペルニクス(AD一四四三)からワット(AD一七六九)を経て今日まで、多くの社会変動、すなわち産業革命、政治革命を伴いつつも、それらを吸収して、激してホモジニアスな社会を作った。ところが新大陸では、産業革命以前の古い文明を受げ入れて定着させた地理的、社会的領域と、それ以後の新しい文明を受げ入れたそれらの領域とが、尖鋭に対立するようになった。

大陸であるこれらの国では、新旧領域が地理的に遠く離れており、両者の接触が薄く、軍事的手段による一方の他方の制圧となる。これが米・ソの南北戦争という現象だ。この大陸社会の性質は今日も変化なく残っていて、たとえばソ連の特権階級やアメリカの一握りの大金持は、一般社会から自らを隔離して生活している。これは社会的南北関係である。余りにも生活が異なるために、社会的に交わることができないのみでなく、人目に晒されると生命に危険があるからだ。ヨーロヅバでも日本でもこんな状況は起こらない。

科学技術はヨーロッパでは自然発生した。したがってその社会ではもとから持っている器官の一部である。ところがこれが第W文明に移植されると、異物が体内に入るわげで、強い生体反応を引き起こす。アメリカとソ連の社会にいろいろと現われてきている諸問題は、そのせいであろう。

社会の健康度はその住民の肉体の健康度、つまり平均寿命に表われるとすれば、この両国のそれは西欧、日本よりも低く、驚くべきことには、近年むしろ低下の傾向が見える。この原因は、これらの国に南北戦争が起こり、本質的に少数支配政治が行なわれるのと同じく、工業化という第皿文明の特産物が急激に体内に入ったせいであろう。

工業化病を治癒する手段がないことは米・ソの悲劇である。彼らは工業化せざるを得たかった。文明の流入は止められぬからである。アメリカにおげる麻薬、ソ連における飲酒に見られる社会の劣化は、この病状の一端であろう。

第T文明は亡びた。第U文明は衰えている。第W文明は混乱に向かうだろう。これが世界史の冷厳な論理ではあるまいか。(P60〜P67)


(私のコメント)
「株式日記」ではアメリカとロシアは兄弟国家であると書いて来ましたが、馬野氏によれば米ロとも第W文明の国家であり、どちらも若い国であり、大資源を有し、機械工業技術が伝わってきた事で大規模な農業開発が行なわれて大人口を有するようになった。特に石油を産する事で石油エネルギー革命に乗ったことで超大国となった。

しかしアメリカもロシアも機械工業文明が伝わってくる前は辺境の大平原に過ぎなかったのであり、いきなり近代工業国家となった事が様々な問題を生んでいる。アメリカにおいてはドラッグの氾濫や精神科医の繁栄は有名だし、ロシアにおける酒による寿命の短さは有名だ。いきなり近代工業文明になった事で人々がそれに適応できないのだ。

ソ連は1991年に崩壊しましたが、10年に及ぶアフガニスタン戦争の後遺症やチェルノブイリ原発事故などによる共産主義体制のほころびや、石油増産の失敗などによる経済的行き詰まりなどが原因となってソ連は崩壊した。この事はアメリカの将来も予言するものであり、イラク戦争が長引いているし、国内石油の生産もあと10年もすれば枯渇すると予測されている。ソ連と同じように原発事故も起こしているし、近代工業文明に適応できなくてソ連のように崩壊するのかもしれない。

このように第W文明が混乱するのと同じく、第U文明も衰退すると馬野氏は述べている。第U文明とはギリシャ・ローマやインドやシナの文明のことですが、過去の文明の遺産を継承している地域の国家ですが、過去の栄光の歴史から抜け出すことが出来ず、過去の遺産を食い潰している。

かつては豊かで広大な国土を有して大文明国家を作ったのですが、今では森林を伐採しつくして砂漠となったり、巨大な遺跡などが過去の栄光の歴史を物語っていますが、第V文明であるヨーロッパの帝国主義に荒らされて衰退は決定的になった。大U文明は非常に豊かな文明であり今なお大きな人口を有している。

第V文明は第U文明の大帝国の辺境にあった国ですが、西欧や日本は大帝国の文化や文明を学びながらも過去の遺産にこだわることなく、辺境であった事から航海術の発達で世界に航路を開いてインドやシナの大帝国を上回る繁栄を生むきっかけを掴んだ。さらには近代工業文明を生み出し第U文明の大帝国は西欧の列強に侵略されて殖民地となった。

第T文明のエジプト、メソポタミアはすでに滅び去った文明であり、遺跡でしかその面影を知る事はできない。ナイル河やチグリス・ユーフラテス河やインダス河の河口に発達した農耕文明は東西に広がって、ガンジス河や黄河や地中海に広がって行って第U文明を生み出した。

第T文明の地帯は砂漠化してしまったに比べると、第U文明のインドやシナや地中海諸国には農業も盛んであり国家としても存在しているが、マケドニアのアレキサンダー大王の侵略で第T文明が滅び去ったように、第U文明は西欧の侵略によってそれまで存在した大帝国は亡んでしまった。ローマ帝国も北方のゲルマン族によって滅ぼされたのは地理的に近かったせいだろう。

シナの場合も第V文明の日本の侵略によって清帝国は敗れて滅び去った。このように戦争によって文明は交代してきたのですが、文明的には第T、U、V文明と積み重ねるように発達してきた。第V文明の日本とゲルマン民族の末裔のドイツは第W文明のアメリカとロシアによって敗れましたが、第V文明は亡んで第W文明の世界になるのだろうか?

軍事的に見ればアメリカとロシアは核兵器と宇宙兵器で日本やヨーロッパの国を圧倒してしまった。まさに第W文明の時代が始まったように見える。しかしアメリカやロシアは第W文明といえるのだろうか? むしろ石油エネルギーが生んだ第V文明の異端児ではないだろうか? 第W文明と呼ぶには第V文明の近代工業のような革命的な文明があるはずだ。

馬野氏はインドやシナやその他のアジアが本格的な近代化することはありえないとしている。第T文明が滅び去り、第U文明は停滞して第V文明を凌駕する事はありえない。文明のピークが過ぎると盛り返すのは不可能であり、インドや中国が本格的に近代化することは「衰亡の法則」からするとありえない。

一昨日はドバイが金融商業都市を目指して建設が進んでいる事を書きましたが、ドバイは滅び去った第T文明の国ですが、地下から石油が出てきたことによる文明のアダ花だ。超高層ビル群は活かされる事無く廃墟になるだろう。インドや中国も世界から投資を呼び込んで、アメリカのシンクタンクには中国が世界一の超大国になるとする予測もあるが、幻に過ぎないようだ。インドや中国の過去の栄光は偉大なものであり、それを克服して乗り越える事は不可能であり、中華思想が新たな文明を受け入れようとはしない。

エジプトやメソポタミアに発生した文明は東西に広がり、極東の日本と極西のイギリスに到達した。つまり地理的に見れば第V文明で行き止まりになったのですが、新大陸のアメリカやロシアが第W文明となるかは、これから数百年経たないと分からない。しかしアメリカやロシアはTからVまでの文明の積み重ねがないから根元から倒れる可能性がある。

アメリカがイスラエルと言う第T文明の亡霊に犯されてしまうのも、文明の積み重ねがないからであり、キリスト教が原理主義的になるのも文明の積み重ねがないためだ。第V文明では政治と宗教は分離しているのですが、第W文明は足元から崩れると第T文明に逆戻りする可能性がある。

 

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