マーケティング理論とは、結果が出た後の解釈には絶大な力を発揮するだろうが、これからスタートするという時にはやはり　「博打」　の性格はぬぐいきれない。　すべての購買者の完全な意識調査など出来やしないのだから。　パチンコや競馬と同じで　「勝った」　予想しか憶えていないのだ。　だからといってすべての理論が無駄だ、とは言わない。　方向を決めるには何かしらの　「おフダ」　は必要だから。

　しかし高度な理論より　「抱き合わせ商法」　や　「期間限定の安売り」　のほうが確実で即効的な利益を約束する場合もある。　問題は　「高度な理論」　に頼り切っている場合であるかどうかだ。　これが失敗すれば会社がつぶれるという状況で、第二第三の方法を併用しない経営者は、経営者としては失格だ。

　何の話をしてるかだって？　　検察審査会の議決への対応策だよ。　購買者も検察審査員も、単純なアリではないということ。

　そんな人たちが投票に行けば、メディアの誘導などは問題にならない。　誘導とは本人に実害を与えるものではないから、あえて言えば　「お化け屋敷」　と似たようなものだ。　誘導が行われているな、と知った段階で　「幽霊」　は　「枯れ尾花」　に変わる。　それを判らせないようにするのも　「誘導」　の手口だが。

　大規模な意識操作は、一人一人を一個の数字に置き換える。　でないと処理しきれないからだ。　そしてレミングの群れのように、ある一定の方向へ集団を誘導しようとする。　しかしそれは　「紙の上」　か　「コンピュータの中」　の仮想世界での話だ。　先に述べた　「自分だけは違う」　と離れて考える人が増えてくれば、理論どおりにはいかなくなる。　誤差が増えて、結果が想定と乖離し始めるから。

　だから誘導に対する簡単な防御策は　「自分にも誘導が仕掛けられているかもしれない」　と認識することである。　それを知った上でなおも誘導に従おうとする人には、海に飛び込んでもらうしか残された道はない。

　楽屋裏を知られたら意識操作など意味をなさない。　貴方は劇団員ではないのだから、隠れ座長の意向に従って踊る必要などさらさらない。

　それでも以前はまだ、公式誘導を引っ剥がす役目をマスコミが担っていた。　と思っていたが、最近はマスコミ自体が誘導を積極的に行っているようだ。　国民の目と耳であるメディアで一斉に誘導をかけられたらひとたまりもない。　そのうえ国民の口は、メディアの取捨選択により、発言はなかったものとされてしまう。　私も一連の一方的な小沢氏報道からメディアを信用できなくなった一人だ。　私は毎日新聞を取っていたが、当時は完全に報道のバランスを欠いていた。　何でこんなにしてまで一人の人間を追い詰めるのだろうと、薄気味悪く思ったものだ。

　その点ネットは玉石混交だが、メディアから棄却された情報を得ることができる。　またコメントやツイッターなどで直接個人の意見を発表することができる。　新聞の投稿欄ではまず採用にならないような意見でも。　ただし情報の取捨選択の編集者は　「私個人」　である。