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石炭火力、クリーンに変身  排熱や燃料電池も活用、「CO2を3割削減」日本リード
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投稿者 あっしら 日時 2014 年 6 月 10 日 02:49:24: Mo7ApAlflbQ6s
 


石炭火力、クリーンに変身
排熱や燃料電池も活用、「CO2を3割削減」日本リード


 石炭火力発電はもう古い、と思っていないだろうか。二酸化炭素(CO2)や大気汚染物質を多く出すとして「悪玉」視されがちだ。今月2日には米オバマ政権が大幅な規制案を打ち出した。だが、石炭は豊富で安価な資源。増大する新興・途上国の電力需要を満たすには石炭を使いこなすしかない。「クリーンな石炭火力」へ。実は日本で最先端技術の開発が進んでいる。


発電効率55%超

 舞台は瀬戸内海に浮かぶ大崎上島(広島県)。ここで「発電効率55%超、CO23割減」という世界最高水準の石炭火力を実現する取り組みが動き始めている。投入したエネルギーを電気に変換する効率を示す発電効率は一般的な石炭火力を15ポイント以上上回る。

 Jパワーと中国電力が組み、昨年同島に石炭ガス化複合発電(IGCC)と呼ぶ方式の実証炉の建設を開始。2021年度までに燃料電池による発電も組み合わせ、最終的に石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)という技術を確立する計画だ。総事業費は1千億円を超す見込みだ。

 通常は石炭を燃やして得た蒸気でタービン(羽根車)を回して電気をつくる。IGCCでは、まず石炭を蒸し焼きにして発生させたガスを燃やしてタービンを回し、さらにその排熱を使って蒸気をつくり再度発電する。発電効率は46〜48%程度に達し、一般的な液化天然ガス(LNG)火力をしのぐ。
 その先を行くIGFCは、石炭のガス化の際に生じる水素を使って燃料電池でも電気をつくる。計3回の発電が飛躍的な効率アップの秘密だ。

 コスト面はどうか。「LNG火力より安くなる可能性は大いにある」。Jパワーと中国電の共同出資会社、大崎クールジェン(広島県大崎上島町)の外岡正夫取締役技術部長はこう話す。IGCCは途中工程が多く建設費は高くつくが、同じ発電量で比べた燃料費はLNGの半分以下。普及が進めば量産効果で建設コストは下げられるという。

 国内での石炭火力新設は温暖化ガス削減の流れの中で事実上困難だったが、東日本大震災を機に状況は一変。原子力発電所の停止や火力燃料費の増大から、政府は4月に閣議決定した新たなエネルギー基本計画で石炭火力を「ベースロード電源」に位置付けた。

 高効率化はIGCCやIGFCのようなガス化だけでなく、従来の固形の石炭を燃やす方法でも進んでいる。
 蒸気タービンは蒸気の温度と圧力を高めることで効率が上がる。高温高圧に耐える素材などの開発で、1970年代まで主流だった亜臨界圧型(発電効率36%)から超臨界圧型(38%)、現在では標準的な超々臨界圧型(USC、39〜41%)へと着実に階段を上がってきた。さらに国内ではIGCCと競い合う形で、46〜48%をめざす先進超々臨界圧型(A―USC)の研究開発も始まっている。


インフラ輸出の柱

 こうした進化を設備面から支えるのも日本メーカー。セ氏620度程度に耐えるUSC向けのタービンなど主要機器を手掛ける。A―USC開発には三菱重工業と日立製作所が出資する三菱日立パワーシステムズ、東芝、IHIなど大手がそろって参画。東芝はセ氏700度に対応するニッケル基合金を開発し、今後最終的な検証に移る。
 大崎上島で進むIGCCとIGFCプロジェクトの鍵を握る石炭ガス化設備も、三菱日立パワーシステムズ子会社のバブコック日立の工場(広島県呉市)で製作が進む。Jパワーの大塚哲夫技術開発部長は「資源が乏しい日本では少しでも燃料を大事に使おうという意識が高い」と技術開発力の源について語る。

 国際エネルギー機関(IEA)の推計によると、35年の世界の総発電量は11年の約1.7倍に膨らむ。このうち石炭からつくる電気が33%を占める。11年の41%よりシェアは落ちるが、燃料別では依然トップであり続ける。石炭火力は風力発電や太陽光発電のようにCO2排出をゼロにはできないが、発電効率と環境性能の両立が一段と求められるようになる。

 政府が石炭火力技術をインフラ輸出の柱の一つに据えているのはこのためだ。三井物産がIHIや東芝などと組んでマレーシアで大型USCの建設・運営事業を受注するなど、日本の技術への新興国の関心は高い。

 米環境保護局は火力発電所から出るCO2の排出量を30年までに05年比で3割減らすとした規制案を発表した。IGFCが実現すればこれにも対応可能だ。大崎上島の実証事業では出てきたCO2の分離・回収も視野に入れている。日本発の技術で石炭火力のイメージが一新される可能性もありそうだ。
(秦野貫)

[日経新聞6月6日朝刊P.30]

 

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