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口蹄疫の被害拡大に見る政治主導のありよう:松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」
http://www.asyura2.com/09/buta02/msg/643.html
投稿者 上葉 日時 2010 年 5 月 26 日 05:58:44: CclMy.VRtIjPk
 

口蹄疫の被害拡大に見る政治主導のありよう:松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20100524/1025102/


口蹄疫の被害拡大に見る政治主導のありよう

2010年5月24日

 今回は、電子書籍の話題から離れて、口蹄疫の問題を書くことにする。

 宮崎県で飼育されている牛や豚の間で口蹄疫の感染拡大が止まらない。4月20日に最初の患畜が確認されてから1カ月、5月21日時点での感染確認は。累計で159例。殺処分対象の牛や豚は総計13万258頭。うち殺処分埋設完了頭数が7万2776頭。全く殺処分が追いついていない凄惨な状況になっている。しかも21日には、今まで被害がなかった宮崎県西都市でも感染例が出た。今後の対策を間違えると日本の畜産業が全滅するかもしれない非常事態だ。

 私は獣医学も農業経済も専門ではないので、この事態について直接のコメントをする資格はない。しかし、今回のことが、現在の日本のガバナンスを巡る問題をあぶり出すことにはなるだろうと考えている。民主党政権が標榜する「政治主導」である。

 「政治主導」というからには、それまでの自由民主党を中心とした政権は、日本という国の運営を主導していなかったという主張が込められている。では誰が主導していたかといえば、霞が関の官庁を中心とした官僚だ。

 政治が「良きにはからえ」で日本の運営を官僚に任せていた結果、天下りのような官僚利権が拡大してしまった。また、官僚は前例のあることには有能だが、新たな事態に適応した素早い判断を下すことはできない。政策判断は本来政治の仕事だ。
 
 だから「政治主導で行く」というのが民主党の方針だ。それがどの程度の実効性を持っているのかが、口蹄疫被害で試されている。





恐ろしい家畜の病気、口蹄疫

 この口蹄疫の問題を理解するためには、まず口蹄疫という病気の性質を理解しなくてはならない。今ならば「口蹄疫」で検索をかければ、かなりの知識を身に付けることができる。

 口蹄疫は、牛や豚、水牛などの、主に偶蹄目の動物に感染する病気だ。発症すると口の中や蹄(ひづめ)に水疱が出来る。死亡率は低いが家畜に感染するとエサが食べられなくなったり動けなくなるなどして、家畜の商品価値が下がり、売り物にならなくなってしまう。人間に感染することは非常にまれだ。まず罹(かか)らないといっていい。

 口蹄疫を起こすのはウイルスだ。口蹄疫ウイルスは7種類もの亜種に別れており、それぞれ感染しやすい動物の種類が異なる。例えばA型ウイルスは豚には感染しにくいが、O型は牛にも豚にも感染する。また、ウイルスはかなり頻繁に突然変異を起こしていて、感染力が強いもの弱いもものが存在する。

 口蹄疫は非常に感染力が強い。空気感染であっというまに広がり、畜産業に壊滅的打撃を与える。だから、発生が確認されたら、その畜産場の家畜を、たとえ症状が出ていなくても、すべて殺して死骸を埋設するという処置が取られる。無慈悲なようだが、周辺畜産場に拡大したら、それどころの被害ではすまなくなるからだ。「人に感染しないなら、殺した後食べればいいのに」と思うかもしれないが、感染力が非常に強力であることを忘れてはならない。死骸には大量のウイルスが含まれている。それを消費者の手元に輸送するということは、即感染地域の拡大につながる。

 感染拡大の阻止には徹底した消毒が必要だ。畜産場そのものはもとより、出入りする人、自動車などの乗り物に至るまで、厳重に消毒する必要がある。それほどまでに感染力が強いのである。

 口蹄疫にはワクチンも存在する。しかしワクチンを接種するのは最後の手段だ。なぜならワクチンを接種すると、たとえウイルスが拡散していても症状が出ないため見逃してしまう可能性が出てくる。ワクチン接種は、殺処分が間に合わない場合にのみ行われる。ワクチンを打った家畜も最終的にすべて殺して埋めるのだ。
これらのことを念頭に置いて、今回の宮崎県における口蹄疫被害の拡大状況を追っていてみよう。





豚に感染するO型ウイルスと、巨大養豚場の増加

 宮崎県のホームページによると、最初の発生確認は児湯郡都農町の繁殖牛農家。4月9日、開業獣医師から宮崎家畜保健衛生所に口の中がただれた牛が見つかったという報告が入った。この時点で症状が出ていたのは1頭だけだったため経過観察処置となったが、16日夕方に同様の症状が別の牛で見つかって、19日に検体を東京の動物衛生研究所に送付。20日に口蹄疫と確認された。

 口蹄疫発生は、東京の農林水産省にも報告された。4 月20日の赤松広隆農水大臣定例記者会見で、マスメディアに対してこの事実が公表されていいる。この時点での大臣の説明および記者の興味は、口蹄疫発生に伴う風評被害への懸念にあった。

 しかし、4月23日に新たな事実が2つ判明する。まず、3月末の段階で水牛が感染していた。

 報道によると、3月下旬に1例目と同じ宮崎県・都農町の水牛を飼っている農場で、水牛に風邪のような症状が出た。この時点では風邪と判断されたが、検体を保存。4月22日になって最初に発見された農場への疫学調査の関連でこの農場に立ち入り調査が入って検体を回収、分析に回したところ口蹄疫ウイルスが確認されたのである。ここに掲載されている6例目がそれだ。

 このニュースを知って、私は九州で水牛を飼っているのか、と驚いた。当該農場での飼育は2008年以降とのことだ。水牛の導入から2年ということは、水牛が口蹄疫に感染した場合、どのような病態を示すかという知識は、関係者に共有されていなかったはずであり、3 月末の段階で気が付けというのは、かなり難しいことだと思う。

 さらに、ウイルスの詳細検査の結果が出て、豚にも感染するO型ウイルスであることが判明した。

 私は、獣医学や疫学の専門家ならば、この2つの事実から口蹄疫の感染拡大が予想できたのではないかと判断する。

 まず3月末の段階から水牛が感染していた事実が確定したことにより、すでにかなりの範囲にウイルスが広がっているであろう事がはっきりしたということ。
そして豚への感染拡大の懸念が非常に強くなったということだ。今年に入ってから中国と韓国では口蹄疫が発生していた。中国と韓国のウイルスは豚にも感染するO型であることが分かっていた。国内で検出されたウイルスがO型であるということは、当然中国や韓国で豚に感染しているO型ウイルスとの類縁関係を疑わねばならない。そして、宮崎県は牛だけではなく、豚の一大産地でもある。

 さらには、このような獣医学や疫学の側からの懸念が、農業経済の専門家に伝わっていたならば、もう1つの危険要素に気がついたことだろう。社団法人・日本養豚協会養豚経営動向調査(平成21年8月1日現在):pdfファイルによると、この5年ほどで養豚業は経営戸数の減少と養豚場の巨大化が進んだ。養豚は、農家が副業として少数を飼育する形態から、巨大畜産場で品質管理を徹底して食肉を生産する工場型の経営へと急速に方向転換したのだ。
 
 つまり、増えつつある巨大養豚場にウイルスが入ると、殺処分頭数が一気に増大するのである。

 事実、4月28日に、最初の豚への感染事例が見つかる。その後1000頭以上を飼育する養豚場での感染が次々に見つかり、殺処分が必要な家畜の頭数は一気に増加することとなった。





大臣にレクチャーしているのは誰か

 政治にはタイミングというものがある。私は、政府が徹底的に口蹄疫と闘う姿勢を示すならば、この4月23日というタイミングではなかったかと思う。疫病は広がってしまうと根絶が困難になる。発生初期に大げさと思えるほどに全力投入することで根絶しなくては、後に巨大な損失を発生させることになる。そのためには、赤松農水大臣が「何があっても口蹄疫撲滅に全力を投入する」という決断をしなくてはならない。民主党のいう政治主導である。

 赤松大臣が決断するためには、以上に述べたような認識が赤松大臣に届いていることが前提となる。 赤松大臣のホームページにある理念・政策に農業は入っていない。赤松大臣はいわゆる農水系の議員ではない。従って、誰か専門家が赤松大臣に、現状の読み方をレクチャーしなくてはならない。

 政治家という職業は、決断の連続だ。そのためには何よりも一を聞いて十を知る強力な現状把握能力が必要になる。上記のような説明を受けたならば、平均的な能力がある政治家ならば、たとえ農業問題の素人であっても容易ならざる事態であることを理解したはずである。

 4月23日の赤松農水大臣定例記者会見を見てもらいたい。赤松大臣は、20日と同様に、風評被害を心配する姿勢を見せていると同時に以下のような発言をしている。


こうした病気を拡げさせないための防疫の措置、それから、それぞれの農家に対する、畜産農家に対する経済支援等、あらゆるできることをやっていきたいということで、対応させていただいておりますので、そういう意味で、皆さん方のまた、ご協力をお願い申し上げたいと思います。
あと、感染経路の究明についても、これを、今、ほぼ、発生農場の防疫措置が、今週で終了しつつありますので、これが終了した後、来週から、「口蹄疫疫学調査チーム」という専門家による調査チームを現地に派遣をいたしまして、感染経路、その原因等についての究明を理化学的に進めていきたいということを考えております。

 どうやら、口蹄疫のの発生は峠を越したという感触を持っていたようにも読める。ところが実際には同じ日に、感染拡大は不可避と思わせる事実が出てきていたのだ。大臣もその事実は知っていたわけだが、その意味するところに気がついている様子は見えない。事実の読み方が伝わっていなかったのだろう。

 私は、誰が赤松大臣にどのようなレクチャーを行っているのかに興味を持つ。農水省の官僚がレクチャーを行っているのは間違いないところだが、政治主導の動きの中でどれほどきちんとした話が大臣に伝わっていたのだろうか。また、他の情報源を大臣は、農水大臣に就任した時点で確保していたのだろうか。





政治主導とは、官僚以外からのセカンドオピニオンの確保である

 政治主導とは、官僚にすべてを任せるのではなく、政治家が主体的に政策判断を行っていくということだ。しかし、特定分野の専門家集団である官僚とは違い、政治家は基本的に素人だ。大臣を歴任するということは、自分にとって未知の分野で次々に正しい判断を求められるということでもある。

 自由民主党は、その判断をかなりの部分、専門家である官僚に丸投げしていた。別の言い方をすれば、官僚をブレーンとして使っていたわけである。それを「官僚支配からの脱却、政治主導」というからには、政治家は官僚とは違う立ち位置の専門家集団を私的ブレーンとして持たねばならない。それは官僚と縁を切るというようなことではなく、官僚のレクチャーと、別個の専門家集団の行うレクチャーとを受けて比較し、自分の意志を決定するということである。政策判断に対するセカンドオピニオンを持つといってもよいかもしれない。

 今回、赤松大臣は、それができていたのだろうか。そして政治主導を標榜する現鳩山内閣の他の大臣はそれができているのだろうか。

 閣僚が、官僚以外のブレーンによるセカンドオピニオンを持たずに「官僚支配脱却、政治主導」を目指すならば、政治主導は単なる素人の壟断(ろうだん)に陥る危険性が存在する。

 今回の口蹄疫は、かなりの損失が不可避の状況になりつつある。それこそ日本の畜産業の存亡を賭けた防疫戦争となるだろう。

 そのターニングポイントにおいて、どうやら大臣に必要な事実の読み方が届いていなかったらしいということに、私は民主党が進める政治主導の脆弱さを見る。政治主導が効果を発揮するには、幅広い専門家からのレクチャーが必要になる。正しい情報と正しい現状認識に基づいてこそ、正しい政策を推進できるよう になるのだ。




 

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コメント
 
01. 2010年5月26日 06:42:34: Yfxy7ql7SE
>政治主導とは、官僚以外からのセカンドオピニオンの確保である<
その通りですね
しかし今の内閣を見ているとあまりにも素人すぎる人ばかり。知識のある人は官僚上がりの議員だけ・・はともかく、せめて副大臣には本当の専門家をつけるべき

ころころ変わる総理大臣も問題ですが、ころころ変わる大臣についても仕組みを考えないといけませんね。口蹄疫のような事態が続出しているこの内閣 一言で言えば「真の素人内閣」是非そうでない本当の「政治主導」になってもらいたいものです


02. 2010年5月26日 09:55:52: u8T2aRIP9Y
口蹄疫拡大防止の対応は、世界中で過去に起こった事例を基に作られたマニュアルに従って着実に行われている。ただし、そのマニュアルも完璧ではない。
もっとも、口蹄疫は感染力は強いものの毒性も無いし1週間もすれば治る病気。マスゴミによって煽られることによって生じる風評被害の方が、はるかに問題。

03. 2010年5月26日 12:12:48: v3W5Gk2ibI
>>02. 2010年5月26日 09:55:52: u8T2aRIP9Y
> 蹄疫拡大防止の対応は、世界中で過去に起こった事例を基に作られたマニュアルに従って着実に行われている。ただし、そのマニュアルも完璧ではない。
> もっとも、口蹄疫は感染力は強いものの毒性も無いし1週間もすれば治る病気。

毒性も無く1週間もすれば治る病気なのに、何故20万頭以上の家畜が殺害されているのですか?
マニュアルが完璧でなく、不必要に殺しているのですか?
小沢秘書軍団の必死の偽装プロパガンダ?

> マスゴミによって煽られることによって生じる風評被害の方が、はるかに問題。

「毒性も無いし1週間もすれば治る病気」などと大嘘を書き込む方が問題。
まあ誰もこんな嘘は信じないから大した風評被害は生じないだろうが。

民主党の政治主導とは、専門家の発言を一切封じ、小沢一郎が全てを取り仕切る小沢独裁体制の偽装用語。


04. 2010年5月26日 23:40:22: ygeAi6ZZvk
で、東国原の責任問題は?

05. 2010年5月27日 01:09:17: 4mJ7N1dsTY
それ以前に、とっとと赤松の首飛ばせや。

06. 2010年5月27日 23:38:59: eHe4s7dBzI
口蹄疫事件は、アメリカ産牛肉をもっと輸入せよ、というシグナル。

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