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「失楽園」の作家・渡辺淳一氏が死去 中国でも絶大な人気:「中国人のために現代日本文学の窓を開けた人物」渡辺淳一氏と中国の
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投稿者 あっしら 日時 2014 年 5 月 07 日 10:49:05: Mo7ApAlflbQ6s
 


「失楽園」の作家・渡辺淳一氏が死去 中国でも絶大な人気
 2014年05月06日16:00

 「失楽園」(1997年)などで知られる作家の渡辺淳一氏が4月30日、東京都内の自宅で亡くなっていたことが分かった。代表作である「失楽園」のほか、「愛の流刑地」(2006年)などは、中国でも発行され、注目を集め、中国人が日本の現代文学を知る「窓口」となってきた。環球時報が報じた。

 以下は、渡辺氏の作品である「失楽園」、「天上紅蓮」、「愛の流刑地」、「愛ふたたび」などを中国語に翻訳した翻訳家・竺家栄氏の寄稿。

 私は98年に「失楽園」を中国語に翻訳した。不倫を主題とした渡辺氏の最高傑作である同作品は、97年に日本の講談社から出版され、社会で大きな反響を呼び、ベストセラーとなった。また、映画やドラマにもなり、「失楽園現象」が巻き起こった。私にとって意外だったのは、同作品が中国語に訳されると、たちまち大きな話題となり、渡辺氏が中国で最も知られる日本の現代作家になったことだ。

 愛は永遠のテーマで、不倫をテーマにした作品も多種多様だ。世界にはこれらをテーマにした文芸作品が山ほどある。昔から今に至るまで、数えきれない文学家や芸術家が「愛」と「不倫」の境界を追求してきたが、どの作品もまちまちで、満足のいく作品はなかなかない。愛というテーマにおいて、「善」は、「美」や「真」を含むことができるのだろうか?三者はどのような関係にあるのだろうか?どうすれば、三者をうまく統一できるのだろうか?渡辺氏の作品は、それを考える機会を読者に提供している。

 98年当時も、中国語に訳された外国の文学作品はあったが、まだ数少なかったため、紹介されるたびに高い注目を集め、多くの人が競って読むという現象さえ起きていた。もし、「失楽園」が今中国に入って来たとすれば、当時のようなブームとなったかは分からない。なぜなら、現在の中国市場では外国の文学作品が飽和状態となり、読者の好みもより細分化しているからだ。

 中国の読者の日本文学に対する理解は、推理小説数冊で止まっており、上っ面の知識としか言えない。実際には、日本文学は長い歴史を誇り、内容も多種多様。世界の文学界でも重要な位置を占めている。例えば、「源氏物語」は世界で最も古い小説で、現代でも、日本の文学界には「巨匠」と呼ばれる作者が数多くいる。日本文学の中国文学に対する影響も大きい。中国と違い、日本の文化や西洋の文化では、個人の感情や生活を表現することが多く、社会に注目することは少ない。一方、中国には、「たとえ政治に 関わっていなくても、国民一人一人が国家の栄枯盛衰に責任がある」という考えが昔からあり、その伝統が文学作品にも大きな影響を及ぼしている。

 また、日本人は、「美」を愛する民族で、「道徳」よりも、楽しみや喜びといった感情を追求する。実際には、どの民族にも、自分達の道徳観や美的感覚がある。例えば、フランス人はロマンチックで、英国人は紳士的。米国人はモダン。そして、中国人は、「情に発し、礼義に止る」という孔子の教えを重んじる。どれも各民族が重視している「道徳」だ。一方、日本では昔から、「性」がタブー視されることがあまりなく、人々は「性道徳」の面で開放的な見方を持っている。もし、自国の道徳的物差しを持って、他の民族の美的感覚を測るなら、それは「時代遅れ」というほかないだろう。(編集KN)

 「人民網日本語版」2014年5月6日 

http://j.people.com.cn/206603/8618843.html

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「中国人のために現代日本文学の窓を開けた人物」渡辺淳一氏と中国の深い縁
 2014年05月06日15:54

 5日、日本人作家の渡辺淳一氏が病気で逝去したというニュースが伝わった。30数年前の改革開放後、中国の民衆が最初に日本現代文学に接したのは、おそらく渡辺氏の作品を通してであった。「失楽園」「男というもの」など氏の代表作は、中国人読者の記憶の底に深く刻まれている。数万人のネットユーザーが、微博(ウェイボー)やインスタントメッセンジャーアプリ「微信(Wechat)」を通じ、氏独特の文体を懐かしんだ。新華網が伝えた。


 ○「生活者であると同時に文学者」

 改革開放初期という時代背景もあり、氏の作品に登場する大胆な「性描写」は、大きな物議をかもした。だがそれも、氏が中国で最も人気が高い日本人作家の一人となるのを阻むことはなかった。

 氏の晩年作の著作権関係業務に携わっていた上海人民出版社ベテラン編集者の曹楊氏は、「中国人読者に最も歓迎され、愛された日本人作家と言えば、私の印象では、まず渡辺淳一氏、次に村上春樹氏だ」と話した。

 大まかな統計によると、渡辺氏は晩年の10年間に、新作出版記念式、上海書展(上海ブックフェア)、上海万博のフォーラムなどへの出席のため、少なくとも4回は上海を訪れている。2004年に「夫というもの」、2007年には「鈍感力」が、上海で発行された(いずれも中国語版)。曹楊氏は、中国側編集者として氏の訪中に随行した。

 1960年代生まれの編集者である曹楊氏は、氏の作風について、「生活者であると同時に文学者」と形容する。

 曹楊氏は若い頃、「失楽園」の愛読者のひとりだった。その後、「鈍感力」の中国語版出版に携わった時に、「人生経験を重ねた人間特有の観察力、特に人間の細かい動作や心理的描写の素晴らしさ」に深い感慨を覚えたという。「例えば、氏がだんだんと本音を出し合い、衝突する夫婦を描写する時、最後にクライマックスが来る場合であれ、ストーリーの中ごろから激しくなる場合であれ、絶妙なタッチで描かれた生活の細部に、読者の心は大きく揺すぶられる」。

 氏のファンは、大衆文学愛読者からハイソサエティな外国通の学者まで様々だ。氏の作品から、文学的な面白さを感じる人もいれば、心理学的な面白さを感じる人もいる。「これこそが日本の生活哲学だ」と評価する人もいる。

 文化学者の張頤武氏は、「渡辺氏が描く複雑で繊細な感情は、日本文化特有のものであると同時に、グローバル性の高い要素も含まれる」と評している。


 ○「人間性」をとことん追求、「官能小説」とは一線を画す

 「渡辺氏の作品即売サイン会には決まったパターンがある」と記憶している中国人読者もいるだろう。まず、氏が携帯している特製の筆で恭しく署名をする。次に、アシスタントが表紙カバーに印章を押す。最後に、背筋を伸ばして読者に深々とお辞儀をする。

 曹楊氏は、「毎回お決まりの一連の動作によって、読者は、極めて厳粛で謙虚で礼儀正しい文芸作品に対する氏の姿勢を感じ取る。それは、ただの『官能の文学』とはかけ離れたものだ」と指摘した。そして、「個人的には、医師としての経歴をかんがみるに、氏の創作目的の根源は、極限状況における人間性を描写することであり、『三俗(卑俗、低俗、俗悪)』や『官能』とは一線を画するものだ」と続けた。

 渡辺氏は晩年、中国人読者に対し、文学者としての作風について、「心の底から湧き出るものを素直に表現し、隠し立ては一切しない」と説明したことがある。これは、現代文学の後継者に対する貴重なアドバイスとなるであろう。

 また、氏は、中国のメディアに対して、「晩年にいたるまでずっと、老人の性愛というテーマについて追及してきた。ここでいう性愛には、心理的なことや生理的なことなど、さまざまな要素が含まれている。私は皆さんに、60歳になっても70歳になっても、人にはそのような要求があることを伝えたい」と述べた。

 以前、中国出版界で、氏の作品の著作権を奪いあうという騒動が起きたことがある。晩年に差し掛かっても昔と変わらない創作エネルギーや創作意欲を持っている渡辺氏に感服する出版社の編集者は少なくない。たとえば、『鈍感力』をいう言葉は、もともと日本語にあったわけではなく、氏が発明した『新語』で、同書が出版されたとき、氏はすでに70歳を過ぎていた。


 ○中国文化を愛し、中華料理を愛した渡辺氏

 SNSの渡辺淳一ファングループでは、氏のことを「老渡」の愛称で呼ぶ中国人ファンも多い。「老渡」は旅立ったが、彼と中国文化の普及をめぐる素晴らしい数々のエピソードは今も残されている。

 碁をさし、書道をたしなみ、上海蟹に舌鼓を打ち、紹興酒を味わう−−。これらはすべて、氏が晩年に中国を訪れた時の「お楽しみ」であった。中国の出版業界関係者によると、「老渡」は普段、口数は少ないが、中華の美食を目の前にすると、自然に子供のような笑みが顔一面に広がったという。

 曹楊氏は、「ある時、渡辺先生は、たっての希望で、上海のリニアモーターカーに乗られた。 車両のスピードが極限に達したとき、氏は記念に写真を撮ってくれと私におっしゃった。氏はいつも、中国に関係が深い、目新しいものに接すると大変喜んでおられた記憶がある」と当時を回想した。

 渡辺氏は晩年、日中の文化友好交流に大変力を注いだといわれる。複数の文芸評論家は、「先生は、他の数人の日本人作家と同じように、中国人のために現代日本文学の窓を開けた人物だ」と評価している。(編集KM)

 「人民網日本語版」2014年5月6日

http://j.people.com.cn/94473/8618830.html

 

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