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〈@北京〉今も続く「エイズ村」の悲劇 (朝日新聞) 
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投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 11 月 30 日 19:54:27: igsppGRN/E9PQ
 

〈@北京〉今も続く「エイズ村」の悲劇
http://digital.asahi.com/articles/TKY201111290257.html?ref=comtop_middle_open
2011年11月30日10時28分 朝日新聞デジタル


■古谷浩一(中国総局員)

 中国の「エイズ村」――。聞いたことがある人は少なくないのではないかと思う。

 1990年代に河南省などの貧しい農村で、売血や輸血によって多くの人がHIVに感染。中国政府や地元当局がこうした事実を隠蔽(いんぺい)しようとしたため、感染はさらに広がり、ひどいところでは、村人の半数以上が感染者といった村もあらわれ、深刻な社会問題になった。

 2000年代初め、以前に北京に駐在していたとき、理不尽さに怒りを抱いた欧米メディアの記者仲間たちがこの問題を特に力を入れて取材していた。

 ニューヨーク・タイムズの当時の北京特派員は医師の免許を持ちながら、ジャーナリストになった女性で、多くの専門性をいかした記事を書いていた。「自分はこの記事を書けただけで、医学を学んだかいがあったと思う」と話していたのを覚えている。

 一方、私はこのとき、この問題を詳しく取材する機会なく、異動で帰国。ずっと心残りに思っていた。その後、多くの優れたルポルタージュやドキュメンタリー映画が発表され、問題は国際的に大きく注目された。中国政府も対応に動き出したと伝えられていた。再び北京に赴任して、ずいぶんと遅くなったが、被害者たちの現状を知りたいと思った。

 たまたま関係当局や支援者が北京で会議を開くとの話を聞き、会場を訪ねた。ただ、相変わらず敏感な問題であることには変わりないようで、「記者はお断りだ」と言われた。仕方ない。会議に駆けつけていた感染者たちのホテルを見つけ、直接、そこを訪ねた。

 30人ほどの感染者らがそのホテルには泊まっていた。河南省や河北省から来た人々だ。「日本の記者だが、話を聞きたい」と言うと、ツインベッドの狭い一室に十数人が集まってくれた。最初は遠慮がちに互いを見合わせていたが、そのうち、みなが一斉に叫ぶように話し始めた。

 「私はいい。でも、子どもたちの将来はどうなるのか。それを考えると、どうしようもなくなる」。夫が輸血で感染し、自らも感染者となった女性(46)は言った。

 2人の娘と1人の息子。農業を営む一家は、エイズに強い偏見を持つほかの村人たちから完全に仲間はずれにされ、言葉さえ交わしてもらえないという。長男(7)は学校で、同級生だけでなく、教師にも無視されている。彼に近づく友だちはだれもいない。

 「息子は何も言いません。私が言えるのは、おまえの父親は間違った輸血で感染したんだよ、ということだけです…」

 政府は感染の広がりに対して、有効な措置をとるどころか、隠蔽によって被害を拡大させた責任を認めていない。極めて限定的な対策はとられているが、それは十分というにはほど遠い。

 「裁判所は、我々の行政訴訟の訴えを受理さえしない。おかしいじゃないか。中国は法治国家じゃないのか」

 妻と息子が感染者だという河南省の40代の農民男性はそう語る。医療保険は年間の限度額が決まっており、毎年、収入の数倍に上る借金をしてきた。政府の補償措置を強く求めているが、かなっていない。

 「私たちには時間がない。いつ発病するか分からないんだから」と男性は訴えた。

 05年、温家宝(ウェン・チアパオ)首相は河南省の「エイズ村」を視察し、政府がこの問題を重視している姿勢を訴えようとした。しかし、そのときのことを、現場にいた2人の感染者の女性はそのときのことを悔しげに振り返った。

 「首相が来てくれるというので、一目見ようと出かけた。ひょっとしたら、私たちの話を聞いてもらえるんじゃないかと思ったのに。いきなり警察に髪をわしづかみにされて、地面にたたきつけられた」

 道ばたで待っていた11人の感染者たちは全員、温首相が到着する前に連行され、1人の女性は約1カ月も拘束されたという。このときの温首相の視察では、現地当局者が感染者を装って温首相に対応した疑惑も国外では報道されている。

 感染者たちは集団行政訴訟の道を探った時期もあったというが、当局によって完全に抑え込まれてしまった。当局は被害者たちが組織的に動くことで、反政府的な集団行動が生じることを恐れている。この問題に取り組んでいた知り合いの弁護士はその資格を当局から剥奪(はくだつ)された。

 感染者たちが受けている政府からの圧力は大きい。この日の取材でも、名前や写真を出すのは少数の人だけで、あとは匿名を条件とされた。

 多くの人々が精力を注ぎ、この問題を明るみにしてきた。外国人も、中国人も。国際的な人権団体の支援も少なくない。でも、なお、多くの感染者たちは十分に救われていない。

     ◇

 古谷浩一(ふるや・こういち)=中国総局員 90年入社、大阪社会部、上海支局、中国総局、瀋陽支局などを経て、09年11月から現職。


泣きながら苦境を訴える河南省出身のHIV感染者の女性たち=古谷撮影
http://digital.asahi.com/articles/TKY201111290257.html?ref=comtop_middle_open

07年11月、中国河南省を訪れ、エイズで両親を失った孤児たちと会話を交わす温家宝首相=ロイター
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