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(回答先: 公園から聴こえてくる音楽 西岡昌紀 投稿者 西岡昌紀 日時 2008 年 8 月 13 日 02:09:49)
−−1953年の夏、私は埃っぽい炎熱の砂漠のなかから、 
  ただロシアへというほか、なんのあてもなく帰還の途 
  につこうとしていた。ロシアのどんなところにも、私 
  を待っていてくれる人も、呼んでくれる人もいなかっ 
  た。なにしろ、私の帰還は十年あまりも遅れていたか 
  らである。私はただなんとなく中部ロシアへ行きたか 
  った。そこでは炎熱もなく、森の木の葉の囁き(ささ 
  やき)が聞えるにちがいない。もしロシアのいちばん 
  奥深い懐ろ(ふところ)といった土地が、まだどこか 
  に存在し、息ずいているのなら、なんとかそこへまぎ 
  れこんでしまいたいと願っていた。・・・−− 
(ソルジェニーツィン作・木村浩訳『マトリョーナの家』 
 (新潮文庫・1974年3月10日・第二刷・8〜9 
 ページより) 
   ソルジェニーツィンの『マトリョーナの家』の 
第1節の冒頭です。ここには、明らかに、作者がシベ 
リアでの収容所生活を終え、ロシアに戻って来た頃の 
思ひ出が投影されて居ます。 
   中学生の時、この箇所を読んで、何と美しい 
文章だろうと思った事を覚えて居ます。この箇所です。 
  ・・・・私はただなんとなく中部ロシアへ行き 
  たかった。そこでは炎熱もなく、森の木の葉の 
  囁き(ささやき)が聞えるにちがいない。もし 
  ロシアのいちばん奥深い懐ろ(ふところ)とい 
  った土地が、まだどこかに存在し、息ずいてい 
  るのなら、なんとかそこへまぎれこんでしまい 
  たいと願っていた。・・・・ 
   人間にとって、故郷とは何かを考えさせられずには 
居られません。 
    
2008年8月5日(火)
西岡昌紀
http://nishiokamasanori.cocolog-nifty.com/blog/
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http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=567807&media_id=4 
民主化への功績称賛広がる=6日に葬儀−ソルジェニーツィン氏 
(時事通信社 - 08月04日 23:01) 
 【モスクワ4日時事】ロシアのノーベル文学賞作家ソルジェニーツィン氏の死去を受けて、同国では4日、旧ソ連のスターリン体制を告発した同氏の文学がソ連・ロシアの民主・自由化に及ぼした影響と功績を称賛する声が広がった。インタファクス通信によると、葬儀・埋葬式は6日、モスクワ市内のドンスコイ修道院で行われる。  
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