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【連載企画】激震口蹄疫・川南町の叫び(1)〜(5)|激震 口蹄疫:宮崎日日新聞
http://www.asyura2.com/09/buta02/msg/639.html
投稿者 上葉 日時 2010 年 5 月 25 日 03:08:14: CclMy.VRtIjPk
 

激震 口蹄疫:宮崎日日新聞
http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/index.php?id=236&paging=12


【連載企画】激震口蹄疫・川南町の叫び(1)
(2010年5月13日付)

■ウイルスとの戦い/「今は生き地獄」 情報不足にいら立つ

 「ウイルスは、いつ来るか分からない。感染したら地獄だろうが、今は生き地獄」。川南町で肉用牛を生産する40代男性は、口蹄疫の脅威にさらされている現在の心境を苦しげに語る。百数十頭を養う広大な牛舎に1日2回、消毒液を600リットルずつまく。自分と同じように、消石灰を散布し、消毒マットを敷き、懸命に防疫していた隣の農家にも感染疑いが出た。「半分は腹をくくった。気が狂いそう」と吐露する。登校前に「学校に行っていいと?」。帰ってくると「大丈夫やった?」。中学生の次女が自分と家業を案じる言葉が胸を貫く。

 繁殖牛農家の50代男性は朝晩、症状が出ていないか30頭の顔を1頭ずつ確認する。眠れない夜が続き、胃薬と精神安定剤が手放せない。感染拡大を恐れて自宅に閉じこもる毎日。「農家は無人島にいるような状態。隣で発生しても教えてもらえないから、どの道を避ければいいか分からない」と、情報不足にいら立ちを隠せない。

 「川南はもう手遅れ。犠牲は自分たちで十分。私たちにとって牛や豚は家族だけど、川南の家畜全頭を殺処分してでも感染拡大を食い止めて」。せめてもの願いだ。

 乳牛、肉用牛約500頭を飼う吉松孝一さん(53)も朝起きたら、まず牛の顔を眺めて「ああ、今日は大丈夫だ」と確認する日々に疲れ切った様子。「発生農場に行かなくても、周りを一般車両が行き来すれば一緒」と思い切った防疫を行政に迫る。

 「また畜産の町を盛り上げる方法を考えないといけないが、今は自分の農場を守るので精いっぱい」と香川雅彦さん(52)。みやざき養豚生産者協議会の副会長を務め、本来は仲間を励ます立場だが、言葉には悲壮感が漂う。「もう、川南は見捨てられているのでは」。国や県への不信感が頭をよぎる。

    ■   ■

 「消毒に最大限の努力をしていれば、感染しても牛や豚は納得してくれる」。情報に飢え、苦悩する仲間を電話で慰め、励ますのは発生5例目となった繁殖牛農家の森木清美さん(61)。多いときは1日20〜30回も電話が鳴る。

 「手塩にかけた75頭の牛に申し訳ない気持ちは残したくない。できるだけ初期で発見すれば、隣家に感染が広がる可能性を減らせる」。その思いで自身も夜の11時、12時まで牛舎を見回った。先月下旬、自らの農場の感染疑いを知らされた森木さんは「これで解放された」と奇妙な気分を味わった。

 感染疑いが確認されていない農家が「いつ来るか」と恐怖に神経をすり減らす一方、発生農家は張りつめた糸が切れたように安堵(あんど)する。皮肉な構図が県内有数の畜産地帯を覆っている。

    ×   ×

 畜産の町、川南で口蹄疫の感染・感染疑いの拡大が止まらない。防疫によって閉ざされた町で今、何が起きているのか。畜産農家や関係者の「叫び」を伝える。

【写真】感染拡大を防ぐため防疫作業に当たる川南町の農場関係者。情報不足へのいら立ちと心身の疲労が増す中、ウイルスとの戦いが続く(養豚農家の遠藤太郎さん提供)=12日午後

【地図】川南町における口蹄疫感染・感染疑い地点(11日現在)





激震 口蹄疫:宮崎日日新聞
http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/index.php?id=222&paging=12

【連載企画】激震口蹄疫・川南町の叫び(2)
(2010年5月14日付)

■殺処分の現場/「なぜこんなことに」 無力感、黙々と作業

 殺処分され、横たわる生後間もない子豚に手を当てた。体温を感じる。傷一つない。そして心臓の鼓動も。口蹄疫に感染した疑いのある豚が見つかった農場の男性従業員は「なぜこんなことに」と疲れ切ったように惨状を語った。

 別の養豚農場の60代男性が異常に気付いたのは早朝だった。懐中電灯で照らした豚の口の回りには赤い発疹(ほっしん)があった。ウイルスの侵入におびえながら、1日4回の消毒を繰り返してきた。「これだけ抵抗しても、周囲より何日か(発症が)延びただけ」と無力感を口にする。

 埋却地が決まり、殺処分を待つ豚舎では抵抗力のない子豚が死に、それに気付かないのか、乳の張った母豚が腹を突き出していた。男性は「ウイルスの製造工場のようだった。こんな形で豚の命を絶たんといかん気持ち、理解してもらえないでしょう」と、とつとつと話す。

    ■   ■

 「地獄絵図よ」。ある役場職員の脳裏には、農家の悲痛な表情と牛や豚が息絶えていく瞬間が焼き付く。それでも、作業の手を休めることは許されない。「慣れてはいけないはずの作業に慣れてしまった」と声を絞り出す。

 「日ごとに農家の気力が奪われている。国は川南を小さな点にしか見ていない」。5月から防疫作業に加わった50代の獣医師は、人ごとのような国の姿勢に憤りを隠さない。

 家畜を助けたくて選んだ仕事。今は、仲間数人とチームを組んで、朝から夕方まで黙々と殺処分を続ける。「たまんないですよ」と声を詰まらせる。作業後のシャワー設備が整っていないことにも疑問を抱く。「せめてわれわれ防疫員がウイルスを運ぶ心配をしなくていい作業環境を整えてほしい」と切望する。

    ■   ■

 今月上旬、感染疑いの豚が見つかった養豚農場の40代男性は、殺処分を待ちながら畜舎と豚の消毒を続けてきた。午前6時半に起きて餌を与え、合間を見て消毒を繰り返す。感染前と変わらない作業。ただ、豚だけが死んでいった。ウイルスを運ぶ可能性を考え、外出を自粛した。男性は「まるで犯罪者のような気持ちだった」と自嘲(じちょう)気味に笑う。家族以外との接点の少なさ、乏しい情報が孤立感を深めている。

 宮崎大農学部の学生有志が12日、国へ支援策の拡充を求める署名と募金活動を学内で始めた。大声で協力を呼び掛け、多くの学生がこれに応じている。発起人で同学部3年の中村陽芳(はるか)さん(20)は「被害農家の人たちに、一人じゃないと伝えたかった」と思いを明かす。「本当は現場で役に立ちたい。ただ、行けばまん延のリスクも高くなる」。歯がゆい思いをかみしめながら、今日も声を上げる。

【写真】殺処分された家畜の埋却現場は、戦場のような雰囲気が漂う。想像を絶する被害の拡大に関係者の心身の疲労は限界に近づいている(町役場提供)





激震 口蹄疫:宮崎日日新聞
http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/index.php?id=197&paging=10

【連載企画】激震口蹄疫・川南町の叫び(3)
(2010年5月15日付)

■おびえる日々/「確実な防疫は…」 恐怖に「いっそ感染を」

 「旅行にも行かず、夫婦でやってきたのに…」。感染におびえる繁殖牛農家の50代男性は、報われないつらさに声を詰まらせる。年内に14頭が出産予定だが、「獣医師は忙しく、来てくれないだろう」とあきらめが口をつく。移動制限で堆肥(たいひ)も農場外に持ち出せない。苦しみとともに積もる一方だ。

 「いっそ、空から消毒用に酢をまいたら先が見えるんじゃないだろうか」と、酪農を営む川上典子さん(53)。50メートルと離れていない養豚場も病魔に侵された。豚を埋める作業に使う重機の「ガチャン、ガチャン」という音が耳について離れない。

 牛はおろか、餌や牛舎、車内や自分にまで神経質なほどスプレーで酢水を吹き掛ける。ウイルス退治を期待しての習慣だ。「確実な防疫方法があったら教えて」。どんな手段でもすがりたい。

    ■   ■

 豚7千頭を飼育する日高義暢さん(30)は「みんなで最後まで戦おう」と、9人の従業員にスプレーを持たせ、両手と携帯電話などを消毒。豚舎に入る前にシャワーを浴び、毎日洗濯した作業着に着替える。「やるべきことをやったら天命を待つのみ」だ。

 「殺処分の手段はどれもかわいそう」と、万一の場合はわが手で天国へ送りたいと願う。「飼い主が泣く前で作業する獣医師の胸の内は想像するに余りある。本当は感謝しないといけないのに」。いつ訪れるか分からない“その日”に胸が締め付けられる。

 繁殖牛農家の40代男性は「いっそ感染した方がまし。すっきりしたい」と疲れ切った様子。長年かけて築き上げた仕事が一夜で崩れ去る無念は承知だが、恐怖と隣り合わせの日々から逃れたい衝動に駆られる。

 70頭の餌代は月30万円近い。「生き残っても競りに購入者は来ないだろう。大きくなりすぎて10万円とかの安値になるのでは」。3月に児湯地域家畜市場であった子牛の競りでは平均価格約38万円。底値から持ち直しつつある、この価格ですら遠く思える。

    ■   ■

 酪農を営む染川良昭さん(58)は、近隣農家が次々と被害を受けた。自宅周囲には家畜を埋める穴を掘り返した跡が散らばる。仲間が「こっちに来るなよ。うちの牛は怪しい」とすぐ教えてくれたのはありがたかった。「行政は発生場所を正確に教えてほしい。ほかの農家を救うためにも」と強く求める。

 約1ヘクタールの飼料畑は先の大型連休に収穫予定だったが、外での作業は感染が怖く、放置状態。粗飼料を買うとしても助成制度の情報すらない。牛乳は出荷できるが、収集するタンク車は出入りするたびに消毒し、送り出した後は農場も消毒する。「気を抜いたらやられる。ゴールのないマラソンのようだ」。忍耐には着実に限界が近づいている。

【写真】出荷ができず収入は途絶えても、餌代はこれまで通り必要。感染を逃れている農家には感染の恐怖に加え、経営面の不安もつきまとう(繁殖牛農家の永友定光さん提供)





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【連載企画】激震口蹄疫・川南町の叫び(4)
(2010年5月17日付)

■資金難、トラウマ/「元の生活に戻して」 再建へ遠い道のり

 「悪い夢を見ているようだ」。川南町で酪農を営む男性(43)は先週、飼育する牛68頭を殺処分された。あとには、空っぽの牛舎と多額の借金、そして深い徒労感が残った。「おれは何も悪いことしてないし、うちの家畜にも何の罪もない。元の生活に戻してくれ」。身に降りかかる悲劇を受け入れられずにいる。

 感染確認から5日間、男性はノイローゼ気味になりながら、毎朝700キロもの牛乳を尿だめに捨てるという屈辱的な作業に耐え続けた。家族同然の牛を、死の間際に乳房炎で苦しめるわけにはいかなかったからだ。「自信を持って搾った牛乳は、一滴でも無駄にしたくないんだ」と、悔しさで声を震わせる。

 牛たちの傍らで毎日泣いていた妻からは「もう二度と牛は飼いたくない」、そう告げられた。今は悲しみで頭がいっぱいだが、これからは収入のない現実が待ち構える。「一体いつまで続くのか」。例年この時期に行う飼料用トウモロコシの作付けすらできない状況に、「ゼロじゃない。マイナスからのスタートになる」と苦境を訴える。

    ■   ■

 「一頭もおらんけど、また頑張るわ」。豚3500頭を失った田畑光雄さん(69)は、父の仏前で自分に言い聞かせるように誓った。

 中学卒業後に就農し、戦後入植者の父たちが切り開いた土地で、でんぷん原料用のカライモを育てた。でんぷんかすと芋がらを飼料に養豚業を始めたのは20歳のとき。それから半世紀、豚にかかりきりで汗水を流し、8棟まで豚舎を増やした。しかし、築き上げたすべてを一瞬で失った。

 再起までは最低でも2年はかかり、従業員3人の雇用は維持できない。それぞれに家族があり、子育て中の人もいる。「ここまでこられたのも従業員のおかげ。本当に申し訳ない。町内の農場には失業する従業員が100人はいる。給与補償までしてもらわないと」。設備投資に当てた億単位の借金を抱えながら、従業員の行く末を気に掛ける。

    ■   ■

 2000年の前回口蹄疫、牛海綿状脳症(BSE)、飼料代の高騰、枝肉価格の低迷など、幾多の試練を乗り越えてきた畜産農家たち。同町の繁殖牛農家の男性(70)は、すべてを失い開き直ることで前向きになれたという。

 「息子がやる気なので、心機一転して新しい牛舎でまた始めたい。どれだけの人が畜産業に残るか分からんけど、若い人には気持ちを切らさんで畜産を支えてほしい」。そのためにも、徹底した再発防止策と迅速な経済支援を強く求める。

 「川南は逆境にめげない開拓者の町」。事態が終息したら、まずは庭に慰霊碑を建てることから始めるつもりだ。

【写真】口蹄疫の感染疑いが確認された農場。飼育されていた牛は全頭処分され、静けさと悲しみに包まれる農場内を黙々と消毒する関係者=6日、川南町(県提供)





激震 口蹄疫:宮崎日日新聞
http://www.the-miyanichi.co.jp/special/kouteieki/index.php?id=164&paging=9

【連載企画】激震口蹄疫・川南町の叫び(5)
(2010年5月18日付)

■甚大な被害/「町がなくなる」 再生願い「支援を」

 「この町の将来はどうなるんだろう」。無邪気に遊ぶ3歳の長男を見詰め、30代の父親がつぶやく。野菜農家として、畜産が生み出す強大な経済力を少なからず知っている。数千頭単位で消えていく家畜たち。飼育農家には知人も友もいる。「再建できるのか」。町の行く末を案じる気持ちは日ごとに高まる。

 国策によって食料基地としての役割を託された開拓の町。その使命に沿って農業を基盤に発展し、特に畜産は飛躍的な成長を遂げてきた。おのずと商工業も密接な関係にあり、内野宮正英町長は「町全体を経済的ダメージが覆う」と焦りの色を濃くする。

    ■   ■

 人口約1万7千人の同町にあって農業産出額は年間約200億円。このうち肉牛と乳牛、肉豚が約110億円を生み出す。全飼育頭数約15万頭のうち、約6割(16日現在)が殺処分対象となり、その分の経済の流れが消失。移動制限による経済損失や法人農場の従業員解雇、商工業の減収などを加えると、甚大な被害額となる。町幹部は「正確な数字ははじけていないが、町がなくなる危機を感じている」と事態の深刻さを語る。

 口蹄疫は津波のように多くの町民を巻き込み始めており、町税の減少は避けられない。被害農家は収入が途絶えるため、町税務課は「本年度は税を減免し、来年度以降も同様にせざる得ないだろう」と考える。町総務課財政管理係は「何戸の農家が再起できるのか。再開しても出荷までに最低でも牛が2年、豚は1年。町の経済に活力が戻るのはその後では。そうなると、町は2年と持たない」と最悪のシナリオが頭をよぎる。

    ■   ■

 間接被害が最も顕著な飲食業。週末の夕暮れ時、商店街の人影は数えるほどだ。40代男性は「売り上げは5分の1近くにまで落ち込んだ」と、ゴーストタウンのような静けさに声を詰まらせる。

 50代女性も「宴会はゼロに等しい」。現在は1個500円の防疫作業に当たる数十人分の弁当が収入源だが、「畜産農家を思えば仕事があるだけいい」と、一日も早い町の再生を願う。

 町商工会は「会員の事業所は現時点で3〜7割の減収」と読む。緊急アンケートにも「資金繰りが悪化」「長期化ならば死活問題」と悲痛な叫びが並ぶ。津江章男会長は「農家と商工業は運命共同体。復興には行政の手厚い支援が必要」と強く求める。

 全町民をむしばみながら、ウイルスは拡散する。町内には国の危機意識の欠如が事態の深刻化の一因だという批判が根強い。それだけに、国主導の早急で実効性ある再建策を待ち望んでいる。30代の父親は「助けてほしい。この町が好きだから…」と、心のうめきを上げる。=おわり=(口蹄疫取材班)

【写真】人影はまばらで閑散とする商店街。事態の長期化とともに商工業者への間接的な被害が広がる=川南町トロントロン




 

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