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米シェール革命 熱狂と刹那:テキサス、輸出に盲点
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投稿者 あっしら 日時 2014 年 6 月 15 日 03:00:03: Mo7ApAlflbQ6s
 


[地球回覧]米シェール革命 熱狂と刹那
テキサス、輸出に盲点

 米テキサス州北部フォートワース。草原の真ん中で大型車両が列をなす。向かう先は高い塀に囲まれた一画。シェールガスの採掘現場だ。

 資材がひしめく敷地内。ガス井の横で作業員が筒状の機器を磨く。「破砕用の銃だ」。現場監督が説明する。
 採掘技術の肝は、地中を横向きに掘り進む「水平掘削」と石油やガスを含むシェール層を爆薬や水圧で砕く「フラッキング(破砕)」。大型車両で運んでいたのは水に混ぜる大量の砂だという。
 一帯はシェール革命発祥の地。幹線道路沿いにもガス・石油井が次々と現れる。テキサス州は全米で掘削中の井戸の半分を擁し、年2万の新規掘削を認可している。「ドリル・ベイビー・ドリル(掘りまくれ、ベイビー)」。オバマ大統領も皮肉った推進派の合言葉を地でゆく勢いだ。
□   □
 「水が汚れた」「健康を害した」「地震が増えた」。シェール開発にはこんな声もあるが、どうか。州都オースティン。掘削認可の実権を握る3委員の1人、ポーター氏を訪ねた。住民や環境に配慮し中立に判断する立場と想定していたら、面食らった。

 「掘削で地下水が汚れた例はない」「温暖化? 人類が気候を変えられるかね」

 業界の肩を持ち、連邦当局にも異を唱える。自由放任、反規制、反連邦。そんな南部の風土を体現するシェール革命の旗振り役だった。
 委員会の来し方を知れば納得もいく。正式名は「テキサス鉄道委員会」。1891年の発足時は鉄道の監督組織だったが、1930年代に石油が開発ブームで値崩れすると、生産量を調整するカルテルへと変貌。世界の石油価格を支配するようになった。
 皮肉にもその鉄道委員会を手本に誕生した石油輸出国機構(OPEC)に、70年代に力を奪われた。昨今の鼻息の荒さにはテキサスの黄金時代への郷愁もにじむ。
 ただシェールブームによる生産急増で、今の天然ガス価格は2005年の高値の7割安。1930年代の過剰供給の二の舞いとならないか。頼みの綱は輸出だ。

 「日本から100組以上の訪問を受けた。互いを利する関係を築けるはずだ」。地元の開発会社、クイックシルバー・リソースのリンジー氏は話す。原子力発電所の停止で液化天然ガス(LNG)需要が増す日本とテキサスは急接近。昨年、同社のガス田には東京ガスが出資した。州沿岸部では日本勢の絡むLNG輸出基地の建設も進む。

 ウクライナ危機も輸出熱に油を注ぐ。「LNG輸出でロシアの蛮行に報いよ」「友好国を見捨てるな」。テキサス州選出のコーニン上院議員とバートン下院議員は口々に叫ぶ。米国は石油危機後の1975年に原油輸出を規制。天然ガスも自由貿易協定のない国への輸出は個別審査だ。その規制を撤廃せよと言う。
 実際ポーランド、リトアニアなどロシアにエネルギーを頼る国からは米国に輸出要請が相次ぐ。「エネルギー輸出は安全保障上も有益だ」。ガス開発大手サウスウエスタン・エナジーの規制担当幹部、トラムート氏も理論武装して議員を回る日々という。
□   □
 盲点もある。シェール井は寿命が短く開発から数年で生産量が急減する。業者が次々に井戸を掘るゆえんだが、昨年は州北部の掘削申請が10年ぶりの低さとなった。「テキサスのシェール革命の旬はあと10年との分析もある」とテキサス大エネルギー研究所のウェバー副所長は語る。
 テキサスは過去に4度の石油ブームを経験した。エネルギー市場の変動は激しい。だからこそ稼げるうちに稼ぐ。それが歴史に根差すテキサスの人々の深層心理ならば「ドリル・べイビー・ドリル」の合言葉は刹那的にも響く。
(米州総局編集委員 西村博之)

[日経新聞6月8日朝刊P.15]

 

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コメント
 
01. taked4700 2014年6月15日 10:40:56 : 9XFNe/BiX575U : IcYS7J4euM
米国農地バブルを検証する
という記事をhttp://toyokeizai.net/articles/-/7265で読めます。2011年の記事ですが、シェールガス採掘のコストについて示唆的です。

>土地のリース料も過去3年間にウナギ登りだ。あまりにブームが狂乱的なためまとまった統計はないが、地元紙の記事によれば、シェール・ガスが豊富な地域のリース料で見ると、2008年1月には1エーカー当たり100ドルだったものが、同年5月にはなんと2000ドルに跳ね上がったケースがあったという。

>ピッツバーグ南西の町セシルでは、何人かの地主が1エーカー当たり4000ドル、17.5%のローヤルティ(土地使用料)というリース契約に調印しているという。リース契約は通常期間5年だが、契約と同時に全額前払いで支払われる。地主の中には、前払いで20万ドルを受け取った人もいる。その初期支払いを済ませると、掘削会社は採掘したガスの価格に応じてローヤルティを支払う。ペンシルベニア州法では、地主に対し最低12.5%のローヤルティを支払う義務がある。

>通常1本のガス井を掘るには、1平方マイル(640エーカー)の用地が必要になる。そのため、それだけの用地を確保するためには多くの地主をまとめなければならない。その地域には何人かの人たちが集まり、掘削会社と交渉するためにグループを結集している。そのグループの中には、09年時点で1エーカー当たり6000ドルで交渉しているところもあった。

>10年2月には、三井物産が米国子会社Mitsui E&P USA LLCを通じて、アナダルコ・ペトロリアム社との共同開発事業に1エーカー当たり1万4000ドル支払った、という話も伝わっている。三井物産はなんと14億ドルを支払って、10万エーカーの権益を取得したという。

******************

つまり、決してシェールガス・オイルが安価なものであるわけがないということです。単に、今は、投機が重なり安値で供給されているだけ。意図的な安値であるということです。


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