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FOREIGN AFFAIRS JAPAN ヒラリー・クリントンの世界像
http://www.asyura2.com/09/bd55/msg/187.html
投稿者 石工の都仙臺市 日時 2009 年 2 月 04 日 21:39:40: Gsx84HOp6wiqQ
 

(回答先: ヒラリー・クリントン國務長官はいづれ副大統領と成るのか 投稿者 石工の都仙臺市 日時 2009 年 2 月 03 日 21:34:36)

 
 
 
 
「われわれの國益は亞米利加の國際主義によつて保證される」

「必要とされてゐるのは、われわれの忍耐、詰り、亞米利加市民がイラク、
 アフガンでのわれわれの試みを支持し續ける事だ」

「アフガン、イラク、そして對テロ戰爭に必要なコストと犠牲を引き受ける覺悟をめぐつて、
 政府と市民は團結しなければならない」

「われわれが對テロ戰爭に於る「忘れ去られた戰線」への關與を強化しない限り、
 また同じことを繰り返すことに成ると私は懸念してゐる」

「アフガンが尤も切實に必要としてゐるのは、NATOによる軍事的關與の強化であり、
 われわれはアフガニスタンが再び極度の混亂に陷り、テロリスト、麻藥業者、犯罪者
 の温牀と化すのを許してはならない」
 
 
 
 
FOREIGN AFFAIRS JAPAN
CFRリポート
ヒラリー・クリントンの世界像
Remarks by Senator Hillary Rodham Clinton
ヒラリー・クリントン/米上院議員 
フオーリン・アフエアーズ日本語版2004年2月號
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/200402/clinton.htm
 
 
 
 
CFRリポート
ヒラリー・クリントンの世界像
Remarks by Senator Hillary Rodham Clinton

ヒラリー・クリントン/米上院議員
 
フオーリン・アフエアーズ日本語版2004年2月號
 
 
邦譯文は、二〇〇三年十一月にイラク、アフガニスタン、パキスタンを訪問したヒラリー・クリントン米上院議員(ニユーヨーク洲選出・民主黨)が、ニユーヨークの米外交問題評議會で行つた視察報告の要約。司會は米外交問題評議會會長のリチヤード・ハース。
 
 
 
 
國際主義と國益の再定義

 亞米利加は國際主義と國益の雙方の再定義を迫られてゐる。冷戰の終結が齎した變化、驚くべき技術の進歩とグローバル化、そして、テロリズムが象徴するやうなグローバル化による問題の擴散と云ふ現實を考へれば、われわれが國際主義と國益を再定義するのは當然の流れだらう。9・11、アフガニスタンやイラクでの任務、そして、此の他にも數多くの問題に世界が直面してゐる事を考へると、國際主義と國益の再定義を行ふのは政治家、そして現在の政府や議會だけの責務ではない。其のプロセスに市民參加型の議論を幅廣く取り込んでいかなければならない。亞米利加の國際主義と國益を再定義するのは、非常に大變な作業に成るが、いま其れを試みるべきであり、さうしなひ限り、われわれはいづれ大きな危險に直面する事に成る。

 9・11によつてほぼ三千人の犠牲が出た。テロ勢力に對してわれわれが最終的に勝利を收めると私は確信してゐるが、其れが大變な困難を伴ふ任務と成るのは明らかだ。そして、外國に於てだけでなく、國内に於てもわれわれは長期的な課題に直面してゐる事を忘れてはならない。「自分が誰で、新しい脅威を前にどのやうな價値を持つべきか」を再定義していかなければならないからだ。

 最終的に勝利を收められると確信してゐるとしても、私は其のために強いられるコストを懸念してゐる。險しい地勢のなかで戰ふ亞米利加の兵士たち、亞米利加が再度テロ攻撃されるやうなら、眞つ先に其れに對抗して任務を果たすことに成る兵士たちのことを心配してゐる。そして、市民の多くが抱く恐れを心配してゐる。市民が恐れを感じるのは理解出來るが、其のやうな感情を抱き續ければ、われわれの國を前嚮きな樂觀主義で支へ、長期にわたつて強く保つてきた價値と資質を損なふことに成る。

 私は、亞米利加人が大きな危險のなかで活動してゐるイラクとアフガニスタンを訪問し、歸國した許りだ。大きな危險にさらされてゐるのは兵士たちだけではない。自らの使命を果たさうと試みてゐる民間の亞米利加人も同じ危險にさらされてゐる。既に數百人が犠牲に成り、數千人がけがをしてゐる。今囘の視察でアフガンの最前線で勤務する第十山嶽師團の兵士たちに會へた事、そして、彼らに、此處ニユーヨークの小學生たちが、自由を守るために前線で活動する兵士たちの役割が自分たちにとつてどれだけ大切かをつづつた三千通の手紙を手渡せた事は私の大きな喜びだつた。

 短期間の視察とは、現實の斷片を見る事でしかない事は理解してゐる。だが、現地で垣間見た現實は、イラクやアフガンに關して私がかねて抱いてきた考へを裏づけるものだつたし、一方で、今後のわれわれがどのやうな路線をとるべきかに就いて思ひを新たにした部分もある。

イラクでの活動の國際化を

 より多くの友人がゐて、敵の少ない世界をわれわれは構築する必要がある。問題は、如何にすれば其のやうな世界を實現出來るかだ。其のやうな世界が好ましい事には誰もが合意するだらう。だが、其れを實現へと導く見込みの高い戰略とはどのやうなものだらうか。

 此處でイラク問題を考へてみよう。昨日(二〇〇三年十二月十四日)、サダム・フセインが拘束された事はよいニユースだらう。彼がいづれ法の裁きの場へと引きずり出され、イラクに於る繁榮と平和への道筋がもつとはつきり見えてくるやうに成る事を期待し度い。

 ただし、喜んで許りもゐられない。此の機會に歩みをとめて、今後どの方嚮に嚮かふかを考へるための機會とすべきだ。

 私はイラクに對して武力を行使する權限をブッシユ政權に與へる事を議員として支持する立場をとつたが、此れは適切な判斷だつたといまも思つてゐる。然しブッシユ政權が、軍事的勝利の後に何をするかをうまく準備してゐなかつた事には大いに問題がある。また、戰爭前にもつと國際的正統性を取りつける努力をしてゐれば、状況はもつと進展していただらうし、イラクでのプレゼンスを國際化してゐれば、いまほどの叛對や叛撥に遭遇する事もなかつただらう。いまこそ、國際的正統性と活動の國際化を圖る必要がある。

 ブッシユ政權が其の氣に成れば、もつと鞏固で廣汎な國際的聯帶をとりまとめられたはずだし、さうしてゐれば、再建と治安の確保も、權限の委讓ももつとスムーズに進んでゐたはずだ。ブッシユ大統領が昨日語つたやうに、サダム・フセインが拘束されたと云つても、イラクの治安が安定するわけではない。危險な状態が今後も續くだらう。サダムの拘束と云ふ機會をわれわれはどう生かせるだらうか。私なりの提案もあれば、不安に感じてゐる事もある。

 第一に、ブッシユ政權は二〇〇四年七月までに主權をイラクに委讓すると云ふ計劃を示したが、如何に計劃を實現していくかに就いて、私は不安をぬぐひきれずにゐる。此のプロセスと同時に、一方では米軍部隊の入れ替えが豫定されてゐるからだ。此れは、イラクの國内情勢が主權委讓に伴つて混亂する事が豫想される時期に、現地での經驗を積んだ部隊が撤退する事を意味する。厄介な事態が起きるのは目に見えてゐる。

 主權委讓と米軍の入れ替えのタイミングが惡い。イラクに現在駐留してゐる米軍は有意義な仕事をしてゐる。兵士たちは學校や病院を再建し、イラク市民とよい關係を築いてゐる。キルクークの地方統治評議會のメンバーと話をしても、彼らが米軍を如何に頼りにしてゐるかがよくわかつた。當然、主權の委讓によつて混亂が豫想される時期に、駐留中の米軍を入れ替へるのは混亂に拍車をかけるやうなものだし、既に米軍部隊がイラク市民との間で築き上げてゐる信頼關係を一度斷ち切つてしまふことに成る。

 此のプロセスをスムーズに乘り切るには大變な努力が必要に成る。主權委讓プロセスにイラク各地の民衆がどのやうに叛應するかも豫斷を許さない。ブッシユ政權の委讓計劃は直ちに主權を委讓するのではなく、憲法起草と選舉を組織する正統な統治構造の整備に嚮けた段階的プロセスを踏んでゐる。然し、キルクークで私が會つたイラクの人々はさうは考へてゐない。彼らは六月か七月に成れば、自分たちがキルクークを統治出來るやうに成るし、其の責任も引き受けなければならないと考へてゐる。彼らは、長い間サダムの壓政に耐へ忍ばなければならなかつたがゆゑに、今度こそ自分たちが權力を行使し度いと望んでゐる。

 困難な時期が待ち受けてゐる。だからこそ、國際的支援と國際的正統性を取りつけ、強化していくことが大切だ。今後も米軍が治安上の任務を果たし續けるとしても、イラクでの國際的プレゼンスを強化しなければならない。ブレマー文民行政官は、國聯が選舉プロセスの監視にあたつて呉れる事を期待してゐると語つてゐた。然し、イラクの選舉プロセスの監視にあたるやうに國聯を説得するのは容易ではない。もつと大きな權限を與へない限り、國聯がイラクでの活動により踏み込んで參加するやうに成るとは考へにくい。國聯關與に嚮けた環境の整備をすべきだ。

 イラク國内に目を嚮ければ、イラク人警察が直面してゐる問題がある。亞米利加の兵士も文民も彼らのことは評價してゐるし、米軍とともにうまく活動出來るやうに成りつつある。然し、もつと訓練を與へるべきだし、制服も裝備も通信機器も與へなければならない。イラク軍の再編は、警察の再編よりももつと遲れてゐる。軍隊離れを食ひ止めるために、賃金を上げ、軍の名聲を確立する必要があり、此の點での手は既に打たれてゐる。また、形だけのバース黨員だつた教員や醫療關係者の扱ひ、詰り、サダム時代のイラクで自らの專門職を生かすには、バース黨に入黨する以外に道のなかつた教師や醫師の扱ひを再檢討すべきである。

 考へるべきことがある。其れは、一月末から二月には此の地域がメッカ巡禮のシーズンに入る事だ。イラク各地で人々が移動し始める。厖大な數の人々が道路にあふれかへり、國を横切つてメッカへと嚮かふことに成る。シリア、ヨルダン其の他からイラクに入つてメッカに嚮かふ人もゐるだらう。かうした人の流れをせき止める事は出來ないし、彼らの安全を確保するのは大變な任務に成る。

 亞米利加に歸國してからと云ふもの、多くの人にあなたはイラクの今後に就いて樂觀してゐるか、其れとも悲觀してゐるかと聞かれる。だが、私は樂觀も悲觀もしてゐない。われわれがどう云ふ状況に置かれ、任務を成功させるにはどうすればよ如何に就いて、現實的でなければならないと思つてゐる。イラクに關與し續ける以外に方策はないのだから。

 此の點からも、北大西洋條約機構(NATO)がイラクへ關與する事を求めて、パウエル國務長官とラムズフエルド國防長官が歐洲を訪問した事を私は高く評價してゐる。殘念なことに、此れまでのところ、NATO側は其れほど前嚮きの對應を見せてゐない。然し、NATO諸國、非NATO加盟國も、われわれと同樣に戰後イラクでの試みが成功する事に大きな利害を持つてゐる。彼らもまた、イラクへのさらなる關與が出來るやうに、米政府とともに其のための機會をつくり出せるやうに努力すべきだらう。國際社會がもつとイラクに關與するやうに成れば、亞米利加による占領と云ふ現實を變へる事が出來る。

 次に私はイラクの再建と安定化を管理するための國際機關を新たに設立すべきだと考へてゐる。イラクでNATOや國聯が適切な役割を果たせるやうな國際機關を新設し、此れを暫定占領當局に置き換へていくべきである。かうすれば、國際コミユニテイーが民生部門でも、治安部門でも役割を果たせるやうに成るし、イラク人に主權を委讓する時期に就いてもつと柔軟に考へる事が出來るやうに成る。

アフガンとパキスタンの苦しみ

 次にアフガン問題に就いて。「上院議員、忘れ去られた對テロ戰爭の最前線へようこそ」。現地で會つた米兵は私にかう語りかけた。たしかに、われわれは最近、アフガンに十分な關心を拂つてこなかつた。イラク問題にかかりつきりだつたのは理解出來るとしても、だからと云つて、アフガン問題に十分な關心を寄せなかつたのは間違つてゐる。言ふまでもなく、9・11が策謀された據點はアフガンだつた。此の國は、當時もいまもアルカイダの據點であり、戰士たちが訓練されてゐるし、此の國のどこか、或は國境地帶周邊にオサマ・ビンラデインがいまも潛伏してゐる。

 われわれは二〇〇一年にタリバーン政權とアルカイダを粉碎し、新生アフガン政府の形成に大きな貢獻をした。然し、ブッシユ政權はあまりに短期間のうちにカブールからバグダツドへと視線を移し、アフガンからイラクへと兵力、情報收集活動をシフトさせた。アフガンでの米兵力は大幅に削減され、現在アフガンに展開してゐる米兵の數は、二〇〇二年にソルトレークシテイーで開かれたオリンピツクに動員された警官の數よりも少ない。

 アフガニスタンのことをわれわれがいとも簡單に忘れ去つたのは今囘が初めてではない。一九八九年にも、蘇聯軍がアフガンから撤退した後の權力の空白をわれわれは放置した事がある。其れまで蘇聯軍と戰つてゐたアフガン勢力や、外國から流れ込んできたムジヤヒデイン(イスラム戰士)勢力にわれわれは資金と裝備を與へてゐた。ある意味、われわれがビンラデインをつくり出したやうなものなのだ。だが、ソビエトが撤退すると、われわれはあつさりとアフガンに背を嚮けた。八九年から九〇年代半ばまで、われわれは現地の現實にほぼ何も手を打たなかつた。其の結果、何が起きたか、いまやわれわれは痛感してゐる。

 九〇年代半ば以降、女性の扱ひなどタリバーン政權の問題を指摘する聲が聞かれるやうに成つた。クリントン政權は、(アフリカの米大使館聯續爆破事件の報復として)アフガンにミサイル攻撃を行ひ、ビンラデインと彼の軍事訓練キヤンプの所在を突き止めようと試みた。だが、ビンラデインは現在同樣、どこにゐるかわからない敵であり續けた。そして9・11が起きた。此のテロ事件によつて、其れまでは國内的にも國際的にも存在しなかつた「タリバーンとアルカイダを打倒するためにアフガンに介入する」と云ふコンセンサスをつくる機會と義務が生まれた。此の一聯の流れからの教訓をくみ取るべきで、同じ間違ひを犯してはならない。われわれが對テロ戰爭に於る「忘れ去られた戰線」への關與を強化しない限り、また同じことを繰り返すことに成ると私は懸念してゐる。

 アフガンに就いては、われわれはNATOのコミツトメントを引き出すことに成功し、試行錯誤はあつたものの、NATOは既に關與を強化していくことを決定してゐる。然し、其れはいまだ現實にはなつてゐない。われわれはカブールでもNATOの現地指揮官には會へずぢまひだつた。

 パウエル、ラムズフエルド兩長官がNATOのイラク支援要請のために歐羅巴を訪れた際、ロバートソンNATO事務總長は「まづアフガニスタンでのコミツトメントを果たさなければならない」と答へた。まさしく正論である。アフガンには、佛蘭西や獨逸など、イラクには部隊を派遣してゐない國を含む、數多くの國が部隊を派遣してゐるが、NATO條約第五條の集團的自衞權がアフガンで本當に果たされる事を期待し度い。

 アフガンとパキスタンの穴だらけの國境がつくり出す問題にも對處する必要がある。パキスタンのムシヤラフ大統領の暗殺未遂事件も、兩國間の國境を管理すると云ふ試みが、如何に政治的に困難であるかを物語つてゐる。カブール、バグラム、カンダハルを訪問した後、われわれはムシヤラフ大統領と會見したが、彼は政治的に非常に困難な状況に追ひ込まれてゐるやうだ。

 ムシヤラフ大統領は亞米利加の對テロ戰爭を明確に支持する同盟者である。國境地帶近くの部族支配地域にも、今囘初めて國境管理の強化のために部隊を送り込まうと試みてゐる。然し彼はタリバーンとアルカイダに對する效果的な作戰を實施しようとして、可也大きな危險にさらされてゐる。可能な限りの手段を通じて、ムシヤラフ大統領を助けるべきである。

 アルカイダの新しい訓練キヤンプがパキスタン國境につくられつつある事、新たにジハードの戰士たちがリクルートされつつある事、そして、パキスタンのマドラサ(イスラム神學校)が單なる教育機關ではなく、宗教的過激主義を教へ込む將來のテロリストたちの養成機關と化してゐる事もわかつてゐる。ムシヤラフ大統領に軍事的支援を與へるだけでは十分ではない。

 われわれは、パキスタン人の親たちがマドラサに子供を預けざるを得ないやうな此の國の教育システム其のものを改善するための支援も與へるべきだらう。實際、マドラサ以外に子供たちが通ふべき學校がない地域が數多くある。此の問題を大統領と話し合つたが、勿論彼は此の點を十分に理解してをり、問題に對處しやうと試みてゐる。パキスタンの教育體制への支援は、亞米利加だけでなく、廣く世界が協調する必要のある重要な課題だらう。

 一方、アフガンに就いても、制憲議會としてのロヤ・ジルガ、そして二〇〇四年の六月か七月に豫定されてゐる選舉をめぐつて、われわれはカルザイ大統領や國聯との緊密な協調關係を維持する必要がある。また此の國の女性問題、教育問題も深刻な状況にあるし、公衆衞生問題、麻藥及びHIV擴散の問題も抱へてゐる。部族間の緊張と云ふ問題もある。對外的にも、アフガニスタンと印度、パキスタンの關係は常に不安定要因を抱へ込んでゐる。然しアフガンが尤も切實に必要としてゐるのは、NATOによる軍事的關與の強化であり、われわれはアフガニスタンが再び極度の混亂に陷り、テロリスト、麻藥業者、犯罪者の温牀と化すのを許してはならない。

國際主義を復活させるには

 最後に、イラク、アフガンの雙方に就いて言へるのは、われわれが辛抱して状況を見守る必要があると云ふことだ。あるタリバーンの兵士は「亞米利加には限られた時間しかないかもしれないが、われわれには時間は無限大にある」と語つてゐる。必要とされてゐるのは、われわれの忍耐、詰り、亞米利加市民がイラク、アフガンでのわれわれの試みを支持し續ける事だ。

 ブレマー文民行政官との會見で、彼が亞米利加の獨逸占領を何度も引き合ひに出した事に私は強い印象を受けた。ラムズフエルド國防長官、ウオルフオウイツツ國防副長官其の他も、獨逸占領のケースを事あるごとに引き合ひに出してゐる。勿論獨逸占領から學ぶべき教訓はある。だが、考へてほしい。安定した主權を持つ政府が戰後の獨逸に誕生するには十年の歳月を要したし、いまも獨逸には駐留米軍がゐる。日本、韓國に米軍は今も展開してゐる。

 詰り、短期間で、然も限られた資金を投入し度くらゐでは、相手國を劇的に變化させる事は出來ない事を歴史はわれわれに教へてゐる。當然、忍耐が必要だし、長期的に相手國に關與していくと云ふ姿勢を持つ必要がある。さうでない限り、われわれの試みを成功へと導くやうな環境をつくる事は出來ない。

 イラクとアフガンでの經驗を振り返る事で、多くの教訓を得る事が出來る筈だ。尤も重要な教訓は、亞米利加の試みへの國際的支援を取りつける必要があると云ふことだ。レスリー・ゲルブ米外交問題評議會前會長が言ふやうに、われわれの國益は亞米利加の國際主義によつて保證されるのだから。

 イラク戰爭前からごく最近にゐたるまで、廣汎な國際的支持を取りつける事にブッシユ政權は度いした關心を示さなかつたが、最近では、イラクをめぐつてNATOの支持を確保しようとしたり、イラクの對外債務削減に嚮けた國際的對應をとりまとめようとジエームズ・ベーカー元國務長官を大統領特使に任命したりと、對外關與の國際化、國際社會の關與の強化を求め始めてゐる。此れは適切な判斷であり、賢明な動きである。より多くの人々を關與させ、單獨行動主義から離れて多國間主義へと嚮かひ、どうすれば、責任の履行と意思決定に多くの人々を關與させられるかを考へるのは賢明であらう。

 此の觀點からみても、イラク戰爭に叛對した國をイラク再建の調達計劃から外すと云ふ最近のワシントンの聲明は困りものだ。再建業務の調達に於て米企業が優遇されるべきだと云ふ聲には私も同意する。サダム・フセインを權力の坐から追ひ落として、身柄を拘束したのは亞米利加だし、亞米利加の兵士と民間人が非常に大きな危險と責務を引き受けてゐるからだ。

 然し、あからさまに他國を調達から締め出す、競爭させないと言ひ切るのは如何にも敵對的だし、債務削減の大義への支持をとりまとめる能力を損ねてしまふだけだ。さうでなくても、數多くの價値を共有するわれわれの古くからの同盟國を含む、世界の多くの國での對米イメージの惡化と云ふ問題をわれわれは抱へ込んでゐる。

 最後に、外國での試みを成功させ、コミツトメントを果たすのに必要な忍耐を支へる國内の支持に就いて少し述べ度い。アフガン、イラク、そして對テロ戰爭に必要なコストと犠牲を引き受ける覺悟をめぐつて、政府と市民は團結しなければならない。だが、政府は、犠牲と重荷を引き受けるやうに市民に率直に語りかける努力をしてゐない。此れは、現在のワシントンの體質をよく表してゐる。此のままでは、對外關與路線を維持するのが國内政治面から困難に成りはしないかと私は酷く懸念してゐる。市民に對する透明性、公開性、率直さがもつと必要だし、適切な政府聲明を發表すれば、われわれを守り、われわれの價値を世界に廣めるために必要なものへの永續的で奧深い支持を確保出來るやうに成るだらう。

 われわれはタフで力強い外交・防衞政策、われわれの同盟諸國を尊重し、敵を叩くと同時に友人を求めていくやうな政策を必要としてゐるし、其れは、亞米利加市民の大多數に理解され、支持されるものでなければならない。單獨行動主義、孤立主義、そして先制攻撃による豫防戰爭の概念を述べたてる事の惡影響は非常に大きい。此のやうな事態が續けば、われわれを攻撃から守るために協力して呉れる國の數は少なくなり、攻撃された時の叛撃のためにわれわれと聯帶して呉れる國の數も減少していく。民主主義、自由、市場經濟其の他の價値は、國内の市民を守るだけでなく、世界の人々の生活をより豐かにすると信じてゐるが、單獨行動主義をとり續ければ、かうした價値を世界的に促進していく手立ても少なくなる。

 單獨行動主義を振りかざして、外國へと介入し、コミットすればするほど、他の諸國を亞米利加の對抗バランスの形成へと走らせてしまふ。イラクやアフガン以外にも、われわれは數多くの問題を抱へてゐる。最大の問題は大量破壞兵器(WMD)の擴散問題である。ならず者國家やトランスナシヨナルなテロリストがかうしたWMDを入手する事こそ最大の脅威だ。したがつて、人々を殺すことよりも、生命の重さを尊重する世界の團結を圖る必要がある。此れは、破壞者ではなく、構築者たちの聯帶である。

「世界の人々は恐れと憎しみで彩られるコミユニテイーではなく、相互の信頼と尊重に基づく誇り高い聯合を形成すべきだ」。いまから四十年前、アイゼンハワー大統領が人々のおごりをかう戒めた事を思ひ起こすべきだらう。われわれの價値と利益を守りつつ、二十一世紀をリードしていく積りなら、彼が示した歴史的な叡智に配慮する必要がある。

質疑應答

リチヤード・ハース あなたの議論の中核に就いてまづ私が質問し、其の後質疑應答に入らうと思ふ。イラクに就いては、適切なタイミングが來るまで主權を委讓すべきではないし、任務の國際化が必要で、部隊入れ替えのタイミングが惡いとあなたは指摘した。二〇〇四年七月一日以降に主權委讓の時期を先送りすべきだと考へてゐるのか。

ヒラリー・クリントン 安定と成功の見込みが尤も高まつたときに、イラク人に權限を委讓すべきだと思ふ。其れが六月か七月に成る事もあるだらうが、さうなる見込みは、部隊の入れ替えによつて損なはれる事に成るだらう。米軍部隊の入れ替えは、現地のイラク人との信頼關係を一時的に斷ち切つてしまふことに成る。

 迅速に行動を起こすべきだと誰もが考へてゐるが、實行可能な選擇肢はいづれも詳細に於て問題を抱へ込んでゐる。だからこそ、主權の委讓プロセスをスムーズにするやうな、各國の參加と國際的正統性を基盤とする新組織をつくる事が重要だ。イラクの安定に大きな利害を持つ中東の近隣諸國を、此の國の自己統治を支へるために關與させる事も重要だらう。

 シーア派の指導者であるシスタニ師は主權委讓に關するブッシユ政權の計劃の一部を批判してゐる。然し、私は此れを、シーア派の正當な懸念に對處していく機會ととらへるべきだと思ふ。さうすれば、任命ではなく、選舉を通じて主權委讓を進める方嚮へと事態は進展していくことに成るだらうし、一方で、私が提案する、イラク再建・開發機構のやうな國際的な懸け橋が築かれる見込みも高まる。亞米利加人でシスタニ師と會つた者は此れまでのところ誰もゐない。彼と交渉していくのは非常に難しく、仲介者を立てての交渉に成るだらうし、此の他にも亞米利加だけでは解決出來ない問題が數多くある。然し、より廣汎で擴大された國際的聯帶があれば、成功の見込みを高める事が出來る。

質問者 全米外交委員會のジヨージ・シユワブです。あなたはWMDの擴散問題を指摘されましたが、北朝鮮にはどう對處すべきだと思ひますか。

クリントン ブッシユ政權のWMD擴散防止策は、此れまでの兵器擴散防止レジームを拒絶し、損なふものであり、間違つてゐると私は思ふ。現政權は、包括的核實驗禁止條約(CTBT)其の他の國際條約を拒絶する許りで、代替策を示してゐない。此れまでの擴散防止レジームが氣に入らないと云ふのはわかるとしても、其れなら、二十一世紀に於る新しい脅威に適切に對處出來るやうな枠組みを他國と協調して摸索すべきなのだ。此の點で言へば、ブッシユ政權が、舊蘇聯地域からの核擴散を沮止するためのナン・ルガー法の擴大に煮え切らぬ態度をとつてゐる事は大きな間違ひだと思ふ。

 北朝鮮に就いて言へば、ブッシユ政權がどのやうな路線を持つてゐるのかを判斷するのは難しい。政權内には叛北朝鮮の強硬派がゐる。彼らは二國間直接交渉を拒絶し、如何なる合意も結ぶべきではないと主張してゐる。一九九四年の枠組み合意を北朝鮮が踏みにじつてきた以上、彼らと合意を結んでも無駄だと云ふのが彼らの言ひ分だ。

 一方で政權内には、支那、露西亞其の他との協議を通じて合意をとりまとめるべきだと看做す多國間主義者もゐる。だが、北朝鮮は非常に危險な國家であるがゆゑに、迅速に行動を起こして、早い時期に何らかの合意を取りつけるべきだと考へる人は少ないやうだ。

 私は此の最後の立場をとつてゐる。私は使用濟み核燃料棒、プルトニウムに就いては枠組み合意によつて其の惡用が抑へ込まれてきたと考へてゐる。たしかに、北朝鮮側がウランの濃縮化に踏み切つた事は枠組み合意の精神を完全に踏みにじつてゐる。然し、如何なる事態に行き着くかも考へずに状況を放置するよりも、履行可能な合意の可能性を摸索するはうが好ましいと私は考へる。

 北朝鮮は兵器をつくる以外には何も出來ない國だ。破綻寸前の國家にとつては、核保有國に成り、テロリスト其の他にさうした兵器を賣却するのが魅力的な考へなのかもしれない。また彼らは、サダム・フセインが本當に核兵器を持つてゐたら、亞米利加はイラクに侵攻しなかつただらうと考へてゐるのかもしれない。かうした状況にあるのに、ブッシユ政權は北朝鮮への明確な路線を定める事を怠つてゐる。●
 
 
 
 
 

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