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口蹄疫:調査チームが中間報告書 農水省のホームページにあるもの
http://www.asyura2.com/09/buta02/msg/791.html
投稿者 taked4700 日時 2010 年 8 月 26 日 03:03:42: 9XFNe/BiX575U
 

(回答先: 口蹄疫:調査チームが中間報告書 農水省HPで閲覧可能 投稿者 taked4700 日時 2010 年 8 月 26 日 02:50:23)

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口蹄疫の疫学調査に係る中間的整理(概要)
1 口蹄疫発生の概要
・4月20日に宮崎県内の牛飼養農場において確認された口蹄疫について
は、川南地区を中心に発生数が増加し、えびの市等の遠隔地での発生も
含め、7月4日の発生までに292例が確認された。
・今回の発生に対しては、移動制限や殺処分を中心とした防疫措置に加え、
5月22日から川南地区及びその周辺地域で、ワクチン接種及び接種家
畜の殺処分を行った。7月5日までに発生及びワクチン接種に係る家畜
の殺処分が終了し、7月27日に今回の発生に係る全ての移動制限等が
解除された。
2 分離ウイルスの性状
分離された口蹄疫ウイルスの血清型はO 型で、今年香港、韓国、ロシ
アで分離された株と非常に近縁であった。また、今回の発生事例から、本
ウイルスに感染した牛や豚は典型的な口蹄疫の症状を示すと考えられた。
3 侵入及び伝播経路
・これまでに得られた情報から推定される最も早い感染例では、3月中旬
において既に口蹄疫ウイルスが侵入していたと考えられるが、現時点で
は、わが国への口蹄疫ウイルスが侵入した経路を特定するに至っていな
い。今後、初期の発生事例を中心にアジア地域からの人や物の動きにつ
いて、更なる情報収集を進めていくことが必要である。
・今回の発生において感染が拡大した要因として、初発事例の確認が遅れ
たことにより移動制限が開始された4月20日の時点で既に10農場以
上にウイルスが侵入していたこと、発生農場で感染動物の殺処分が遅れ
たこと、農場の密集地帯で発生したことなどが考えられる。また、一部
の発生農場(30農場)においては抗体検査で高い抗体価を示す個体が
認められたことから、結果として異常畜の発見に遅れがあったことも示
唆された。
・農場間の伝播には人、物、車両の移動が関与したこと、発生農場から飛
沫核等によって近隣の農場へ伝播したことが考えられる。特にえびの市
での発生やワクチン接種区域外である西都市や日向市での発生には家畜
運搬車両や飼料運搬車両が係わった可能性がある。
4 今後の疫学調査の課題
海外からの侵入経路に加え、初期の発生事例から他の農場への伝播経路
や、他の農場に比べてバイオセキュリティが高いとされる農場への侵入経
路等の解明に係る疫学調査を継続する必要がある。
5 今後の防疫対策への提言
アジア地域では口蹄疫が常在している国が多く、我が国では常に口蹄疫
侵入の危険性に曝されていることから、今後の我が国の口蹄疫対策を改善
していく上で、検討を要する点について、以下に記載する。
・アジア地域を中心に海外の発生状況を常に把握し、口蹄疫の侵入防止を
徹底すること。
・踏み込み消毒槽、動力噴霧器並びに専用の作業着及び長靴の未設置など
農場レベルでのバイオセキュリティが概して低いことから、今後はその
強化が必要であること。
・飼料や家畜の運搬などの流通業者を含む農場間を移動する畜産関係者の
衛生対策を強化すること。
・迅速な伝染病摘発のために、農家をはじめとする畜産関係者に対して口
蹄疫などの重要家畜伝染病の周知を図ること。また、家畜保健衛生所の
職員を含む獣医師を対象とした口蹄疫等に関する教育研修を実施し、本
病等の的確かつ迅速な診断を確保すること。
・口蹄疫対策の実効性を点検し、埋却地の確保や簡易診断キットなど迅速
な診断体制等必要な体制の整備に努めること。
・感染源及び感染経路の徹底的な究明は、防疫措置と併行し、発生直後か
ら詳細な疫学調査を行うこと。
口蹄疫の疫学調査に係る中間的整理
平成22年8月25日
口蹄疫疫学調査チーム
1 口蹄疫発生の概要
○ 4月20日に宮崎県内の牛飼養農場において確認された口蹄疫については、川南
町・都農町を中心に発生数が増加し、えびの市等の遠隔地での発生も含め、7月4
日の発生までに292例が確認された。
○ 今回の発生に対しては、移動制限や殺処分を中心とした防疫措置に加え、5月2
2日から川南地区及びその周辺地域で、ワクチン接種及び接種家畜の殺処分を行っ
た。7月5日までに全ての家畜の殺処分が終了し(民間種雄牛については7月17
日に殺処分)、7月27日に今回の発生に係る全ての移動制限が解除された。
今回の宮崎県での口蹄疫の発生は、2000年3月に同じく宮崎県で発生が確認
されて以来、10年ぶりの発生であった。今回の発生の中心地であった宮崎県川南
町は日向灘に面した宮崎県のほぼ中央に位置し、畜産を中心とした全国でも有数の
農業生産地域である。畜産農家戸数は348戸で、牛飼養農家と豚飼養農家が密集
する県内でも主要な畜産地帯であった。
今回の口蹄疫の発生(「発生」とは「患畜又は疑似患畜の発生」とする。)は、4
月20日、都農町の牛飼養農場において初めて確認された。第1例目の確認後、直
ちに周辺地域の移動制限、発生農場での殺処分などの防疫措置が実施されたが、川
南及び都農地区の農場において、連続的に発生が確認された。4月28日には豚で
初めての発生が確認され、その後川南地区での発生を中心に発生件数が増加してい
った。発生件数の増加に伴い、埋却地の確保が難航し、発生農場での殺処分及び埋
却などが滞ったことから、発生地域も高鍋町、新富町、西都市、木城町へと拡大す
る傾向が見られた。このため、5月22日から移動制限区域内で飼養されていたす
べての偶蹄類家畜に対してワクチン接種が行われた。その後、ワクチン接種区域内
での発生件数は減少し、6月12日の発生を最後に新たな発生は認められなかった。
川南及び都農地区周辺での発生のほか、4月28日に、えびの市内の牛飼養農場
で発生が確認された。その後、5月13日までに周辺地域において豚飼養農場1件、
牛飼養農場2件で発生が確認された。この4件以降の発生は確認されず、周辺農場
の検査で清浄性が確認されたことから、6月4日をもって、当該地域の移動制限は
解除された。
ワクチン接種区域の外側においては、6月9日から7月5日にかけて、都城市、
日向市、宮崎市、西都市、国富町で発生が確認された。その後西都市では最終的に
1件の続発、宮崎市では2件の続発が確認されたが、その他の地域では1件のみの
発生で終息し、新たな発生は認められなかった。その後順次清浄性確認検査が実施
され、7月27日までにこれらの発生に伴う全ての移動制限が解除された。
宮崎県内において4月20日に第1例目が確認されて以降、6月30日にワクチ
ン接種家畜の殺処分、7月5日に疑似患畜の殺処分がそれぞれ終了し、7月27日
までに全ての移動制限が解除された。発生は宮崎県内にとどまり、他の都道府県へ
感染が拡大することはなかったが、この3ヶ月余りの間に感染動物が摘発された農
場は、牛208戸、水牛1戸、豚86戸、めん羊1戸、山羊8戸の計292戸(複
数の畜種を飼養する農家があるため合計数は一致しない。)であった。発生農場に
おいて処分された動物は牛37,412 頭、水牛42 頭、豚174,132 頭、めん羊8頭、山羊14
頭であり、発生地域においてワクチン接種後処分された動物も含めると、今回の口
蹄疫の発生に伴って処分された動物の総頭数は牛68,266 頭、豚220,034 頭、その他
343 頭に及んだ。
2 分離ウイルスの性状
○ 分離された口蹄疫ウイルスの血清型はO 型で、今年香港、韓国、ロシアで分離さ
れた株と非常に近縁であった。
○ 今回の発生事例から、本ウイルスに感染した牛や豚は典型的な口蹄疫の症状を示
すと考えられた。
(1)海外分離株との相同性
今回、宮崎県で分離されたウイルスは血清型がO 型に属するウイルスであった。
動物衛生研究所で決定したVP 1遺伝子領域の塩基配列を英国口蹄疫リファレンス
ラボラトリーに送り、その塩基配列を海外で分離された株と比較解析した。その結
果、本年2月及び3月に香港で、4月に韓国で、7月にロシア(中国国境付近)で
分離された株との相同率がそれぞれ99.22 %、98.59 %、98.9 %を示し、これらの株
と極めて近縁であることが明らかとなった。
(2)病原性
一般に、牛や豚が口蹄疫ウイルスに感染すると、食欲不振や発熱に続いて、口腔
内や蹄に水疱やびらんを形成し、牛では流涎、豚では跛行によって気づくことが多
いと言われる。今回の発生事例においても、牛飼養農場では泡沫状の流涎、口蓋、
舌、鼻部のびらん又は潰瘍が、また、豚飼養農場においては、跛行や起立不能を伴
う蹄部のびらん又は潰瘍、鼻鏡部の水疱、乳房のびらん又は痂皮が認められた。分
離ウイルスの病原性の詳細については、今後、潜伏期間、ウイルス排出量及び症状
の経過等を調べる動物実験の結果を待つ必要があるが、発生事例で見られた臨床症
状から、本ウイルスに感染した牛及び豚は典型的な口蹄疫の症状を示すと考えられ
た。
以下に、今回の発生例で認められた主な症状を示す。
@ 牛(黒毛和種)
泡沫状の流涎口蓋のびらん
A 豚
鼻鏡の水疱乳房の痂皮
蹄のびらん蹄のびらん
3 侵入及び伝播経路
○ これまでに得られた情報から推定される最も早い感染例では、3月中旬において
既に口蹄疫ウイルスが侵入していたと考えられるが、現時点では、我が国への口蹄
疫ウイルスが侵入した経路を特定するに至っていない。今後、初期の発生事例を
中心にアジア地域からの人や物の動きについて、更なる情報収集を進めていくこと
が必要である。
○ 今回の発生において感染が拡大した要因として、結果として初発事例の確認が遅
れたことにより移動制限が開始された4月20日の時点で既に10農場以上にウイ
ルスが侵入していたこと、発生農場で感染動物の殺処分が遅れたこと、農場の密集
地帯で発生したことなどが考えられる。また、一部の発生農場(30農場)におい
ては抗体検査で高い抗体価を示す個体が認められたことから、結果として異常畜の
発見に遅れがあったことも示唆された。
○ 農場間の伝播には人、物、車両の移動が関与したこと、発生農場から飛沫核等に
よって近隣の農場へ伝播したことが考えられる。特にえびの市での発生やワクチン
接種区域外である西都市や日向市での発生には家畜運搬車両や飼料運搬車両が係わ
った可能性がある。
(1)初期の発生事例と侵入経路について
@ これまでに得られた現地調査及び抗体検査の結果等を分析した結果、最も早い時
期に発症が見られた6例目の農場における発生の経緯は以下のとおりである。
3月26日:搾乳牛2頭に発熱、乳量低下が見られたことから獣医師が診療。そ
の後数日間に、同一の症状を呈する牛が増加。
3月30日:異状が9頭で認められたため、獣医師が家畜保健衛生所に通報。
3月31日:家畜保健衛生所が立入。症状は発熱、乳量低下であり口蹄疫を疑う
症状は認めず、畜主・獣医師からの報告もなかったことから、3頭の血
液、鼻腔スワブ、糞便を採取し、ウイルス・細菌・寄生虫検査を実施。
4月5日:家畜保健衛生所が獣医師から「ほとんどの牛が解熱したが、一部の牛
の乳房に痂皮。アレルギーを疑っている」と聴取。
4月14日:家畜保健衛生所が再度立入。3月31日に採血した3頭のうち1頭
から再び採血。子牛にも流涎、発熱。回復した牛もいるが、乳質低下(脂
肪分減少)、被毛粗剛も見られた。
4月21日:4月20日に発生が確認された1例目の農場との関連農場であるこ
とから、宮崎県庁疫学班が立入調査。全頭回復し症状が見られないが、
3月31日の聴き取り内容と一部異なる内容(3月末には流涎、口内炎、
足に異常(跛行を呈している)、乳房の皮膚がめくれている牛がいた)が
あり、過去に口蹄疫を疑う症状があった可能性が認められた。
4月22日:家畜保健衛生所が立入調査。臨床的に異状はなし。検体を採取。3
月31日に採取した検査材料を用いた遺伝子検査で、口蹄疫ウイルスの
遺伝子が検出されている。これらを考慮すると、この農場へは3月中旬
にウイルスが侵入したものと推定される。4月上旬頃にはこの農場に加
え以下に述べるとおり、他の2農場(1 例目と7 例目)においても口蹄
疫ウイルスに感染・発症した動物が存在したと推定され、結果的にこれ
らの初発農場の確認が遅れたことがその後の感染拡大の要因になったも
のと考えられた。
A また、1例目の農場における発生の経緯は、
4月7日:発熱(40.3 度)でえさを食べないと獣医師に往診依頼。当該牛は流涎、
活力なく震えている状態。口腔内には異常はなし。
4月8日:熱は平熱だが流涎もあり、リンパ節が腫れていたため、抗生物質を投
与。
4月9日:熱は平熱だが、食欲不振、涎を流すということで口腔内を確認。上唇
基部に潰瘍、舌先端部に表皮の脱落を確認。獣医師から口蹄疫の可能性
も否定できないとの通報を受けて家畜保健衛生所が立入。全頭を確認し
たが、病変が口腔内であり1頭だけであったとから経過観察。
4月16日:他の牛で発熱(39.3 度)し、涎を流してえさを食べない牛がいると
の往診依頼が獣医師にあり、当該牛の舌と歯床板にびらんを確認。他に
えさは食べているが流涎の牛を確認したが、その牛の口腔内に異常はな
し。獣医師が家畜保健衛生所に通報。
4月16日:16日に流涎だけの牛がえさを食べなくなり、発熱(41.5 度)もあ
るため往診依頼。獣医師の往診時には、家畜保健衛生所は立入を済ませ
ており、2頭ともびらんを確認。口蹄疫以外のウイルス性疾患検査のた
めに家畜保健衛生所が検体を採取。
4月19日:ブルータング、牛パラインフルエンザ、牛ウイルス性下痢、牛伝染
性鼻気管炎、イバラキ病について、家畜保健衛生所による検査結果が陰
性。口蹄疫を疑い、午後から家畜保健衛生所が再度立入し全頭分の検体
を採取。新たに別の同居牛1頭にびらんを確認。
となっている。
B さらに、7例目の農場における発生の経緯は、
4月8日頃:道路側牛舎に食欲不振。(9日以降多頭数に食欲不振改善薬を投与)
4月13日:食肉処理施設に出荷。当該農場で9頭積載後、同一車両で9例目農
場(えびの市)で3頭積載。
4月22日午前:同牛舎にて発熱、微熱、食欲が落ちた10数頭に流涎、その後
にびらんを確認。
4月24日:本社の了解を得て家畜保健衛生所に通報しようとしたところ、家畜
保健衛生所から農場に立入検査の連絡(2例目と飼料運搬車を介した疫
学関連農場だったため。)があり、異常牛について通報。午前に立入検
査。3棟とも流涎を示す牛が所々見られた。鼻腔・鼻鏡の潰瘍・びらん、
舌の粘膜剥離を確認した5頭について、血清及びスワブを採材。蹄に異
常なし。
となっている。
C これまでの初期の発生事例(3農場)に関する調査において、3農場のうちの1
農場(1例目)で3月中旬まで中国産稲わらを使用していたことが確認されている。
これらは輸入前に加熱処理が行われており、また、同様に中国産稲わらを与えてい
た多くの農場では発生が確認されておらず、中国産稲わらが感染源となった可能性
は極めて低いと考えられる。その他口蹄疫発生国からの飼料や物品の持ち込み、発
生国への渡航、発生国からの訪問者の受け入れなど、これまで海外からの直接的な
口蹄疫の侵入要因は確認されていない。今回の発生に関わるウイルスが、本年の香
港、韓国及びロシアでの発生時に分離された株と近縁であることを考慮すると、ウ
イルスはアジア地域から人あるいは物の移動等に伴って我が国へ侵入した可能性が
高いと考えられるが、現時点ではその経路を特定するに至っていない。今後、初期
の発生事例を中心にアジア地域からの人や物の動きについて更なる情報収集を進め
ていくことが必要である。
(2)感染拡大要因について
@ 川南及び都農地区
これまでに得られた情報の分析結果から、移動制限が開始された4月20日の時
点で、少なくとも10農場以上に口蹄疫ウイルスが侵入していたと考えられた。ま
た、感染拡大の一因として、異常畜発見に遅れがあったことも示唆された。今回の
発生の中心となった川南地区では牛飼養農場と豚飼養農場が混在し、宮崎県内でも
特に農場が密集している地域であり、感染農場から周辺の農場に伝播しやすい状況
にあったと考えられる。感染後のウイルスの排泄量が牛のそれと比較して約1,000
倍と言われている豚への感染が10、12及び13例目の農場で確認されたが、こ
のうち10例目の農場については、一般的な農場に比べバイオセキュリティが高い
とされる農場であったが、一方で、口蹄疫発生前にはシャワーイン・シャワーアウ
トの実施が外来者に限られていたこと、豚を移動させる際に豚舎の外周を歩かせて
いたことなど、病原体の侵入防止対策が不十分であった点も認められており、こう
したことも農場への侵入要因の一つと考えられる。さらに、発生件数の増加に伴い、
発生農場における殺処分・埋却が滞ったため、多くの感染動物が環境中にウイルス
を排出する状態が続いたことも感染拡大の大きな要因と考えられる。
A えびの市
えびの市における初発例(9例目)は川南町の7例目と関連農場であり、同一
の家畜運搬車両が両農場に入場していることが確認されおり、これがウイルスの伝
播に関与した可能性がある。
B ワクチン接種区域外
・西都市(283例目)及び日向市(284例目)については、児湯地区の発生農
場と同じ飼料運搬会社の人・車両が、その発生農場への運搬と同日または連続し
た日に使用されていたことが確認されていることから、この車両によりウイルス
が伝播し、感染した可能性がある。
・西都市内の発生農場間(283例目と289例目)で、それぞれの農場から牛を
出荷する際、同一車両が使用された例が確認されていることから、当該運搬車両
を介してウイルスが伝播し、感染の原因となった可能性が高い。
・宮崎市内の3農場(285例目、291例目及び292例目)の発生については、
当該3農場は同一地区に存在し、農場間の距離が数百メートル程度であることか
ら、飛沫核による近隣伝搬の可能性を否定できない。
(3)農場間の伝播要因について
@ 人及び車両による伝播
前述のとおり、口蹄疫の発生が確認される以前に10農場以上にウイルスが侵入
していたと推定されるが、これらの感染農場間の伝播は、家畜、たい肥、飼料又は
その他の畜産資材の運搬、従業員の移動などに伴う人や車両の動きによって伝播し
たことが疑われた。また、移動制限実施後においても、飼料や家畜などの運搬に伴
う人や車両の動きが感染拡大に関与した可能性が考えられる。
A 近隣農場への伝播
口蹄疫に感染した牛や豚は呼気中や糞尿中に大量のウイルスを排出するため、周
辺環境がウイルスで汚染されることが知られている。川南地区を中心とする発生地
域では、多くの発生農場で感染動物を殺処分するまでに長い時間を要したため、こ
れらの農場内及びその周辺環境が大量のウイルスにより汚染されていたと考えられ
る。これらのウイルスが飛沫核として飛散し、また、共通の道路の利用、昆虫や小
動物などによる機械的伝播など不特定の経路を介して周辺農場に拡がった可能性が
考えられる。
B 野生偶蹄類動物による伝播の可能性
宮崎県中部の山間部には野生のシカ、カモシカ、イノシシが生息していることが
知られている。これまで、これらの野生動物14頭について遺伝子検査を実施した
結果(8月19日現在)、全て陰性であった。今回の発生農場の多くは平野部に位
置しており、野生動物が感染拡大において重要な役割を担ったとは考えにくい。し
かしながら、一部の発生は山間部の農場においても見られており、野生動物の感染
状況については更なる調査が必要である。
4 今後の疫学調査の課題
○ 海外からの侵入経路に加え、初期の発生事例から他の農場への伝播経路やバイオ
セキュリティが高いとされる農場への侵入経路等の解明に係る疫学調査を継続する
必要がある。
我が国への口蹄疫ウイルスの侵入経路については、現時点で特定するに至っていな
いが、引き続き海外からの侵入経路に関する調査を進めることとする。また、初期の
発生事例から他の農場への伝播経路や、他の農場に比べてバイオセキュリティが高い
とされる農場への伝播経路等の解明に係る疫学調査について、調査を継続し、今後の
防疫対応に万全を期すよう、更に検討を進める必要があると考える。
5 今後の防疫対策への提言
○ アジア地域を中心に海外の発生状況を常に把握し、口蹄疫の侵入防止を徹底する
こと。
○ 踏み込み消毒槽、動力噴霧器並びに専用の作業着及び長靴の未設置など農場レベ
ルでのバイオセキュリティが概して低いことから、今後はその強化が必要であるこ
と。
○ 飼料や家畜の運搬などの流通業者を含む農場間を移動する畜産関係者の衛生対策
を強化すること。
○ 迅速な伝染病摘発のために、農家をはじめとする畜産関係者に対して口蹄疫など
の重要家畜伝染病の周知を図ること。また、獣医師を対象とした教育研修を実施し、
伝染病の的確かつ迅速な診断を確保すること。
○ 口蹄疫対策の実効性を点検し、埋却地の確保や簡易診断キットなど迅速な診断体
制等必要な体制の整備に努めること。
○ 感染源及び感染経路の徹底的な究明は、防疫措置と併行し、発生直後から詳細な
疫学調査を行うこと。
我が国で発生した口蹄疫の原因ウイルスは、今年になってアジア地域で分離された
ウイルスと近縁であったことから、これらの地域で流行しているウイルスが何らかの
経路で我が国に侵入したものと考えられた。今回の発生に関して、宮崎県、農林水産
省、現地調査チーム等によって調査が進められてきたが、これまでのところ口蹄疫が
国内へ侵入した経路を特定することはできていない。しかしながら、アジア地域では
口蹄疫が常在している国が多く、また、近年、人と物の国際移動が短時間で可能とな
り、活発化していることを考えれば、我が国は常に口蹄疫侵入の危険性にさらされて
いると言っても過言ではない。このため、今回の発生経過を詳細に分析し、侵入要因
のみならず感染拡大要因も含めて検討することは、今後の我が国の口蹄疫対策を改善
していく上で重要である。これまで調査した結果から考察された、検討を要する点に
ついて以下に記載するが、まだ不十分なところもあるため、今後も調査を継続し、更
なる検討を進める必要があると考える。
(1)アジア地域を中心に海外の口蹄疫発生状況を常に収集し、リスクに応じた適切な
対策を講じることにより、引き続き海外からの侵入防止を徹底する必要がある。
(2)今回の発生農場においては、踏み込み消毒槽、動力噴霧器並びに専用の作業着及
び長靴の未設置など概してバイオセキュリティーの低い状況が確認された。口蹄疫
に限らず農場内の家畜を伝染病から守るためには、常日頃からの飼養衛生管理を徹
底し、専用の長靴や作業着を着用し消毒を徹底するなど疾病の侵入防止対策を強化
する必要がある。
(3)家畜、死亡畜、飼料、敷料などに関わる流通関係業者において、農場間移動に際
して消毒が不十分であったなど一部衛生対策の不徹底が見られた。農場の飼養者以
外の畜産関係者も含め農場間での物や人の移動は家畜伝染病のまん延に重要な役割
を果たすことを理解の上、必要な防疫対策を常日頃から実施する必要がある。
(4)一部の発生農場(30農場)においては、高い抗体価を示す個体が認められたこ
とから、結果として異常畜の発見に遅れがあったことが示唆された。口蹄疫の迅速
な摘発は最も優れた防疫対策の一つであり、日頃より飼養家畜の健康観察に努める
とともに、異常を確認した際は直ちに獣医師・家畜保健衛生所に通報すべきである。
今回の発生を踏まえ、全国において口蹄疫をはじめとする家畜伝染病に関する知識
の普及・啓発を、家畜の飼養者のみならず、広く流通業者や畜産関係者等に図るべ
きである。また、家畜保健衛生所の職員を含む獣医師を対象とした口蹄疫等に関す
る教育研修を実施し、家畜伝染病の的確かつ迅速な診断を確保すること。
(5)今回の発生において、埋却場所の確保など迅速な家畜の処分に必要な対応ができ
なかったことも感染拡大の大きな要因になっていることから、基本的に都道府県や
市町村は、地域の実情に応じて迅速な早期殺処分・埋却を実施するための埋却地の
確保を調整する必要がある。また、口蹄疫発生時の危機管理対応として、簡易診断
キットなど迅速な診断体制の整備や消毒ポイントの設置など発生現場における迅速
な防疫活動の実効性について点検し、必要な体制の構築に努める必要がある。
(6)発生当初のまん延防止のための疫学調査については、全発生農場に対して、発生
直後に家畜の入出履歴等の調査が行われていた。しかしながら、感染源や感染経路
の究明に活用する観点からの詳細な調査については、防疫措置を優先し、防疫措置
が終了した後に開始したことから、疫学調査の開始が遅れたことは否めない。徹底
的な感染源及び感染経路の究明に当たっては、発生直後から速やかに疫学調査を開
始することが望ましく、今後は防疫措置と併行し、まん延防止に十分配慮しつつ発
生後から直ちに詳細な疫学調査を行うべきである。なお、農家においては通常、人
や物の出入りに関する記録がほとんど行われておらず、疫学調査を実施する上での
問題となったことから、今後そのあり方が検討されることが望ましい。
資料1
海外での発生状況
2010年に入ってからの近隣諸国の発生状況は7月29日現在、以下のとおり。
@香港:O型が2月に豚飼養農家3件で発生
A韓国:A 型が1月から3月までに牛6件、鹿1件で発生。また、O 型が4月から6
月までに牛8件(うち1件は山羊も飼養)、豚4件、猪1件で発生
B台湾:O型が2月及び6月に豚飼養農家で、それぞれ1件発生
C中国:O型及びA 型が各地域で散発
Dモンゴル:O 型が4月から6月までに3件で発生
Eロシア:O 型が7月に1件で発生
資料2 防疫対応及び清浄性確認検査
(1)防疫対応
4月20日に都農町で1例目の発生が確認されたことを受け、宮崎県は防疫指針
に基づき、当該農場内の偶蹄類の家畜全部の殺処分及び当該農場を中心に半径10
kmの移動制限区域、並びに半径10〜20kmの搬出制限区域を設定するととも
に、本病のまん延防止のための車両消毒ポイントを4ヶ所設置した。その後も発生
が続き、9例目となるえびの市での農場の発生により、当該農場を中心に移動制限
区域及び搬出制限区域が設定されたが、これらの制限区域は6月4日に解除された。
(2)口蹄疫の清浄性確認検査及び移動制限・搬出制限の解除
清浄性確認検査については、口蹄疫の発生後、最初に移動制限が解除されたえび
の市地域においては、移動制限区域内の全ての偶蹄類の家畜飼養農場における臨床
検査並びに発生農場を中心とした半径3km以内の牛飼養農場及び疫学関連農場の
血清学的検査を行った。その後ワクチン接種区域を除く制限区域の清浄性確認検査
においては、えびの市地域での検査方法に加え、発生農場を中心とした半径3km
以内の豚飼養農場についても血清学的検査を行った。その結果、宮崎市地域におけ
る検査では疑似患畜と診断された例が1例あり、当該発生農場での殺処分終了3週
以降から改めて清浄性確認検査を実施し、清浄性が確認された。なお、その他の地
域における検査ではすべて陰性であり、清浄性が確認された。地域別の移動制限及
び搬出制限区域の解除日は以下のとおり。
@えびの市地域:6月4日A都城市地域:7月2日B日向市地域:7月3日
C西都市地域:7月6日D国富町地域:7月8日
Eワクチン接種区域:7月16日F高鍋町地域:7月18日
G宮崎市:7月27日
資料3 現地疫学調査チーム等による調査結果の概要
(1)初期感染事例
@1例目
・2月16日に中国産稲わらを購入、自分の車で運搬し、3月中頃まで利用していた。
それ以降は、自家産稲わらを利用していた。
・海外からの従業員は受け入れていなかった。
・6例目と同一業者の豪州産オーツヘイを使用していた。配合飼料は農協から購入し
ていた。
・当該農場は山間部にあり、飼料運搬車も入れないほどの細い道の奥にある。
・担当獣医師及び削蹄師について、他の初期感染事例と共通していなかった。
・過去1か月間牛の出荷はなかった。
・糞尿は自家農場内でたい肥化していた。
・6例目農場との距離は600mであるが、放牧地等は隣接していなかった。
A6例目
・2008年と2009年に口蹄疫清浄国であるオーストラリアより水牛を導入して
いた。
・海外からの従業員や研修生は受け入れておらず、農場主を含め従業員の最近の海外
渡航歴はなかった。
・チーズの製造・販売で雑誌等の取材を受けており、農場の見学(8:30-10:30)を
受け入れていた。なお、農場主によれば、海外からの農場見学者はいなかったとの
ことであるが、人の出入りについては特に記録はなかった。
・同一農場内で飼養されていた豚は感染していなかった。
・他の発生農場の家族がチーズ製造部門の従業員として働いていた。
・担当獣医師について、他の初期感染事例と共通していなかった。
・敷料は全て国産のものを利用していた。
・川南町の農場に毎日サイレージを取りに行っていたが、当該農場では発生は確認さ
れなかった。
・今年に入ってからは、3月20日に死亡した水牛を処理業者まで自農場のトラック
にて持ち込んでいた。
・4月11日に1例目の農場主(地区の班長のため)が地区の週報を配りに来た。た
だし、地区の他の農場(未発生)にも同様に配布している。
B7例目
・海外からの従業員は受け入れておらず、従業員の最近の海外渡航歴はなかった。
・4月8日に食欲不振を示す牛が確認されており、農場の記録によるとこの日以降に
食欲不振改善薬等を多頭数に投与していた。
・農場の記録によれば、他の農場との間で家畜の移動が行われていた。最近の家畜の
移動履歴、死亡牛の頭数については、保管記録等により確認された。
・今年に入って7回(直近は4月7日)、死亡畜を処理業者が回収していた。
・えびの市の発生例を含む他の農場と飼料や家畜の運搬車が共通していた。
・担当獣医師について、他の初期感染事例と共通していなかった。
(2)えびの市での発生
・4月13日に川南町の7例目農場で牛を積んだ出荷車両が、同日に9例目農場に立ち
寄り牛を追加積載していた。
・22例目農場は、9例目農場及び83例目農場から約1km、68例目農場から約100
m離れたところに位置していた。
(3)ワクチン接種地域外での発生
・280例目(都城市)について、農場主を含め従業員は、5月中旬以降に、都城市
以外(特に川南地区)に出かけたことはなく、飼料や敷料も川南地区からは運搬し
ていなかった。
・283例目(西都市)及び284例目(日向市)については、川南地区の発生農場へ
飼料を運搬した人・車両が、同日又は翌日に飼料を搬入している。
・283例目と289例目(西都市)の間で、それぞれの農場から牛を出荷した人や・
出荷に使用した車両が共通していた。
・宮崎市内の3発生例(285例目、291例目、292例目)については、同一地区
に存在し、農場間の距離が数百m程度であるが、直接的な人や物の移動は確認されな
かった。
資料4 発生農場における口蹄疫発症時期の推定
今回の宮崎県における口蹄疫の伝播状況を検証するため、発生農場における口蹄疫
の発症時期を推定した。発症時期の推定は、立入り検査時に撮影した発症家畜の病変
画像及び抗体検査の結果を基本に、届出時の飼養者からの報告内容も考慮して行った。
病変画像を用いた発症時期の推定には、病変の形成日数に関する英国農務省の報告書
を参考とした。抗体価については、抗体価がピークに達するまでの日数を考慮し、ま
た、抗体価の高い動物が複数頭確認された場合は、農場内でのまん延に要した日数も
考慮した。なお、今回の発症日の推定については、病状の個体差などにより誤差が生
じることがあることに留意する必要がある。
発症日の推定状況(4月20日発生確認時点)
↓4月20日発生確認時
発生事例※
1例目
2例目
3例目
4例目
5例目
6例目
7例目
8例目
9例目
10例目
11例目
12例目
13例目
14例目
15例目
※5月1日時点での発生確認事例
発症した動物が存在したと推定される期間
発症前2週間(農場へ侵入した可能性のある期間)
3月中旬3月下旬4月上旬4月中旬
資料5 中国産稲わらの輸入条件及び輸入量
(1)中国産稲わらの検疫措置について
ア動物検疫上、中国は、口蹄疫の発生地域であることから輸入禁止。
ただし、@〜Bの条件をすべて満たしたものに限って輸入が認められる。
@ 原料となる稲わらは、次の条件を満たすこと
・過去3年間半径50km以内で口蹄疫等が発生していない地域で生産されたもの
・糞便等による汚染を受けていないもの等
A 農林水産大臣が指定したワンウェイ施設(家畜防疫官が定期的に査察を実施)
において、加熱処理(80℃、10分以上)されていること
B 加熱処理後、当該施設において密封式コンテナに封印して輸入されること
イ植物防疫(イネクキセンチュウ等の防除)の観点からも、加熱処理(86℃、4
分以上)を条件とし、植物防疫官が中国に常駐し、全ての処理について確実に加熱
が行われているかを全ての施設において、毎回確認している。
具体的には、@処理前の稲わらの状況及び温度センサーの確認、A処理後の温度
記録の確認、B日本向けに積み込んだ際の封印の確認等を実施している。
(2)中国産稲わらの輸入検査数量(単位:トン)
H18 H19 H20 H21
0 20,155 160,412 200,461
※ 稲わらは平成17年5月輸入停止、平成19年8月9日輸入停止解除
(動物検疫所調べ)  

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