東京都の水力発電所の売電先を巡り、都は、東京電力との２０１８年度までの契約を解約したことに対する解決金として、東電に約１３億８３００万円を支払う方針を固めた。

　東日本大震災後の都内の電力不足を背景に契約を解約し、１３年度から競争入札を導入していたが、東電からは「一方的な解約」として、約５２億円の補償金を求められ、その後、民事調停を東京地裁に申し立てられていた。

　都は、東京地裁の勧告を受け、６月の都議会定例会に１３億８３００万円を特別損失として計上した補正予算案を提出する。一方、東電は「裁判所の勧告に従い、必要な手続きを進める」と説明している。

　都は、多摩川上流の青梅市と奥多摩町に水力発電所３か所を所有し、１９５７年から随意契約で東電に売電。２０１２年度は年約１億２０００万キロ・ワット時を９億７８００万円で販売した。

　しかし、震災で都内の電力不足が深刻化する中、当時副知事だった猪瀬直樹前知事が見直しを実施。競争入札で東電より高値で売電できると判断し、１２年４月、東電に契約解除を申し入れ、競争入札の導入を決めた。東電は、不足分の電力を調達するためのコストなど約５２億円の補償金を要求。都は「算出根拠が不明」と応じていなかった。

　都は今年度、新電力の「Ｆ―Ｐｏｗｅｒ」（港区）に１億２０００万キロ・ワット時を１７億４０００万円で販売する。来年度以降も１１〜１３億円で販売できる見通しで、東電への販売よりも高収益が見込めるという。